2007年7月7日(土)掲載

◎野外劇開幕…榎本艦隊の「蟠竜」初登場
 函館市五稜郭町にある国の特別史跡・五稜郭跡(五稜郭公園)を舞台にした、NPO法人(特定非営利活動法人)市民創作「函館野外劇」の会の第20回公演「星の城、明日に輝け」が6日夜、開幕した。市民ボランティアが演じる函館の歴史絵巻が夏の夜を華やかに彩り、観客約1000人を魅了した。

 開演に先立ち、同会のフィリップ・グロード理事長が「子どもからお年寄りまでが参加する本物の野外劇を最後までゆっくり見てください」とあいさつ。

 劇はコロポックルのナレーションに合わせ、高田屋嘉兵衛やペリー提督の来函、武田斐三郎らによる五稜郭築城など幕末から明治維新後の歴史ドラマを展開。レーザー光線や炎などを駆使した演出、おなじみのフラッグダンスやYOSAKOIソーランの踊りで会場を盛り上げた。

 ことしは、箱館戦争の戦闘シーンで榎本艦隊の「蟠竜」が初登場。堀の中で新政府軍の旗艦「甲鉄」と大砲の撃ち合いを繰り広げ、観客を圧倒した。

 テーマ曲「星のまちHAKODATE」が流れる中、出演者と観客が一体となってペンライトを振り、この日の公演を締めくくった。

 福岡県行橋市から観光で訪れた主婦、森友敦子さん(72)は「演技力はもちろん地元の人が中心となって歴史を伝えていることが素晴らしい。感動をありがとう」と話していた。

 ことしの公演は全10回。7、13、14、20、21、27、28日、8月4、5日に行われる。開演は午後7時半。問い合わせは同事務局?0138・56・8601。(宮木佳奈美)


◎学校給食にミート社製…函館など8市町使用
 牛ミンチを偽装したとして不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで道警の捜査を受けている食肉加工卸会社のミートホープ社(苫小牧市)の製品が、函館市など道南の一部市町で学校給食に使用されていたことが6日、道の調査などで明らかになった。これまでのところ健康被害の報告や大きな混乱は出ていない。各市町は食材、献立の変更や新たな業者の選定など、対応に追われている。

 使用していたのは、函館市、北斗市、松前町、八雲町、長万部町、乙部町、今金町、せたな町の8市町。

 函館市は2002年度から同社製のウインナーソーセージとベーコンを使用していた。同日の第2回市議会定例会で多賀谷智教育長が、市戸ゆたか氏(共産党)の個人質問に答弁して明らかにした。

 市教委によると、給食の食材は、学校給食会が使用する食品の規格をあらかじめ業者に提示。見本を確認した上で、入札で決める。多賀谷教育長は「ミートホープ社の製品も見本が規格に適合していたため、02年度から使用した」と説明。06年度までの使用状況は、ウインナーソーセージが年平均約900キロ、ベーコンが年平均3300キロだった。

 偽装発覚後、市教委は使用の中止を決め、各校に通知。学校給食献立を精査し、道の検査で安全性が確保されるまでウインナーやベーコンの使用を控える。

 9日以降、食材を納入する業者にも、原材料や賞味期限などの管理を厳密に行うよう通知する方針。多賀谷教育長は「偽装は絶対あってはならないことであり遺憾。細心の注意を払って対応していく」と述べた。

 また、北斗市の学校給食共同調理場は、偽装報道後に納入業者などを通じて使用履歴を調査。使用していた疑いがあるのは(1)無添加ベーコンスライス(2)カレーコロッケ(3)アンサンブルエッグ(オムレツ)(4)ミートップグラタン(カップグラタン)―の4品目で、加工業者、販売店を通して仕入れた加工品を、2002年度から07年度にかけて不定期で使用していた。

 同調理場は「加工業者もどの業者から仕入れた肉を使ったか確認できない部分があるようだ。今後このようなことがないように、納入業者には指導した」という。

 松前町の学校給食センターは、07年5月23日に納入された無添加ウインナソーセージを、約1週間後の給食で使用したことが判明した。(鈴木 潤 小泉まや)


