2007年7月21日(土)掲載

◎小田島川の水質浄化着実 生き物の生息も…函館市の対策
 函館市が2001年度から取り組んでいる小田島川の水質浄化対策が着実な成果を挙げている。1990年代にはヘドロや悪臭が深刻だったが、浄化装置の設置や、有機物を分解する微生物散布を続けた亀田港町50付近は、水の透明度も上がり、ボラの群れやカモの親子など、生き物の姿を見ることができるようになった。市土木部は「下水道の整備も進み、流れ込む汚水が減ったことが大きいが、浄化装置も効果があった」と話している。

 小田島川は函館港から富岡町3丁目にいたる延長5・5キロ。水源はなく、主に生活・工場排水が流れ込む。01年度からはカキ殻を沈める方法や、04年度からは、天然鉱石を用いた多孔(こう)質の「ナチュラルセラミックス」を設置してきた。同時に、ヘドロなど有機物を分解し、水中の酸素量を増やすため、微生物を散布し、セラミックスの孔内で増殖させてきた。

 これらによりヘドロの分解が進み、川底は砂状となり、緑色の藻などが発生。光合成により酸素を生み出す自助浄化作用を取り戻しつつあるとみられている。また、アカイトミミズが生息し、それをmノとしているボラが海から川にさかのぼってきているほか、カモの親子が住み着いている。

 定期的に行っている水質検査では、装置の設置場所前後や、時期によって数字にばらつきはあるが、水生生物生息の目安や、有機物による汚染基準となる生物化学的酸素要求量(BOD)や化学的酸素要求量(COD)、浮遊物質(SS)の数値はいずれも減少。例えば、小田島1号橋付近で、大谷地都市下水路と合流しない部分の水質は、04年12月と06年12月を比較すると、BODが約80%、CODが約68%、SSが約40%減少している。

 大谷地都市下水路より下流域では、依然濁りなどはあるものの、悪臭を放つなどの深刻な状況は脱している。しかし、川の中からごみが入ったビニール袋が見つかることもあり、水質浄化には地域住民のモラル順守も欠かせない。

 市土木部河川課は、流域の水洗化や合併浄化槽の普及が大きいとし「これまで、生活排水が川を汚染してきた。汚物が少ないと川がきれいになることが、もっと市民にも浸透してほしい」と話す。同課は、定期的微生物散布が今後も必要かどうかや、川の自助洗浄能力について、長期的に推移を見守る方針。(今井正一)


◎候補相次ぎ函館入り 終盤戦へ舌戦…参院選
 第21回参院選は29日の投票日まで10日を切り、今週末から各候補が函館・道南入りし、遊説活動を展開している。現職2氏を新人が追う展開で、各候補は年金問題や格差是正、景気回復などを掲げ、道南でも支持拡大や票の上積みを狙う。

 道選挙区(改選数2)は届け出順に、羽柴秀吉氏(57)=無所属新=、畠山和也氏(35)=共産新=、多原香里氏(34)=無所属新・新党大地、民主、国民新党推薦=、伊達忠一氏(68)=自民現、公明推薦=、千代信人氏(43)=維新政党・新風新サ、浅野隆雄氏(51)=社民新サ、小川勝也氏(44)=民主現=、荒川昌之氏(47)=無所属新サの8人。

 羽柴氏は20日に函館入りした。4月の夕張市長選に続く選挙戦で、「第2、第3の夕張を出さない強い北海道をつくる」と訴える。

 畠山氏の道南入りは24日。長万部を皮切りに、八雲、森、北斗で街頭演説を予定。25日午前には党副委員長の石井郁子衆院議員も合流し、函館市内をくまなく遊説する。格差貧困問題などを訴え、「確かな野党」の存在感を示す。

多原氏は23日函館入りし、午後7時から函館国際ホテルで個人演説会を開く。公示日の12日から同市東山に事務所を構え、推薦を受けている新党大地代表の鈴木宗男氏の知名度を生かし、同市内や近隣市町での浸透を図っている。また、民主党の道議や市議らも多原氏を支援し、小川氏との2議席独占を目指す。

 伊達氏は23日午後にも道南入りし、25日まで渡島・檜山管内のほぼ1市町1カ所の街頭演説で支持を訴える。函館市内では24日正午ごろから、湯川町の湯の浜ホテル前で街頭演説。自民党の町村信孝衆院議員らが応援演説する。年金問題など“逆風”の中の選挙戦で、公示以降は基礎票を固めようと支持基盤の引き締めに躍起だ。

