2007年8月3日(金)掲載

◎港まつり「ワッショイはこだて」ねぶた、八雲山車行列も
 「開港148周年記念函館港まつり」(実行委主催)は2日、メーンイベントの一つ「ワッショイはこだて」が十字街・松風コースで行われた。ことしは2年ぶりに「青森ねぶた」が参加したほか、八雲町の八雲山車行列「前あんどん」も加わり、地元の参加者と合わせて66団体約9300人、山車74台が、港おどりや函館いか踊りなどで会場を盛り上げた。

 函館市末広町の十字街付近で行われた出発式では、実行委の金道太朗副会長が「短い夏の一日を大いに楽しんでほしい」とあいさつ。ミスはこだてと新潟、横浜、神戸、長崎の開港5都市親善大使も紹介され、会場は一気に華やかな雰囲気に。

 続いて同市豊川町の豊川広路を先頭にパレードがスタート。同松風町までの電車通り沿い約1・4?のコースを各団体が工夫を凝らした山車とそろいの衣装で華やかな踊りを披露しながら通りを練り歩いた。沿道に詰め掛けた観客からは熱い声援が盛んに送られた。

 中でも青森ねぶたの一行は、「らっせらー」の元気な掛け声の跳人(はねと)と呼ばれる踊り手が「項羽の馬投げ」のねぶたを先導。勇壮でカラフルな歴史絵巻が暗闇にくっきりと浮かび上がり、観客を魅了した。

 3日は午後4時半から「ワッショイはこだて」の堀川・五稜郭コースが行われ、79団体、約12000人、山車64台がパレードを行う。また同6時から同市末広町高田屋通り(レンカ堂前)では「第24回十字街ファンタジアクロスカラオケ選手権大会」などが予定されている。 (小川俊之)


◎市立函館博物館「蘇る縄文ロード」6000人突破
 市立函館博物館(青柳町17、長谷部一弘館長)で7月1日から開かれている特別企画展「蘇る北の縄文ロード―発掘された縄文の世界―」の来場者が、同31日までの1カ月間で6096人に達し、近年の特別企画展の入場者を大幅に上回っている。展示している道内初の国宝「中空土偶」効果が如実に表れている。

 南茅部地区の著保内野(ちょぼないの)遺跡から出土した中空土偶が国宝に指定されたことを記念した企画展で。会期は19日まで。中空土偶が呼び物の一つだが、北海道と青森、岩手などの北東北に形成された縄文文化を紹介する内容で、土器や刀形石器、装飾品など国や自治体の重要文化財に指定された埋蔵文化財を中心に約1000点が一堂に集まっている。

 7月31日までの28日間は、ほぼ連日100―300人の来場を維持。100人を下回ったのはわずか一日だけ。

 この10年間に開催した特別企画展の来場者は、2000―3000人前後で推移。2002年6月から8月に開催した「函館博物史」が総計3388人と最多だが、今回より会期が1カ月ほど長い。ほぼ会期が同じで好評だった04年の「ペリー箱館来航150年」は同2738人だった。

 好調な要因として同博物館は「国宝の価値」を第一に挙げ、「ほかの特別企画展と比べ、リピーターが多く、1回滞在時間も比較的長い」と分析。「土偶をきっかけに縄文文化に関心を持ってもらえるのでは」と期待する。客層は家族連れや考古学ファンだけでなく、札幌や旭川、道外からの観光客が比較的多いことも特徴として挙げる。

 長谷部館長は「縄文時代にはぐくまれた知恵や精神文化、高水準な技能を知っていただく機会。貴重な資料が展示されているのでぜひ見てほしい」と来場を呼びかける。

 入場料は一般500円、高校生・大学生300円、小中学生100円。月曜休館。問い合わせは同博物館TEL0138・23・5480。 (鈴木 潤)


◎道南初 救急救命士の益子さん「薬剤投与」認定
 函館市消防本部の救急救命士で北消防署東雲救急隊長の益子康さん(41)がこのほど、心肺停止状態の患者に「薬剤投与」が可能な救急救命士として道の認定を受けた。道南第1号の認定で、7月16日から必要に応じて救急患者に心拍を再開させる薬剤(強心剤)を投与できる態勢に入った。益子さんは「これで救える命も増えるはず。救命率の向上を目指したい」と意欲に燃えている。

 薬剤投与はこれまで医師にしか許されていなかったが、救急救命士法の改正で昨年4月から、認定を受けた救急救命士の処置も可能になった。不整脈や心筋梗塞(こうそく)などで心肺停止状態となった患者に対し、医師の指示に基づき、点滴を通じてアドレナリンを静脈に注入する。