◎「郷土資料館友の会」設立へ
 【江差】一緒に“江差”を学びませんか―。4月に旧檜山爾志(にし)郡役所に移転した江差町郷土資料館(中歌町)は、江差の歴史や自然に興味がある人の交流や、学芸員による研究のアドバイスなどを行う「郷土資料館友の会」を新たに設立する。

 同館は、移転を契機に多彩なテーマを設けた体験講座や見学会の企画など、住民参加による活動充実を目指している。新たに設立する「友の会」でも、江差の歴史、自然、生活、文化など身近な分野に関心がある人に幅広い参加を呼び掛けている。

 同館の宮原浩学芸員は「江差では歴史をテーマに研究している団体も多いが、特定の分野にこだわらず身近な題材から勉強を始められる場にしたい。『古文書を調べたい』『植物を勉強してみたい』『郷土料理を詳しく知りたい』という人に参加してほしい」と語る。

 「友の会」では、学芸員による調査方法のアドバイスや、参考となる資料や文献の提供などを通じて会員の学習をサポート。同じ分野に興味がある人同士の交流や情報交換など、すそ野の広がりにも期待している。

 「友の会」の設立は、姥神大神宮渡御祭に関心が深い住民と同館が、古文書などを頼りに祭礼のルーツや変遷を調査、成果を発表したことがきっかけという。宮原学芸員は「町内には姥神大神宮渡御祭の山車、人形、祭ばやしなどの勉強を続けている人がいる。個々の研究を一つに結集することでも大きな成果になるはず」と話している。

 町内外を問わず江差に興味のある人なら誰でも入会できる。問い合わせは同館TEL?0139・54・2188。(松浦 純)


◎コリコリ おいしい…活!江差海鮮みなとイカ刺し祭り
 【江差】江差観光コンベンション協会(打越東亜夫会長)が主催する「活!江差海鮮みなとイカ刺し祭り」が6日夕、江差港中央ふ頭で開かれた。住民や観光客ら大勢の来場者が江差沖で水揚げされたばかりのイカ刺しに舌鼓を打った。

 水面に夕焼けが映える同港では、日本海で操業を終えたイカ釣り漁船が新鮮な活イカ3000杯を水揚げ。ボランティアの主婦らがその場で刺し身にして1皿300円で販売した。

 午後5時半のスタートから、岸壁には大勢の来場者が詰め掛け、コリコリとした歯応えと甘み抜群のイカ刺しを存分に味わった。会場では、大型の水槽を使ったイカ釣り体験コーナーも設けられ、子供たちが水を吐いて飛び跳ねるイカを大喜びで釣り上げていた。

 町内では7日に「江差かもめ島祭り」(同協会主催)が開幕する。午後2時からかもめ島の瓶子岩で勇壮な「大しめなわ飾り」が行われる。同4時には「江差音頭千人パレード」が新地町の繁華街から同島までの道中をにぎやかに練り歩く。

 8日午前9時には、同港南ふ頭で全道北前船競漕大会がスタート。4隻の北前船が白熱のレースを展開。午後2時からは島上舞台で演歌歌手の原田悠里さん、江差出身の木村香澄さんの歌謡ショーも開かれる。

 問い合わせは同協会事務局TEL0139・52・4815。(松浦 純)


◎PTAは歓迎、教職員組合は反発…道教委が導入検討「査定昇給制度」
 道教委が導入を検討している教職員の「査定昇給制度」をめぐって、道南の教育界でも波紋が広がっている。函館市教委の多賀谷智教育長は「より良い教育につながる評価でなければいけない」などの条件付きで歓迎。市内の小中学校長の間でもこうした声が聞かれ、市PTA連合会の若杉充宏会長も「子どものためになる」ともろ手を挙げて賛成する。一方、北海道教職員組合(北教組)函館支部は「教育にはなじまない」と反発。現場の教員は複雑な思いで受け止めているようだ。

 2005年の人事院勧告で、国家公務員に従来の年功序列から勤務実績に応じた査定昇給への転換が示されたことを受け、道は導入を進めている。すでに一部の幹部職員に先行実施されているが、財政難で給与を削減しているため昇給導入は延期している。

