2007年8月15日(水)掲載

◎函館の見どころ伝える…五稜郭「一の橋」付近に移動観光案内所開設
 函館市と函館国際観光コンベンション協会は14日、函館五稜郭公園の「一の橋」付近に移動観光案内所を開設した。毎年、夏の観光入り込みがピークを迎えるこの時期に開設していて、観光客らに観光パンフレットや地図を配るなどして情報提供に努めている。

 市内の主要観光施設の紹介や、地図のほか、外国人観光客向けの英語版のパンフレットなどを用意。観光客らの照会に応じ、常駐する市や同協会の職員がバス・電車の乗り継ぎ方法や道順の説明などを行っている。

 初日のこの日は440人の観光客が利用。市内は30度を超える真夏日となったが、同公園を訪れた観光客らも「函館も暑いですね」などと話しながら、パンフレットを受け取っていた。

 市観光課の職員は「多くの観光客に新しい函館の魅力を紹介していきたい。暑いけれども頑張ります」と話していた。

 観光案内所は16日までの3日間、午前10時から午後3時まで設置している。(今井正一)


◎33・0度、史上4番目…函館
 14日の北海道は引き続き高気圧に覆われ、南から暖かい風が入った影響で気温が上昇した。函館市美原では、午後4時15分に1873年の観測開始以来4番目の高さとなる33・0度を記録した。

 函館海洋気象台によると、同市川汲では同3時40分に過去最高の32・0度を観測。このほか、今金町34・2度、厚沢部町33・4度、森町32・2度、八雲町八雲32・1度、北斗市32・0度、松前町31・3度、長万部町30・6度、奥尻町30・1度で、真夏日となった。

 函館市美原で3日連続真夏日を観測したのは、2006年8月15―17日以来。同気象台によると、15日は気圧の谷が近づき、曇り時々晴れとなるが、気温は高めで最高気温は30度の見込み。4日連続の真夏日となると、04年7月29―8月2日以来となる。日差しは和らぎそうだが、蒸し暑くなるため、熱中症などに注意が必要だ。(山崎純一)


◎日本赤十字社北海道支部の創立120周年兼ね、来月、函館で道大会
 日本赤十字社北海道支部の創立120周年記念を兼ねた赤十字道大会と記念事業(いずれも同支部主催)が9月27、28両日、函館市民会館(湯川町1)と市芸術ホール(五稜郭町37)で開かれる。道大会は2年に1度の開催で今回が28回目。函館が会場となるのは1993年以来14年ぶり。支部創立120年の今年は、記念事業と併せての開催で、道支部や函館市福祉部が中心となって準備を進めている。

 初日の同27日は午後1時から市民会館で道大会を開く。赤十字関係者の物故者慰霊祭と式典を執り行い、皇族をはじめ赤十字関係者約1200人が出席する予定。式典では、高額寄付で日赤に尽くした人を表彰する「金色有功章」「銀色有功章」などの授与や功労者特別表彰をする。

 翌28日は午前9時40分から同芸術ホールで記念事業を開く。福岡県小郡市の子ども劇団が参加し、劇「箱館戦記〜静かなる獅子」を上演。同市出身で、日本で最初に赤十字精神を実践した医師、高松凌雲と函館市とのかかわりを物語にして熱演する。

 シンポジウムも予定。「奉仕活動の実際」をテーマに道内奉仕団委員長4人が活動事例を発表するほか、今後の奉仕活動のあり方を探る。

 また、会場では、赤十字活動パネル展やビデオ展のコーナー、脳年齢・骨密度測定コーナー、栄養相談なども開設される。(鈴木 潤)


◎函館市職員の採用試験申し込み低調
 2008年度の函館市職員採用試験の申し込みが低調だ。13日現在、昨年同期比45人減の60人。首都圏などを中心に景気回復から、民間企業が採用枠を積極的に増やすなど、「学生の売り手市場」となっていることが、伸び悩みの背景とみられる。市人事課は「最終的に増えるとは思うが、ここ数年にないくらい出足が鈍い」と話している。

 採用職種は、全学歴対象の行政と、大学の部だけの経済・経営、国際、水産海洋、情報の各一般事務職で、それぞれ若干名の採用を予定。職種別の応募状況は、大学の部が、行政職で30人など計36人。短大の部が11人、高校の部が13人。

 市は行財政改革の一環で、職員数の削減を推進しているが、過去3年の新規採用の職員は、05年度が31人、06年度が16人、07年度は9人。

 応募低調の背景について同課は「情報を入手しやすい状況もあり、地方自治体を取り巻く厳しい状況や、公務員に対するイメージも変わってきていることが影響しているのでは」と分析。例年、締め切り間際の応募も多いことから「函館の街のために働きたいという人の積極的な応募をお待ちしています」と話している。

 申込書は市役所6階総務部人事課で配布しているほか、市のホームページ(http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/)でもダウンロードできる。直接持参するか、17日までの消印有効。

 問い合わせは同課TEL0138・21・3667。(今井正一)


◎来月15日「水土里の路ウオーキング」
 【北斗、七飯】収穫間近の稲作地帯を歩き回り、農業への理解を深めてもらおうと、渡島支庁は9月15日、北斗市東前地区などの水田で「水土里(みどり)の路(みち)ウオーキング―第2回『ふっくりんこ』の里を訪ねて!」と題したイベントを開催する。終了後は、道南産のブランド米「ふっくりんこ」が当たる抽選会や農産物直売も企画。現在、参加者を募集している。

