2007年9月16日(日)掲載

◎各地で秋祭り 熱気あふれる…秋の3連休第1弾
 秋の3三連休(15―17日、22―24日、10月6―8日)第1弾の初日となった15日、道南各地では神社や寺の祭りが行われた。所によってはあいにくの雨となったが、神輿(みこし)や行列に参加する人たちの威勢の良さで各祭りとも熱気に包まれていた。


◎大根鍋振る舞う…天祐寺大根祭

 函館市青柳町の天台宗天祐寺(山口道雄住職)では第7回大根祭の明燈祭(前夜祭)が行われた。境内では約300本のダイコンを使った大根鍋が振舞われ、本堂では恒例の素人劇団「大根座公演」が行われ約100人の来場者を楽しませた。

 同寺には、長い鼻をもつ象頭人身の像「歓喜天」が祭られており、その象Xナ(げ)が大根に見立てられて奉納されていることから大根祭の名がついている。大根鍋は同寺の檀家や同宗の信者などが作業を担当。木古内産のダイコンを大きな圧力釜で煮込み夕方に完成。雨が降りしきる中、味pクをつけて器に盛られ、来場者の体を温めた。

 明燈祭で恒例となった境内余興は、雨のため本堂で開催。檀家や地元の人たちがおしろいを塗り熱演。そのほか日本舞踊や大抽選会が行われ、大いに盛り上がった。

 16日は本祭で、午後2時から大般若転読法会が行われる。(山崎純一)


◎勇壮に神輿渡御…亀田八幡宮例大祭

 函館市八幡町の亀田八幡宮(藤山豊昭宮司)の例大祭は恒例の神事、神輿(みこし)渡御が行われ、女性、男性の2つのみこしが函館市内を勇壮に練り歩いた。

 みこしは午前9時に亀田八幡宮を出発。この日は梁川町、五稜郭町、柏木町、人見町、中島町などを通る約10?のコースで、約8時間半かけて巡行。各地で威勢のいい掛け声が響いた。

 みこし渡御は16日も開かれる。同宮を午前9時出発。万代町、上新川町、高盛町、的場町、千代台町などを通る。そのほか境内などでは、午前10時から全道市町村相撲大会、午後7時から氏子安全祈願祭、同7時50分からYOSAKOIソーランの演舞などが行われる。(山崎純一)


◎裃姿で練り歩く…上ノ国八幡宮例大祭

 【上ノ国】上ノ国八幡宮例大祭では、松前藩時代からの伝統を誇る御徒士(おかち)行列が、実りの秋を迎えた町内を練り歩いた。

 御徒士行列は、江戸時代中期に始まったとされる伝統行事。松前藩が領内で最も古い歴史を誇る上ノ国の人々に敬意を表して、武士だけに認められた裃(かみしも)の着用を例大祭に限って民衆にも許したことに始まる。

 八幡宮の境内を出発した行列は、「やあーきたり!」と、大名行列を思わせる勇壮な掛け声を発しながら、一歩ずつ左右に足を大きく踏み出す独特の足運びで、海岸沿いに広がる古い町並みを日没過ぎまで練り歩き、行く先々で酒や料理の振る舞いを受けた。

 また、猿田彦命を先頭とする祭礼の行列には、子供たちが引くみこしや山車も続き、秋が深まる町内で色鮮やかな時代絵巻を繰り広げていた。(松浦 純)


◎パイプオルガン 物語合わせ…おきなわ鳥のこえ英訳版出版支援コンサート
 第2次世界大戦末期の沖縄戦を主題にした絵本「おきなわ 鳥のこえ」(小峰書店=東京)の英訳本出版を支援するコンサート「平和の風」が15日、函館市駒場町のカトリック湯の川教会聖堂で開かれた。約120人が来場。同絵本の絵がスクリーンに映し出される中、文が朗読され、物語の情景に合わせた音楽がパイプオルガンで奏でられた。

 このコンサートは、函館ラ・サール中学・高校のカナダ人教師ピーター・ハウレットさん(52)らでつくる出版プロジェクトと、NPO法人(特定非営利活動法人)南北海道自然エネルギープロジェクトが主催。来場者に音楽を聞いてもらい出版資金を募る。出版されたら米国など英語圏の平和団体に寄付する。

