2007年8月25日(土)掲載

◎“寅さん”ぶらり来函…サラリーマン芸人・野口さん
 故渥美清さんが演じ、現在も根強い人気を誇る「男はつらいよ」シリーズの車寅次郎に扮して、東京都内で観光ガイドなどを務める野口陽一さん(57)が24日、函館市を訪れた。ベージュのスーツに腹巻き姿、革のトランクを持ち、道内を“寅さんスタイル”で旅してきた野口さんは「北海道の人は素朴でまっすぐ。函館はおしゃれな街で心が洗われた」と話した。

 野口さんの本業は、NTTの関連会社に勤める会社員。お笑い芸人としての顔を持ち、ものまねや寄席などで施設を慰問する活動も行う。1996年8月に渥美さんが亡くなったのを機に、寅さんの格好で、下町のボランティアガイドを始めた。97年には、夕張で開かれた「寅さんなりきりコンテスト」で準優勝した経験もある。

 今回は勤続30年の休暇を利用して本道へ。19日に夜行バスやフェリーを乗り継いで函館入り。夕張や稚内で老人介護施設を慰問し、帰路につく前に再び函館を訪れた。函館は同シリーズ第15作「寅次郎相合い傘」(75年)で、浅丘ルリ子さん演じるマドンナ・リリーと寅さんが再会したゆかりの場所。野口さんは「リリーに会いに来ました」と、すっかり寅さんになりきり、笑顔を見せた。

 この日は、朝市などで市民や観光客の歓迎を受けたという。野口さんは「寅さんは何か失敗した時に元気をくれたので、この活動はその恩返し。来年は函館でも施設慰問を行いたい」と話し、次なる出会いを求めて再び旅立っていった。(今井正一)


◎函館のホームレス 25人から7人に減少…厚生労働省調査
 函館市内で生活するホームレスの人は男性6人、女性1人の計7人で、前回2003年の調査時より18人減っていることが、厚生労働省が実施したホームレスの実態に関する全国調査の結果で明らかになった。道内の政令指定都市、中核市では、札幌だけが増加し道内全体の増加につながっており、ホームレスが札幌に集中している実態がうかがえる。

 この調査は、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づく「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」の期限が2008年までであるため、見直しの検討に当たって実施。ことし1月、同省から委託を受けた全国の市区町村が目視で概数を調査した。

 道内全体では161人(男性139人、女性9人、不明13人)で、前回調査の142人より19人増加。調査結果が公表された政令指定都市の札幌と中核市の旭川、函館のうち、札幌は132人(男性113人、女性6人、不明13人)と全体の9割以上を占め、前回よりも44人増えた。旭川は10人(男性9人、女性1人)で前回を11人下回った。

 全国では1万8564人で、前回調査より6732人減少した。都道府県別では大阪府が4911人で最も多かったが、前回より2846人減少。次いで東京都の4690人(前回比1671人減)と、大都市圏では軒並み減少している。

 同省の社会・援護局地域福祉課は「自治体などのホームレスに対する支援策や景気回復傾向が、全国的な減少につながっている」とみている。各都市の増減の要因は分析していないが、「北海道は地方から大都市の札幌に集中する傾向にあるのでは」としている。(原山知寿子)


◎安全・安心なまちづくり条例 制定に向け審議継続…市議会常任委
 函館市議会の民生常任委員会(佐古一夫委員長)が24日開かれ、市町会連合会など4団体の連名で議長に提出されていた安全・安心なまちづくり条例制定の要望について、制定に向け審議を継続することを申し合わせた。

 同条例制定の要望は昨年11月にも議長に提出され、同常任委で審議されていたが、議員の改選に伴い、4団体が5月18日付で再度提出した。

 条例制定の是非については、各委員とも制定に前向きな姿勢を示した。条例の内容や制定方法について「条例の実効性をどう担保するか」「他都市の条例を調査し、具体的効果、成果を把握してから着手すべき」「漠然とした安全、安心のとらえ方について議論する余地がある」など、さまざまな検討課題が提起された。

 地方自治法の改正で常任委も条例の提案が可能となったが、民生常任委として提案するかどうかについては、各委員とも「さらに調査が必要」などと慎重な意見が相次ぎ、次回以降の審議に持ち越された。

 同条例は犯罪のないまちづくりの取り組みを推進するもので、道が条例化したのをはじめ、道内の市町村では、室蘭市や釧路市、小樽市などが制定している。(鈴木 潤)


◎船舶や魚介類好調…7月の函館港貿易概況
 函館税関は24日、7月の函館港貿易概況を発表した。輸出は鉄鋼のくずが全減したものの、船舶や魚介類・同調製品などが好調で、前年同月比2・9%増の24億2400万円。輸入は非鉄金属鉱が全増する一方で、魚介類・同調製品や石炭などが減少し、同15・2%減の14億7100万円にとどまった。

