2007年9月13日(木)掲載

◎デンコードーなど入店…旧昭和ターミナル「函館バス美原ビル」
 函館バス(寺坂伊佐夫社長)は12日、旧昭和ターミナル(函館市美原3)の社有地に建設計画を進めている商業施設「函館バス美原ビル」の概要を発表した。7月に市に提出していた資料で、施設の中核と位置づける家電販売店として、デンコードー(仙台市)が出店。また、飲食店とカラオケボックスは鈴屋商事(函館市本通2)が運営する。

 概要によると、敷地面積約1万725平方メートルに、鉄骨造り一部3階建て、延べ床面積約1万5692平方メートルの建物を建築。1階は大部分を柱だけで支えるピロティ形式で290台前後の駐車場を備えるほか、一部が飲食店となり、2階にデンコードー、3階に居酒屋「つぼ八」と、「カラオケポップコーン」などがそれぞれ入居する。

 このうち、2階部分の売り場面積は約6720平方メートル。1999年に開業した、近隣の「マックスデンコードー函館店」(同市石川町320)の延べ床面積約3594平方メートル(倉庫含む)の2倍近くに相当する。

 既存店の活用法について、デンコードーは「まだ公表できる段階にない」と説明。移転もしくは、業態の転換を図るのか、近く公表するとしており、その動向に注目が集まる。

 なお、函館バスは、同施設について、総工費約14億3000万円を見込んでいて、来年4月の着工、同9月のしゅん工を予定。テナント各店のオープンは未定としている。(浜田孝輔)


◎市民、地元政界にも驚き…安倍首相退陣
 安倍首相の突然の退陣表明は、道南の市民や政党関係者にも驚きと衝撃を与えた。「政権運営が困難なことを理解した上で続投したのに、途中で投げ出すのは無責任」などの批判が根強い。早ければ年内の衆院解散・総選挙も想定されたが、状況は一変。ただ、政党関係者からは「総選挙が早まることに変わりはない」「準備は着々と進めている」との声が聞かれた。

 首相の辞任会見が始まった12日午後2時すぎ。函館市役所1階ロビーでは、来庁者がテレビの会見に見入った。西尾正範市長は「突然の辞任表明に驚いている。地域経済は依然として厳しい状況が続いており、国政を停滞させることなく、地域の活性化にも配慮した国政運営を期待したい」とのコメントを発表。

 市民からは批判が相次いだ。同市見晴町の会社員土方耕一さん(49)は「なぜ、この時期に辞任表明なのか。参院選大敗を受けて辞めるべきで、時期が違いすぎる。年金、テロ特措法問題など、これから取り組む問題があるのに、首相として無責任だ」と怒り口調。

 一方で、同市日吉町の無職男性(65)は「とにかく驚いた。参議院選大敗の原因の大半は首相以外のところにあったと思うし、荷が重かった感は否めない」と同情も。

 首相や自民党への批判は強いが、それが必ずしも野党支持に結びついていない声も聞かれた。同市美原の自営業安田和彦さん(61)は「ありえない政治の混迷で世紀末を迎えたような気分。ただ、民主党の小沢代表の会見でも、今ひとつ頼りたくなる言葉を感じなかった」と、もどかしさを語った。

 政党関係者も驚きや戸惑いを隠せない。自民党道8区支部の中村勉支部長は「驚いたのひと言。所信表明でテロ特措法延長問題に不退転の決意で臨むことを示し、しっかり実行してもらえると思っていただけに、退陣は想定していなかった」と語る。解散・総選挙については「早急に国民に信を問い、政権機能をしっかり立て直すことが必要。早まるのではないか」と述べ、次期衆院選道8区公認候補として態勢構築を急ぐ。

 連立政権を組む公明党の函館総支部幹部は「皆さんが言うように、辞任がどうして今なのか分からない。政権運営が困難なことを予想しながら所信表明をするなど、理解できない部分がある」と困惑した様子。

 野党関係者は批判と攻勢を強める。民主党道8区総支部の板倉一幸幹事長は「記者会見を見たが、辞任の理由がさっぱり分からなかった。現時点で自民党の今後の体制は分からないが、いずれにしろ政局は混乱し、与党の求心力が高まるとは思えない」とし、「党本部からも指示が来ているが、解散総選挙も近いとみて、早急に準備作業に入る」と見据える。

 共産党函館地区委員会の高橋佳大委員長は「所信表明演説をやった上で、一体どういうことなのか。参院選後に判断すべきことで遅きに失した。自民党の政治が破たんしているということだ」と切り捨てた。党は解散・総選挙を求めており、地区委員会も次期衆院選に向け、中央委員会総会の方針に基づき議論を始めている。


◎民家から弾丸発見 容疑者、千歳から移動か…市内銃撃戦
 函館市内で11日未明、車を強奪した長野県佐久市、暴力団員で職業不詳高成仁容疑者(52)が警察官に発砲し、応射されて死亡した事件で、銃撃現場近くの民家敷地内から流れ弾が見つかったことが12日、函館中央署の現場検証で分かった。また、高容疑者が事件前の9日夜、千歳市内からタクシーを乗り継いで函館に移動したとみられることも明らかになった。

