2007年8月31日(金)掲載

◎函館中央図書館に「建築賞」
 日本図書館協会(東京)の第23回建築賞に、函館市中央図書館(中山公子館長、五稜郭町26)が選ばれた。利用しやすい設計や周囲の景観を利用した構造などが評価された。授賞式は10月29日に東京で開催する全国図書館大会で行われる。中山館長は「非常に名誉でうれしいこと。もっともっと利用される図書館を目指したい」と受賞を喜んでいる。

 同賞は、建物の建築様式や図書サービスが優れた図書館を顕彰しようと、同協会が1985年に創設。毎年、自治体や大学、学校などのすべての種類の図書館(室)を対象に公募し、建築専門家や図書館専門家らによる選考専門委員会で優れた図書館を選ぶ。道内からこれまで、置戸町生涯学習センター、道工大(札幌)、恵庭市立、石狩市民の4館が受賞している。

 今回は2006年3月31日以前に開館した図書館が対象で、市中央図書館のほかにも、全国各地から6館が応募した。書類審査や選考委員による視察の結果、中央図書館は(1)開架図書の陳列方法や資料スペースの区分が明快で、全体的に落ち着いた居心地の良い空間を形成している(2)児童部門と一般開架のつなぎ部分に育児・家事の資料と閲覧するスペースを配置するなど、家族連れの利用者に便利なアイデアが施されている(3)隣接する五稜郭公園の緑地が、開架室の窓から借景になるよう工夫するなど、ロケーションを生かしている(4)太陽光発電を採用し省エネルギーにも配慮している―などと高い評価を得た。

 中山館長は「今回の賞で使いやすい図書館というお墨付きをもらったような気がする。受賞を契機に、まだ訪れたことのない人にも便利な施設であるということをアピールしていきたい」と話している。

 同図書館は2005年11月にオープン。鉄筋コンクリート造り2回建てで、延べ床面積7687平方?。鬼頭梓建設設計事務所(東京)・佐田祐一建築設計事務所(同)共同企業体が設計した。

 館内には約40万冊を所蔵しているほか、AVブースや視聴覚ホール、研修室などが設けられている。2006年度の利用者数は約80万人で、今年2月には通算100万人に達した。 (鈴木 潤)


◎15日に「鯨と食文化を語る集い」
 函館くじら普及協議会(藤原厚会長)などは、9月15日にホテル函館ロイヤル(函館市大森町16)で「鯨と食文化を語る市民の集い」を開催する。俳優の菅原文太さんによる講演や、有識者らを交えたパネルディスカッションを予定し、参加者にはクジラ肉を取り入れた弁当が提供される。同協議会は「函館初開催のイベントをぜひ楽しんで」と参加を呼び掛けている。

 同イベントは、クジラ食文化を守る会(東京、小泉武夫会長)が日本伝統の鯨食文化の継承と、捕鯨に対する認識を深めてもらうことなどを目的に、2004年から年に2回、全国各地で開催。函館では初めてで、道内では06年9月の釧路に次いで2カ所目となる。

 同協議会が、古来鯨食の習慣があり、近年ではツチクジラの調査捕鯨に取り組んでいる函館の活性化につなげようと、同イベントを誘致。5月からは、市民らを対象にした連続講座「鯨を学ぶ」を4回にわたって開講し、イベントの成功に向けて準備を進めてきた。

 菅原さんは、調査捕鯨船に乗船して海の生態系を調べるなど精力的に活動しており、当日は「クジラあれこれ」をテーマに講演。パネルディスカッションでは、菅原さんのほか、作家の島村菜津さん、北大大学院水産科学研究院准教授の松石隆さん、小泉会長をパネリストに迎え、「函館とくじら」を演題に議論を交わす。

 講演、パネルディスカッション後に配られる弁当は、「鯨ステーキ」「鯨ベーコン」「さらし鯨の酢みそあえ」「竜田揚げ」が入った、函館オリジナル。会場の一角では、鯨肉を大和煮にした缶詰やジンギスカンなどを割安で販売する。

 イベントの開催時間は午後3時―同5時半。参加するには事前の申し込みが必要で、先着700人に達し次第締め切る。入場料は500円で、当日会場で支払う。

 藤原会長は「函館はクジラに関して歴史深い町なので、イベントを通じて身近な食材として再認識してもらい、町おこしにつなげていければ」と話している。

 申し込み、問い合わせは、市水産課TEL0138・21・3335、ファクス同23・0325。 (浜田孝輔)


◎函館市、大地震想定し防災総合訓練
 函館市防災総合訓練が30日、函館港港町ふ頭で行われた。大地震発生時の火災や家屋倒壊、避難者の支援など、起こりうるさまざまな事態を想定。約1000人の参加者が、陸上や海上で訓練に取り組み、防災意識を高めた。

 市防災会議(会長・西尾正範市長)の主催で、毎年、「防災の日」(9月1日)に合わせて開催。警察や消防、海保、自衛隊など23の関係機関、自主防災組織46団体、周辺の3町会が参加した。西尾市長は「関係機関の力を合わせ、災害に強い街づくりを進める。防災意識を高め、備えを万全にしてもらいたい」と話した。

 訓練は、青森県東方沖を震源とするマグニチュード8・0の地震が発生し、震度6強の揺れを観測。同時に太平洋沿岸西部に津波警報が発令され、市内でも被害が拡大している、との想定で実施した。初期消火や、倒壊家屋からの救助、都市ガスや水道といったライフライン復旧作業などの訓練を展開した。

 本年度は、新たに塩化水素を積載したトラックとバスが衝突し、周囲に有毒ガスが発生した場合に備えたBC(バイオ・ケミカル)災害対応訓練を導入。防護服に身を包んだ警察官や消防士らが負傷者を救助し、除染作業や汚染地域の封じ込めを行うなど、緊迫感あふれる迅速な作業を行っていた。

