2007年9月14日(金)掲載

◎遺跡発掘に挑戦…神山小97人 南茅部で
 函館神山小学校(新明修一郎校長)の5年生97人が13日、函館市豊崎町(旧南茅部)の豊崎B遺跡で遺跡発掘を体験した。子どもたちは実際に掘り、くっきりと縄目が付いた縄文土器や石のナイフなどを発見した。

 函館市の市立学校長の裁量で特色ある教育を進める「知恵の予算」を活用し、来年度の修学旅行で訪れる青森県三内丸山遺跡の見学に生かす活動。発掘を進める特定非営利活動法人(NPO法人)函館市埋蔵文化財事業団が協力し、児童は3クラスごとに発掘や遺跡整理などに当たった。

 発掘体験では、全員が小さなスコップを手に丁寧に掘り返した。児童たちは出土するたびに、「これは土器?」などと同事業団の職員に聞きながら楽しそうに作業を進めた。(小泉まや)


◎函館駅の騒ぎ 対応混乱…銃撃戦まで16時間野放し
 函館市昭和町で11日未明、長野県佐久市、暴力団員高成仁(こうせいじん)容疑者(52)が警察官と銃撃戦となり、死亡した事件で、高容疑者とみられる男が事件前の10日朝、JR函館駅のホームで利用客に拳銃を突きつけるなどした騒ぎの後の状況が、13日までに明らかになった。警察側が「銃器所持の不審者」情報を得たのは約1時間後。結果的に同駅を出てから約16時間にわたり、拳銃を携行した凶悪犯が野放しになった格好で、目撃から通報、関係機関の対応に至るまで課題を残した。

 JR北海道函館支社によると、男は10日午前8時20分ごろ、同駅5番ホームで函館市内の旅行会社の男性2人に「(列車に)乗れ」と脅し、拳銃のようなものを背中から突きつけた。2人は特急列車に乗り込み、車掌に事情を説明。男性2人は直後に降車して車掌と付近を探したが、すでに男の姿はなかった。

 車掌は同社指令センターを通じて道警函館方面本部鉄道警察隊に電話で連絡したが、当時は不在だったという。同駅職員が同8時25分ごろ、男が改札から出るのを目撃している。

 一方、函館中央署によると、広島県の男性会社員が同8時20分ごろ、男がホームのベンチでセカンドバッグに入った拳銃のようなものをちらつかせているのを目撃。この男性会社員は同9時35分ごろ、函館西署函館駅前交番に届け出た。警察側はこの時点で、初めて「拳銃」を持った不審者の存在を認知した。

 直ちに函館西署員ら12人が駅の構内や周辺を同11時ごろまで捜索したが、男の発見には至らなかった。12人の警官は防弾チョッキの着用など特別な銃器対策を取らず、管内に緊急配備も敷かれなかったという。同本部は「結果的に目撃情報のあった男が高容疑者の可能性がある」とした上で、「(対応は)当時置かれた状況での判断だった」としている。

 函館中央署は13日、札幌で行われた高容疑者の司法解剖の結果を発表。死因は心臓と胸部大動脈の銃創による出血死と判明。銃創は左胸から斜め下の背中にかけての1カ所で、高容疑者が応射した警察官よりも低い位置にいたことが明らかになった。


◎市立校再編へ答申…函館市教育審
 函館市学校教育審議会(高村昭三会長)はこのほど、函館市立の小中学校再編について市教委に答申した。望ましい学校規模を小学校は12―18学級、中学校は9―18学級などとする内容。多様な人間関係を構築するためクラス替えの余地があることや、教員定数などを考慮した。これを受けて市教委は本年度内に再編指針の素案を作り、市民からの意見(パブリックコメント)募集などで修正し、2008年度から再編計画の立案に着手する。

 市教委は少子化による学校の小規模化の問題を考え、初めて再編に取り組むことにした。同審議会は市教委からの諮問を受け、06年2月から審議を開始。教育関係者や保護者、学識経験者ら25人の委員が12回にわたって協議を重ねた。

 本年度の市内の児童生徒数は、小学校1万3160人、中学校1万5558人で、それぞれピーク時の45%以下にまで減少。小規模化の著しい学校が増加し、今回望ましいとされた規模に当てはまる学校は、小学校で48校中21校、中学校は28校中8校にとどまる。

 同審議会は児童生徒数の減少について、教育指導や人格形成、学校運営などさまざまな角度から検討。一人一人の活動の場の増加や密度の濃い人間関係、教職員の協力体勢づくりが容易となる半面、固定化された人間関係の中で社会性を身に付けることが難しくなり、免許外教科の担当など教員の負担が増加することなどが指摘された。

