2007年8月16日(木)掲載

◎暑さ…うんざり また真夏日
 函館海洋気象台によると、15日の道南地方は高気圧に覆われ気温が上がり、各地で真夏日を記録した。この日、渡島、桧山で最も高かったのは木古内の32・7度。同気象台のある函館市美原は4日連続30度超えとなる31・2度で、このほかは、長万部32・0度、八雲町八雲31・9度、森30・6度、函館市川汲32・0度、北斗30・7度、せたな30・8度、今金32・0度、奥尻31・0度、厚沢部31・0度だった。

 「何時まで暑いのかしら」。仕事帰りの買い物で函館市本町を訪れていた同市柏木町の主婦(61)は、厳しい日差しを受けてうんざり顔。函館市美原では、前日の午後6時に30・4度を観測。この日の同時刻も28・9度と暑かった。「瞬間的の暑さならいいが、ずっと暑いので水ばかり飲んでいる。夫もビールばかり飲んでいる。早く涼しくなってほしい」と話していた。

 同気象台によると、16日は曇りで、渡島では朝や夕、桧山は朝に雨の降る所があるとしている。だが日中の最高気温は函館で28度。蒸し暑い1日となりそうだ。(山崎純一)


◎函館でも商品撤去…石屋製菓・賞味期限改ざん
 「え、あのお菓子が」「また北海道が…」―。道内大手の菓子製造販売会社「石屋製菓」(札幌、石水勲社長)が、全国的に有名な菓子「白い恋人」の賞味期限を改ざんして販売していた問題で、15日、函館市内の土産物店などでも同社製品が売り場から撤去された。訪れた観光客や、帰省客からは、お目当ての品を買うことができず落胆の声が聞かれた。

 ほとんどの店では、開店前に菓子を撤去。空いた場所は、他社の菓子などを置いた。朝からUターン客などで混雑した函館空港では、7つある売店すべてからおなじみの箱が消えた。ある店では、中のカウンター内に積んであった箱を見つけた客から「北海道に来たのに、この菓子が買えないのは困る。売ってほしい」と迫られたケースもあった。

 ほかの店では「客の中には事件を知らない人もいた。本州の人は北海道の食にあこがれを持っている。ミートホープ社といい、不祥事続きで残念。店の売り上げのダウンも痛いが、北海道のイメージダウンも心配」と話していた。

 JR函館駅の売店では、同社商品を販売していない知らせが張られていた。山形へ帰る女性は「この菓子でこのような事件がおきるなんて信じられない気持ち」と話していた。

 同市末広町の土産店では、同社製品で、問題となった品以外を求める客一人一人に対し、事件内容を説明し、了承を得てから販売した。この店の店長は「北海道を代表するお菓子なので、残念でならない。ミートホープ社の問題で教訓を得たのではないのか」と険しい表情を見せていた。(山崎純一、小橋優子)


◎レジ袋を減らそう…傘の布でマイバック作り
 不要となった傘の布を使った買い物袋作りの講習会が15日、函館市総合福祉センター(若松町33)で開かれた。市民約20人が受講し、思い思いの買い物袋を作った。同市ボランティア連絡協議会(佐々木文子会長)の主催。

 リサイクル活動の一助にと初めて企画した講習会。受講者は講師の手ほどきを受けながら、傘の骨から取り外した布を三角形に4枚に切ったり、ミシンで縫い付けるなどして買い物袋を完成させた。

 レジ袋削減運動を推進している佐々木会長は「レジ袋の削減を進めていくには、マイバックの普及は不可欠。傘から袋が作れることを知ってほしい」と話した。

 お気に入りの柄の傘を持参し見晴町から参加した女性(70)は「何とか傘をリサイクルできないかと考えていた時にこの講習があることを知った。買い物袋として再び使えるようになってうれしい」と話していた。(鈴木 潤)


◎ヨーグルト新商品開発…函館酪農公社
 乳製品製造、販売の函館酪農公社(柴田満雄社長)が、経済産業省の「地域新生コンソーシアム研究開発事業」に採択された。大学や民間企業などと連携して、農作物をペースト状に加工した「ネピュレ」に植物性乳酸菌を加えたヨーグルトを開発するもので、ことし10月をめどに商品化にこぎ着けたい考えだ。

 同事業は、製品やサービスの研究開発に取り組む産学官の研究共同体に対し、同省が研究開発を委託するもの。本年度は、15件の応募があり、同社を含む4件を採択した。委託費の総額は、約2億9000万円。

