2007年9月15日(土)掲載

◎学校3役に清き一票…三育小 本物の選挙用具使い
 函館市選挙管理委員会から借りた記載台や投票箱など、本物の選挙用具を使用した児童会選挙が14日、函館三育小学校(小原義信校長、児童46人)の体育館で行われた。会長、副会長、書記の3役に立候補した児童6人が演説した後、全校児童は真剣な表情で投票に臨んだ。

 社会の一員になるという意識を持ってもらおうと、初めて本物を使用した。市選管は、要望があれば随時選挙用具を貸し出しており、市内ではこれまでに中学校や高校で毎年7校ほどが利用している。

 立候補したのは全員6年生で、会長候補は3人、副会長候補は1人、書記候補は2人。それぞれが名前を書いたたすきを掛け、「今までにない新しい学校にしたい」「学校を守りたい」などと主張。これを聞いた児童らは投票用紙を受け取ると、踏み台に乗って記載台で候補名を記入し、投票箱へと進んだ。

 投票を終えた4年生の衛藤嵩徳君は「少し悩んだけれど、遊んでくれる優しい人に一票を入れました。大人になって選挙に行くのが楽しみ」と話していた。(小泉まや)


◎100歳以上が116人…函館市、渡島、桧山支庁
 函館市と渡島、桧山両支庁は14日、100歳以上の長寿者数(1日現在)を発表した。同市と両支庁を合わせて116人(男性14人、女性102人)で、過去5カ年の推移でみると、2003年度(88人)の1・3倍。男女比では女性が全体の9割近くを占めた。道南の最高齢者は109歳の坂本ミツヱさん(今金町)で、道内では111歳の加賀屋カネさん(釧路市)が3年連続で最高齢となった。

 函館市が中核市になり、昨年度から渡島と別集計になった。発表された人数は9月30日時点で満年齢が100歳以上となる長寿者で、同市が78人(男性6人、女性72人)、渡島は26人(男性6人、女性20人)、桧山は12人(男性2人、女性10人)。

 別集計となる前の03年度との比較で渡島をみると、1・5倍に増えている。昨年度比だと渡島は横ばいだが、函館、桧山は1・3倍で年々高齢化が進展し、特に女性の長寿化が目立っている。

 最高齢者は同市内が女性で105歳の保刈さつさん(杉並町)、男性は101歳の鈴木五郎さん(花園町)。渡島は107歳の男性で、女性は104歳(いずれも本人や家族の希望で氏名、住所など非公表)。桧山は女性が坂本さんで、男性は101歳の櫻屋敷長吉さん(奥尻町)。

 なお、老人の日(15日)記念行事として、本年度中に100歳に到達する高齢者83人(函館43人、渡島25人、桧山15人)には、市や支庁を通じて国から祝状と記念品(銀杯)が贈られる。渡島は13日に終え、函館は15日、檜山は18―21日に伝達する。(宮木佳奈美)


◎不動産も差し押さえ…税収確保へ函館市
 函館市は市税収入の安定と確保を図るため、滞納者の差し押さえを不動産や預貯金などのほか、動産にも拡大する。全国的にも自動車や貴金属、美術品などの動産の差し押さえが広がっており、市納税課は「税金の支払い能力がありながら納付していない滞納者が対象で、厳しく臨む。納税に困った場合には分割納付などにも応じており、納期前に相談に訪れてほしい」と話している。

 同課によると、市税の滞納繰越額は昨年度末で20億8681万円、収納率は93・0%だった。滞納繰越額は一時期20億円を割っていたが、05年度末から20億円台となった。納税者の公平感を保つ上でも、収納率の向上が課題となっている。

 市は例年、600―700件の差し押さえを実施している。内容のほとんどが債権で、昨年度は確定申告などでの国税還付金が564件、生命保険29件、預貯金6件など。不動産は21件だった。以前は多かった電話の加入権はゼロで、滞納者は電話料金も滞納していることが多く、携帯電話の普及もあり、現金への換価が難しい。

 給料や年金の差し押さえは、最低生活費を除いた上で可能であれば実施している。不動産は金融機関などが抵当権を設定しているケースが多く、すぐに差し押さえとはいかないのが実情だ。

 こうしたことから、動産も差し押さえの対象とすることを決めた。自動車や家財道具などだが、家財道具の中には押さえられない品や公売しても売れないものが多い。同課は「乗用車以外はいわゆる“ぜいたく品”が対象で、骨とう品や美術品、貴金属、高級家電などが対象になる」という。

 ただ、差し押さえ物件の帰属(所有者)認定が難しかったり、公売で滞納額をはるかに上回る値段が付いた場合や逆に売れない場合など、課題もありそうだ。

 主な市税は個人の場合、住民税や固定資産税、軽自動車税などで、本年度当初予算では344億5000万円の収入を見込んでいる。地方交付税と並ぶ大きな一般財源で、本年度の普通交付税(決定額313億1000万円)は前年度比で10億5000万円減、当初予算と比較して14億円の減となった。このため、市の独自事業の財源となる市税の確保や収納率の向上が一層求められている。(高柳 謙)