 13人がバケツリレーでの初期消火や炊き出し訓練に参加した港町会の高橋健さん(76)は「町会内の防災意識は高い。全市一斉のこうした取り組みは継続することに意義がある。訓練は訓練だが、災害は起こらない方がよいですね」と話していた。 (今井正一)


◎高3集団暴行死 中学の元同級生が主導か
 函館市内の公園で同市富岡町2、私立高3年佐藤智也君(18)が中学時代の同級生ら7人に集団暴行されて死亡した事件で、逮捕された少年の1人で、別の高校に通う元同級生の少年(17)が事件の中心的な役割を果たしていたことが30日までに、函館西署の調べで分かった。同署は集団暴行の背景に佐藤君とこの少年の間の金銭をめぐるトラブルがあったとの見方を強め、動機の解明や裏付け捜査を進めている。

 これまでの調べで、26日午後7時すぎ、元同級生の少年が佐藤君を捜していることを知っていたた別の少年らが、近くの公園で遊んでいた佐藤君を富岡中央公園に連れ出した。その後、同公園を訪れた元同級生の少年が佐藤君に「タイマン(1対1のけんか)をやろう」「お前もやりたいんだろ」と切り出したという。金属バットを使って佐藤君の背中などに暴行を加えた少年2人のうち1人も元同級生だった。

 同署の調べに対し、逮捕された少年の1人は「(元同級生の少年が)佐藤君からお金をもらう約束をしていたが、『日にちをずらされた(先延ばしにされた)』と話していた」と供述していることが分かっている。同署は、佐藤君が元同級生らに依頼したボディーガードの「対価」との関連を含めて調べている。

 富岡中央公園の近隣住民の話によると、「(26日)午後6時ごろ、公園の水飲み場辺りから『助けて、助けて』という声が聞こえた」サ男子児童(11)=、「『キャー』という声が聞こえ、富岡交番に電話で通報したが誰もいなかった」=主婦(65)=と、事件当夜の出来事を証言する声も聞かれた。

 一方、生徒3人の逮捕者が出た高校の教頭は「3人は授業への集中力を欠くことはあったが、目立った問題行動はなかった」と話す。このうち2人は最近学校を休みがちだったいう。「命の大切さや他人を思いやる気持ちを折に触れて指導してきたが、浸透していなかった」とした上で、「加害者でも傍観者でも誰一人119番、110番通報することができなかったのか…」と無念さをにじませた。

 佐藤君は小学生のころから、ほぼ毎日自宅近くの富岡児童館を訪れ、近所の小学生らとよく遊んでいた。季節の行事の準備や手伝いにも積極的で、子どもたちの面倒見が良かったという。青木靖典館長は「何であんなに優しい子が、事件に巻き込まれたのか…。人に好かれる子どもだったので想像できない。抱えていた悩みを感じ取ることができれば、こんなことにはならかったかもしれない」と肩を落としていた。


◎市教委、高3集団暴行死事件を受け緊急合同校長会議
 「大変残忍な事件で、今まず学校がすべきことは、子どもの不安を和らげること」―。高校生らによる集団暴行事件を受けて函館市教育委員会は30日、市立の全学校長を招集して緊急合同校長会議を開いた。多賀谷智教育長は、子どもや保護者、地域住民のケアを要請した。

 日ごろから子どもが遊ぶ公園が現場となり、目撃した中学生がいたことや、中学時代からの人間関係が卒業後に影響したこと、ショックを受けた市民がいることなどから実施。市立小中高校の全78校の校長が出席した。

 多賀谷教育長は事件の概要を説明。「このように残忍な状況を聞き、被害者はどんなに耐え、無念だったかを想像すると胸が詰まる思い。わたし自身も大変ショックを受けた」と厳しい表情で語り、「子ども自身が被害者にも加害者にもならないよう、学校間や地域の連携をしっかりする必要がある」と述べた。

 市教委教育指導課の小山みゆき課長は今後の対応について(1)不振な行為を見付けたら110番するなどの具体的な指導(2)保護者や地域住民への啓発文書の配布(3)ストレスや不安を感じている人へのケア(4)事件現場への配慮(5)学校間連携―などの必要性を伝えた。さらに集団暴行の現場を見た子どもの把握や、インターネットを使った情報交換を自粛させるよう求めた。(小泉まや)


◎江差追分全国大会 プログラムを発売…江差追分会館、文化会館で
 【江差】9月21―23日に開かれる、第45回記念江差追分全国大会(江差追分会など主催)の大会プログラムが町内の江差追分会館(中歌町193)と江差町文化会館(茂尻町71)で発売された。

 表紙は、アイヌ民族の衣装で“江差追分踊り”をあでやかに舞う女性をあしらい、土産物としても人気がある「追分人形」の姿をデザインしている。

 プログラムは23日に行われる決選会の入場券を兼ねている。前売り2000円。町外で購入を希望する場合、電話またはファクスで江差追分会事務局に申し込む。代金を支払う郵便振替用紙と共に無料で郵送される。

 大会は9月21日から3日間の日程で町文化会館で開催。国内外から出場する405人の歌い手が“追分日本一”を目指して自慢ののどを競い合う。21、22の両日は一般・熟年大会の予選会が行われ、一般50人・熟年20人の決選会出場者を決める。

 23日は午前10時から少年大会、午後から熟年・一般の順で決選会を行う。審査結果の発表は同7時ごろとなる。入場券付きプログラムは当日2300円。問い合わせは江差追分会事務局TEL0139・52・5555、ファクス同52・5544。(松浦 純)