千代氏は24日に函館入りし、同市内や近隣市町で遊説する。自主憲法の制定や国家意識の構築などを訴え、現体制の批判票獲得を狙う。

浅野氏は20日に函館入り。比例候補の山口たか氏が函館で第一声を上げており、連動した戦いで年金問題や「護憲」を訴えている。

小川氏は、24、25両日に道南入り。24日午後6時半からは函館市本町交差点で街頭演説会を開く予定で、峰崎直樹参院議員が応援に駆け付け、地元支援団体では1000人規模の動員をかける。「票固めは順調」(選対幹部)と手応えをつかんでいる。(参院選取材班)


◎「テロ対策や円滑な手続きに万全期す」…宇野税関長が着任会見
 宇野悦次函館税関長の着任会見が20日、函館市海岸町の函館港湾合同庁舎で開かれた。宇野氏は「使命・役割を全うし、皆さまの期待に応えられるような税関行政を目指していきたい」と抱負を語った。

 宇野氏は1950年、愛知県生まれ。名古屋大大学院理学研究科を卒業後、75年に旧大蔵省に入省し、大阪税関関西空港税関支署長や財務省関税局監視課長などを歴任。10日付で第72代函館税関長に就任した。

 取り組むべき重点課題として(1)国民の安全・安心を確保するための水際での取り締まり(2)関税・消費税等の適正・公平な負荷徴収(3)利用者の利便性向上と国際物流の円滑化の確保―を列挙。特に(1)に関しては「函館税関の管轄区域の広さの割に、貿易量こそさほど多くはないが、対岸にロシアや北朝鮮などがあることを考えると、不正薬物などを持ち込ませないことが、重要な分野になってくる」とした。

 また、来年7月7日から開催予定の北海道洞爺湖サミットについても触れ、「外国との出入り口になることから、テロ対策や、適正かつ円滑な税関手続きの確保に万全を期すため、関係機関との連携を図りながら準備を進めていきたい」と述べた。(浜田孝輔)


◎土方の末えいら熱演…函館野外劇
 20日に行われた第20回市民創作函館野外劇「星の城、明日に輝け」に土方歳三や高松凌雲、石川啄木の関係者3人が出演した。いずれも関連した役を務め、熱演した。第20回という節目の記念事業の一環で、この日夕までリハーサルを終え、それぞれの役に挑んだ。

 予定されていた、土方歳三の兄の6代目土方愛(めぐみ)さん(35)は、都合により出演できなくなり、代わりに愛さんの姉、木村千恵さん(40)が、榎本軍の鉄砲隊の一員として登場。果敢に鉄砲を撃った。「歳三の昇天シーンなど感動ばかり。素晴らしい野外劇があり、歳三の最期の地が函館でよかった」と喜んでいた。

 石川啄木役を務めたのは、啄木の出身地、渋民村と合併した岩手県盛岡市商工観光部ブランド推進室の坂田裕一室長(54)。同県演劇協会長でもあり、芝居は慣れたもの。啄木の句を情感込めて詠んだ。「25年ぶりに啄木役を務めたが、少し張り切り過ぎた。野外劇が函館と盛岡の交流の懸け橋になれば」と期待を込めた。

 来函中の福岡県小郡市の平安正知市長(47)は、同市出身の医師、高松凌雲を演じた。箱館病院の院長として、新政府軍の乱入を両手を広げて防いだ。平安市長は「市民と一体感ある舞台に感動した。地域愛を象徴するテーマソングを出演者が歌うのも地域の力を感じる」と話していた。

 今後、出演が予定されている関係者は次の通り。

 ▽28日=続豊治の8代目、続雄人さん(19)▽8月4日=高田屋嘉兵衛の8代目、高田屋嘉七さん(75)▽同5日=榎本武揚の4代目、榎本隆充さん(山崎純一)


◎江差町議選 24日告示
 【江差】任期満了に伴う江差町議選(定数12、29日投開票)は24日の告示を目前に控えて新人1人が出馬を断念したことで、新人4人を含む14人の候補者が12議席を争う選挙戦の構図がほぼ固まった。今回の町議選では現職16人のうち半数の8人が引退するため、各陣営は引退する現職の地盤争奪に向けた動きを活発化させている。

