2007年8月11日(土)掲載

◎姥神大神宮渡御祭・下町巡行
 【江差】姥神大神宮渡御祭は2日目の10日、栄華を極めた北前船時代の情緒を今に伝える「いにしえ街道」などを渡御行列がめぐる下町巡行が行われた。

 早朝には屋根を震わせるような激しい雨に見舞われた江差町。昼すぎには、各町の山車が同神宮前に集結したのに合わるように青空が広がり、強い日差しが照り付けた。

 同日午後の最高気温は25・6度。うだるような蒸し暑さの中、猿田彦命を先頭とするみこし行列に、神武天皇の人形を飾る「豊年山」(姥神町)を先頭とする13基の山車行列が付き従い巡行がスタート。はんてんや羽織姿の祭人は、沿道の家々をめぐりながら「結構なお祭りで」と声を掛け、家人からご祝儀を受け取ったり、酒や料理のもてなしを受けた。

 午後8時すぎには、灯火で色鮮やかに彩られた山車が、愛宕町商店街に勢ぞろい。ここ数日の悪天候を吹き飛ばすような勢いで、祭ばやしと掛け声が響き、熱気は最高潮に。観光客もけんらん豪華な時代絵巻と、祭人たちの圧倒的なエネルギーに魅了されていた。

 祭礼3日目の11日は上町巡行が行われる。行列は正午前に同神宮を出発。漁師町の面影を残す海沿いの津花、南浜、柏町を経て、高台の陣屋、茂尻の各町をめぐる。日没後は上野町や本町など市街地を巡行。午後9時ごろには、山車行列が新地町の繁華街に集結。13基の山車が横一線に並び、にぎやかに祭ばやしを奏でながら、祭りはフィナーレを迎える。(松浦 純)


◎帰省ラッシュ始まる
 お盆を故郷で過ごす帰省ラッシュが10日、始まった。JR函館駅や函館空港は混雑し、家族や知人が「お帰り」と出迎え、久しぶりの再会を笑顔で喜び合う姿が見られた。

 JR函館駅では、札幌や八戸からの列車の到着時刻になると、出迎えの人たちが改札口付近に集まった。滋賀に住む娘夫婦を迎えに来たという北斗市七重浜の中井慎介さん(66)は、「長い休みを取れたというが、ゆっくりしてもらうのに天気が心配」と話していた。

 同駅によると、八戸から函館に向かう特急列車は、13日までほぼ満席。札幌からは、11日と12、13日の早い便が混雑している。Uターンは、八戸へ向かうのは15―17日がピーク。札幌方面はまだ大きな混雑は見られないという。

 航空各社によると、本州から函館に入る便は、13日までほとんどが満席。Uターンはおおむね14日から始まるとしている。(山崎純一)


◎災害弱者へ函館市、救護者支援プラン作成へ
 函館市は自然災害時の救護者支援プランの作成に向け、本年度内をめどに部局横断的な庁内プロジェクトチームを立ち上げる。高齢者や障害者など災害弱者への支援・救護マニュアル策定は長年の課題で、個人情報に配慮しながらどのような形で支援の具体策を定めていくか、検討していく。

 2004年7月に新潟県や福井県で起きた洪水災害で、犠牲者のほとんどが高齢者だったことから、国が同プラン作成に向け、一定の方針を示した。災害弱者に対する支援プラン作成は市議会でもたびたび必要性が指摘されてきた。

 防災を担当する市総務課によると、年度内にプロジェクトチームを消防などの庁内関係部局で設置し、プランのたたき台作りに入る。作成に当たり、災害時の「要援護者」の範囲をどう定めるかがひとつのポイントになるという。

 高齢者と障害者が対象となるが、高齢者といっても元気な人から病気や寝たきりの人まで、年代を問わずいる。障害の種類も多様で、同じ障害のある人でも、程度は人によって違う場合も多い。要援護者の範囲が決まれば、具体的にどのような救助方法や連絡体制を取るかを検討する。

 また、要援護者の範囲を決めた後、個人情報の保護と、情報の共有化をどう両立させるかという課題もある。個人情報保護運営審議会の判断で共有するか、対象者の同意を得て情報を集めるかなどの検討材料がある。

 小規模な自治体であれば、隣近所の情報を住民同士が共有しているケースもあるが、函館の都市部ではなかなか難しい。集めた情報をどう生かしていくかという問題もある。

 同課は「行政だけでは要援護者の救護に限界があり、自主防災組織との連携が必要。プラン作成に向けても社会福祉協議会や障害者団体などの協力が欠かせない」と語る。まずは庁内でたたき台を作り、関係機関の協力を得ながらプラン作成を進めていく考えだ。(高柳 謙)


◎上ノ国、湯ノ岱地滑りで治山ダム建設へ
 【上ノ国】上ノ国町の湯ノ岱国有林で発生した大規模な地滑りに伴い、多量の濁水が流出している問題で、道森林管理局は緊急対策の一環として、大量の土砂がたい積している現場付近で、年内にも治山ダム1基の建設に着手する方針を決めた。