 益子さんは昨年11月末から、道消防学校(江別市)で薬学や感染症対策などについて学ぶ170時間の講習を受けた後、ことし1月中旬から市立函館病院で50時間の実習を行い、道救急業務高度化推進協議会から認定された。

 同本部によると、昨年救急搬送した患者のうち心肺停止状態だったのは276人に上る。出動現場で薬剤投与ができれば「心拍再開が遅れることによる脳障害などの後遺症を防ぎやすくなり、早期の社会復帰も期待できる」(救急課)という。

 同本部は2日、60歳の男性が家庭内で倒れ、心肺停止状態となった想定で、益子さんらによる薬剤投与の模擬訓練を報道陣に公開。気道確保や除細動、薬剤投与など一連の流れをダミー人形を相手に手際良くこなした。

 益子さんは「救急救命には市民の理解と協力が第一。薬剤投与は一つの手段として有効に活用し、1人でも多くの助かる命を救いたい」と話している。 (森 健太郎)


◎函館でことし初の真夏日
 2日の道南は南から暖かい空気が入り、気温がぐんぐん上がった。函館海洋気象台によると、函館ではことし初めて30度を超えて31・1度を記録。木古内で32・0度、北斗で31・6度、厚沢部町で31・1度、森で30・4度とそれぞれ真夏日となった。函館で2日に真夏日を観測したのはこの3年間で最も早い。

 函館市根崎町の市湯川海水浴場(市営熱帯植物園前浜)では、朝から涼を求め、若い人や家族連れが来場。午後2時までに200人以上が訪れた。同市深堀町の専門学校生(18)は「ようやく夏らしくなった。もっと暑くなってもいい」と喜んでいた。監視員の男性は「好天となった1日から来場者が多くなった。今日は波がやや高く、浮き島が動くので来場者は喜んでいる。休日であればもっとにぎわっていただろう」と話していた。

 同気象台によると、3日は前線が停滞し、天気は悪くなる見込み。4日には台風5号が北海道に接近すると予想されている。 (山崎純一)


◎福島町で九重部屋夏合宿始まる
 【福島】大相撲九重部屋の夏合宿が2日、福島町福島の横綱記念館の稽古(けいこ)場で始まった。町出身の九重親方(元横綱千代の富士)の指導の下、力士たちは真剣な表情でけいこに臨んでいる。19日まで。

 1997年の同館の開館以来、毎年8月上旬に来町しており、ことしで11回目。大関の千代大海ら十両以上の関取は夏巡業に参加中のため、三段目以下の若手が中心。

 この日は、午前7時前に稽古場入り。しこやランニングなどで体をほぐした後、同8時から約3時間、ぶつかりげいこを中心に筋力トレーニングなどで汗を流した。九重親方が「腰を下ろせ」「もっと力を入れろ」と大声を上げると、約40人の見学者も緊張した空気に包まれていた。

 神奈川県から訪れた増田愛香さん(30)は「迫力あるけいこと力士の真剣な表情に感動した」と興奮した様子。九重親方は「環境のよい福島で、みっちりけいこを積み、実りのある合宿にしたい」と話していた。

 一般公開は午前8時からで、同10時ごろまで。10日は休み。入館料大人500円、子ども250円。町民は無料。 (田中陽介)


◎教育大附属中と特別支援学校にAED設置
 道教育大附属函館中学校(冨田幸雄校長、生徒356人)と同附属特別支援学校(松本貴司校長、児童・生徒59人)はこのほど、校内に自動体外式除細動器(AED)をそれぞれ設置した。児童や生徒が心臓発作を起こした時や、運動中の事故などに対応する。両校は教職員を対象にした講習を定期的に行い、不測の事態に備える。

 AEDは、2005年に示された日本版救急蘇生(そせい)の新ガイドラインで、人工呼吸や心臓マッサージとの併用が盛り込まれた。道南でも函館市や北斗市の公共施設を中心に導入が進み、5月には函館あさひ小学校でもPTAが独自に備え付けた。

 同附属の幼稚園と小、中、特別支援学校はすべて函館市美原3の同区域内にあるが、中学校と幼稚園、小学校は比較的近くにあり、特別支援学校が離れていることから2校に設置した。

 1台当たりの導入費用は、5年リースで30万円。同特別支援学校では体育館前の廊下に配備。小笠原章人副校長は「心臓疾患やてんかんを抱える子どももいる。幸いこれまでに必要と感じた場面はなかったが、もしもの時に備えて安心」と話している。

 同校は例年、普通救命講習を行っており、昨年度からAEDを使用する講習を取り入れている。25日には教職員28人中26人が参加し、函館北消防署で受講した。「設置されたこともあり職員は真剣だった」(小笠原副校長)という。同様の講習は、同附属函館中でも8月に実施する予定。 (小泉まや)