2007年7月27日(金)掲載

◎遺愛学院「旧宣教師館」 あすまで一般公開
 国の重要文化財に指定されている遺愛学院の「旧宣教師館」(函館市杉並町23)の一般公開が26日に始まった。市民や同校生徒らが続々と来館。洋風と和風が入り交じった建物の内部を隅々まで見て回り、宣教師の生活に思いをはせた。28日まで。

 同館は1908(明治41)年、同じく重文に指定された本館とともに建てられた木造住居。主に宣教師や料理人、庭師などが住んだ。常時5人程度いた宣教師の住居は、出身地の米国東部の様式。磨かれたように光る床や古風な照明、レースのカーテンが揺れる出窓などが、時の流れを忘れさせる。

 毎年内部を公開するのはこの3日間だけ。初めて訪れた同市亀田本町の熊谷悌三さん(71)は、宣教師が残した家具に興味津々。「建物も丈夫に造られている」と細部まで丹念に見ていた。

 入場無料。時間は午前10時から午後2時まで。28日午後1時からは新体育館の機能説明会、同2時からはハンドベルクワイアーの演奏会が行われる。(小泉まや)


◎1人当たりの消費額伸びる…市など観光アンケートまとめ
 函館市と函館国際観光コンベンション協会は、2006年度の観光アンケートの結果をまとめた。滞在中の1人当たりの消費額について、宿泊客が3万7982円(前年度3万324円)、日帰り客が1万3900円(同9701円)で、平均額は、3万6435円(同2万9351円)と、いずれも前年度の結果を大きく上回った。市商工観光部は「道外客の大多数が関東、中部、近畿から訪れており、景気回復の影響があるのでは」と推測している。

 アンケートは06年4月から07年3月まで、元町周辺やウオーターフロントなど、市内主要観光ポイントで面接方式で行い、1900人から回答を得た。年齢構成別に見ると、60歳以上が37・1%、50歳代が20・3%、20歳代が18・2%と続く。居住地別では、道内客は17・7%で、道外客では、関東36・5%、東北16・3%、中部・北陸15・3%だった。

 旅行費用の内訳別では、宿泊客は宿泊費が1万3465円(構成比35・5%)、土産費が1万990円(同28・9%)、飲食費が8652円(同22・8%)。日帰り客は、土産費7160円(同51・5%)、飲食費4390円(同31・6%)だった。

 1人当たりの消費額の過去5年間の平均値と、06年度の来函観光入り込み客数推計値約486万5000人から計算した推計上の観光消費額は1142億円。04年度策定の観光基本計画で用いた生産波及効果倍率1・41倍を掛け合わせると、函館観光の経済波及効果は、1610億円規模となった。

 函館を選んだ理由の上位は、夜景、グルメ、歴史的建造物で、人気スポットも、函館山、元町周辺、ウオーターフロントが上位を占めた。また函館観光の特色である、リピーター率は全体では52・6%、道外客でも45・3%を占めた。特に道内客では86・9%となり、3回以上訪れた人は71・7%に上る。併せて、宿泊率も高く、1泊が73・0%、2泊が19・9%で、日帰り客は3・1%だった。

 旅行形態では、道内客は、函館だけが67・3%、道外客では函館以外にも足を運ぶ、道内周遊が64・8%だった。行き先は道央(札幌、小樽など)83・2%、道南(室蘭など)51・8%、函館近郊(大沼、江差など)33・5%の順。また、交通手段別では、道内客は自家用車、道外客は航空機の利用が多かった。(今井正一)


◎楽しく「お金」学ぶ…日銀・夏休み親子見学会
 小学5、6年生とその保護者を対象にした「夏休み親子見学会」が26日、日本銀行函館支店(函館市東雲町14、服部誠弘支店長)で開かれた。参加者は、貨幣に関する展示コーナーの見学や、さいころを使ったゲームなどを通して、お金の役割や有効な使い方について知識を深めた。

