2007年8月21日(火)掲載

◎市内などの小中学校で2学期スタート
 函館市内などの小中学校で20日、2学期の始業式が行われた。真っ黒に日焼けした子どもたちが元気に登校した。

 函館中の沢小学校(児童431人)の始業式では、校歌斉唱に続き熊谷光洋校長があいさつ。「夏休み中の体験を生かして、力いっぱい2学期の4カ月間を頑張りましょう」と呼び掛けた。5年生の児童は休みの思い出を作文にして、全校児童を前に発表。林間学校で他校の友だちができたことや、サッカーの試合で汗を流したことなどを紹介した。

 1年2組(蛇沼京子担任)の学級活動では、休み中の楽しかったことを伝えたり、工作を見せ合ったりした。子どもたちは「海に行って背中が×の形に日焼けした」「暑かった」などと大きな声で休み中の出来事を報告。また、ロボットや粘土細工、万華鏡などの工作についてクラスのみんなに説明するなどした。(小泉まや)


◎企画・都市エリア研究のいま(5)細菌検出に新たな方法
 【研究テーマ5「公定法を超える高感度の分子生態学的微生物モニタリングシステム」】

 食の安全を揺るがす食品製造業者の体質が次々と明らかになる中、食中毒防止の観点から、食品検査の信頼性に対する消費者の関心は高まりつつある。細菌検査の新たな方法を模索する第4テーマでは、より迅速な検査システム確立に向け、研究が進められている。都市エリア産学官促進連携事業一般型で開発した培養併用FISH法(FISHFC法)は、加熱損傷した腸内細菌の検出について、公定法を上回る優位性を持つことが実証された。

 公定法の検査方法、VRBDA法は、目的とした菌だけを増殖させる選択培地を用いる。しかし、一度損傷した細菌は培養できず、十分に検出できない問題点がある。発展型では、加熱して損傷させた腸内細菌科を用いて検出精度を検証した。

 FISHFC法、VRBDA法と、非選択培地を用いたTSA法の3方法を比較した結果、加熱処理後の菌は、VRBDA法では、検出できない菌体が多く、TSA法とFISHFC法が検出数を上回った。さらに、FISHFC法は、約6時間で迅速に検出できるため、他の方法に比べて優位性が高いことが証明された。

 道立工業技術センターの大坪雅史研究開発部バイオテクノロジー科主任は、「加熱損傷した腸内細菌を検出する上で、3日かかる公定法のVRBDA法より、FISHFC法が時間の上でも非常に優れている」と話す。この結果は、7月末からアメリカ・シカゴで開かれた国際的な食品科学技術の学会「IFT2007」でも関心を集めたという。

 また、検出できる細菌の種類を増やすため、目的の菌に付着する、プローブの開発も進められている。プローブは、蛍光物質の標識を付けた細菌中の固有の塩基配列に対応した物質で、付着した菌が光るため、目的とした菌だけを検出することが可能だ。発展型では、ミネラルウオーターの検出基準にもある緑膿菌プローブの開発に成功し、4月に特許を出願した。今後は、一般細菌や黄色ブドウ球菌などのプローブ開発を目指す。

 研究と並行して、FISHFC法の計測装置の開発も進められている。量産化を視野に、パソコン上で画像解析する際の汎用性を高めるため、OSもLinuxから、マイクロソフト社のWindowsXPを採用。機材のコスト削減や小型化も図った。簡易検査キットや、全自動型の細菌検査装置など、関連製品の商品化も予定している。本年度中に、装置を外部の検査機関へ貸し出し、モニター調査を行う方針だ。

 発展型からは細菌検査分野で国内トップシェアの製薬会社日水製薬も参画し、FISHFC法への関心の高さをうかがわせる。細菌検査分野は市場規模の拡大が見込まれており、今後、検査の精度向上や実例を重ねることで、細菌検査におけるFISHFC法の有効性や妥当性の評価が高まれば、経済効果に大きな期待が持てる。(今井正一)


◎臨時従事員は継続雇用…市営競輪包括委託案
 函館市競輪事業部は、来年度からの実施を目指す市営函館競輪の包括委託の概要案をまとめた。委託期間は2008年度から3年間で、市の臨時従事員の雇用を当面継続し、民間委託となっても雇用不安を招かないよう配慮する。民間の経営手法やノウハウを活用し、サービスや売り上げ向上を図り、09年度の試算で包括委託の効果額を約1億3500万円と見込んだ。22日の市議会総務常任委員会に報告する。

