2007年7月31日(火)掲載

◎港まつり山車引渡し/「中空土偶号」パレード彩る
 8月1日開幕の「開港148周年記念函館港まつり」(実行委主催)に登場する2台の山車が完成し30日午前、陸上自衛隊函館駐屯地(函館市広野町)敷地内で引渡し式が行われた。山車は祭り期間中、ワッショイはこだてなどのパレードを華やかに盛り上げる。

 実行委(沼崎弥太郎委員長)は1974年から毎年、同駐屯地第28普通科連隊(四月朔日徹連隊長)に山車の製作を依頼。ことしは隊員15人が6月28日から約1カ月間、毎日8時間近くをかけて製作してきた。

 完成した山車は「中空土偶国宝指定記念号」と「函館〜ソウル就航一周年記念号」の2台。このうち「中空土偶号」は全長10・2メートル、幅3・2メートル、高さ4・1メートルで、両側面と背面の3カ所に立体的な中空土偶を設置。さらに竪穴式住居をイメージした建物も備えられ、函館の新たな観光資源を多くの人にアピールしていく。

 実行委を代表して山車を受け取った木村孝男函館国際観光コンベンション協会副会長は「予想以上の素晴らしい出来に驚いている。自衛隊のみなさんには毎年協力していただき感謝の気持ちでいっぱい」と話していた。(小川俊之)


◎参院選・民主大勝/「衆院解散」早まる?
 民主大勝、自民惨敗で終わった29日投開票の第21回参院選。参院は与野党が逆転し、函館や道南の各政党関係者も今後の政権運営を注目している。地滑り的な勝利を収めた民主は「民意」の後押しを受け、衆院の早期解散を求めてくるのは必至で、自民も態勢固めに余念がない。

 「今回の選挙結果で、現在の政権構造は民意を反映したものではないとの声が高まり、野党は衆院解散を求めてくる。自民、公明はできるだけ先延ばしにしたいだろうが、結果として解散総選挙は早まるのではないか」―。地元の政界関係者からはこうした声が聞かれる。

 改選121議席中、60議席を獲得した民主は、道選挙区(改選数2)でも現職の小川勝也氏が100万票の大台に乗せてトップ当選を果たした。党道8区総支部の板倉一幸幹事長は「政権を直接選ぶ選挙ではないが、今回の選挙で有権者は自民党にノーを突きつけた。解散は早まると思うし、8区も十分、態勢を整えていきたい」と語る。

 猛烈な逆風の中、自民は現職、伊達忠一氏の議席を死守した。次期衆院道8区候補となる中村勉8区支部長は「これだけ敗れると野党から早期解散の声が高まり、解散が早まる可能性が高い。準備を加速して、8区の幹部とともに気を引き締めていきたい」と臨戦態勢に入る。

 函館・道南の公明党や共産党幹部も、今回の結果から衆院解散は早まるのではないかとみる。

 2005年の「9・11選挙」で当選した衆院議員の任期は、まだ2年少しある。解散の時期については「年内はないだろうが、早ければ来年の春ごろではないか」「続投する見通しの安倍首相が、来年7月の北海道洞爺湖サミットの前に解散するとは思えない。サミットを成功させて求心力を高めてからではないか」などの観測がある。(高柳 謙)


◎道選挙区/小川氏が順当に票重ねる
 民主小川氏、自民伊達氏の勝利で終わった道選挙区は、道南でも両氏が順当に得票を重ねた。渡島・桧山全体の得票は小川氏が伊達氏より約1万9000票多いが、桧山管内では伊達氏が小川氏に約200票の差を付けてトップだった。

 渡島では小川氏が7万6321票、伊達氏が5万7101票。桧山では小川氏9358票に対し、伊達氏が9572票と気を吐いた。逆風の中、伊達氏は松前、福島、知内、鹿部、厚沢部、乙部、奥尻、せたなの8町で小川氏をリード。党道8区支部の中村支部長は「8区に与党代議士がいないことから、批判しつつも景気回復や雇用対策に強い自民党を冷静に選んでもらった」と分析する。

