2007年7月6日(金)掲載

◎江差の移住体験、フラダンスと追分踊りで交流
 【江差】江差町は団塊世代をターゲットに長期滞在型観光や定年後の移住の可能性を探る「江差町おためし暮らし」を昨年12月にスタートした。今夏も道外を中心に5組15人が来町を予定。3日からは福岡県から訪れた60―70歳代の8人が滞在。9日までの日程で江差追分の体験や「かもめ島まつり」への参加を予定している。

 滞在しているのは同県久留米市で活動している「健康フラダンス・孔雀の会」のメンバーら男女8人。2組に分かれて町民から寄贈を受けた家具類を備えた住宅で生活している。

 「フラダンスを通じて江差の皆さんと交流を深めたい」というメンバーの希望で、4日夕には江差追分会館(中歌町)のステージで町民との交流会が開かれた。

 江差追分を愛好する住民や子どもたちが見守る舞台では、色鮮やかな衣装を着たメンバーがフラダンスを披露。地元からは、同館職員で江差追分全国大会で上位入賞を続ける井上さつきさんの歌に合わせて「江差追分踊り」の優雅な踊りで応えた。また、参加者全員でフラダンスを体験するなどして交流を深めた。

 同会の尾花幸子さん(70)は「江差を訪れるのは初めて。江差追分や踊りはとても魅力的。九州は梅雨でジメジメしていますが江差はすっきりした青空が心地よいですね」と笑顔で話した。夜には北海道と九州の郷土料理を持ち寄った夕食会も開かれ、互いに舌鼓を打ちながら会話に花を咲かせた。

 8人は7日開幕の「かもめ島まつり」で、新地町の繁華街からかもめ島までの道中を練り歩く「江差音頭千人パレード」にも参加する予定で、南が丘自治会(大塚勲会長)の協力で踊りの練習を重ねているという。(松浦 純)


◎参院選公示まで1週間
 12日公示、29日投票の参院選まで1週間を切った。道選挙区(改選数2)は7人が立候補を予定する乱立模様。現職陣営などは組織票固めに力を入れ、新人陣営は無党派層の取り込みに懸命だ。国会の会期延長に伴って選挙日程がずれ込んだほか、年金記録漏れ問題や閣僚の相次ぐ交代など、国政の混乱ぶりが投票行動にどう影響を与えるか注目される。(参院選取材班)

 道選挙区に立候補を予定しているのは、現職が自民党の伊達忠一氏(68)=当選1回=、民主党の小川勝也氏(43)=同2回=の2人。新人は、共産党の畠山和也氏(35)=党道政策委員長=、社民党の浅野隆雄氏(50)=党道幹事長=、無所属の多原香里氏(34)=新党大地副代表=、同じく無所属の羽柴秀吉氏(57)=会社役員=、諸派の千代信人氏(43)=維新政党・新風道代表。

 現職2人は、全道を網羅した政党支部や支援団体をバックに活動を展開。

 伊達氏は、年金記録問題や前農水相の自殺に加え、防衛相の辞任も逆風になりそうだ。「非常に厳しい戦いだが、決してあきらめない」と中村勉党道8区選対本部長。9日に自民党前幹事長の武部勤氏とともに函館入りし、市内のホテルで総決起集会を開く。公明党道本部が推薦を決定し、地元の函館総支部も支援に回る。

 小川氏は早々に函館で合同選対を立ち上げ、道南選出の道議や市議、支持団体が連携して戦術を協議。公示後の24、25両日、道南入りし、24日午後6時半からは函館市本町交差点で街頭演説会を開き、3選にかける思いを訴える予定。党道8区合同選対本部は「野党勢力2議席を確保するための戦いにしたい」と攻めの姿勢を強める。

 新人では、畠山氏が、憲法改正問題や年金問題、格差貧困の是正などを焦点に党の政策支持拡大を目指す。24日に道南入りを予定し、高橋佳大函館地区委員長は「確かな野党が必要。自分の選挙のように比例区を軸に、党の訴えを有権者に広げたい」と話す。

