2007年8月9日(木)掲載

◎姥神大神宮渡御祭きょう開幕
 【江差】道内最古の伝統を誇る姥神大神宮渡御祭が9日に開幕する。11日までの3日間にわたり、由緒ある13基の山車が江差の街並みを練り歩く。

 開幕に先立ち8日には、商店街を中心とする本町地区の山車「清正山」の建造30周年記念祝賀会(田畑栄市実行委員長)が盛大に行われ、改修を終えたばかりの清正山を披露した。

 加藤清正の人形をいただく現在の清正山は2代目で、1979年に住民の協力で4000万円の巨費を投じて建造。30周年を契機に大改修を行い、装飾の金具や漆も建造当初を思わせるまばゆい輝きを取り戻した。

 祝賀会には地域住民や祭礼関係者ら約200人が参加。田畑実行委員長は「幾多の苦難を乗り越えて渡御祭を守り続けた先人の遺徳をしのび若者に継承しよう」とあいさつ。山車の保存・伝承を行う本町清正山保存会の打越東亜夫会長は「道内最古の祭りである姥神大神宮渡御祭には、この清正山の勇姿をもって参加しよう」と呼び掛けた。

 祝宴では、山車巡行の責任者である田畑俊雄頭取が「歴史と伝統を守って明日からの巡行を行おう」と乾杯の音頭を取り、はんてん姿の参加者は祭礼に向けて結束を固めていた。

 9日は宵宮祭。10日は「いにしえ街道」などの旧市街を巡る下町巡行。11日は日本海沿いや新地町の繁華街を練り歩く上町巡行を行う。問い合わせは江差観光コンベンション協会TEL0139・52・4815へ。(松浦 純)


◎改選後の6月議会、傍聴者は前回比4割増
 函館市長選後、新市長の初定例会となった6月議会の傍聴者は283人で、4年前の205人に比べ4割増加したことが、市議会事務局の集計で分かった。現職市長や議会首脳を批判して前助役が当選した経緯から、西尾正範市長や議会に対する市民の関心の高さがあるとみられる。

 同事務局によると、通常の定例会の傍聴者は1回当たり100人前後だが、改選期になると増える。また、一般質問などで議員の支持者や団体が一定数訪れるかどうかで増減の幅も大きいという。

 改選期となった今年の2月定例会の傍聴者は152人で、通常よりも多かった。ただ、当時の井上博司市長が2選を果たす前の2003年2月議会は237人で、今回より5割以上多い。「4年前は代表質問と個人質問があり、今改選期から2月議会での代表質問を廃止したことなどが減少の一因に考えられる」(議事調査課)という。

 6月議会の比較では、今年の傍聴者が4割増えた。2月議会になかった代表質問を行ったほか、西尾市政の船出となる議会で、市政執行方針を受け、代表質問に5人、個人質問に16人が登壇。西尾氏の選挙時の言動を問題視する内容や公約に対する質問が目立った。新市長に対する各会派の“温度差”も見られ、市長の経歴や政治姿勢を質問した議員に対し、議長に発言の取り消しを求める動議が出されるなど、荒れた議会となった。そうした攻防もあり、市民の関心も高かったと言えそうだ。

 また、市は本年度から代表質問や個人質問(一般質問)の日程と内容を、函館新聞をはじめ道内紙と全国紙合わせて5紙に広告の形で掲載することを始めた。新聞広告費は年間500万円だが、市議会だよりの内容を見直すことで、総体では平年ベースで広告費が300万円ほど削減される。

 同事務局が7月3、4日の代表質問の傍聴に訪れた市民に聞き取り調査したところ、傍聴者の9割が「新聞広告を見た」と答え、15%が「新聞広告を見たので傍聴に訪れた」と答えたという。(高柳 謙)


◎函館大学、文科省の社会人の学び直しプログラムに採択
 本年度からスタートする文部科学省の「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」に、函館大学(小笠原愈長)の「現職の学校教員に対する指導力向上のキャリアアッププログラム」が採択された。2007―09年度の3カ年で、初年度は9月からスタートする。同大は「地元の教師を育てることで地域に貢献できる」と期待している。

 文科省は5月、社会人の再就職やキャリアアップに有効な教育プログラムを募集。全国の大学や短大、高専などから315件の応募があり、うち126件が選ばれた。

 同大のプログラムは、専任講師の金山健一氏が昨年秋から主宰する勉強会「函館教師サポート研究会」(会員約100人)の活動を発展させたもの。金山氏を含む同大の教授らが講師を務める。対象は現職の学校教員で、定員は100人。8月に行われる同研究会の夏期講座後、9月から本格的にスタートする。

