2007年7月13日(金)掲載

◎大正時代の電話機など8点INオークション…渡島支庁
 渡島支庁は道税の滞納者から差し押さえた、絵画や大正時代の電話機など8点を、ヤフーのインターネット(IN)オークションで公売する。道本庁では2005年度から差し押さえ品をネット上で公売しているが、同支庁では初めて。18、19両日に渡島合同庁舎(函館市美原4)で現物を紹介する下見会を開く。IN公売は全国の人が閲覧でき、「マニア向け」の品には思わぬ高額落札もあり、同支庁納税課では税収増に期待している。

 動産は買い受け人が少なく換価が難しいため、給与や預貯金を差し押さえてきた。INオークションの普及で落札や価格の上昇が期待でき、実施を決めた。5月に管内の納税者から差し押さえた、日本画や米国製タイプライターなどを見積価格(最低価格)1000円から8000円で出品する。

 中には江戸時代末期という三代豊國の錦絵(見積価格5000円)や、1955年製のレコードプレーヤー(同8000円)、大正時代製の電話機(同3000円)も。「アンティークファンには垂ぜんの的では」(同課)。

 参加申し込みは26日午後5時まで受け付け、入札期間は31日午後1時から8月2日午後零時半まで。1人で何度も入札できる競り売り方式で、落札者は同支庁が連絡、8月9日までに代金を納付し、品物を引き受ける。送料や手数料は購入者が負担する。

 下見会ではすべての品を展示し、問い合わせに応じる。時間は午前10時から午後4時まで。詳細はhttp://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm.zim/internetkoubai/index(原山知寿子)


◎道選挙区 8氏立候補…参院選公示 道内は激戦
 【札幌】第21回参議院通常選挙が12日公示され、道選挙区(改選数2)には、羽柴秀吉氏(57)=無所属新=、畠山和也氏(35)=共産新=、多原香里氏(34)=無所属新、新党大地、民主、国民新党推薦=、伊達忠一氏(68)=自民現、公明推薦=、千代信人氏(43)=維新政党・新風新=、浅野隆雄氏(51)=社民新=、小川勝也氏(44)=民主現=、荒川昌之氏(47)=無所属新=(届け出順)の8人が立候補した。各候補は札幌市内で第一声を上げ、年金問題などを訴え、29日の投開票日に向けて17日間の舌戦をスタートさせた。(15面に関連記事)

 道選管の受け付けは、午前8時半から道庁内で始まり、午後5時に締め切った。

 畠山氏の陣営は、道庁北門近くで同9時から第一声に入り、平和憲法の維持などをアピールし、北大名誉教授らが支援を訴えた。

 多原氏の陣営は同9時から大通西4で、国会の強行採決など与党の対応などを批判。新党大地の鈴木宗男代表、歌手の松山千春さんらが熱弁を振るった。

 伊達氏は同9時すぎから大通西3で第一声。北海道新幹線の着工など現職としての実績を強調。自民党の比例代表候補の橋本聖子氏らがマイクを握り応援した。

 浅野氏は、社民党道連の事務所前(北8西4)で同9時から第一声を上げ、2大政党制や国会の強行採決などを批判し、比例代表候補の山口たか氏らが応援演説。

 小川氏は同8時40分から中央区の北4西4で行った。政権交代の必要を訴え、民主党北海道の鉢呂吉雄代表らが応援演説した。

 羽柴氏は、札幌パルコ前(南1西3)で同9時すぎから、千代氏は同10時10分から大通西4で第一声を行った。

 今選挙では、記録漏れなど年金問題を最大の争点としている。第一声では、逆風の伊達氏は、あえて触れず、低迷する北海道経済の振興や安定政権をアピール。

 他候補は、政府の年金への対応のまずさを相次いで批判。「政府の失政は糾弾されるべきだ」(小川氏)、「厚生大臣と国の責任をはっきりさせるべきだ」(畠山氏)、「年金の信頼性が失われた」(浅野氏)などと訴えた。