 9日に町役場で開かれた「白水の沢地滑り災害対策連絡会議」で報告した。会議には同局と桧山森林管理署、地元側から町、桧山支庁、農漁協などの職員ら約20人が参加した。

 町は地滑りの発生直後から、国や道に濁水の流出防止に向けた緊急対策を要望。国が治山ダム建設などに要する2億円超の予算化を認めた。

 同管理署によると、地滑りが発生した七ツ岳(957メートル)北側の山腹には、細かな粒子を含んだ粘土質の土砂がたい積。大雨や雪解け水などで再び動き出す恐れもあるという。このため、地滑りを発生源とする土石流が発生した「白水の沢」に、幅80メートル・高さ7メートルのコンクリート製治山ダム1基(容量1700立方メートル)を建設する方針を決めた。

 工事は早ければ10月にも着工。来年1月以降の完成を目指す。同管理署は「ダムは大きな岩や土砂を止めることが目的。細かな粒子は沈殿させることが、土砂の移動を防ぐことで難しいが一定の効果は得られるのではないか」と話している。

 また、斜面がU字型に崩壊した地滑りの下部にも、たい積物の移動を防ぐため、地盤の変形にも耐えられる鋼鉄製ダム(鋼製自在枠)を2基設置する方向で検討を進めるほか、現場付近の地質や地下水などの総合的な調査を行い、今後の対策も検討するという。

 町内では地滑り発生後の5―6月に、白水の沢にたい積した多量の土砂が雨水などで浸食されて多量の濁水が発生。濁水は下流の天の川を通じて日本海に流出した。

 町は天の川を水源とする農業用水の施設や魚介類への影響が懸念されていたが、これまでのところ農漁業被害の報告はなく、7月以降は濁水の流出も小康状態を保っている。(松浦 純)


◎渡島支庁差し押さえ品インターネット公売、最高額は7万2450円
 渡島支庁が初めて実施した、道税滞納者の差し押さえ品のインターネット(IN)公売で、出品した全8点が落札された。最高額となった江戸時代の錦絵7万2450円をはじめ、すべてが見積価格(最低価格)の2倍以上の値がつき、販売価格の総額は15万4875円に達した。「高値落札・完売御礼」という好評な結果に、同支庁は「今後も滞納整理の方法として積極的に実施を検討したい」(納税課)と気を良くしている。

 ヤフーのINオークションサイトに出品したのは、管内の道税滞納者から差し押さえたアンティークのタイプライターや日本画など。事前に渡島合同庁舎で下見会を開いて現物を公開。7月31日から8月2日までの間で入札を募った。

 入札者は下見会に来た管内在住者のほか、東京や福岡など全国各地で計42人。落札額に消費税分を合わせた支払い価格は最低でも日本画の3360円で、同支庁が設定した見積価格1000円を大きく上回った。最も高い錦絵は見積価格5000円に対して約14倍の値がついた。

 支庁では販売金額納付や本人確認をした後、順次品物を引き渡している。同課は「絵画は、はがれなど保存状態が良くなかったが、予想以上の値段がついた」と驚いた様子。「今後も自動車税滞納者から差し押さえた自動車などのIN公売も考えたい」としている。(原山知寿子)


◎函大有斗硬式野球部60周年祝賀会にOBの佐藤、盛田さんら出席
 函大有斗高硬式野球部の60周年記念祝賀会(同OB会主催)が10日、函館国際ホテルで開かれ、北海道日本ハムファイターズコーチの佐藤義則さん、元大阪近鉄バファローズの盛田幸妃さん(現野球解説者)らOB約60人と、ファイターズのダルビッシュ有投手らが来賓として出席し、節目を祝った。(岡部彰広)

 10年に1度の祝賀会。松尾正道OB会長が創部からの歴史を紹介し、最後に「片口伸之監督が現在の選手と一丸となって階段を一段ずつ上がり、私たちOBに喜びを与えてくれることを期待しています」とあいさつ。1959年卒業の松田紀昭0B会相談役(前会長)と73年卒業の佐藤義則さんに感謝状と記念のブレザーが手渡された。松田相談役は「感謝状を贈る立場が多いだけに奥深い喜びがある」と感謝の言葉を述べた。

 この日は佐藤さんとともに、11日からオーシャンスタジアムで西武ライオンズと2連戦を行うファイターズの武田久投手らバッテリー5選手とコーチも駆けつけ、それぞれ壇上で「おめでとうございます」「応援よろしくお願いします」とあいさつし、華を添えた。

 同校は春6度、夏7度の甲子園出場経験を持つ道内有数の野球の名門。支部予選118連勝のほか春27度、夏32度、秋28度といずれも支部最多の道大会出場を誇る。プロ野球選手も佐藤さんら3人を輩出している。

 鈴木健校長はあいさつとともに「市民を鼓舞し元気づけてきた60年の輝かしい歴史。大いなる勇気を与え、見本を見せてくれた」と同部に感謝の言葉を述べていた。