◎「心の交流が一番大事」…ユジノ中学生訪問団帰函
 本年度の函館市中学生海外派遣事業で、姉妹都市のロシア・ユジノサハリンスク市を訪れていた訪問団(団長・大西正光大川中校長)が14日、7泊8日の日程を終え帰函した。函館空港で到着式を開き、生徒を代表して東出佳子さん(戸倉中3年)が「言葉や習慣が違っても心が通うことを学ぶことができた。人と人との心の交流が一番大事であるということを、私の宝物にしたい」と述べた。

 訪問団は中学生15人と引率3人。7日に出発し、ホームステイをしながら現地の学校や美術学校、芸術学校など5校を訪問し、ヨサコイソーランや合唱などを披露。同年代の生徒や市民と交流を深めた。

 生徒と出迎えの父母らを前に、大西団長は「スケジュールが若干変わったりしたが、臨機応変に対応することも学んだ。語り尽くせぬ思い出を残した訪問となり、学んだことや体験を家庭や学校で伝え、今後の生活に生かしてください」とあいさつした。

 10月中旬にはユジノ市の子供たち8人が来函し、7泊8日のホームステイを予定している。函館からは今後、伝染病流行のため昨年ユジノ市を訪問できなかった生徒たちが同市を訪れるほか、ロシア・ウラジオストク市とオーストラリアのレイク・マコーリー市への訪問がある。いずれも姉妹都市。(高柳 謙)


◎道銀と業務共同化…函館信金
 函館信金(黒滝啓洋理事長)は14日、現金手配などの業務を北海道銀行(札幌)に委託することを発表した。また、本支店間のメール便運行や店舗外現金自動預払機(ATM)の対応業務について、道銀など3行とともに、貴重品搬送会社のアスビック(札幌)に共同委託する。いずれも、10月1日の開始を予定している。

 同信金が道銀に委託したのは、本支店あての現金手配や、ATM装てん現金の準備・回収現金の精算など。一方、同社への共同委託は道銀と北陸銀行(富山)、みちのく銀行(青森)がことし4月から函館地区で始めており、本支店間のメール便運行や、店舗外ATMでの現金の装てんや回収、障害対応を代行させる。

 今回の業務委託は、事務作業の効率化やコストの削減、現金輸送に関する警備上でのリスクを低減するのが狙い。黒滝理事長は「金融機関として表面的な業務ではない、後方業務に関して事務的な作業が多く対応に苦慮してきた。本態業務に何ら支障はなく、(今回の委託で)合理化、効率化を図っていきたい」と話している。(浜田孝輔)


◎敬老企画(上)籔末吉さん(78)17年間休まず地域の美化活動
 17年間、雨にも負けず雪にも負けず、毎朝早くから清掃道具を持って出掛ける。きれいな街づくりを目指す人見町会街灯部長の籔末吉さん(78)は、町会内にある人見交番横の児童公園の手入れを続けてきた。地道な活動のおかげで、公園は常にきれいに保たれ、花で彩られる。その姿を見た住民も刺激を受け、町内の美化意識が向上してきた。籔さんは「趣味でやっているとはいえ、通り掛かる人からのねぎらいの言葉はうれしい」と地域住民に感謝する。

 藪さんは37年間、市内の石油会社に勤務し、55歳で退職。体力に自信があり、地域の安全を守ろうと同部長に就いた。町会内を巡回してみて、道路わきや空き地の雑草は伸びきり、路上には空き缶や菓子袋が散乱していることに驚いた。

 「自分たちの暮らす地域がこんな状態では良い人間形成はできない」と清掃活動を開始。華やかな色合いで街を明るくしようと、自宅の庭に植えていたツツジやクロマツをリヤカーで運び、同公園などに植えた。同公園は現在、約20種類の花や木が住民らの心を癒やしている。

 毎朝5時に起床。朝食を済ませ、ごみ袋と火バサミ、植木用のハサミを持って出掛ける。しゃがみ込む作業が多く、70歳を過ぎたころから足腰が辛くなってきたが、「途中でやめることはしたくない」と話す。妻の恵美子さん(72)は「足腰は心配だが、夢中になっている姿を見ると止められませんね」と優しく見守る。

 1997年9月には市住宅都市施設公社が主催する「第7回花と緑のまちづくりコンクール」のボランティア部門で大賞に輝き、同部門で過去3回入賞しているが、「賞のためにやっているわけではない。とにかく木や花が好きで、趣味でしているだけ」と淡々と話す。

 長年の活動は周囲の心も動かした。人見町会の石川直治町会長(76)は「薮さんが頑張る姿を見て、自分たちも頑張らなければと励まされている。籔さんが手掛けた公園を見て、周りの人も街の美化に感心を持つようになった」と感謝する。

 「自分の健康維持にもつながっている。市民皆さんで街をきれいにしたいですね」。そう言いながら笑顔で黙々と作業する背中に、「籔さんご苦労さま」の声が掛かった。

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 17日は「敬老の日」。元気を保ち、さまざまな活動を通じて、周囲にうるおいや活力を与えているお年寄りにスポットを当て、3回にわたって紹介する。(小橋優子)