2007年7月26日(木)掲載

◎桧山/スルメイカ水揚げ 昨年には及ばず
 【江差】桧山支庁水産課のまとめによると、6月1日に解禁された桧山沿岸(八雲町熊石地区を含む)のスルメイカ漁は、6月末現在の水揚げ量が1383トン(前年同月比14%減)で前年をやや下回った。解禁直後は前年を上回るペースで漁獲が伸びたが、中旬以降は漁模様が安定せず、3年ぶりの豊漁だった昨年には及ばなかった。

 桧山沿岸全体での水揚げ額は3億4058万円(同12%減)。6月の月平均単価は1キロ当たり246円(前年同期比4・8%増)と前年をやや上回ったものの、原油高に伴う燃料費の高騰が漁業経営に深刻な影響を及ぼしており、単価と漁獲の推移が注目されている。

 漁獲量をひやま漁協(乙部町)の支所別に見ると、南部は江差114トン(同9%増)、上ノ国70トン(同39%減)、乙部122トン(同17%減)、奥尻203トン(同27%減)。北部は大成663トン(同9%増)、瀬棚135トン(同54%減)、熊石75トン(同28%減)。

 過去3年間の6月の漁獲量を比較すると、過去最低水準の不漁だった2004年は748トン、8月以降に漁獲が落ち込んだ05年は1507トン、3年ぶりの豊漁を記録した06年は1656トンだった。

 ことしは06年以降の回復基調は続いているものの、暖冬の影響で海水温が高い状態が続いているため、イカの魚群が深い海域に分布していたり、一定の深度にとどまらないことが原因で日によって漁獲量に大きなばらつきがあるという。こうした状況は7月以降も続いており、漁業関係者は「暖冬の影響で海の状況が変化しており、漁模様がどう推移するのか予測できない」との声も上がっている。(松浦 純)


◎函館市内の8高等教育機関/情報発信へ懇談会発足
 函館市内の8高等教育機関が連携し、総合大学の機能を持たせる「大学センター構想」を学生たちが推進していく懇談会が24日、発足した。8校の学生有志約20人で組織し、大学の魅力や連携、学生たちの交流などの情報発信に向けてフリーペーパーの発行を企画・検討している。

 市内に北大や教育大、函館高専、ロシア極東大函館校などの高等教育機関があることは知られていても、各大学の特色や連携事業などはあまり知られていない。このため、主役である学生たちが主体となり、大学のイベントやサークルなどの多種多様な情報を発信し、大学間の交流を深めていこうと市高等教育機関学生懇談会(愛称「はこがく」)を立ち上げた。

 メンバーは、各大学、短大、高専の学生たち。24日に市地域交流まちづくりセンターで開いた会合で、会長に北大水産学部4年、前多優樹さん、副会長に函館大4年、重山喜重さんを選出した。

 会合では、どのような形で情報発信をしていくかを協議し、まずはフリーペーパーの発行を目指すことを確認。発行目的や対象、印刷数、内容などの原案を、正副会長がまとめることを決めた。

 メンバーからは「文章だけでなく写真を豊富に使用し、各大学の魅力を伝える」「何でも投稿ができ、函館のおすすめスポットなどを掲載する」「各大学の特色や連携が十分伝わる内容を」などの意見が寄せられた。

 学生たちの活動について市高等教育機関連携推進協議会事務局(函館市企画部)は「それぞれの学生が一つの目標に向かっていく組織が立ち上がった。今後の各大学の交流や連携事業については積極的に支援していきたい」と期待している。

 学生のまとめ役になった重山副会長は「市内8高等教育機関の学生間の交流を深め、互いの大学をよく知り合う手助けとなりたい。活動を紹介することで、市内高校生の進路の参考になれば」と話している。(高柳 謙)


◎ナマコ育成2年目/初日の種苗試験は持ち越し
 函館市は25日、市内浜町の戸井ウニ種苗センターでナマコの種苗育成試験を開始した。2年目となる本年度は、初期段階の個体の減耗を防ぐ対策や、効率的な成長を促す餌の研究などを課題に事業を進める。この日は、23日に戸井や恵山地区の近海で採取した親ナマコ約240匹を10基の水槽に分け、採卵・採精を試みた。