 その結果、小学校ではクラス替えができる各学年2学級以上、中学校は各教科に専門の担当教員配置が可能な同3学級以上が望ましいとした。学級数の上限は、大規模化で特別教室の容量や移動活動での問題発生が懸念されることから、学校教育法施行規則に標準として定められている18学級を目安とした。

 答申では、「地域の実情などを十分に踏まえながら、統廃合や通学区域の変更により再編を進める必要がある」と留意点を挙げ、通学区域については「整合性を持たせることや、1つの中学校に複数の小学校から進学することが望ましい」とし、スクールバス活用も視野に検討する必要があるとした。

 通学区域に縛られない学校選択制の検討は、安定した学校規模の確保が困難となることや、子どもの獲得競争などを懸念。「先行実施する自治体の状況、保護者の意向などを踏まえてさらに検討を」とした。

 答申を受け、市教委は「学習環境だけでなく人との出会いやクラブ活動などで、一番効果がある規模にするよう再編の指針を作りたい」と話している。(小泉まや)


◎移住の総合案内充実を…事業化へ意見交換
 「函館地域の移住ビジネス創出に向けた意見交換会」(道、函館市など主催)が13日、同市美原の渡島合同庁舎会議室で開かれた。不動産やサービス業など24社と行政関係者合わせて約35人が出席。意見交換では、移住を総合的にサポートするコンシェルジュ機能の拡充やPR、官民の連携強化などを求める声があった。

 退職が始まった全国690万人、首都圏110万人の団塊世代を照準に、移住を通してさまざまな企業のビジネスを生み出す試み。総務省の実証実験地として4道県が指定され、道の移住体験ツアーの中でどのようなビジネスや需要が生まれるかを調査する。

 移住者の受け入れ態勢の整備や総合案内機能に何が必要か、出席者が意見交換。「1企業で移住者向けの広告や企画は難しく、公益的な民間企業の北海道コンシェルジュの力に期待したい」「首都圏在住者から函館市内の不動産がよく売れている。移住希望者と不動産業者をどう引き合わせるか、支援をお願いしたい」などの要望があった。

 一方で「知人の話だが、ある程度若い段階で函館に移住したいが、職場がない」「移住する前の体験ツアーで多種多様な不動産物件を用意する必要がある」「市や道が移住に力を入れていることを、市民は意外に知らない。住んでいる人たちの温かい迎え入れや、移住者と意思の合う人を紹介する機能も必要」などの課題も指摘された。

 道の担当職員は「今回ほど充実した意見交換はなかった。函館地域は移住ビジネス創出へ向けた全国のモデル地区となり得る」と評価し、市や参加企業などとともに「移住ビジネス研究会」の早期発足を目指している。(高柳 謙)


◎かもめ島入口町有地の売却…江差町 
 【江差】濱谷一治江差町長は13日開会の第3回定例町議会で、かもめ島入口で高級温泉ホテル建設を計画中の檜山地域振興公社(棚田清社長)との間で、建設予定地となっている町有地の売却契約を締結したことを明らかにした。価格は6370万円。

 一般行政報告で明らかにした。濱谷町長は「かもめ島を中心とする景観や、住民の要望を事業者は真摯(しんし)に受け止めている。ホテル計画が町の観光や産業の振興に貢献することを期待したい」と述べた。

 同社が提出した事業計画によると、ホテルの名称は「旅庭・群来(くき)」。建物は2階建て。客室は9室で、延べ床面積は約906平方メートル。総事業費は3億7200万円。年内にも着工して、来年12月の営業開始を目指す。食事を除く宿泊料は1万5000円―2万円。

 売却する町有地は3793平方メートル。価格は町と2人の不動産鑑定士が算定した評価額を平均して決めた。約20年前に町土地開発公社が取得した当時の価格は1億5000万円だったが、その後の地価下落や同社が所有する敷地内の温泉権などが影響して評価額が下落した。

 01年に町有地で温泉を掘り当てた同社は、地上6階建てのホテル建設を計画したが、03年には景観問題などから2階建ての高級ホテルに計画を変更した。町は観光振興を目的に、用地の貸し付け料減免措置などの支援策を講じたが、同社の資金調達が難航したことで着工がたびたび遅れた。同社は06年2月に計画を断念したが、本年4月になって計画再開の意向を町に伝え、あらためて町有地の売却を申請していた。

 定例会では、川端壮吉氏(67)の教育委員再任に同意。町立小中学校へのAED(自動体外式除細動器)の導入経費などを盛り込んだ総額3188万円の一般会計補正予算案など3議案を可決、同日閉会した。本年度の一般会計総額は51億1797万円。(松浦 純)