2007年8月28日(火)掲載

◎光成中の有志が啄木の銅像をボランティア清掃
 函館光成中学校(薮岸清校長、生徒112人)の生徒70人が27日、函館市日乃出町の啄木小公園や付近の海岸でごみ拾いなどのボランティア清掃を実施した。公園と海岸に分かれて役割分担し、草刈りやふき掃除など1時間ほど作業に当たった。

 石川啄木の銅像は男子生徒3人が土台に登り、鳥のふんなどで汚れた顔や体をふいて掃除。海岸では空き缶や食料品が入っていた袋などを拾い集め、タイヤやコンロの粗大ごみも収集した。

 この活動は1986年に同校生徒が1人で始め、翌年から同校で毎年取り組んでいる。生徒会が中心となって校内から有志を募る課外活動で、同公園の清掃と7月の海岸清掃はそれぞれ年1回ずつ実施。校区内でごみ拾いは毎月1回行っている。

 生徒会長の越前志帆子さん(14)は「少しでも自分たちのまちがきれいになればいいと思ってやっています」と励んでいた。(宮木佳奈美)


◎集団暴行で高3死亡…中学同級生ら逮捕
 26日午後10時40分ごろ、函館市昭和町20の昭和公園で、同市富岡町2、函大付属有斗高3年佐藤智也君(18)が倒れているのを巡回中の男性警備員(43)が見つけ、連絡を受けた警備会社が110番通報した。佐藤君は意識不明の状態で市内の病院に運ばれたが、頭などを強く打ち、27日午後零時53分、脳挫傷などで死亡した。同署は任意で事情を聴いていた佐藤君の中学時代の同級生ら7人の少年が「集団で殴った」などと犯行を認める供述をしたため同日深夜、傷害致死容疑で逮捕した。

 逮捕されたのは、同市内に住む15歳から18歳の男子高校生6人と無職の少年1人。同署は犯行の動機や経緯を追及している。

 同署によると、佐藤君は同公園内の木製遊具付近の遊歩道にあおむけに倒れ、右前頭部や右ひじに擦り傷、唇に打撲のあとがあった。犯行現場は同公園などとみられる。このほか衣服や靴、髪の毛がぬれていたという。発見現場から約30メートル離れた地点には水深約5センチの小さな池や休憩所があり、近くには佐藤君の家族の自転車が止めてあった。

 佐藤君は同日夕、家族に「友達と会うために出掛けてくる」と言って自転車で出掛けたまま、行方が分からなくなっていた。佐藤君は発見当時、現金や財布は持っておらず、普段掛けている眼鏡は自転車の前かごに入っていた。

 公園内には休憩所や木製遊具のほか、テニスコート、サッカー場などがあり、24時間出入りできるという。付近には民家が点在しているが、夜間の人通りは少ないという。公園内で犬の散歩していた近所の男性(61)は「まさかこんなところで事件が起きるとは。夜な夜な若者がたむろする姿は見たことがあるが…」と不安げな表情で話していた。


◎高野会頭が続投へ…函館商工会議所
 函館商工会議所の常議員会が27日、同会議所で開かれ、10月末で任期満了となる会頭職について、現職の高野洋蔵氏の続投を求めることに同意した。正式決定は、11月初旬に予定している臨時議員総会の場に委ねられるが、高野氏が留任に前向きな姿勢を見せていることから、選任は確実な見通し。

 高野氏は、前任の会頭が体調不良などを理由に任期途中で辞したのを受け、2000年5月15日に第14代同会議所会頭に就任。会頭の任期は3年で、新たな任期は11月1日から。

 ことし4月の函館市長選では、同会議所の政治団体、日本商工連盟函館地区連盟(会長・高野会頭)が推薦した現職の井上博司氏が敗北。助役を辞職して立候補し初当選した西尾正範氏が、井上氏と経済界の関係を酷評する発言があったことから、両者間の確執を懸念する声が広まり、責任問題も相まって高野氏の去就が注目されていた。

 常議員会ではこのほか、同市内・近郊の優良企業から選出する3号議員候補の15社のうち、退任の申し出があった日本通運函館支店の代わりに、JR北海道函館支社を2号議員から昇格させることを決定。15年までに開業予定の北海道新幹線に向けた、地元での体制強化を図ろうとする高野氏の意向が反映された。各社は9月3日に職務代行者を届け出ることになっており、一部に世代交代の動きも見られそうだ。

 2号議員35人については、6部会の会員数や選挙権などにより割当数が決められており、商業部会が今期比1人減の7人、工業部会が同1人増の9人で、そのほかの部会は今期と同数(3―7人)。1号議員は立候補制で、定数の50人を超えた場合には選挙となる。

 また、11月初旬には臨時議員総会が開かれ、会頭や副会頭などが選任され、新体制がほぼ固まることになる。

 3号議員候補に選ばれた企業は次の通り。(順不同)

 テーオー小笠原、丸井今井函館店、日本化学飼料、函館どつく、北海道ガス函館支店、北海道電力函館支店、北海道サンアグロ、魚長食品、道水、JR北海道函館支社、ジャックス函館支店、北洋銀行函館中央支店、北海道銀行函館支店、エスイーシー、函館空港ビルデング(浜田孝輔)


