2007年7月3日(火)掲載

◎ジャガイモの花咲く
 道南一帯でジャガイモの花が満開の季節を迎えた。イモの種類により花の色は白や黄などさまざま。道南四季の杜公園に通じる道路端に広がる函館市亀田中野町の畑では、春に植えたメークインが紫色の花を咲かせた。

 この畑の広さは約700平方メートルで、同市赤川町の農業、永田秀一さん(47)が育てている。永田さんによると花は6月下旬から咲き始め、今後1週間ほどは楽しめるという。 この広さからは約3・5―4・0キロの収穫が見込める。しかし頭を悩ませるのは6月中旬からの少雨と高温。永田さんは「雨不足だとイモの粒が小さくなってしまう」と心配し、恵みの雨を待っている。 (小泉まや)


◎縄文文化交流センター基本計画、2010年度の開所目指す
 函館市教委は、南茅部地域にある縄文遺跡群の中核施設として建設を予定している「市縄文文化交流センター」の建設基本計画を策定した。国宝に指定された「中空土偶」をはじめ、発掘された土器、石器など縄文時代にかかわる遺品、資料を展示。年間ベース約7万7000人の来場を見込んでいる。来年度に基本設計と実施設計を終え、2009年度の着工、10年度の供用開始を目指す。

 同センターは、垣ノ島遺跡に隣接する臼尻町551に建設を予定。南茅部地域には、国史跡・大船遺跡や垣ノ島遺跡があるほか、著保内野(ちょぼないの)遺跡からは、道内初の国宝「中空土偶」が出土。遺跡群から数々の貴重な文化遺産が発掘され、同センターはこうした縄文文化の調査研究、情報発信の拠点として期待されている。

 南茅部縄文遺跡群の整備指針となる「函館市南茅部縄文遺跡群整備構想」を昨年3月に策定したことを受け、基本計画をまとめた。

 計画では、広さ約850平方メートルの平屋の施設を建てることを想定。8000平方メートルほどのスペースを広場とし、体験学習や展望・休憩などができるようにする。建物のデザインは周辺環境との調和を図り、垣ノ島遺跡と一体化させる考え。高齢者や障害者に配慮してバリアフリー構造とする。

 室内は、縄文文化に関する展示のほか、研修や講座、体験学習を行う体験学習室を設ける。展示方法としては、総合案内・解説スペース、見るスペースのほか、来場者が直接、資料などに触れるスペース、土器やシカ角の釣り針を作るなど縄文人の生活を体験してもらうスペースを設ける。

 博物館法の規定に基づき、国宝・重要文化財などの資料を借りることができる登録博物館としての認定を受けたい考えで、垣ノ島遺跡のガイダンス施設としての機能も備えた管理運営をしていく方針。

 また、年間利用者数は、大船遺跡埋蔵文化財展示館や近隣のしかべ間歇泉公園などの来場者数を参考に、年間ベースとして7万7000人と推計している。

 管理・運営はNPO法人(特定非営利活動法人)や地元の漁業協同組合、商工業者との連携を視野に入れながら指定管理者制度の導入を検討する。 (鈴木 潤)


◎日銀6月企業短期、電子部品や造船好調
 日本銀行函館支店は2日、渡島・檜山管内の6月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。企業の景況感を示す業況判断DI(「良い」の割合から「悪い」の割合を引いた指数)は、全産業でマイナス9と、前期(3月)から1ポイント改善した。先行きDIは、マイナス7となる見通し。

 産業別で見ると、製造業は0で、前期比8ポイントの上昇。食料品が同7ポイント減のマイナス36だったものの、機械が電子部品や造船業の好調さを背景に、同30ポイント増の30だった。

 製造業は、マイナス13と同3ポイントの下降。建設が同5ポイント増のマイナス11、卸売が同11増のマイナス17に回復する一方で、小売が同16減のマイナス8となったほか、運輸が石油価格の高騰から、同21ポイント減のマイナス10、飲食・宿泊が観光客入り込み数の減少から、同11ポイント減のマイナス33に落ち込んだ。

 次期(9月)の予測は、製造業が3、非製造業がマイナス11と、ともに改善する見込み。製造業の機械が当期比10ポイント減の20となるが、食料品が同22ポイント増のマイナス14に上昇。

 また、非製造業では、運輸が同10減のマイナス2ポイント、建設が同4減のマイナス15と悪化し、飲食・宿泊が同22ポイント増のマイナス11、卸売が同6増のマイナス11に回復するとみている。

 調査は5月28日から6月29日まで実施した。対象企業は113社で、内訳は製造業が34社、非製造業が79社。 (浜田孝輔)


