2007年8月6日(月)掲載

◎野外劇閉幕
 NPO法人(特定非営利活動法人)市民創作「函館野外劇」の会(フィリップ・グロード理事長)の第20回公演「星の城、明日に輝け」が5日夜、閉幕した。函館市の五稜郭公園に設けた特設ステージで予定通り全10回の公演を終了し、最終日は今季最多となる1644人の観客を魅了した。フィナーレでは観客と出演者が一体となってペンライトを振り、終幕の感動を分かち合った。

 最終日は午後7時半の開演前に大勢の観客が長蛇の列を作った。公演を前にフィリップ理事長は「野外劇が全国的に有名になったのは皆さんのおかげ。来年は見て出演したい方も大歓迎」とあいさつ。

 榎本武揚役でひ孫に当たる東京在住の榎本隆充さん(72)がゲスト出演したほか、市民ボランティアの出演者が息の合ったフラッグダンスや迫力ある箱館戦争の戦闘シーンなどを繰り広げた。フィナーレではおなじみのテーマ曲「星のまちHAKODATE」に合わせて観客と出演者がペンライトを振り、夜空に打ち上げられた大輪の花火で締めくくった。

 函館野外劇と姉妹提携するフランスのルピディフ野外劇財団の9人が観劇し、閉幕後ルネ・ボーサル事務局長(70)は「函館の心と精神が表れている。われわれのように30年続くに違いない」と感動の涙を浮かべて語った。

 ことしは7月6日に開幕。前半は低温で地元客が伸び悩む日もあったが、道内外からの観光客の来場が目立った。20周年を記念した土方歳三や続豊治らの子孫、関係者のゲスト出演が注目を浴びた。総入場者数は延べ1万276人。全10回のうち4日間が悪天候に見舞われ、昨年をやや下回ったが6日間は1000人以上が訪れた。輪島幸雄理事長代行は「悪天候の中で上々の入り込み。演出面に力を入れてきたことが認められたのだろう。新たな観光資源としての評価を高めたい」と話していた。(宮木佳奈美)


◎函館市財政に打撃…交付税大幅減
 国からの配分が決まった本年度の普通交付税で、函館市は臨時財政対策債を含めた歳入見通しが、本年度当初予算と比較し約14億円不足する結果となった。前年度実績と比較しても約13億円の減少で、市は不足分のねん出に頭を痛めている。経費節減を徹底し、事業の見直しで歳出を抑えるが、不足分は基金を取り崩してしのぐ計画だ。

 市の6月補正後の本年度一般会計予算は1221億5000万円。当初予算で、普通交付税の歳入見通しを327億2800万円としたが、決定額は313億1200万円で14億1600万円下回った。交付税の不足分を臨時に起債で発行できる臨時財政対策債は当初予算通り25億2000万円が認められたが、前年度比では9・3%減となっている。

 市財政課によると、道内では都市部を中心に軒並み、見込みよりも大幅に少ない配分となった。臨財債を含めた当初予算比で札幌が38億円、旭川が18億円、室蘭が11億円、釧路は10億円下回ったという。国が2月に発表した地方財政計画に基づいて交付税収入を見込んだが、同課は「国がどのような基準で算定したのか分からない」と戸惑いを隠さない。

 道の発表によると、函館の場合は、市税収入の増加や生活保護費の減少などを算定理由に挙げている。交付税と並ぶ歳入の柱の市税収入は、税源移譲による増加分や恒久減税の廃止を見込んで前年度比9%増の344億5600万円としたが、国はさらに税収が伸びると見込んだようだ。生活保護費は母子加算の見直し分は減っているが、扶助人員は増えており、国が見込んだほど保護費の減少はないという。

 市は行財政改革で職員や給与を削減し、本年度は13億円の効果額を生み出したが、それも吹き飛んだ形。予想外の不足分を補うため、市はさらなる歳出の削減を図る。事務用品の購入を極力抑えるなど経常的な経費を節減し、事業の見直しや縮小も不可避。ただ、それだけでは14億円のねん出は無理で、市の貯金に当たる財政調整基金と減債基金を取り崩して充てる予定。両基金の残高は6月補正後で17億円。例年、財源不足分に両基金を充てて予算編成しているため、来年度予算は緊縮型にならざるを得ないという。

 同課は「地方財政自体が疲弊している中でこの算定は理解できない」と嘆いている。(高柳 謙)


