2007年7月20日(金)掲載

◎戸井マグロ漁始まる
 戸井沖でのマグロ漁が、ことしも始まった。漁を終えた船団の船が次々と港に戻ると、重さ約200キロにもなる大型のマグロが下ろされ、漁港は活気にあふれている。

 戸井漁協(森裕組合長)では、昨年126トンを水揚げした。ことしも7月17日ごろから操業を開始。本州の船などを含むはえ縄漁船約40隻が、船団を組んで津軽海峡の漁場に繰り出している。

 19日午前にも、夜中に漁に出た漁船が釜谷漁港に続々と到着。漁港に併設された同漁協の荷さばき所には、きらきらと魚体をを輝かせた大型のマグロが下ろされ、出迎えた関係者が「大きい」と歓声をあげていた。

 同漁協は「はしりながら、大きさ、数ともまずまず」と期待していた。マグロは東京など主に本州方面に出荷される。漁はことしいっぱい続けられる。(原山知寿子)


◎来年度から係制廃止 迅速、柔軟に業務対応…函館市
 函館市は来年度から、機構改革の一環で係制を廃止する。職員が担当する係の業務に縛られず、さまざまな行政課題に迅速、柔軟に対応することで業務の効率化を図る。また、新たな施策の必要性や行政課題が生じた際、部局を横断してチームを設置する事業本部制も導入に向け態勢を整えていく。

 西尾正範市長の公約で、19日に閉会した定例市議会の代表質問、個人質問で実施を明言した。

 市行政改革課によると、ことし4月現在、病院、交通、水道を除く市の部局で133課があり、6割に当たる83課で係制を廃止し、2割に当たる28課で係長と主査(同等職)を併用、22課で係制を取っている。

 例えば同じ総務部内でも、行政改革課は主査4人、総務課には庶務、防災、統計の3係長と主査2人が配置されている。総務課の場合、極端な人員削減や業務の変更がなければ、係制の廃止で主査5人体制となる。

メリットについて行政改革課は「係間の業務の壁を取り払うことで、各職員が業務に柔軟に対応できる。各主査の担当業務は残るが、各担当の繁忙期に、課内で速やかな支援態勢を取ることができる」と説明する。

一方、係がなくなることで、来庁者がどの課を訪れたらよいのか分かりづらくなる懸念もあり、「市民にいかに混乱させないようにするか、検討課題」(同課)とする。

係制の廃止は、道や北斗市などで進み、グループ制を敷いている。

また、新しい行政課題などに対応する事業本部制の導入は、必要性が生じた際にすぐ発足できるよう態勢を整える。各部局を横断して職員を配置し、プロジェクトチームのリーダーとなる事業本部長を部長が務めるかなど、詳細は検討中。(高柳 謙)


◎一部に雨不足の影響 渡島の水稲は7日早く…道南の生育状況
 渡島、桧山両支庁は19日、15日現在の管内の主要農作物の生育状況を発表した。渡島、桧山ともに気温は平年より高く、生育は平年より早まっているが、渡島のジャガイモ、てん菜など、一部の作物に雨不足の影響が出ている。

 渡島は、水稲(きらら397)が平年より7日早く、葉・茎数とも平年より多い。出穂からおおむね10日前の冷害危険期間に当たり、渡島支庁は水田の深水管理などの対策を促している。

 ジャガイモは、平年より3日早いが、一部の地域では雨不足で茎や葉のしおれが見られる。てん菜も平年より2日早く、収穫する根の部分の周囲は平年並みだが、少雨の影響で茎や葉の成長に抑制が生じている。

 牧草は2番草の成長が平年比3日、サイレージ用トウモロコシは同8日それぞれ早い。リンゴは平年より4日早まっており、果実肥大も順調という。

 桧山は調査8作物とも、平年より1日から7日早い。水稲は好天で平年より4日早く、草丈も長い。牧草は平年並みだが、雨が少ないため草丈の伸びが緩慢になっているという。(原山知寿子)


◎「空がきれい!」園児が試乗体験…北都交通がオープンバス導入
 旅客運送業の北都交通函館支店(小塚直樹支店長)は、天井から空が眺められる、ほろ開閉式のオープンバス1台を導入した。19日には、遺愛幼稚園(吉田真理子園長)の園児約60人を試乗体験会に招待。本格的な運行は今月下旬からの予定で、函館市内の名所を巡る定期観光コースを走る。夏らしいさわやかな風を浴びながらの小旅行が話題を呼びそうだ。

 斬新なバスの導入により、道内外に話題性を発信することで、低迷する函館観光の起爆剤になればと計画。雨天時でも利用できるよう、全天候型の開閉式タイプとした。改造費を含む購入費は約1000万円。

 ほろは、長さ約10メートル、幅約2メートルで、好天時は前方に収納。雨天時に張った際には、道路の段差や風などで支柱に接触する際の音を防ぐよう、両端に空気を入れるクッションや、ゴムボールを挟むといった工夫も施されている。

 座席は色鮮やかなオレンジ色のレザーシートで、全53席のうち後部は回転可能なサロンタイプ。外観は子どものイラストを基に、親子の笑顔を浮かべる様子が描かれていて、黄と緑の色使いが華やかだ。