 小川氏の道南の得票は約8万6000票で、4月の知事選で民主党候補が取った票よりも約7000票多い。党道8区総支部の板倉幹事長は「民主党支持者の票を固めたが、若干は推薦候補の多原香里氏に流れた。追い風が強かったことを考えると、もう少し票を伸ばしてもよかった」と反省点を語る。

 台風の目となった無所属新人、多原氏の得票は、渡島3万8966票、桧山3846票で、合計4万2812票。小川氏の半分で、伊達氏より約2万4000票少なかった。(高柳 謙)


◎参院選比例代表/民主、前回上回る得票
 11日投開票の第21回参院選の比例代表で、道南の主な党の得票数が確定した。全国レベルで躍進した民主党は前回を上回る得票となり、大敗を喫した自民党は一部の町を除いて票が伸び悩んだ。また、比例代表の主な北海道関係候補は、自民現職の橋本聖子氏、共産現職の紙智子氏、公明党の北海道重点候補の渡辺孝男氏が当選したが、社民党新人の山口たか氏は涙をのんだ。

 民主は、大票田の函館で前回より4311票多い5万7064票を数え、自民の3万2264票を2万4800票引き離した。七飯町6253票、八雲町4156票などに達し、9町合計が2万1195票で自民に4900票余りの差をつけ、郡部の保守票を切り崩した。

 自民は逆風の中でも善戦。函館が前回より4385票増え、渡島・桧山全体では渡島管内11市町のうち松前、福島、知内、鹿部の4町で民主を上回った。桧山管内7町合計では9675票で、民主を242票上回った。

 公明も票が伸び悩んだ。函館で1万6703票で前回より1737票落とした。渡島管内合計では2万5599票で前回より5438票下回り、桧山管内全体も前回の4058票より1256票減った。

 民主以外の野党は苦戦した。共産は、函館の1万1790票が前回より992票増、管内全体の1万6271票が同89票増とほぼ横ばい。社民は渡島全体で6807票で、前回より2512票減らした。


◎参院選/民主に託した有権者、自民には厳しい声
 「自民党への天罰」「もっと早くこういう結果になってほしかった」「格差のない政治運営を」―。与党自民党の歴史的大敗となった参院選。道南の有権者からは、自民党への厳しい声と、第1党になった民主党へのエールが聞かれた。また、相変わらず低い函館の投票率に怒りをあらわにするする人も。選挙から一夜明けた30日、有権者の声を拾った。(参院選取材班)


 「自民党にはついに有権者の厳しい審判が下った」とは同市本通の男性会社員(48)。「自民党は、年金記録に対する不十分な対応などこれまでの行いを反省し、姿勢を見直すべきだ」。一方で、参院第1党となった民主党には「批判ばかりではなく、必要な政策を真剣に考えてほしい」と注文を付ける。

 同市入舟町でイカ釣り漁船の手入れをしていた男性(66)は「地方の水産業、農業の人が頑張る姿や、問題点に関心を寄せず、都会ばかり大きくし、格差を生む政治をしてきた自民党への天罰が下った。北海道から選ばれた議員は、新幹線や道路整備も大切だが農水産事業に力を入れ、道民生活を安定させてほしい」と厳しい。

 同市松風町の自営業の男性(55)は「選挙前から閣僚の失言や年金、格差など問題が山積みで、結果は予想通り。長引く景気低迷で、函館の鮮魚や青果の小売店が年間7、8軒なくなる厳しい状況。理想論ではなく、この現実に耳を傾けてほしかった。政権を変えた上で、一般市民が暮らしやすいような政治に向け、一から出直してもらいたい」と話す。

 同市上野町の男子学生(20)も、自民大敗は当然と話し、民主党に望みを託す。「年金や消費税問題など、解決させるために政策を立て、格差のない、良い世の中にしてほしい。当選した人は、自分の掲げた政策を実行して、よりよい環境を整え北海道のために尽くしてほしい」と期待。