◎風車10−13基を建設…江差風力開発
 【江差】江差町内で出力1万9500キロワットの風力発電事業を計画している江差風力開発(東京・松島聡社長)は27日、町内北部に出力1500―2000キロワット級の風車を10―13基建設することを柱とする事業計画案を町議会に説明した。

 同社は、2月に北海道電力が行った抽選による買電枠の募集で当選した、風力発電国内第3位の日本風力開発(同・塚脇正幸社長)が設立した100%子会社。

 立地を計画しているのは、水堀、越前、中網、朝日など北部の農業地帯。エリア内には風車、変電所、送電線を建設する。風車の建設は出力に応じて変わり、10―13基を予定している。2000キロワット級風車の場合、3枚の翼は長さ約40メートルあり、全高は約120メートルになるという。

 総事業費は約40億円。環境調査、用地の賃貸交渉や農地転用手続きを経て、2008年11月にも着工、10年春の売電開始を目指す。事業費の1割を占める土木工事は、地元業者に発注するほか、職員の地元採用、立地エリアの農業振興などの地域貢献策も検討する。

 同社は05年から立地エリア内の柳崎、越前、同町の第三セクター・江差ウインドパワーが風力発電を行っている元山の3カ所で風の観測を行っている。柳崎では年平均で毎秒7メートル強、越前でも同7メートル弱の風速があった。稼働状態にある風車が実際に発電した出力を示す設備利用率は「風速7メートルで30%、6メートルでも25%が達成できる見込み。十分に採算は合う」(松島社長)という。元山は風力発電には適さない低い数値だった。

 売電価格は1キロワット時3・3円で、期間は10年3月から17年間。電力需要が低い時期には送電を一時停止するが、新エネルギー特措法(RPS法)により、風力で生み出した電力の付加価値(環境価値)を大手電力会社に売却できるため「収支は心配ない」(同)という。

 また、事業は法律に基づく、環境影響評価(環境アセスメント)の対象外だが、同社は9月から騒音や電波障害、風車と野鳥の衝突など自然環境への影響調査を開始する。結果をもとに住民説明や環境団体との協議も行う方針という。(松浦 純)


◎永野悦子さん講演 市内2中学で記念植樹も
 1945年8月9日に長崎で被爆を体験し、現在は長崎平和推進協会継承部会員を務める永野悦子さん(78)の講演会が27日、函館市内2つの中学校で開かれた。生徒らは真剣な表情で耳を傾け、原爆の恐ろしさなどを学んだ。講演後には永野さんと生徒らによる記念植樹も行われ、平和への願いを込めた。

 函館市の「核兵器廃絶平和都市推進事業」の一環で、1994年度から広島、長崎へ市内の中学生を平和大使として派遣し、98年度からは両市から講師を招いている。本年度は、長崎に6中学校から各1人を派遣し、その中の4校で講演会と記念植樹を企画した。

 函館深堀中学校(内田弘治校長、生徒数366人)では、生徒や教諭、保護者が受講。永野さんは16歳の時に学徒動員で勤務中、爆心地から約2・8キロの地点(現在の長崎市片渕町)で被爆した当時の様子を赤裸々に語り、生徒らの一部にはあまりの悲惨さに涙を流す姿も見られた。

 講演後、永野さんと生徒会役員らは、同校の庭にツツジの苗木1本を植樹。平和大使で同校生徒会長の斉藤小夏さん(3年)は「戦争が2度と起こらないよう、平和の尊さを後輩などに強く伝えていきたい」と話していた。

 同日は宇賀の浦中学校でも行われた。28日は函館赤川、旭岡両中学校で講演会と記念植樹が行われる。(浜田孝輔)


◎議会改革案を議論…市議会議運委
 函館市議会の議会運営委員会(能川邦夫委員長)が27日、開かれた。阿部善一議長から7月20日付で諮問のあった議会改革案について議論。阿部議長は▽議会議論の活性化と分かりやすい議会実現のための一問一答制導入▽一般質問時に、答弁のない部局理事者の本会議場への出席の必要性―の2点について、諮問理由を述べ、各委員が議論を交わした。

 阿部議長は、議会を傍聴した市民から「議員の質問、理事者の答弁が分からない」「議員の追及が甘い」などの指摘があることを挙げ、「質問のあり方としての基本的指摘を受けている。言論の府として市民の負託に応えなくてはならない」とし、一問一答制の必要性を述べた。

 また、本会議中は25の部局長が理事者として出席するが、第2回定例会の個人質問で、議員1人の質問に対し、答弁したのは最大で9部局。阿部議長は「本会議場への出席は市長が決めることだが、議会の効率化や業務を考えれば、質問のある部局だけの出席で良いのではないか」と述べた。

 白崎憲司郎氏(新生クラブ)は「何年も前から議論されていることだが、結論を出さなくてはならない」と述べた。また、佐古一夫氏(同)は「理事者の出席は必要だが、(課長職ら随行の)お供が多すぎるのではないか」と意見を述べた。議会改革案は今後、各会派で調査研究し、引き続き議運で議論する。

 このほか、議運では陳情「開かれた函館市議会のために」を継続審査とすることなどを決めた。(今井正一)