 浅野氏は、公示後に函館・道南入りする予定。比例候補の山口たか氏と連動し、護憲を中心に訴える基本方針は変わらない。党道南支部連合の道下誠幹事長は「小さいながら護憲を堂々と訴える政党として、旧社会党支持者からの得票を狙う」と意気込む。

 多原氏は「国政に弱者の声を」と立起。衆院議員の鈴木宗男氏が代表の新党大地や国民新党、民主党が推薦。「名前を覚えてもらわないと」(陣営)と、知名度アップに躍起だ。若さと女性候補のメリットを生かし、無党派層の取り込みや保守層の切り崩しを狙う。

 4月の夕張市長選に続いて選挙戦に挑む羽柴氏は、夕張市内に事務所を構える。政党や団体の支援を受けず、地方と国の格差是正や社会保険庁の改革などを訴える。陣営は「道内幅広く回って支持を呼びかけたい」と力を込める。

 千代氏は参院選4度目の挑戦となる。精力的に街頭演説を繰り広げ、6月中旬に函館入りした。公示後も選挙戦後半に函館で遊説する予定。現体制の改革を訴え、支持拡大を図る。


◎市議会個人質問・渡島地域療育センター存続問題、北斗、七飯と連携
 第2回函館市議会定例会は5日、個人質問を続行し、5氏が登壇した。経営が悪化し、存続の危機にさらされているおしま地域療育センター(同市石川町41)について西尾正範市長は「専門的で高度な医療や療育を提供している地域の貴重な資源であり、機能維持をしていく必要がある。渡島保健福祉事務所と、北斗市、七飯町と協議を進めている」と述べ、必要な支援策について、近隣市町と連携して検討していることを明らかにした。

 丸尾隆子氏(共産党)の質問に答えた。

 北斗市にある侑愛会が運営する同センターは、併設する石川診療所での医療提供や、障害児の診断やリハビリテーションなど、早期療育機関として1985年に開設。医師や看護師、理学療法士ら専門スタッフが常駐している。函館近隣の2市1町から、精神遅滞や脳性まひ、学習障害などがある児童乳幼児らが利用している。

 しかし、国の医療制度改革に伴い、収支状況が悪化。本年度内の存続が危ぶまれ、利用者からは、存続や公営化の声が寄せられている。

 丸尾氏は、早期療育の重要性について市の認識をただし、「(同センターは)財政的にやっていけず、待ったなしの状態になっている。維持できないようなことのないようにすべきだ」と的確な支援を訴えた。

 西尾市長は、早期に障害を発見し、適切な治療や訓練を行う施設は重要との認識を示した。その上で、存続については、2市町と連携し道に強く働きかけるほか、支援策を協議しているとした。

 このほか、金沢浩幸氏(新生クラブ)、能登谷公氏(市民クラブ)、小谷野千代子氏(公明党)、日角邦夫氏(民主・市民ネット)が質問した。(今井正一)


◎函館にも「モンスターペアレンツ」
 「うちの子に掃除をさせないで」「運動会はうるさいからやめろ」―。学校に理不尽な要求などをする保護者の存在が、全国的に社会問題化する中、函館市内でも同様の事例が発生していることが、5日の市議会定例会で明らかになった。

 こうした保護者は「モンスターペアレンツ」と呼ばれ、対応をただす質問があり、多賀谷智教育長が答弁した。

 多賀谷教育長は主なケースとして「窓ガラスを割ったのは、グラウンドに石が落ちていたからで、自分の子供に責任はない」「苦情を言うため仕事を休んで学校に来たのだから、その分の賃金を出せ」「修学旅行の部屋を個室にしろ」などを挙げた。

 保護者の理不尽な要求には「学校が毅然とした態度で臨むことが基本」とした上で、市教委としても、組織的な体制を構築していく考えを示した。窓口の一本化や複数での対応、記録を残す―などの対応マニュアルを市教委で整備していることも伝えた。