 主婦からは、生活の安定を望む声が続いた。同市日吉町の主婦(30)は「地方軽視の自民党のやり方には納得できず、いつも別の政党に投票してきた。今回の結果は同じように感じている人が多いことの表れでは。これからはあらゆる面での格差をなくし、子育て支援を手厚くし、みんなが安心して生活できる環境づくりをしてほしい」。

 同市本通の主婦(66)は「参院選後、消費税が上がるような話も聞いていたが、自民党が大敗したので増税がなくなればいいと思う。今までも増税の際は説明不足で、お年寄りからお金を取るようなことばかり。今後は高齢者にとって住みやすい世の中にしてほしい」。厳しい経済状況下から第1党となった民主党への願いは切実だ。

 高齢者からは、国会運営に不安の声も出た。同市富岡の無職の女性(69)は「ここまで自民党が負けるとは予想していなかった。国民の下した審判だが、政局が混乱して年金問題などへの対策が遅れないか心配。与野党関係なく、国民のための政治を行ってほしい」。

 北斗市の無職の男性(72)は「安倍政権は明らかに不信任の結果が出たのに、総理をやめないし、解散もしないとはおかしい。このまま衆議院と参議院のねじれ現象が続くと、国会運営にも支障をきたすので、はっきり敗北を認めてほしい」と語る。

 安倍政権だけではなく小泉前首相への批判も相次いだ。江差町の男性公務員(52)は「小泉前首相の時からの、国民や地方を置き去りにした早急で強引な改革への不満がついに爆発した」とみる。「交付税削減など地方切り捨ての政治は、小さな自治体にとっては本当につらい。道内では支庁に権限が移されるような仕組み作りを望む」と願う。

 森町の男性会社役員(54)は「小泉前首相の時にこのような結果になるべきだった。自民党は目を覚ますのが遅かったのでは」と指摘。また、今回の国政選挙でも同町や函館の投票率が低いことに驚いたという。「政治に期待しないのか、自分たちの地域、道、国について興味ないのか。いずれにせよ恥ずべきことだ」と憤った。


◎上ノ国町役場職員/Tシャツ着てエゾ地の火まつりPR
 【上ノ国】4年ぶりに野外ライブコンサートが復活した「上ノ国エゾ地の火まつり」(8月11日)をPRしようと上ノ国町役場では、職員がオリジナルTシャツを着用して勤務に当たっている。町役場は地球温暖化防止に向けた夏のクールビズの期間中。イベントと環境問題をPRする“一石二鳥”を狙った取り組みは町民にも好評だ。

 オリジナルTシャツは火まつり実行委が制作・販売。白・黒・オレンジの3色があり、火まつりのロゴとたいまつを掲げた人の姿をデザインした。

 町役場では管理職、一般職、臨時職員までの50人以上がTシャツを購入。クールビズ期間に合わせて着用している。町産業課は「Tシャツ着用を通じて火まつりのアピールと職員の一体感を高めることができれば。環境問題を考える良い機会にもなります」と話している。

 また、町内では、火まつりに協賛する企業やパチンコ店でも、従業員がTシャツを着用して勤務するなど、町全体で「火まつり」を町内外にアピールする動きも広がっているという。

 火まつりは8月11日午後6時開演。夷王山特設ステージで行われる。2003年から休止していた野外ライブが若手を中心とする実行委メンバーの熱意で4年ぶりに復活。シンガー・ソングライターのスガシカオとBONNIE PINK(ボニー・ピンク)の2人が出演する。火まつりを象徴する巨大な「天」の火文字も復活する。

 チケットは前売り5250円。全席自由席で番号順の入場となる。ローソンチケット、チケットぴあ、イープラス、実行委事務局の上ノ国町商工会で販売中。問い合わせは同商工会TEL0139・55・2121へ。(松浦 純)