◎大韓航空6月の函館―ソウル間、搭乗率72・9%で過去最高
 大韓航空が函館―ソウル間で運航する定期便の6月の平均搭乗率が、前月比19・7大韓航空6月の函館―ソウル間、搭乗率72・9%で過去最高増の72・9%と、昨年6月の就航以来、過去最高を記録した。同社が掲げる目標の70%を初めて達成したが、函館発の日本人利用客数は低迷。函館市も国際線利用に関するパンフレットを作製し、同社とのタイアップに力を注いでおり、地元住民への周知に努めている。

 同社函館支店(大森洋治支店長)がまとめた搭乗実績によると、搭乗者数は同17・5%増の3273人。出発地別でみると、ソウル発は同24・8%増の1603人と過去最多で、搭乗率は同22・4大韓航空6月の函館―ソウル間、搭乗率72・9%で過去最高増の71・4%と、昨年6月の73・5%に次ぐ高水準だった。

 一方、函館発は同11・2%増の1670人、搭乗率は同17・0大韓航空6月の函館―ソウル間、搭乗率72・9%で過去最高増の74・4%と、ともに過去最高。搭乗者の内訳(3歳未満を含む)では、外国人が同17・1%増の1540人に対し、日本人は同26・6%減の138人と、就航以来最も少なかった。

 大森支店長は「早期安定化を目指して、ソウルでの販促活動や旅行会社の商品造成が、インバウンド(入国)に関しては奏功した」と説明。日本人利用者が伸び悩んでいる点については「1年を通して、時期的に厳しい月ではあるが、地道に周知活動をやっていくしか手だてがないのでは」と話す。

 市は、同区間の就航1周年に合わせ、A5判、フルカラー16?のパンフレット1万5000部を発行。ソウルだけでなく、ロシア・ユジノサハリンスクの観光情報をはじめ、パスポートの申請方法やCIQ(税関、出入国管理、検疫業務を担当する事務所)の仕組みなどを紹介している。

 市役所や町役場、渡島、檜山両支庁のパスポート申請窓口、公共施設などで無料配布。市空港課は「函館空港の国内線は利用したことがあっても、国際線の利用はおろか、存在を知らない市民も多いはず」と、効果に期待を寄せている。

 パンフレットに関する問い合わせは同課TEL0138・21・3439。 (浜田孝輔)


◎企画 20年目の歴史絵巻き 函館野外劇の歩み(4)
 歴史絵巻を演じる市民創作「函館野外劇」はこれまで、「地域」「ふるさと」に関する数多くの賞を受賞してきた。いまや函館の文化として定着し、教育の場でも活用されている。NPO法人(特定非営利活動法人)市民創作「函館野外劇」の会(フィリップ・グロード理事長)の輪島幸雄理事長代行は「故郷に愛着を持つには、まちの歴史を知る必要がある」と話し、児童、生徒の参加や観劇を大歓迎する。

 市立函館高校は本年度、学校独自に設定できる必修科目として郷土の歴史、文化を学ぶ「函館学」を導入し、この一環で野外劇を観劇する。同校は「芸術的にも歴史・文化的にも函館のルーツを知る格好の教材」と注目。6日に1年生323人が訪れる。

 函館五稜中学校では、3年生が総合学習の授業で毎年出演している。地域の一員としての自覚を持ち、社会性を身に付ける機会として野外劇に着目。また、多くの専門学校生や大学生がボランティアで出演している。

 昨年の第19回公演では、仙台白百合学園中等部が研修旅行の中で観劇した。東北地方からの研修旅行は初めてで、終演後はペリー提督などキャストと記念撮影を楽しんだ。ことしも約110人が訪れる予定。同校生徒に好評だったことを知った盛岡白百合学園も、毎年5月に行っていた研修旅行を野外劇開催の7月に変更して観劇することにしたという。

 一方、函館市内の小中学校では、学校単位での観劇・出演はまだ少ない。参加していないある小学校関係者は「夜間公演のため、歩いて行けない学校は、事前に引率計画を立てる必要がある。教育的な効果は期待できるが、クリアしなくてはいけない問題が多い」という。

 子どもたちが野外劇に触れる目的は何か。市教委の「ふるさと学習の手引き」では、地域に愛着や誇りを持つ場として野外劇を紹介。輪島理事長代行は「歴史絵巻を見ることで、市民が函館に誇りを持ち、開港当時から北洋漁業などで繁栄した函館の元気な姿をよみがえらせるため、心を一つにしてもらうこと」と言い切る。

 そのため、次世代の函館を担う児童、学生にとって、野外劇に触れることは絶好の機会と説く。「野外劇が教育に必要とされているなら、教育現場から発信してPTAの協力を仰ぎ、積極的に参加してもらえれば」と要望する。

 地域文化振興、観光資源として成長した函館野外劇。函館再生への手掛かりの一つとして、教育界に輪が広がり、若い世代の参加が増えれば、その魅力はさらに増すはずだ。