2007年7月23日(月)掲載

◎任期付き職員、条例改正で対象拡大
 函館市は、専門性を持つ任期付き職員の採用を、事務などの一般職にも拡大できるよう条例改正した。現時点で具体的な採用の予定はないが、一定期間に業務が増大する場合に採用し、即応性を持たせることを想定している。

 法律に基づき市は2004年2月、任期付き職員の採用に関する条例を制定。高度の専門的な知識・経験を持つ職員を対象としたが、法改正で対象が拡大したことから、このほど開かれた定例市議会で条例改正した。

 市人事課によると、全国的には国体開催の関係業務として秋田市が10人を採用しているほか、区画整理事業の技師など、一定期間で終了する業務で任期付き職員の拡大が進んでいる。

 函館市は今春、貿易業務を担当する参事1人と主幹1人を任期付きの管理職として採用した。任期は3年で、最大5年まで延長できる。身分は正職員と同じ地方公務員。

 ただ、最大5年で任期を終えることから、条例改正で共産党は「行政が短期雇用や不安定な雇用を生み出すことになる。臨時職員などで支障なく業務を遂行できる」などと述べ、反対した。

 同課は「臨時職員や兼務職員だけでは難しく、専任の職員でなければできない業務もある。多様化する業務に即応できる組織体制や人材確保の観点からも有効」と説明する。

 行財政改革で職員削減が続く一方、行政ニーズは年々拡大している。そのため市は、職員の多様な雇用形態や能力向上などを進めており、今回の条例改正もその一環。さまざまな行政課題に柔軟に対応していく体制整備を進めている。(高柳 謙)


◎江差町議選あす告示、投票は29日
 【江差】任期満了に伴う江差町議選(定数12、29日投開票)が24日に告示される。22日までに現職8人、元職2人、新人4人の合計14人が出馬を予定している。投票日は参院選と同じ29日で即日開票される。

 告示日の24日は、午前8時半から町選管が立候補の受け付けを開始。各候補は29日の投票日に向けて5日間の舌戦の火ぶたを切る。今回の町議選では、現職16人のうち半数の8人が引退。議員定数も16から12に4減となったことで激しい選挙戦が予想される。

 町議選の期日前・不在者投票は25日から28日まで。期日前投票は町役場1階の町民ギャラリーで午前8時半―午後8時まで受け付ける。参院選の期日前投票は13日に始まっている。

  29日は町内9投票所で午前7時から午後8時まで投票を行う。開票開始は同9時半。投開票日が参院選と重なったため、開票は町保健センターから町文化会館大ホールに移して行う。開票状況の発表も同会館前で行う。

 町議選は午後11時半前後に大勢が判明する見通しで、開票結果の確定は町議選が30日午前零時半ごろ、参院選は前回選挙と同様の同1時前後になると見通しという。

 また、両選挙は住所要件が異なり、参院選の場合は4月11日まで、町議選は同23日までに町内に転入した人が対象となる。同12日―23日の間に転入した人は、町議選は投票できるが、参院選は前の住所地での投票となる。(松浦 純)


◎路面電車感謝祭にぎわう
 函館市交通局は22日、恒例の「路面電車感謝祭」を駒場車庫構内で開いた。大勢の親子連れで会場はにぎわった。超低床電車らっくる号をはじめ、除雪用のササラ電車など普段間近で見ることのできない車両の公開など、電車に親しむ半日となった。

 路面電車の利用促進を図る目的で2001年度から毎年好評を得ているイベント。会場では、職員が自転車をこいで、レールを走る「自電車」や、制服姿で写真を撮り免許証をつくるコーナーが人気を集めていた。

 今回、電車の台車部分と車体部分の切り離し作業を初公開。重さ約8トンという車体部分を4基の大型リフトで持ち上げると、電車ファンらは興味深そうにカメラを向けていた。

 また、廃車の運転台を利用した運転シミュレーターコーナーでは、子どもたちが、スクリーンに映し出される沿線の映像を見ながら真剣な表情を浮かべて楽しんでいた。

 電車が大好きという岡田拓登君(7)、橙弥君(2)兄弟は「らっくる号の運転席に座れて楽しかった」と笑顔。父親の市内鍛治の会社員、誠さん(32)は「家族で楽しめました。もっとこのような機会を増やしてほしいですね」と話していた。(今井正一)


◎高専、夏の公開講座が始まる
 函館工業高等専門学校(長谷川淳学校長)の2007年度公開講座夏季プログラムが21日からスタートした。8月19日まで約1カ月にわたり、コンピューター、科学、文化など多彩なテーマによる17講座が開かれる。

 函高専では毎年、小学生から一般まで幅広く対象とした公開講座を実施。本年度は4月から来年1月まで全27講座を予定。このうち夏休み期間にあたる7、8月は子どもたちの自由研究の参考になりそうな実験や実習を中心とした数多くの講座が集中している。

 22日は「大漢和辞典を読む」と「はじめてのガラス細工」の2講座が開かれた。

 「大漢和辞典を読む」には市民7人が参加。漢学の巨星、諸橋轍次(もろはしてつじ)博士(1883―1982年)が生涯をかけて編さんした「大漢和」の概要や引き方などを教員3人が紹介し、言葉の世界の歴史や奥深さを学んだ。

 大漢和は昭和初期に編さん着手。延べ25万人以上の労力と当時の資金で6億円をかけ、戦後に全12巻、索引や補巻など3巻を発行した。親字数は5万語、語彙(ごい)は53万語で、泊功准教授は「世界の頂点に立つ漢和辞典」と述べた。

 宮家の命名や元号などには、儒教文化を背景にした徳のある古典の意味があるため、諸橋博士をはじめ漢学者は、皇室とも深いつながりがあることを紹介。一画は「一」「乙」だが、最も多い画数は「龍」の字を4つ書く字で48画あることを、実際に高専所蔵の大漢和を引いて学んだ。

 鳴海雅哉准教授は、活用方法を紹介。大漢和には言葉の出典も明記しており、「盥漱」(かんそう=手を洗い、口をすすぐ)は、中国の「礼記」にあり、原典で意味を確かめることで発展した知識が得られるとした。

 松代周平教授は、森おう外の著作の一節を示し、「わけ」は「訳」「訣」のどちらが正しいか、などを問い、参加者は実際に引いて確かめ、知識を得ていた。

 「はじめてのガラス細工」には、小学生から一般まで、午前と午後の部にそれぞれ20人ずつが参加。物質工学科の小林淳哉教授の指導の下、参加者はガスバーナーを使ってロッドと呼ばれるガラスの棒を液体状になるまで溶かし、金属の棒の回りに巻きつけていった。ガラスが冷えて固まると、真ん中に穴の開いたトンボ玉が完成する。

 子どもたちの中には、最初は火を怖がる姿も見られたが、慣れてくると、ガラスを重ねて突起物を作ったり、ひねりを加えてみたりと、新しい工夫を取り入れながら、思い思いのデザインを仕上げていった。

 母親と参加した工藤真由さん(函館港小4年)は「思ったより難しかったけど、繰り返しているうちにだんだんうまくいくようになった。普段から理科の実験が好きなので今日はとてもたのしかった。夏休みの自由研究の参考にしたい」と話していた。(高柳 謙、小川俊之)