 日銀の業務内容やお金について知ってもらおうと、昨冬に続いて2回目の開催。午前と午後に行われ、応募のあった70組から選ばれた40組の親子らが参加した。

 金融システムやお札の発行などを解説するビデオを鑑賞した後、同店内に設けられている広報ルームに移動。1億円分の札束(約10キロ)や硬貨(約14―15キロ)に模したものを持ち上げたり、1万円札1万枚分の裁断くずで作った「1億円のイス」の座り心地を確かめた。

 また、「親子でお金を考えよう!!」と題したゲームはで、自宅を出発してイベントや食事を楽しんで、帰宅するまでのスケジュールを組み立て、支出する金額を予想した。さいころの出た目によって予期せぬ出来事が起こり、出費額が増減することもあり、参加者は結果に一喜一憂していた。

 この日の試験は、ナマコの水温刺激によって卵や精子を放出する性質を利用して、採卵・採精を試みた。水槽の水温を16度から21度にまで上げ、暗室内で状態の変化を待ったが、雄1匹から精子の放出が確認できたのみ。そのほかの個体は反応しなかった。

 須貝優璃亜さん(附属小6年)は「使えなくなったお札がリサイクルされているとは知らなかったので、とても勉強になった」と感心した様子だった。(浜田孝輔)


◎受動喫煙防ぎます…市立函館保健所が「おいしい空気の施設」登録呼び掛け
 市立函館保健所は建物や敷地で禁煙・分煙を実施している「おいしい空気の施設」の登録制度を立ち上げ、不特定多数が利用する施設や店舗などに登録を呼び掛けている。喫煙率の低下や受動喫煙防止を図るのが狙いで、登録施設に禁煙・分煙を明示するステッカーを交付する。同保健所は「ステッカーを目にする機会が増えると意識啓発になり、その施設のPRにもなる」と話している。

 同制度は道が道立保健所管内で4月1日から実施したのを受け、市立函館保健所が6月1日にスタート。禁煙または分煙の実施をアピールする函館市独自のステッカー(A5判)を各200枚製作した。

 飲食店だけの登録だった従来の制度「空気もおいしい店」を発展解消させ、対象施設を公共施設や病院、百貨店、宿泊施設、娯楽施設などに拡大。現在登録している飲食店46件(7月1日現在)は新制度に移行する。

 登録にはいくつかの条件があり、従来制度よりも基準が厳しくなった。禁煙施設は建物や敷地が常時禁煙で、建物に煙が入らないよう出入り口付近に喫煙所を設けてはいけない。通行者らの受動喫煙防止にも配慮する必要がある。

 分煙施設は@非喫煙場所にたばこの煙やにおいが漏れないA喫煙場所のたばこの煙を屋外に排気する―などが条件だ。同保健所は「たばこの先から出る煙(副流煙)は直接吸い込む煙より体への害が大きいので、受動喫煙防止に理解を深めてほしい」と強調する。

 手続きは所定の用紙に禁煙・分煙の状況を記載して提出し、同保健所が現地確認する。登録すると同保健所のホームページ(HP)で施設名が掲載され、希望があればその施設のHPとリンクさせる。

 登録申し込み・問い合わせは同保健所健康増進課TEL0138・32・1515。(宮木佳奈美)


◎船内でイベント満喫…桧山南部・ふれあい船の旅
 【江差】江差―奥尻を結ぶ東日本海フェリーの「アブローラおくしり」(2270トン)を貸し切り、巡視船の訓練やスルメイカ漁の見学など、多彩な船内イベントを楽しむ「檜山南部ふれあい船の旅」(実行委主催)が25日夜、行われた。

 江差町など檜山南部を中心に道南各地から応募があった約480人が乗船。高齢者や身体などに障害のある人たちも実行委の呼び掛けで参加した。檜山支庁、町役場、町内の社会福祉法人など大勢のボランティアのサポートを受けながら、3時間に及ぶ船旅を楽しんだ。

