2007年8月7日(火)掲載

◎「ものづくりキッズ工場」開催
 子どもたちが地元の製造業を訪れ、物づくりを体験する「ものづくりキッズ工場」(函館市、函館発明協会主催)が6日、半導体製造装置メーカーのメデック函館(函館市鈴蘭丘町)で行われた。市内の小学生13人が、同社の製造業務の一端に触れた。

 「―キッズ工場」は西尾正範市長が掲げる「人材づくり」の一環として初めて企画。「人材づくり推進費」として予算50万円(開催費用)が組まれた。子どもたちに地元の製造業を知ってもらうと同時に物づくりの楽しさや喜びを体感してもらうのが狙い。同社のほか、7日と9日には造船業の函館どつくで、10日にはトロロコンブなどを製造するかまだ商店で行われる。

 この日は最初にメデック函館の漆嵜照政社長が会社の概要を説明。児童たちは、4つのグループに分かれて事務所や工場を見学した。それぞれ、ステンレス板にレーザー刻印機で自分の名前を刻んだり、パソコンの画面で図面に線などを入れたりした。

 同社が用意した部品を使ってラジコンカーづくりにも挑戦。ボディーの角をやすりで削った後に組み立て、ラジコンを取り付けて完成させた。

 参加した花田翔太君と福井悠太君(ともに函館恵山小6年)は「図面づくりの仕事が面白かった。少し難しかったけど完成してよかった」と笑顔。漆嵜社長は「汗を流して物を作ることに少しでも興味を持ってくれたら」と話していた。(鈴木 潤)


◎函館市「産業政策検討会議」発足
 函館市は6日、新たな産業振興施策を検討する「産業政策検討会議」を発足させ、市役所で第1回の会合を開いた。議長の谷沢広副市長は「地域の実情に合った産業政策が喫緊の課題。低迷する地域経済打開に向け、十分な協議をしたい」とあいさつ。11月をめどに、下部組織のワーキンググループ(WG)、若手職員で構成する庁内検討チームでの協議内容を取りまとめ、来年度予算に反映させる。

 同会議は、谷沢副市長以下、企画、商工観光、農林水産、土木、都市建設、港湾空港の6部長で構成。下部組織としてWGには、商工観光部商工振興室長を座長に課長職ら18人。さらに、若手職員13人で検討チームを設けた。

 検討チームは、自主的に会議を開き、既存の発想にとらわれず、函館の産業振興に必要な施策を調査研究し、意見を交換。WGとの協議を経た上で、10月に提言書としてまとめる。さらにWGが11月をめどに提言書概要を検討会議に報告し、協議内容を新年度の新たな施策に反映させる。

 この日の会議では、各部長から「長期展望が必要な施策もある」「地域としての優先順位を立てなくてはインパクトがなくなり、実効性につながらないのでは」などと意見が出され、今後、下部組織の議論の過程で、方向性やアイデアを絞り込んでいくことを確認した。

 谷沢副市長は「今の函館の経済状況は厳しいという認識を持ってもらいたい。時代の流れも速く、官から民への発想の転換は必須。明確な目標と評価が必要になる」などと述べ、民間からの意見を取り入れる必要性や、同会議の持つ役割や重要性について期待感を示した。

 WGもこの日、1回目の会合を開き、今後のスケジュールなどを確認。検討チームは8日に発足する。(今井正一)


◎共愛会病院で毎週金曜「漢方外来」
 共愛会病院(函館市中島町7、福島安義院長)は、毎週金曜に「漢方外来」を行っている。複数の生薬を組み合わせる漢方薬を処方。複数の薬効がある漢方薬は、高齢者に多い、病名がつけられない体の不調や根治が難しい慢性疾患などに効果が期待できるといい、担当する水島豊医師は「西洋医学の代替補完医療の一つになれば」と話している。

 水島医師は呼吸器が専門だったが、前任の弘前大医学部老年科学講座教授時代、心身全体を重視する漢方医学の老人医療に対する効果を実感し、取り入れるようになった。ことし4月に同病院に着任後、週1回の漢方外来を始めた。

 口コミで訪れる患者が多く、特に更年期障害などに悩む女性が目立つという。患者の症状に応じて約140種類ある漢方薬を出して服用してもらう。健康保険も適用される。受け付け時間は午後1時半から同5時までで、予約などは必要ない。

 水島医師は「この病気、この臓器にはこの薬という西洋医学と違って、漢方医学は体質や体力、年齢などで判断する。西洋医学より優れているというのではなく、すき間を埋める療法として関心を持ってもらえれば」と話している。

 問い合わせは同病院TEL0138・51・2111。(原山知寿子)