 立候補を予定しているのは、現職ではいずれも無所属の飯田隆一、薄木晴午、打越東亜夫、小笠原淳夫、小笠原満、従二谷伸一、村上雅文、室井正行の8氏(50音順、以下同)。

 元職は小野寺真(共産党)、田畑豊利(無所属)の両氏。新人は大門和子(同)、萩原徹(同)、横山敬三(同)、若山明廣(公明)の4氏が出馬の意向だ。昨年の町議補選で落選した納谷稔氏(同)も立候補の意向を示していたが健康上の理由から出馬を見送った。

 今回の町議選は現職の半数が引退する異例の展開。各地域では引退議員が抱えていた地盤の争奪戦が激化している。また、議員定数が16から12に4減となったことで当選圏が上昇。前回選挙で400票前後の得票があった現職ら上位層は、比較的優勢な選挙戦を展開する一方、当落ラインに近い候補者による議席争いが過熱しそうだ。

 また、旧地区労時代から労組系を中心に候補者を立ててきた、連合北海道檜山地域協議会は20日までに独自候補の擁立を断念。昨年の町長選では、無投票再選した濱谷一治町長を支持した経緯から、濱谷氏を支える町政与党会派所属の候補者を重点的に支援する方針。このため檜山支庁など官公庁を中心とする労組票の行方に注目が集まっている。

 一方、投開票日が参院選と重複するため、江差町選管は開票所を町保健センターから町文化会館大ホールに移転。町議選の大勢判明は午後11時半前後、結果確定は30日午前零時半ごろ、参院選の結果確定は同1時前後になる見通しという。(松浦 純)


◎補助 新たに中の橋線など…渡島支庁生活交通確保対策協
 渡島支庁生活交通確保対策協議会が19日、函館市美原の渡島合同庁舎で開かれた。管内の自治体や運輸関係者約20人が出席。国、道、市町が補助金を支出する赤字バス路線55路線の運行実績や収支改善計画について検討。本年度から2009年度までの生活交通路線維持確保3カ年地域計画を決定した。

 対象は、国、道が助成している生活交通路線26路線と、道、市町が補助する準生活交通路線13路線で、準生活路線には新たに中の橋線(東山見晴台団地―市役所前)、昭和船見線(昭和営業所―船見町)、市町単独補助路線で旭岡団地線、鹿部海岸線が加わった。

 協議会では、事業者の函館バスの担当者が、対象路線の前年度実績などを基に、運行ルートやバス停位置、ルートや沿線住民への理解など8項目について診断した個別のアセスメント結果を報告、承認した。

 また、高額補助金交付路線である、生活交通路線の木古内松前線、瀬棚線と、準生活交通路線の鉄山蛾眉野線、八雲熊石線の収支改善策を説明。競合路線の減便や、地元町会との話し合いで運行見直しやニーズ確保を図ったことを挙げ、生活路線としての維持と引き続き燃料経費の削減やダイヤ調整などで経営効率化を進めるとした。(原山知寿子)


◎函館とのつながり大切…青森・大間 金沢町長と市長が懇談
 青森県大間町の金沢満春町長が20日、函館市を訪れ、西尾正範市長と懇談した。金沢町長は「わたしは北(函館)しか見ていません」と話し、函館への思いや新幹線時代の下北観光の展望を熱く語った。西尾市長は、両地域の更なる交流促進のため、事務レベルでの協議推進に前向きな姿勢を示した。

 金沢町長は、21日に函館港に入港する豪華客船「飛鳥2」の乗客向けに、同市が企画した大間観光ツアーの案内役を務めるため来函。オンパク(はこだて湯の川温泉泊覧会)のメニューにも取り上げられるなど、両地域の観光の一体化が進んでいる。

 金沢町長は、海峡を挟んだ合併話や、新幹線の新青森や新函館までの延伸に触れ「下北の観光を考えたら、函館とのつながりが大切。函館と下北で仙台や札幌に負けない地域にする事業を考えなくては」と述べた。

 また、フェリー航路維持のため、利用率の向上維持が不可欠であるとし、函館市内で積極的に大間観光のPRを行う考えを示し、西尾市長も交流促進に協力を約束した。(今井正一)