 輸出の品目別では、前年同月に4億7000万円あった鉄鋼のくずが全減。しかし、パナマや中国向けの貨物船2隻のあった船舶が同21・3%増の22億5100万円、ニシンやタラなどの魚介類・同調製品が同41・8%増の2700万円に上り、全体では2カ月連続のプラスとなった。

 輸入は、アルミニウム鉱などの非鉄金属鉱が全増となる8700万円。一方で、サケ・マスやイカなどの魚介類・同調製品が同17・8%減の10億4300万円、石炭が同27・3%減の2億9500万円と低迷し、全体では5カ月ぶりのマイナスとなった。

 また、道内の貿易概況は、輸出が同15・2%増の304億1400万円と8カ月連続の増加。貨物船など7隻の船舶が前年同月の3・9倍に相当する72億6000万円、建設用重機などの一般機械が同24・8%増の58億1600万円、印刷や新聞用などの紙・板紙が同66・5%の16億6500万円などと、大きな伸びを見せた。

 輸入は、農業用機械などの一般機械が同3・5%減の22億6600万円、魚介類・同調製品が同8・7%減の92億9800万円と低迷。しかし、原・粗油が同5・5%増の456億6100万円、ウッドチップが同87・1%増の28億100万円、石炭が同28・5%増の53億5100万円となるなどし、全体では同8・8%増の970億4600万円で、4カ月ぶりに好転した。(浜田孝輔)


◎持ち直すも前年比18%減…市職員採用試験出願者
 応募が低調だった2008年度の函館市職員採用試験の申し込みが締め切られた。後半に持ち直したものの、一般事務(大卒、短大卒、高卒)は前年の332人を18%下回る271人にとどまった。出願者は年々減少しており、市人事課は「財政難から公務員の給料が抑えられ不人気となったことや、景気が回復した首都圏や東海地方の民間会社に人材が流れたことが考えられる」と話している。

 今年は8月6日から17日まで申し込みを受け付けた。13日現在の中間発表では、前年同期を6割下回る60人とかなり低調だった。例年、申し込み期間の後半に願書が増え、今年も持ち直したが、最終的には前年実績を下回った。

 一般事務の行政は、短大卒(38人)、高卒(44人)が前年実績をわずかに上回ったが、前年度204人が出願した大学卒は25%減の153人にとどまった。

 大卒の一般事務・行政職以外は、経済・経営5人(前年度8人)、国際13人(同19人)、水産海洋7人(同18人)、情報11人(同10人)と、多少のばらつきはあるが、前年並みの職種が多かった。

 行財政改革の一環で07年度の採用は9人にとどまり、08年度も採用予定は若干名。志願者が減ったとはいえ、かなりの高倍率になりそうだ。(高柳 謙)


◎定員は前年度通り…市内私立8高校
 函館市内8つの私立学校で構成する函館地区私立高校長会(会長=野田義成遺愛学院理事長)は24日、2008年度入試の募集定員を発表した。8校合わせた定員は、07年度と同じ1671人。渡島管内の07年度中学卒業生を実質14人増とみて、前年度並みと判断した。道教委が9月に示す「公立高校配置計画」(08―10年度)が決定するまでの暫定的な数値だが、同計画が6月に示した案通りとなれば変更はない。

 渡島・桧山管内の中学校の進路指導教諭を対象に同日開いた、函館地区私立高校合同進学懇談会で明らかにした。

 道教委は08年度、熊石高校の特例2間口を解消して1学級減らす計画。函館、北斗2市の卒業生を合わせると、前年度比14人増となる見込みで、「ほとんど同数の入学者がいる」(野田会長)と考えた。

 一般入試の日程は、道内の私立高校では併願可能な複数入試方式を導入しているが、函館地区は8校すべてがA日程を希望したため4年連続の統一日程となる。いずれの学校も08年2月4日から願書を受け付け、同14日に試験を実施、同21日に合否を発表する。推薦入試は、同1月16日から出願開始、同19―23日に試験を行う。

 学校別の紹介では、函館大妻高校が、生活情報科を廃止、実質家政科に統合させ、食物健康科を新設することを発表した。卒業時に調理師免許を取得できるよう申請中で、希望者は訪問介護員2級の資格も取得可能。同校は「“福祉の大妻”のイメージを発展させ、食を通じた健康福祉を中心に学ぶ」と説明した。

 学校別の定員は次の通り。

 ▽遺愛女子 262人▽函館大谷 142人▽函館大妻 200人▽清尚学院 103人▽函大付柏稜 242人▽函館白百合学園 200人▽函大付有斗 292人▽函館ラ・サール 230人(小泉まや)