 通常は毎月ペースで開講。テーマ別プログラムでは、思春期心理の理解や不登校、非行・いじめなど、実践的な題材を取り上げる。カウンセリングプログラムでは、教育相談や生徒指導、保護者への対応方法を学ぶ。このほかに夏期と冬期に集中講座を開講。函館市内や桧山管内、後志管内小樽市、札幌などで約50回出前講座を行い、地域の教員を支える。

 運営費用は3カ年で約3600万円を見込む。文科省の助成金(金額未定、上限2000万円)や参加者の受講費でまかなう考え。

 金山氏は「教員が今抱えている問題をすぐに解決できるような満足できるプログラムを用意する。何か起こってからの対応ではなく、予防できるような対応をできる学校のリーダー的教員を育成したい」と意欲を燃やしている。(小泉まや)


◎9月9日に「バル街」、人力車無料体験乗車も
 人力車に乗ってはしご酒―。函館市西部地区の飲食店をスペインの居酒屋「バル」に見立てて飲み歩きを楽しむ催し「函館西部地区2007秋のバル街」(実行委主催)が9月9日、開かれる。観光人力車サービス会社「えびす屋函館」が初めて無料体験乗車を実施。歴史的街並みを眺めながら店を移動できる。深谷宏治実行委員長は「旧市街地(西部地区)の夜の街並みを散策し、魅力を再認識してもらいたい」と参加を呼びかけている。

 8回目となる今回は参加者の要望に応えて日曜日に開催。前回(4月24日)より4軒多い過去最多の60軒が参加し、午後2時から午前10時までの範囲で営業する。特別参加は毎回参加している若松町の老舗バー「舶来居酒屋 杉の子」に続いて、七飯町のフランス料理店「ブランヴェール」がホテルシエナ元町に初出店する。

 午後2時から開店する「昼バル」を実施する店が33軒あり、うち4軒は紅茶などアルコール以外の飲み物を提供する。一部の店でフラメンコ上演やジャズ、クラシック、三味線のライブなども予定している。

 前回に引き続き、市交通局や函館バスの協力で、函館どつく前・十字街・谷地頭の区間を運行する「バル街電車」や、午後10時45分から同11時半に美原・湯川方面行きの「バル街お帰りバス」を運行。バル街終了後の9月10日から6日間に限り、使い残したチケットを使用できる「あとバル」には45軒が参加する。

 前売りチケットの発売は9日から。各参加店、松柏堂プレイガイド各店などで販売。公式ホームページ(http://www.bar-gai.com/)からも販売する。5枚つづりで3000円。当日券は3500円。問い合わせは深谷さん(レストラン・バスク)TEL0138・56・1570。(宮木佳奈美)


◎恵山地域審議会、日浦海岸に離岸堤を
 合併旧4町村地域の意見を聞く、本年度の第1回恵山地域審議会(斉藤正男会長)と、戸井地域審議会(尾関忠義会長)が8日、恵山、戸井両支所で開かれ、昨年度の各事業の決算見込みを含む実績報告と、予算に基づく本年度の事業計画について審議した。

 恵山審議会には、委員13人が出席。市立恵山病院の経営状況や、地域の道路整備などについて議論を交わした。委員からは、日浦海岸の砂浜が減少し、国道278号の越波が激しく、離岸堤の設置など早急な措置ができないか意見が出された。市は、漁業補償の問題など、付随する事項は多く、関係者の意見が集約されなければ、実現は難しいとの認識を示したが、道路管理者の開発建設部には、地域の意見として、要望を伝えるとした。

 また、坂本幸春支所長は、同支所職員2人が停職2カ月の懲戒処分を受けたことについて「業務を懇切丁寧に行い、住民の信頼を取り戻すしかない」と陳謝した。さらに、地方交付税が削減され、市の財政状況の見直しが迫られているとし、懸案事項の地域コミュニティーセンターの建設に遅れが生じる可能性もあることを示した。

 一方、戸井審議会には、委員13人が出席。西尾正範市長が市長選のマニフェスト(公約集)や市政執行方針で述べた、4支所を再編し、新たに特別職を配置する地区制度の創設について、委員から、現支所がなくなるのではとの懸念の意見が出された。

 佐藤洋一地域振興室長は、現時点では、具体的な構想となっていないとして、「市長も地域の声を聞きながら慎重に検討すると言っている」などと答えた。併せて委員からは、「地域にとっては重要な問題で、審議会としても重く受け止める課題。情報は速やかに伝達してほしい」と要望した。(今井正一)