 市が継続雇用する従事員は現在196人が登録しており、窓口販売や警備、清掃業務などを行っている。3年間で半数が定年退職する見込みで、当面は委託会社の社員とともに従来の業務を続ける。

 函館本場と松風サービスセンターは一括で委託し、企画提案型のコンペ方式で審査委員会が選考する。札幌場外は施設の改修などが必要なことから、施設所有者への包括委託を考えている。

 委託する業務は、車券の販売・払い戻し、ファンサービスやイベントの実施、施設・設備の保守管理、選手宿舎の管理・運営、広報宣伝、他の競輪場や機関との連絡調整などがある。法律に基づき、開催日程や場外販売の設定、競技種類、払戻金の決定などは施行者(市)の業務として残る。

 09年度をモデルにした試算で、包括委託する金額の見込みは4億8949万9000円。施設維持管理費やイベント開催費、広告料、集計機器の保守などで平均10%のコスト削減が図られるとし、算出した。また、市競輪事業部の職員が3割削減され、従事員も退職することから、給与や賃金が削減され、年間1億3494万円の効果額を見込んだ。

 包括委託までのスケジュールは、9月定例市議会で委託に関する予算の担保の議決を得て、事業者説明会を開き、企画提案を受ける。選考に当たっては学識経験者や企業会計の専門家、競輪関係団体の関係者からなる審査委員会を発足させ、受託候補事業者を決め、契約内容の協議や調整を深め、年内に契約を結ぶ。年明けから個別業務の研修や引き継ぎをし、来年4月の実施となる。

 また、同部は先に示した競輪事業の収支推計を修正した。8月4日から4日間開かれた「ふるさとダービー」(GII)の売り上げが目標の120億円を10%下回ったため、来年度から単年度黒字に転換することに変わりはないが、累積赤字の解消が当初予定の2010年度から11年度に遅れると見込んでいる。(高柳 謙)


◎昭和営業所の土地 借用へ…函館バス
 函館バスが函館市から無償貸与されている昭和営業所(昭和1)の土地を契約終了後も賃貸での借用を申し出ていることに対し、市は申し出を受け入れ、同社と細部を協議する方針を固めた。22日に開かれる市議会総務常任委員会の委員協議会に諮る。

 昭和営業所は市交通局の資産だったが、2002年4月、市と同社の乗り合いバス事業を一元化して同社に移管したことを受け、市が土地を購入。同社を支援するため市は12年3月までの10年間、無償で貸し付けることにした。同社は、移管まで使用していた旧昭和ターミナル(美原3)から、施設が充実している昭和営業所に営業所を移転した。

 同社は、旧昭和ターミナル跡地に家電量販店や飲食店、カラオケボックスの複合施設を建設する計画を進めるなど、バス事業の収入を補うため不動産事業での増収に取り組んでいる。

 7月30日の市生活交通協議会(会長・工藤寿樹副市長)の会合で、貸し付けにおおむね理解が示されたことが、市の判断材料の一つとなった。

 市は(1)昭和営業所用地は各種計画で他の用途に利用する計画がない(2)函館バスが不動産事業で収益向上を図ることは乗り合いバス事業の安定的運営や市民の足の確保につながる―とし、申し入れを受け入れる方針を固めた。

 貸付料は、市財産条例に基づいた額を基本とし、今後、同社と具体的に協議する考え。(鈴木 潤)


◎道南40組受け入れ…北の大地への移住・交流促進会議
 道は20日、函館市美原の渡島合同庁舎で「北の大地への移住・交流促進会議」を開いた。総務省が北海道を含む全国4カ所で初めて実施する「移住モニター調査」の内容が明らかになった。道内では8月下旬から1月にかけて道南での40組を含む100組を受け入れる。移住受け入れの相談窓口や、情報提供などの業務を担う北海道コンシェルジュなどは、地元企業などとともに経済効果などを探る研究会を近く立ち上げ、ビジネスチャンスを探る。

 調査は総務省の「都市から地方への移住・交流の促進に関する調査」で、対象地域は北海道、青森、茨城、島根の4地域。体験移住者から満足度などを調査する。道南は道内でも人気が高く、受け入れ体制も整っていることから、全体の半数近くを受け入れる。

 茨城県は「2地域往来型」など、地域ごとに調査テーマや対象が異なる。北海道は「団塊世代移住型」として、主に都市部の団塊の世代を受け入れ、移住者に対するサービスの在り方と航空運賃の割引効果について検証する。