 また、解決に苦慮するケースは、学校と市教委が協力して対応し、専門的な助言が必要な場合は、警察や弁護士などに相談するとした。(鈴木 潤)


◎道の「赤レンガ・チャレンジ事業」渡島支庁は本年度 新規4、継続8
 道は、予算措置を伴わない「赤レンガ・チャレンジ事業」の本年度の登録事業を発表した。渡島支庁の事業は、管内の農産品や加工品を、地域のスーパーや庁舎内で即売してPRする「渡島の『食品』魅力発信事業」など新規4件、継続8件の計12件で、前年度の11件(新規4件、継続7件)を上回った。

 同事業は、2005年度にスタート。特別に予算計上せず、職員のマンパワーや既存施設などを活用し、道の政策課題への対応や道民サービス向上を図る。本年度は全道で昨年より5件多い217件が登録された。道全体では、本庁、支庁別で本庁各部が109件(前年度比5件増)、支庁が108件(同)。

 渡島支庁の新規事業では、管内の食品の海外販路拡大を図るため、地元食品企業を対象に流通関係者によるセミナーや商談会を開く。道の施策や道民への啓発事項などを随時紹介する「渡島道政広報パネル展」を月1―3回開き、計約20回行う予定。

 継続事業では、渡島合同庁舎を会場に、大野農業高校生ら管内の高校生による生産、加工食品の販売や、「道民ホールコンサート」を開催。管内の行政分野の現状や課題を整理した冊子「渡島の政策概要」の作成などを実施する。(原山知寿子)


◎江差の能登さん手作りのガゴメエキス入りせっけんが好評
 【江差】江差町東山の会社役員、能登敏さん(50)が手作りしている「ガゴメ・オリーブ石けん」に注文が相次いでいる。もともとアトピー性皮膚炎に苦しむ長男のために考案し、ガゴメ(トロロコンブの仲間)エキス入りのオリーブオイルを主原料に無添加で製造した。“お父さんの愛情たっぷり”せっけんは「肌に優しい」と評判上々だ。

 能登さんは8年ほど前、当時小学生だった長女みさとさん(17)の夏休みの自由研究を手伝う際、廃油を使ったせっけん作りに着目。ラジオ番組で添加物を含んだせっけんは敏感肌によくないと聞き、アトピーで苦しむ長男雄也さん(14)のために天然オイルだけでせっけんを作ろうと思い立ったという。

 長男がアトピーで乾燥肌だったため、保湿に優れているオリーブオイルを使用。ガゴメの粘りに含まれる効用にも注目し、南茅部産のガゴメをオリーブオイルに漬け込んで洗い上がりの感じを改良した。

 さらに肌への優しさを基準に、せっけんを固くするのにラードとパーム油、泡立ちをよくするためにパーム核油を用い、油のにおいを消すため北見産のハッカ油を配合。試作品を知人らに提供したところ好評で、2005年末に製品化した。

 製造には40―60日間ほどかかり、1日当たり最高80個できるという。昨年11月から本格的に販売したところ、製造が追いつかず数日で完売し、ことし1月中旬から販売を再開した。口コミなどで徐々に広まり、道内各地から注文が来ているという。

 妻てるみさん(44)が代表を務める「手作り石けんの店 ケルプ」を立ち上げ、夫婦二人三脚で製造に励む。製品のパッケージデザインは長女が能登さんの似顔絵をモチーフに制作した。

 能登さんが専務を務める建設業能登組(能登正博社長)の販売部門「北風家ねっと」がインターネットで注文を受けている。能登さんは「息子のように苦しんでいる人の役に立ちたい」と話している。

 洗顔用と浴用、洗髪用の3種類で、エキストラバージンオリーブオイル入りの製品も新たに発売した。1個600円から。問い合わせは能登組内「北風家ねっと」TEL0139・52・1139、ホームページhttp://www.kitakazeya.net(宮木佳奈美)