 ナマコは、近年、中華料理の高級食材として、主に中国で需要が高い。市は、同センターの施設を利用して、栽培漁業試験研究事業として、ナマコの種苗育成技術確立を目指し、昨年度から実施している。

 本年度の試験事業では、初期段階に、稚ナマコを食べてしまう「シオダマリミジンコ」の対策が課題。親ナマコの確保段階から、100―1ミクロン単位で海水をフィルターでろ過し、水中の不純物を除去。合わせて、飼育用水槽や波板などにも、ナマコ以外の微生物などが付着しないようにする。

 また、北大大学院水産科学研究院に研究事業費を充て、ナマコの生態解明や放流に適した海域の調査など、基礎研究を委託。現在、北大では、昨年度の試験で誕生したナマコを利用して、初期、中間段階の育成に必要な餌の研究などが進められている。

 この日の試験は、ナマコの水温刺激によって卵や精子を放出する性質を利用して、採卵・採精を試みた。水槽の水温を16度から21度にまで上げ、暗室内で状態の変化を待ったが、雄1匹から精子の放出が確認できたのみ。そのほかの個体は反応しなかった。

 市水産課では「個体は成熟していた。6月に続いた好天や、今月の天候不順の影響があったのでは」と話し、新たな親ナマコを確保して、27日に試験を再開する方針。(今井正一)


◎中学生の力作 電車にずらり
 社会を明るくするためにT走る美術館Uが登場―。第57回社会を明るくする運動(主唱・法務省)の強調月間に合わせ、第34回道南地方中学生社明標語入りポスターコンクール(同運動道南地方実施委員会主催)の優秀作品を展示した市電の運行が25日、始まった。

 同コンクールは、犯罪や非行の防止、更生支援について多くの人に関心を持ってもらおうと毎年実施している。今回は初めて函館市交通局とタッグを組み、最優秀賞、優秀賞、奨励賞の計33点を展示した?ギャラリー電車?の運行が決まった。

 この特別電車は8月3日まで、湯の川―函館どつく前間を1日4往復運行。同委員会事務局によると、全国でも珍しい取り組みという。車窓からの景色に彩りを添える中学生の力作に、目を細める乗客の姿も。同運動もとうとう軌道に乗り始めた!?


◎函館市内の先名康幸さん、老人福祉施設で蓄音機コンサート続けて400回
 函館市西旭岡町在住の先名(さきな)康幸さん(78)が、近くの老人福祉施設、旭ヶ岡の家在宅ケアセンター「ベレル」(中村哲也施設長)を毎週訪れ、所有する蓄音機でレコードを演奏するコンサートを開いている。蓄音機から流れるレトロな音色は、利用するお年寄りから「懐かしい」と好評。24日には訪問が通算400回に達し、記念のレコード鑑賞会も開かれた。

 先名さんは30代から趣味でレコードと蓄音機の収集を始め、現在は昭和の歌謡曲だけで約600枚を所有している。「近くで暮らす入居利用者にも楽しんでもらおう」と、1998年2月から、週1回同施設を訪問。持ち込んだ蓄音機で毎回1時間・10数曲ほど流している。

 曲調や時代に応じたオリジナルの曲順リストを100種類用意。前奏時には当時の様子などを交えて曲紹介し、2台の蓄音機を駆使して次々と曲を流す。曲の間はお年寄りの席を自由に動き回り、一緒に手拍子やハミングを楽しむ姿は「司会者」「DJ」だ。

 ケアハウス利用者の酒谷皎一さん(80)も、毎週欠かさず鑑賞会を楽しむ1人。航空隊の特攻隊員の訓練中、18歳で終戦を迎えた。「当時、流行歌の本を持っていたことを思い出す。懐かしい」と、感激しながら蓄音機からの音色に耳を傾ける。

 記念の鑑賞会では「憧れのハワイ航路」「有楽町で逢いましょう」などを披露した。先名さんは「手拍子をしたり、口ずさんだり、喜んでもらえるのがうれしい」と笑顔。「次の目標は500回。できる限り続けたい」と元気に語っている。(原山知寿子)