 試乗体験では元町を出発し、ともえ大橋を経由してJR函館駅前などを巡回。園児たちは、車上からの景色に歓声を上げて大喜び。東海林優真君(5)は「空がきれいに見えて楽しかった」と満面に笑みを浮かべていた。

 同支店の加藤秀史支店長代理は「景色を見るだけでなく、街の音やにおいを感じてもらえれば」と話している。問い合わせは、同支店TEL0138・57・7555。(浜田孝輔)


◎野外劇の意義 将来考える…20周年記念講演会・フォーラム
 函館野外劇20周年記念講演会・フォーラムが19日、函館市内のホテルで開かれた。主催するNPO法人(特定非営利活動法人)市民創作「函館野外劇」の会(フィリップ・グロード理事長)の会員ら約200人が出席。国の特別史跡・五稜郭跡の使用許可を判断した当時の文化庁長官、植木浩さんを招いて、函館野外劇の歩みや意義、将来の展望について考えた。

 講演会で植木さんは「私のフランス、私の函館―文化によるまちづくりへ―」と題し、フランスとのかかわりや函館野外劇について語った。

 植木さんは1988―90年に文化庁長官を務めた。在フランス日本大使館での勤務歴もあり、当時選考したフランス人留学生のクリスチャン・ポラックさんが、長官時代にグロード理事長を連れてきたことや、五稜郭跡の使用が許可されたいきさつなどに触れた。

 文化財の保存と活用、市民参加型の文化活動を柱とする当時の新たな文化政策の流れから、植木さんは「日本とフランス、函館と霞が関、さらに当時の政策がうまくかみ合い実を結んだのではないか」と指摘。「函館は文化による町おこしのパイオニア。文化が経済を引っ張り、まちを活気づける『文化力』の時代に入っている」と述べた。

 フォーラムでは西尾正範・函館市長と植木さん、フィリップ理事長がパネリストとして登壇。函館野外劇への評価について、植木さんは「文化財の保存と活用において、函館は日本の文化政策を先取りしている。市民参加という面でも典型的。この火を消さずに花を咲かせ続けてほしい」と激励した。

 西尾市長は「ここ数年で芸術性が高まり、よくここまできたと思う。これだけ大きいものを持続するには全市民に広げ、分業して進行管理していかないといけない。市役所もその一役を担う」と語った。

 フィリップ理事長は20年続いた秘けつについて「函館の市民性や風土、雰囲気のおかげ。五稜郭は珍しい場所。徳川幕府は野外劇をやらせるために作らせたのでは」とユーモアを交えて話し、会場からは拍手がわき起こった。(宮木佳奈美)


◎補正予算可決し閉会 西尾市長「市政執行に意見配慮」…定例市議会
 新市長となって初めての第2回函館市議会定例会は19日、本年度一般会計補正予算案など議案32件を原案通り可決し、閉会した。閉会に当たり西尾正範市長は「審議過程でいただいた意見や要望は真摯(しんし)に受け止め、今後の市政執行に十分配慮したい。時代の認識や政策立案を市民と考え、組み立て直していきたい」と述べた。

 西尾市長初めての政策予算となる補正予算は、一般会計で21億1500万円を追加。補正後の総額は1242億6500万円となった。市立学校長の裁量で創意ある学校づくりを進める「知恵の予算」や西桔梗野球場の夜間照明と観客スタンド整備費、縄文文化交流センター整備推進費、コンベンション施設検討調査費などを盛り込んだ。

 本会議では、西尾市長が管理者となったことで欠員が生じた函館湾流域下水道事務組合議員に市戸ゆたか氏(共産党)を選出し、議会推薦委員の辞職により欠員状態だった市農業委員会委員に金沢浩幸氏(新生クラブ)を推薦することを決めた。

 意見書は「乳幼児医療費助成制度を国の制度として創設することを求める」「自衛隊の国民監視の中止を求める」など11件を可決した。

 今定例会は、民間出身者として初の副市長(助役)となる谷沢広氏を選任し、西尾市長の市政改革への第一歩となった。一方で、代表質問や個人質問で西尾氏の選挙時の発言や行動が問題視されるなど、不安定な船出となった。(高柳 謙)


◎2人を停職2カ月…勤務中にパチンコの市職員
 函館市恵山支所の40代の男性職員2人が17日、勤務中に公用車でパチンコ店を訪れ、1時間ほど遊技していた問題で、市は19日、2人を停職2カ月の懲戒処分とした。監督責任として、上司の恵山支所地域振興課長を戒告の懲戒処分、恵山支所長を訓告の指導とした。

 停職は、免職に次ぐ重い処分。記者会見した小柏忠久総務部長は「刑事事件ではないが、何ら申し開きできないし、情けない行為」と陳謝した。車体の「函館市」の文字を隠したガムテープは、車のトランクに入っていた作業用品の一つで、こうした行為をしたのは初めてという。

 2人の様子について坂本幸春支所長は「非情に恥ずべき行為として反省し、ひたすら陳謝している」と述べた。坂本支所長が支所職員全員に綱紀粛正を促し、小柏部長も全職員に通知する。