 絵本は、丸木位里(いり)さんと、妻の俊(とし)さん(ともに故人)が、沖縄の人たちの視点で書いた。ハウレットさんは「沖縄戦を函館から世界へ向けて発信するため、ぜひ協力を」と呼びかけた。

 朗読は市内で読み聞かせ活動などをする和田ふみえさん、風力エネルギーによるパイプオルガンは函館在往の石崎理(みち)さんが担当。沖縄戦で日本兵が住民を殺害した場面ではバッハの「人よ、汝の大いなる罪を泣け」が演奏されるなど、激動、悲哀を感じさせる6曲が会場に響いた。来場者は、映像や文で改めて惨劇を知り、心に響く音を受け、平和に祈りを込めていた。

 出版支援コンサートは12月にも市内で行われる予定。(山崎純一)


◎コジマNEW函館店オープン
 大型家電専門店「コジマNEW(ニュー)函館店」(奈良靖孝店長)が15日、JR五稜郭駅前の函館市亀田本町55にオープンした。午前10時の開店と同時に、どっと買い物客が押し寄せ、目当ての商品が並ぶ売り場へと足を向けていた。

 家電量販店大手のコジマ(宇都宮市、小島章利社長)は、かつて函館市内に2店舗を展開していたが、新店へ業務を統合するため、「コジマ函館店」(桔梗1)を2月12日に、「コジマ五稜郭東」(本通4)を今月2日に閉鎖。敷地面積5215平方メートルの土地に、鉄骨造り3階建て、延べ床面積9409平方メートルの新店舗建設を進めてきた。

 開店に先立って行われた朝礼で、小島社長は「地域一番店を目指して、これまで以上に地元の人に信頼される店作りに努めていきたい」とあいさつ。同社の社員らが、シュプレヒコールを上げ、目標達成に向けて心をひとつにした。

 同店によると、開店時には、約1500人の行列ができた。一番乗りは、14日午後7時ごろに並んだ男性だったという。(浜田孝輔)


◎敬老企画(中) 佐々木豊松さん(77)…地域の人とスポーツ楽しむ
 「スポーツを通して、人を楽しませることがうれしい」。函館市八幡町の佐々木豊松さん(77)は、長年のキャリアを生かし、ソフトテニス、バウンドテニス、グラウンドゴルフなどを地域の人たちに教えている。市民対象のスポーツイベントに積極的に参加。後片付けも進んで行う姿に、大勢の人たちが敬意のまなざしを送る。

 旧国鉄を55歳で退職。同市内の警備会社に再就職し22年間勤務。ことしから同市内の旅館で夜間警備のアルバイトを始めた。午後10時から翌日午前7時まで、多い時には月に15、16日間働く。「特に疲れることはなく、体調は変わらない。普段から体を動かすことが元気の秘けつ」と元気いっぱい。

 ソフトテニスのキャリアは61年。現在は函館ソフトテニス連盟の参事を務める。2003、04年には、全国の旧国鉄OBが集まるソフトテニス大会で連覇するほどの実力。同競技の審判として最上級の資格を持っている。

 今でも週3、4回は、所属している市内のクラブのメンバーと共に千代台公園や日吉のテニスコートで汗を流し、周りにアドバイスを送る。「プレーしていて楽しめる相手ばかり」と笑顔。

 「自分より若い人の練習についていくために日々の体力づくりは欠かせない」と話す。時間があれば2、3キロのランニング、腹筋と背筋を約70―100回。ダンベルを持っての屈伸運動を約30回をこなす。「ただ体調に合わせているので、無理はしない」。同連盟の本間英一元会長(74)は「普段のトレーニングがあるから、若い人とのプレーを楽しめる」と感心しきり。

 佐々木さんの活動の幅は広く、市社会体育振興会の体育指導委員として函館八幡小体育館、グラウンドなどを利用して、地域の幅広い年代の人たちにスポーツの楽しさを伝えている。市民対象のスポーツイベントにも積極的に参加。競技するだけでなく、会場の準備、後片付けも進んで取り組む。「すべてをやることで連帯感が強まり、そこから皆で楽しめる気持ちが生まれる」と説く。

 「みんなと楽しく動いて、健康であればそれでいい。笑いながらすごせれば何もいうことはない」。苦しい顔を見せない佐々木さんのプレーに、周囲の笑顔も絶えない。(小林省悟)