◎道南 静かな幕開け…参院選公示
 第21回参院選が公示された12日、函館市内では道選挙区(改選数2)に立候補した8人のうち、1陣営が出陣式を行い、比例代表の候補者が街頭演説を行うなど、17日間の選挙戦に突入した。市内に選挙事務所を持たない陣営も多く、道南では静かな幕開けとなったが、各陣営の関係者はポスター張りなどに奔走。各候補とも来週末にかけて続々と道南入りし、有権者に支持を訴える。(参院選取材班)

 共産党新人の畠山和也候補(35)は、24日に道南入り。八雲や森、北斗など6カ所で街頭演説を予定。25日は午前8時からJR函館駅前、同9時から長崎屋函館店前で、同党副委員長の石井郁子衆院議員も合流し、街頭に立つ。同日は、市内8カ所の団地などで街頭演説する。

 無所属新人の多原香里候補(34)は23日函館入り。この日は後志管内倶知安町を皮切りに、長万部、八雲、森、七飯、北斗と遊説した後、午後4時ごろ函館市内に入る。同7時に函館国際ホテルで個人演説会を開く。

 自民党現職の伊達忠一候補(68)は、23日に道南に入り、長万部、森などを遊説し、24日に函館入り。街頭演説で支援を訴える。25日まで桧山管内など道南全域をくまなく回り、議席死守を目指す。この日は陣営幹部もポスター張りや、企業などへのあいさつまわりに走った。

 民主党現職の小川勝也候補(44)の道8区合同選挙対策本部は、函館市新川町14の選挙事務所前で、支持者ら約150人を集めて出陣式を行った。平出陽子本部長代行が「年金問題と改憲問題について国民がどう評価するか、天下分け目の戦い。怒りを形に表し、政権交代の道筋にするのが民主党の大きな役割」と訴えた。小川候補は24、25両日に道南入りする。

 無所属新人の羽柴秀吉候補(57)は20日函館入り。長万部から遊説をスタートし、午後には函館市内に入る予定。市内中心部で街頭演説を行う。

 諸派新人の千代信人候補(43)は24日に函館入りの予定。終日、中心部や近隣市町での遊説を繰り広げる。

 社民党新人の浅野隆雄候補(51)は20日夕方に函館入り。午後6時半から本町交差点で街頭演説を予定している。21日には市内を街宣し、昼ごろに函館を離れ国道5号を北上する。


◎「函館に心の一部残す」…ロシア領事館事務所 ウソフ所長が離任
 在札幌ロシア総領事館函館事務所のウソフ・アレクセイ所長(52)がロシア外務省へ栄転することになり、後任のブロワレツ・アンドレイ新所長(49)とともに12日、函館市役所に西尾正範市長を表敬訪問した。西尾市長は函館とロシアの友好親善に尽くしたウソフ氏に深く感謝し、ブロワレツ氏に両国の相互理解や友好親善がさらに深まるよう、期待の言葉を述べた。

 ウソフ氏は2003年9月の函館事務所開設以来、3年10カ月にわたり初代所長としてビザの発行や在日ロシア人の保護、ロシア政府要人との連絡調整など、外交官の業務を果たすとともに、函館・日ロ交流の推進に尽力してきた。

 15日の離函に当たり、「函館に心の一部を残していく。国際貿易センターや友好団体の関係者が日ロ交流に熱心で、本当に感謝している。今後も異なる文化・文明の対話と調和、相互理解を進めていくことが大切」と述べた。

 ブロワレツ氏は来週から着任。前任はロシア外務省ウラジオストク代表部長で、「日本はかねて勤務したい国、ロシアと近い国と思っていた。着任に当たり、沿海州の知事と議長から、さらに交流が深まるよう、願いを託された。ウソフ所長の業績を引き継ぎ、日本とロシア、函館とウラジオストク(姉妹都市)の関係を深めたい」と抱負を述べた。(高柳 謙)