◎深堀中の岡野教頭、35年前の自身の卒業記念銅板プレート発見
 函館深堀中学校(内田弘治校長、生徒366人)を35年前に卒業した同校の岡野伸二教頭(50)が、学校敷地内の地中から自らの卒業記念品を発見した。卒業時に造成した花壇に打ち付けた銅板プレートで、クラスメートの名字が刻まれている。全8クラス中5クラス分を掘り返した。岡野教頭は「卒業記念品は、普通は大切にするはずだけれども」と苦笑いしながら、「わたしがいなければ見つかることもなかったはず」と懐かしんでいる。

 岡野教頭は1972年3月に卒業。ことし4月に母校に赴任した。71年の夏休みに3年生全員が参加して、日時計の回りに卒業記念として花壇を造ったという。「クラス会を開く時はここを集合場所にしよう」と誓い合い、花壇には、8クラス334人分の名字と、担任教諭の氏名が入った計10枚の銅板を打ち付けた。

 同校は、7月に創意ある学校づくり推進事業費(校長先生の「知恵の予算」)が市の予算に計上されたことを受け、活用方法としてビオトープ造成を検討。敷地内で適地を探していた岡野教頭が、雑草や土に埋もれた日時計を発見した。「この場所は…」と掘り返すと、懐かしの銅板が出てきたという。

 休日などを利用し、さらに辺りを整備すると、花壇の跡や、5クラス分計7枚の銅板が見つかった。同校の沿革や、長く同校に勤める用務員さんに話を聞いて調べたところ、95年の校舎建て替えの際、日時計は土砂と一緒に埋められ、放置されていたらしいことも分かった。

 現在でも親交のある同級生らには経緯を連絡し、花壇を再整備することを約束。岡野教頭は「こんな状態になっていたのは少し悲しいが、未発見の3クラス分も必ず見つけたい」と話し、いずれ、同期会の場で思い出話に花を咲かせるつもりだ。(今井正一)


◎無料市電「平和号」で恒久平和訴え
 多くの人が犠牲になった広島の原爆投下から62年目を迎えた6日、函館市電の無料電車「平和号」が運行された。車内では、広島や長崎の原爆の被害状況を伝える写真パネルの展示や、アナウンスで戦争のない恒久平和の尊さを乗客に訴えた。

 函館市は1984年8月6日、非核三原則の堅持と恒久平和の実現を願い「核兵器廃絶平和都市」を宣言。平和都市推進事業として毎年、平和号を運行させている。

 この日は、終戦間際の函館空襲の様子なども車内放送で伝え、「家庭でいま一度戦争について考える機会にしてほしい」などと呼び掛けた。

 谷地頭温泉に行くために乗車した同市上湯川町の80歳の女性2人は、戦中に疎開したことや挺身(ていしん)隊に従事したことを語り、「思い出すのも嫌なこと。胸が詰まる思い。戦争は多くの人が悲惨な目に遭い、悲しくつらい思いをするだけ」と話した。また、昨今の政治のあり方に触れ「孫やひ孫のためにも、憲法9条の改正は絶対に許せない。年寄りの寝言と思わないで、若い人もみんなで考えてほしい」と力を込めた。(今井正一)


◎検討委、江差南高跡地利用で町長に具申書
 【江差】道が江差町に無償譲渡を打診している旧道立江差南高校の利活用策を協議する、有識者やPTA関係者による検討委員会(澤田静憲委員長)は6日、濱谷一治町長に検討結果をまとめた具申書を提出した。濱谷町長は具申書の内容を踏まえ、9月の第3回町議会定例会までに道からの無償譲渡や町立江差中移転の是非を判断する方針だ。

 同日、澤田委員長と西谷明彦副委員長が提出した。検討委は濱谷町長の諮問を受けた12人で組織。5月の初会合から3回の会議を経て、旧江差南高の校舎や敷地の利活用について議論。老朽化が著しい江差中を旧江差南高に移転すべきとの意見が根強いため、移転のメリットやデメリットも協議した。

 具申書では(1)利活用策は幅広い視野で時間をかけて議論(2)道も地域振興につながる活用策を検討(3)旧江差南高跡地と江差中移転は別に議論(4)安全面に問題のある江差中は移転の是非にかかわらず早期に改修D財政再建を考慮しながら町は江差中建て替えについて具体的な時期を提示―することを求める共通意見を報告した。

 その上で江差中移転をめぐっては、委員間でも賛否が分かれているため、是非の判断には踏み込まず、各委員の意見を併記。「老朽化が進む江差中より旧江差南高の教育環境が優れている」「江差中は現在地での建て替えが適当」「財政難から中学校建て替えが計画できないのなら一時的にでも旧江差南高を利用できないか」などの意見を盛り込んだ。

 また、道が旧江差南高跡地の用途を教育目的に限定しているため、他用途への転用や改修費用の負担を求めるべきとの意見もあった。

 具申書を提出した澤田委員長は、江差中の現状について言及し、「壁が落下するなど危険な状態。安全性の確保は切実な課題」と指摘。濱谷町長は「町の財政再建は重大局面にあり改修の時期を示すことはできないが、必要な教育環境の整備については早急に検討を進めたい」との考えを示した。(松浦 純)