 会議は官民一体となった移住促進を図ろうと、函館を皮切りに道内5都市で開催。この日は移住ビジネスに関心がある道南の民間企業や自治体の関係者約50人が出席した。道の担当者らが、民間企業や自治体でつくる「住んでみたい北海道」推進会議の取り組みなどを報告した。(原山知寿子)


◎企画 緊急地震速報(1)…瞬時に震源や規模測定
 テレビを見ていたらチャイムが鳴り、「間もなく大きな地震が発生する」との情報が流れる。オフィスであれば机の下に隠れる。台所であれば火を消す。屋外にいれば危険個所から離れる。対応はさまざま考えられるが、誰もが迅速に行動に移せるのか。突然、流れてくる知らせをどう受け止め、どう行動すればよいのか―。

 地震に関する情報はこれまで、発生後に震源、震度、規模(マグニチュード=M)が発表されていた。10月1日に運用開始となる「緊急地震速報」は、最大震度5弱以上の地震と推定された際、震度4以上の揺れが予想される地域名が、揺れが来る前にテレビなどで流される。

 ただし、緊急地震速報は予知ではない。大地震が発生した際、震源に近い地震計(全国約1000カ所)で揺れを把握し、瞬時に地震の位置、大きさを推定。各地域に地震の発生を知らせる。なぜ可能なのか。

 大地震では、最初に小さい揺れがあり、その後、大きな揺れが発生する。最初の小さな揺れは「初期微動」(P波)と呼び、秒速約5―7キロの速さで伝わる。大きな揺れは「主要動」(S波)と呼ばれ、同約3―4キロの速さで伝わる。

 地震による被害は、主要動がもたらす。最初に一つの地震計で初期微動を観測すると、瞬時に震源や規模を決定し、主要動による揺れを予想した上で、地震波が伝わる地域や大きさを発表する。

 1993年7月の北海道南西沖地震(M7・8)では、函館市美原で震度4を観測。緊急地震速報があった場合、速報の発表から同市中心部に揺れが訪れるまでの時間は約25―30秒とされる。短時間ではあるが、落ち着き、大きな家具から離れるなどすれば、災害から身を守ることができる。

 だが、大勢の人がいる場所で、突然大地震の知らせを聞くと、避難しようとする人たちがパニックになる恐れもある。また、震源の周辺では発表が間に合わないこともあり得る。2004年10月の新潟県中越地震(M6・8)の震源は、内陸の浅い地点だった。一番近い地震計で初期微動を観測して解析している間に主要動が伝わり、大きな揺れが起きたとされる。

 「緊急地震速報があるから身を守れる」と安易に考えるわけにはいかない。運用開始まで正しい避難行動を考えるなど、情報を適切に利用するための心構えが欠かせない。

 気象庁は、地震発生や予測される震度を知らせる「緊急地震速報」を10月1日から導入する。地震による災害を減らすのが目的だが、内容をよく理解しないと混乱を招く恐れがある。間もなくスタートする新システムについて効果や心得を紹介する。(山崎純一)



◎鯨食文化伝える…函館くじら普及協・連続講座
 函館くじら普及協議会(藤原厚会長)主催の連続講座「鯨を学ぶ」の第4回が20日、函館市水産物地方卸売市場(豊川町)で開かれた。東京農大客員教授で、クジラ料理専門店「おばんざいくじら亭」(札幌)のおかみ、野口真希さんが講師を務め、試食を交えながら、クジラ肉のおいしさや栄養分の高さを伝えた。

 同講座は、かつて道南に根付いていた鯨食文化の再生を目指し、同協議会が市民や水産業関係者らを対象に開講。今回が全4回の最終回で、地元の大学生や高校生を含む約60人が受講した。

 テーマは「鯨料理のコツ―鯨は肉?魚?」。野口さんは「小中学校の給食で食べた時においしいと感じた」と、クジラ料理の道を志すきっかけを明かし、文献などを基に調べ上げた、国内での鯨食文化の歴史をひもといた。

 試食会では、クジラ肉を取り入れたカルパッチョや、握りずしなど4品を提供。参加者は舌鼓を打ちながら、彩り豊かに盛り付けられた見栄えの良さや、うま味を引き出したメニューの数々に感心しきりだった。

 野口さんは「肉を引っ張って、伸びない方向にスジが入っている」「密封状態で解凍すれば、色の黒ずみやにおいがつくことを防げる」などと調理のコツを伝授し、「肉を見る目を養うことで、特性を生かした料理ができるはず」と食卓での活用を促した。(浜田孝輔)