◎谷沢副市長「経済界と関係構築」…市長と商工会議所会頭 会談の場を設定へ
 函館市議会の予算特別委員会(石井満委員長)は12日、経済建設常任委員会所管分の議案を一括審議した。志賀谷隆氏(公明党)が、本定例会中の西尾正範市長の発言をめぐり、経済界との関係悪化を懸念。谷沢広副市長は「市を取り巻く環境を切り開くため、協力が必要と認識している。経済界とのパイプを生かしながら、円滑な関係構築に努めたい」と述べ、函館商工会議所の高野洋蔵会頭との会談の場を設ける考えを示した。

 志賀谷氏は、市が経済界、議会などと連携し、2000年度から実施している東アジア地域での観光プロモーション活動に関連し、今後の展開について市の考えをただした。

 桜井健治商工観光部長はこれまでの成果や地域間競争が激化していることを示し、本年度は11月と年明けの2回を予定し、台湾や中国・広州市、韓国・ソウルなどを訪問する予定。今後、事務レベルで日程などを協議する考えを示した。

 さらに、トップセールスの必要性について「観光は経済の中核であり、油断すると、(チャーター便などの)利用が減少する。従前通り各界のトップにお願いしていきたい」と理解を求めた。

 志賀谷氏は、新幹線の整備促進など、経済界と連携して要請や陳情活動を行わなくてはならない場面があるとし、「官民一体はあってしかるべきだ」などと述べ、西尾市長が公の場で関係を整理するべきだと指摘した。

西尾市長は同日、取材に対し、5月の函館商工会議所訪問以降、高野会頭と公務で同席する機会もあり、関係は円滑であるとした。その上で「取り組まなければならない問題については、経済界、議会と当然連携する。トップセールスも問題はない」と述べた。(今井正一)


◎支庁制度改革 知事との直接交渉 申し入れ…江差町長ら道内7首長
 【江差】道の支庁制度改革をめぐり濱谷一治江差町長は12日、支庁統廃合が見込まれる道内7市町の首長が、高橋はるみ知事との直接交渉を道に申し入れていることを明らかにした。実現すれば同改革をめぐっては、高橋知事と7首長による初の直接対決となる。早ければ今月下旬にも道庁を訪れ、統廃合に伴う地域社会への打撃や地域間格差に苦しむ過疎地域の支庁所在地を重視した改革を高橋知事に訴える方針だ。

 町役場で開かれた町内26団体で組織する住民組織「檜山支庁存続と権限機能強化を求める江差町連絡会議」の総会で明らかにした。

 江差町をはじめ改革に反対する根室、室蘭、留萌、稚内の4市と、後志管内倶知安、日高管内浦河の2町は道に対し、26日に改革担当の企画振興部長との交渉を、27日には高橋知事との直接交渉を求めており、日程調整を進めている。当日は7市町の住民や経済団体にも参加を呼び掛け、改革に対する地域の懸念をアピールする方針だ。

 濱谷町長は「改革は道民の理解を得ていない。道財政が厳しい中で従来通りの支庁存続が難しいことは理解しているが、地域発展の良き礎となる支庁制度を目指すべきだ」と述べた。

 総会では高橋知事との直接交渉に向け、同様の住民組織がある日高管内浦河町と連携した要請行動の実施を決定。町民や各団体に参加を呼び掛け、道庁周辺での抗議行動などを早急に検討することで一致した。

 また、会議では故大井紀勝会長の後任に、辻正勝副会長(江差建設協会長)を選出。辻会長は「道や市町村は支庁の存在が地域振興を図る上でどれだけ大きいか再認識すべきだ。7市町の行動は道議会を動かすまでに影響力が大きくなっている。町民運動と一体になった行動が必要」との考えを示した。 (松浦 純)