 午後6時半にフェリーが岸壁を離れると、沖合では江差海上保安署の協力で巡視船「かむい」(195トン)と函館航空基地所属のヘリコプターによる救難訓練を披露。ヘリから救難隊員が巡視船に降下したり、30ノットを超える巡視船の高速航行など、迫力満点の訓練に、手に汗を握りながら甲板で見守る乗客からは盛んな拍手と声援が送られた。

 日没後の甲板では最盛期を迎えたイカ漁を見学。大勢の子どもたちが集魚灯のまぶしい光で海面を照らす漁船に見入っていた。また、フェリー乗組員によるイカ釣りの実演も行われ、釣り上げたイカをプレゼントする一幕もあり乗客を喜ばせた。

 船内では操舵(そうだ)室の公開や江差謡道会(杉山由夫会主)の民謡ショーも催され、参加者を歌や踊りで楽しませた。町内の主婦(67)は「巡視船の訓練やイカ釣りなど楽しいイベントばかりで感動した。実行委や乗組員の皆さんに感謝しています」と笑顔で話した。

 年齢や障害を越えて住民の連帯感を深めてもらおうと企画された「船の旅」は、休止期を挟んで通算12回目。2004年からは4年連続の開催となる。本年度から道の財政支援が終り実行委単独での運営となったが、田畑栄市実行委員長は「東日本海フェリーをはじめ多くの後援団体やボランティアの支援で過去最高の乗客だった。来年以降も継続開催に向けて努力していきたい」と話していた。(松浦 純)


◎復旧支援 柏崎市へ…函館開建、職員5人派遣
 16日に発生した新潟県中越沖地震を受け、道開発局は復旧支援に向け現地に職員を派遣することを決め、第1陣として函館開発建設部職員5人が、30日から新潟県柏崎市入りする。現地では国道などの被災状況の調査や、同市が復旧費用などを要求するため国に行う災害復旧費申請の作成支援などに当たる。

 国土交通省北陸地方整備局(新潟市)からの要請に応じた。派遣されるのは、災害査定の経験者を含め、函館開建の道路課、総務課から1人ずつと函館道路事務所の3人。派遣期間は30日から8月4日まで。道内ではこのほか、5日から室蘭開建から5人の派遣が決まっている。

 26日には函館開建で出発式が行われ、大寺伸幸部長が「作業中の安全、健康に注意し、道開発局の代表として任務を果たし、現地での期待に応えて」と激励。派遣班班長の後藤辰男函館道路事務所第1工事課長が「一刻も早い復旧に向け精励努力する」と決意表明した。

 一行は29日にワゴン車1台で出発、フェリーで青森まで行き、陸路で現地入りする。また、函館開建は26日、新潟県中越沖地震函館開発建設部応援対策本部(本部長・大寺部長)を設置。現地職員との連絡調整に当たる。(原山知寿子)


◎北大水産科学研究院・海洋生物資源科学部門寄付講座開講記念し講演・シンポ
 北大大学院水産科学研究院の海洋生物資源科学部門に6月、寄付講座「水産総合基盤システム科学分野」が開講されたことを記念する講演会とシンポジウムが25日、函館市内の同研究院で開かれた。教授陣が同講座の意義や目的について意見を述べ、今後の方向性を示した。

 建設業など道内の25社が出資し、5年間で約8000万円かけて運営される。この日は、出資企業をはじめ近隣自治体、企業、NPO法人(民間非営利活動法人)、研究機関などから約200人が出席した。

 パネルディスカッションには、北大副理事で北大大学院水産科学研究院特任教授の山内晧平氏、同分野客員教授の渡辺好明氏と中泉昌光氏、特任准教授の古屋温美氏の4人が出席し、「水産公共施策をシステム科学にする」をテーマにそれぞれの考えを語った。

山内氏は「水産学は食事を中心として生活に深くかかわるため、新しい方向性を作ることに期待する」と述べ、中泉氏と渡辺氏は「地域が主体となりこれを国が後押しする」ような公共政策を提案。古屋氏は「東京海洋大をはじめ、大学間連携を進める」と今後の方向性を示した。(小泉まや)