◎北斗市は影響少なく

 北斗市の普通交付税と臨時財政対策債は56億7000万円で、当初予算と比較し1600万円の減少にとどまった。同市の本年度一般会計当初予算は173億円。「当初予算に比べ市税収入の増加が見込まれるため、交付税の不足分は税収増でカバーしたい」(市財政課)と、函館市と対照的だ。


◎入学への思い新たに…未来大オープンキャンパス
 公立はこだて未来大学(函館市亀田中野町)の本年度のオープンキャンーパスが5日、同校で開かれた。各地から、高校生や保護者ら約300人が来場。キャンパスツアーや模擬授業などに参加し、同校の教育活動の一端に触れて入学への思いを新たにした。

 例年入学予定者を対象に実施している。高校生は約170人が参加した。キャンパスツアーでは、学生の案内で校内の各施設を見学。ガラスをふんだんに使った開放的な施設に感嘆の声が漏れた。

 中島秀之学長は「本校には世界でも有名な教授がたくさんいる。今日は中身の良さ、先生のすごさを見てください」と歓迎。学生代表の情報アーキテクチャ学科4年の西野祐子さんは、「未来大で得られるものはたくさんあります」と同校の素晴らしさを伝えた。

 模擬授業は、複雑系学科と情報―学科で合わせて5教室を開講した。情報―学科の奥野拓准教授は「これからのウェブ みんなでつくる新しいサービス」と題して、インターネット(IN)の仕組みやINを活用して広がる可能性について講義。「今あるウェブサービスを組み合わせて、さらに便利なサービスを作ることができる」と話した。

 「未来大が第1希望」という十勝管内芽室町の福家悠人君(帯広柏葉高校3年)は、「今日の体験で学校に対する期待がさらに高まりました」と受験への意欲を高めていた。(小泉まや)


◎最終日は「いか踊り」…港まつり
 多彩なイベントを繰り広げてきた「開港148周年記念函館港まつり」(実行委主催)は5日、最終日を迎えた。この日はJR函館駅前から松風町交差点までが歩行者天国となり「けっぱれ! YOSAKOI函館フェスタ」と「函館港おどり・いか踊り大会」などが行われ、熱気いっぱいのフィナーレとなった。

 朝から断続的に雨が降り続くあいにくの天候だったが、歩行者天国が開始となる午後4時にはすっかり雨もあがり、観光客や地元客で沿道はびっしり埋め尽くされた。

 同4時半から始まったYOSAKOI函館フェスタには、札幌市や千歳市からの参加を含め11チームが出場。迫力いっぱいの演舞で観客を魅了した。

 同6時半からはまつりのラストを飾る港おどり・いか踊り大会がスタート。踊りの輪はどんどん広がり、観客も思わず飛び入り参加するなど熱気は最高潮に達した。

 同7時半からの閉会式では2日と3日に開催された「ワッショイはこだてコンテスト」の表彰式が行われ、両日それぞれ3部門の優勝、準優勝と7部門の審査員特別賞が選出された。

 入賞団体は次の通り。

 【2日(十字街・松風コース)】
 ◇港おどりの部▽優勝=陸上自衛隊函館駐屯地▽準優勝=株式会社エスイーシー
 ◇サマーカーニバルの部▽優勝=大門商店街&函館躍魂いさり火▽準優勝=函館市消防団
 ◇いか踊りの部▽優勝=函館どつく▽準優勝=藤岡眼科病院
 ◇審査員特別賞▽アピール賞=成田山函館別院▽コスチューム賞=棒二森屋▽リズム賞=函館斗燃衛組▽団結賞=あいよる21&椴法華郷土芸能保存会▽アイデア賞=北大水産学部▽感動賞=サマースクールinななえ▽かわイカったで賞=PLバトン

 【3日(堀川・五稜郭コース)】
 ◇港おどりの部▽優勝=美原町会▽準優勝=函館中央病院
 ◇サマーカーニバルの部▽優勝=丸井今井▽準優勝=テーオーグループ
 ◇いか踊りの部▽優勝=函館五稜郭病院▽準優勝=ルネサス北日本セミコンダクタ
 ◇審査員特別賞▽アピール賞=北海道教育大学函館校▽コスチューム賞=新日本舞踊若竹流▽リズム賞=函館市学童保育連絡協議会いきいき学童っ子▽団結賞=亀小いか踊り隊▽アイデア賞=ロボットフェス・インはこだて市民の会▽感動賞=日中青少年交流協会▽かわイカったで賞=くにのはなパワフルキッズ(小川俊之)