 同社では2年ほど前から、ネピュレの商品開発を手掛けており、ことし5月から移動販売車で、オレンジとキャロットを組み合わせたネピュレヨーグルトを試験的に販売。消費者の声を募りながら、本格的な流通に向けて試行錯誤を続けている。

 事業に研究機関として参画するのは、北大や札幌医大、札幌の免疫細胞加工技術開発ベンチャー企業、医療と観光を結びつける事業を展開するNPO法人(特定非営利活動法人)、東京の食品開発コンサルティング会社の5機関。

 新商品は、函館酪農公社の人気商品のひとつ「のむYogurt(よーぐると)」を改良し、道内産の玉ネギと、免疫活性力が強いとされる植物性乳酸菌を加える。アレルギーや生活習慣病を改善する効果が期待され、10月の商品化を目指して、含有量の調整や、食材を長期的に保存できる設備の構築をすすめる。

 柴田社長は「自然のものをいかにおいしく提供できるかに重点を置いて、消費者の喜んでもらえる商品にしていきたい」と話している。(浜田孝輔)


◎夕張市へ64万円贈る…競輪選手会道支部
 【夕張】日本競輪選手会北海道支部(高村敦支部長)は15日、財政再建団体の夕張市を訪れ、このほど函館競輪場で行われた「ふるさとダービー」(GII)で開催したチャリティーオークションの収益金64万円を寄付した。

 オークションは、夕張支援の一環で選手会道支部が企画。同ダービー開幕前の8月2日のファン交流会と、レースが行われた4日から7日までの4日間、延べ9回実施した。参加選手がヘルメットやシャツ、パンツ、タオルなどを提供し、来場したファンが競り落とした。市競輪事業部は「選手とファンの皆さんに多くの協力をいただき、オークションは盛況だった」と感謝している。

 夕張市には高村支部長と同部の酒井哲美部長が訪問。高村支部長が夕張市の金家明宏理事へ寄付金を手渡した。同市総務課は「全国からさまざまな支援をいただいており、善意を有効に活用したい」と話している。(高柳 謙)


◎企画(2)この道を選んで…体制整備へ自身向上 幼稚園教諭・高梨匡平さん(23)
 「子どもの無邪気な笑顔が大好き」と話すのは、幼稚園教諭、高梨匡平(きょうへい)さん(23)。札幌の保育専門学校を卒業。自分の通った幼稚園に就職を望んだが、男性教諭は受け入れられず、1988年から男性教諭を受け入れている、函館市西桔梗218の学校法人桔梗学園・ききょう幼稚園(川村兼悦郎理事長)で3年前から働いている。

 園児の驚くような発想に日々感心する高梨教諭は、幼少時代2年間通った幼稚園の先生に憧れ、この道を目指した。誰にでも優しく、一緒にいると安心した記憶が今でも心に残る。そんな想いを胸に抱き、教諭に就いた。

 女性中心の職場でまず心配だったのは「女性教諭に慣れる」こと。しかしどう接し、打ち解けていこうなど、考えていたのは高梨教諭ただ一人。実際の現場では、男女を意識する教諭はおらず、仕事に明け暮れる毎日だった。

 年少にとって母親という存在はとても大きく、なかなか男性教諭に慣れない園児も多い。園児の視界に入り、自分の存在をどんどんアピールするなど、日々試行錯誤する中で思い付いたのが、「おもしろTシャツ作戦」。絵柄や文字がプリントされた特徴あるTシャツを着用し、園児の注目を集めるのだ。すると、自然に園児の方から、近寄って来るようになった。

 女性が多い職場で日々過ごす中で、「女性が持つ独特のオーラ(存在感)はすごい。園児を自然に引き付けるなど包み込む優しさは、どんなに身に着けようと思っても出来ない」と認める。ただ、一つだけ女性教諭に負けない自信が体力。「園児を持ち上げたり、肩車したりなど体を張って園児と楽しむことは誰にも負けない」と主張する。

 男女共同参画が言われているが「男性教諭を受け入れる体制が完全に整ってるとはいえない。だが、受け入れを待つのではなく、男性教諭の必要性を認識してもらうよう、自分自身を向上させていきたい」と、やる気に満ちた表情。

 同幼稚園の川村園長は「今の時代、活発な子どもが増え、男性がいなければ対応できない。のびのびとした子どもに育てるには男性教諭は必要。たくさんの女性の職場の中に入ってくるには、勇気が必要だが、根が誠実で努力家の高梨教諭は、活動的なので園内のムードメーカー的存在」と、わが子を見守る父親のように話した。(小橋優子)