 コースは昨年よりも800メートル延ばして7・5キロに。北斗市農業振興センターを出発、同支庁農村振興課職員らの案内の下、同市の一大稲作地帯である開発地区を農道や道道沿いに歩き、1887(明治20)年創立の東開発神社などを経て、同センターに戻る。途中用水路や拡大されたほ場なども見学し、稲作の仕組みを学ぶ。

 水稲の生育が早めに推移していることから、昨年よりも1週間早めて行う。「ふっくりんこ」や「ほしのゆめ」などが、黄金色の稲穂を垂れ下げている様子が楽しめそうだ。同課は「ことしから全道販売されるふっくりんこなど、地元産米に親近感を抱いてもらう場になれば」と期待を込める。

 完歩できる人が対象で、小学生以下は保護者の同伴が必要。当日は午前8時半に同センターに集合する。保険料として100円が必要で、当日会場で徴収する。申し込みはファクス、郵送、メールで受け付けていて、定員100人。締め切りは9月5日(必着)。

 問い合わせは同課ウオーキング事務局TEL0138・47・9501。(原山知寿子)


◎すべて値上がり…8月の石油製品小売価格
 函館市は14日までに、8月の石油製品小売価格調査結果をまとめた。プロパンガスの平均価格が、現在の調査方法となった1993年以降では5立方メートル、10立方メートルとも最高値を更新した。レギュラーガソリン(1リットル、現金)の平均価格は144・57円と昨年9月以来の144円台。重油と軽油、家庭用灯油も前月に比べ、すべて値上がりした。

 平均価格は、プロパンガスは、5立法メートルが前月比11・0円高の5033・09円、10立方メートルが同14・69円高の8053・91円。5立方メートルの最高価格は前月と同じ5700・0円、最低価格は前月比100・0円高の4400・0円。10立方メートルの最高価格は前月と同じ1万0154・0円、最低価格は前月比50・0円高の6500・0円だった。

 レギュラーガソリンは前月より3・86円上昇し、5月から4カ月連続の値上がり。最高価格は前月比2・0円高の150・0円、最低価格は同3・0円高の138・0円。

 重油(1リットル)は前月比2・29円高の81・81円。最高価格は前月と同じ87・0円、最低価格は同3・0円高の75・0円。

 軽油(同)は同3・29円高の124・75円に上がった。最高価格は同1・0円高の129・0円、最低価格は同1・0円高の117・0円。

 家庭用灯油(1リットル、ホームタンク用)は、同1・22円高の82・66円。最高価格は同2・0円高の90・0円、最低価格は前月比5・0円高の75・0円だった。

 調査は卸および小売を兼ねる13店、小売販売のみの17店で10日に実施した。(鈴木 潤)


◎企画 この道を選んで(1)・私たちがレールを敷く…市電運転手・鈴木佳美さん
 タクシーやバスで女性運転手を見かけることは、珍しくなくなってきた。しかし、電車の女性運転士となると、全国的にもまだまだ少ない。函館市電に女性運転士が誕生したのは、2005年9月。第2次世界大戦中の1944年、男性運転士が不足し、女性車掌らが急きょ運転士を務めて以来、実に61年ぶりの出来事で、大きな話題を呼んだ。

 鈴木佳美さん(29)は函館市内の高校を卒業後、山形大学に進み栃木刑務所の刑務官として就職。しかし「本当にやりたいことを見つけたかった」と東京でコンピューターのオペレーターなどいくつかの職場を渡り歩いた後、2004年に故郷に戻った。

 あらためて函館の空気に触れ「観光都市として魅力的な場所であることを実感した。ぜひ函館の魅力を伝えられる仕事がしたい」と考えていたところ、性別を問わない市電運転士の募集が目に留まった。「今まで人がやっていないことに挑戦したかった」とすぐさま受験を決意。見事に難関を突破し、戦後初の女性運転士として運転席に座ることになった。

 男性中心の職場ということに最初は不安もあった。しかし「みなさんがとても温かく受け入れてくれたので、困ることはまったくなかった」。もちろん深夜まで一人で乗務するため危険がないとは言えず、2人の女性運転士は緊急用の防犯ベルを携帯しているが、これまで使用したことはない。ただ「酔っ払ったお客さんが寝込んでしまい、移動させようと動かすのが大変だった」などの苦労話も少なくない。それでも「運転上手になったね」などと声をかけてくれるお客さんもいて、仕事に対する情熱は日増しに高まっている。

 9月には、2年ぶりに2人の女性運転士が誕生する予定になっている。初めて女性の後輩ができるが「自分自身がまだまだ新米なので、一緒に成長していきたい」と気持ちに緩みはない。「特別な存在と思われている女性運転士だが、いつかは女の子が将来なりたい職業として、ケーキ屋さんやお花屋さんと一緒に市電の運転士を挙げてくれるようになればうれしい。そのためにも自分たちの世代がしっかり頑張って『女性でも運転士が務まるんだ』と思ってもらえるようにしたい」と意欲を見せる。(小川俊之)

 これまでは男性のための職場、女性独自の仕事と思われていた職種で、性別にとらわれずにチャレンジする人が増えている。少数派としてのさまざまな苦労を乗り越えながら、やりがいを求めて頑張っている人たちの声を5回にわたって紹介する。