 道教委給与課によると、教職員への制度導入は08年1月からを目指し、制度を検討中。内容が固まり次第、北教組など職員側に提示するという。

 多賀谷教育長は「教員も既得権を守るだけではいけない」と導入に賛成する。ただし、「単なる順番付けで格差を付けるのではいけない。評価された教員の資質を高めることに結びつけなければならない」と、慎重な運用を求める。

 函館市内の50代の小学校校長は「頑張る先生を評価する制度」ととらえる。「時間の拘束や責任が増えるので、クラブ活動や担任、管理職になることを避ける教員がいるのは事実」とし、率先して学校運営に力を注ぐ教員を増やすような、意欲を高める原動力になり得るとみる。ただ「校長は人を見る目を養わなければいけない」と評価する側の資質向上が不可欠と話す。

 北教組函館支部の白鳥宏幸書記長は「数十年先の子どもの未来を考えることが教育」と、評価がなじまない職種であることを強調。さらに「何を持って“頑張っている”とするのかも漠然とし、評価する人間の主観が入る」と、評価の公正性に疑義を唱える。

 部活の顧問を務める函館市内の40代の高校教諭は「不適格教員をズバッと切りたいのが本音だろう」と複雑な思いだ。「国の政策だから」と受け入れる一方、「優れた教員が、教育のノウハウを次の世代に譲らなくなる恐れもある」との弊害を危ぐする。

 檜山管内の中学校で部活の指導に当たる20代の教諭は「今はどれだけやっても報われない。評価してほしいから頑張っているわけではないが、不適格教員がいるのも事実」と受け止める。しかし「保護者と教員の力関係を改善する方が先ではないか」と、理不尽な要求をする保護者への対策を望んでいる。(小泉まや)


◎油流出事故相次ぎ、海保が函館港で緊急立ち入り検査
 函館港などで船舶からの油流出事故が相次いでいることから、函館海上保安部は6日、函館市若松町や海岸町の同港内に係留中のクレーン船への緊急立ち入り検査を行った。油の管理状況を確認したほか、油流出時の適切な処理方法などを指導した。

 道南で油の流出事故はことしに入って11件(原因不明で調査中の分を含む)。昨年1年間の海洋汚染防止法違反(船舶からの油の排出)事件の検挙数の約4倍に当たる。6月30日にもクレーン船内にたまった重機作動用の潤滑油が海上に漏れ出す事故があったばかり。

 この日は同海保の職員8人が、函館港の船だまりふ頭や若松ふ頭に接岸されているクレーン船計7隻を巡回し、燃料タンクが腐食していないか、使用が認められていない油処理剤を使っていないか―などをチェック。船の所有者にバルブ操作を指導したり、甲板に漏れ出してた発電機用の軽油を吸着マットで回収したりした。

 同海保警備救難課の武石勇課長は「事故の原因は初歩的な作業ミスが多い。油が漏れ出さないための体制づくりや、油が漏れた場合の適切な対策を現場の作業員に徹底させてほしい」と話していた。 (森 健太郎)


◎飲食店など対象に夏期食品一斉取り締まり…渡島保健所
 気温の上昇とともに食中毒の危険性が高まることから、渡島保健所は管内の飲食店や食品加工業者などを対象に、夏期食品一斉取り締まりを実施ている。職員らが対象施設を回り、食品の保存状況や表示、従業員の衛生管理体制などを調べている。

 毎年7月に1カ月間かけて実施する。また、苫小牧市の食肉加工会社「ミートホープ社」による牛ミンチ肉偽装事件を受け、管内12の食肉処理施設に対しては別途、通告なしで立ち入り調査を行い、適正表示や製品の保管状況などを調べる。

 対象は食品衛生法の営業許可を持つスーパーなどの食品販売店や食品製造工場や菓子店など。7月の1カ月間で規模の大小にかかわらず、約2000施設に対して行う。食品内の細菌検査や保存料などの添加物が基準値を超えていないかなどを検査する。

 6日には北斗市衛生協会(寺澤十郎会長)北斗中央部会の巡回衛生指導と合わせて実施。約30人が8班に分かれて130施設を巡回した。コープさっぽろ北斗店(久根別2、山本一彦店長)では、担当職員が鮮魚、精肉の保存温度、手洗い場所などをチェックした。(原山知寿子)