 同署は12日午前9時半から、銃撃戦のあった同市昭和町73の河川敷周辺の現場検証を実施。捜索中の署員が同日昼すぎ、現場から北東へ約150メートル離れた民家の敷地内で弾丸1個、付近の土手から空の薬きょう1個をそれぞれ発見した。民家の壁には弾が当たった際にできたとみられる穴があり、隣接する民家のタイル壁も一部が割れていた。弾丸は警察官が高容疑者に応射した3発のうちの1発とみられる。

 また、同署は12日、銃撃戦直後の押収物を発表。高容疑者の拳銃は旧ソ連軍が開発した自動装てん式のトカレフとみられる。拳銃内には弾が1発も入っていなかった。現場に薬きょう付きの実弾2発が落ちていた。

 一方、千歳市内のタクシー会社によると、9日午後6時ごろ、JR南千歳駅(千歳市平和)で客待ちをしていた同社のタクシーに高容疑者とみられる男が乗車。「函館まで行ってフェリーで長野に向かってくれ。追われているので急いでくれ」と興奮気味だったという。男性運転手が「(千歳市内で)燃料を入れてもいいですか」と尋ねたところ、「だめだ」と断られた。

 同社によると、男は走行中の車内でも一方的にまくし立て、「俺には前歴があり、刑務所に入っていた」「ピストルを使ったことがある」などと冗舌で、「もし捕まったら、その日が俺の命日だ」と語っていた。タクシーは9日午後8時ごろ、燃料が切れてきたため、JR八雲駅で停車。男は地元の別のタクシーに乗り換えたという。


◎台風9号被害 70件、1087万円…函館市まとめ
 函館市は7日の台風9号接近に伴う市内の被害状況をまとめた(11日現在)。被害件数は、住宅の一部破損や、土木被害など計70件で、判明分の被害総額は1087万円。けが人などの人的被害はなく、水田など農業への影響も報告されていない。河川や道路、街路灯倒壊など、大半の項目で被害額は調査中となっている。

 住宅被害は全市域であり、住宅の一部破損が11件、床上浸水が4件。非住宅は、物置の全壊1件など10件。土木被害では、住吉町で海岸の護岸の決壊など、河川、海岸、道路などで計22件。水産被害は、尾札部漁港で流木が港内に流入したほか、女那川町のウニ養殖施設でガードレールが破損するなど計3件。

 林業では、豊崎町で民有林防火かん水施設の土砂流出、古武井町の民有林落石など4件。

 施設被害では、函館中央小学校、函館亀田中学校などで体育館などの屋根が破損するなど、学校関連は計9件。日乃出清掃工場と亀田青少年会館のガラスが破損した。このほか、水無海浜露天風呂も被害を受けるなどしている。(今井正一)


◎町内産カボチャ残留農薬 「農協の失態 極めて遺憾」…厚沢部町議会
 【厚沢部】渋田正己厚沢部町長は12日開会の第3回定例町議会で、新函館農協(函館市)が、町内産カボチャを自主検査結果の判明前に出荷し、検体から基準値を超える残留農薬が検出された問題について「農協の軽率な認識が引き起こした失態で極めて遺憾」と批判、町内産農産物の信頼回復に取り組む考えを示した。

 渋田町長は行政報告で、「農協に地元支店の意識改革と検査ルールの徹底について指導した」と説明。町内産のカボチャから基準を超える農薬が検出されたことには「(カボチャを生産した農地は)良好な畑地管理がなされていただけに生産者の残念な思いに同情している」と述べ、檜山支庁などと対策を協議して、農産物の信頼回復を進める方針を示した。

 一方、行政報告で渋田町長は、町直営の「うずら温泉宿泊施設」「鶉ダム公園」の2施設について、来年4月をメドに指定管理者制度を導入する方針を示した。

 議事では、2003年6月に休止した町立鶉・館の両診療所の廃止を提案。両診療所は医師の高齢化により診療を休止。町は後任医師の確保に取り組んできたが、全国的な医師不足から再開の見通しが立たず、その間に町国保病院へ患者の集約も進んだため廃止を決めた。

 このほか、乳幼児を対象とする医療費助成を中学生まで拡大する条例案、本年度の一般会計を1億31万円増額する補正予算案など計17議案を提案した。本年度の一般会計総額は36億7958万円となる。会期は18日まで。(松浦 純)


◎入った先は元刑事の家…空き巣男御用
 空き巣に入った先は元刑事の家―。函館中央署は12日、住所不定、無職金田光功容疑者(45)を盗みの現行犯で逮捕した。

 調べによると、同容疑者は午前10時55分ごろ、函館市本通1の団体職員で元警察官の男性(63)宅に侵入し、1階居間のサイドボードにあった現金2000円を盗んだ疑い。

 同容疑者は無施錠だった玄関から忍び込み、2階を物色中、帰宅直後に人が歩くような物音に気付いた男性が「おい、誰だー」と一喝。観念して“投降”してきた同容疑者を脇固めの逮捕術で制圧した。同容疑者にけがはなかった。男性は元道警の警察官で、函館方面本部生活安全課特捜係を最後に2005年3月に退職。主に刑事畑を歩んできたという。

 調べに対し、同容疑者は「まさか刑事の家とは思わなかった。ついてない…」などと供述。男性は同容疑者を引き渡した後輩の警察官に対し、「忙しいと思うが、頑張れ」とねぎらったという。