2007年9月19日(水)掲載

◎花びらユニーク、函館山にトリカブト咲く
 函館山では青紫色のトリカブトの花が咲いている。登山を楽しむ人は秋の風情を醸し出す姿に目をやっている。

 トリカブトはキンポウゲ科。毒草で名高いが、かぶと状の花の内側に花びらを持つユニークな形で見る人を楽しませている。舞楽で舞う人ががかぶる「鳥兜」はに似ているから名付けられたなどの説がある。

 函館山では毎年夏の終わりごろから花が見られるとされているが、道アウトドアガイドの木村マサ子さん(62)によると、ことしは8月中旬から咲いており、花の数も多いという。

 生け花に使われるほどの上品な花だが、函館山では植物の採取は禁止。山の思い出としてじっくり眺めるだけにしておこう。(山崎純一)


◎交付税削減 「本年度中に行革新計画」…函館市議会
 第3回函館市議会定例会は18日、一般質問が始まり、5氏が登壇した。地方交付税の大幅な減額に伴う今後の対応について質問が相次ぎ、西尾正範市長は今後も徹底した行財政改革を推進していくとし、現在の行財政対策5カ年計画(2005―09年度)以降については、本年度中に中長期の見通しに立った新たな計画をまとめる意向を示した。(鈴木 潤)

 浜野幸子氏(新生クラブ)、井田範行氏(市民クラブ)の質問に答えた。

 厳しい財政状況の下、両氏はマニフェストに掲げた事業について、「すべて実行するのは難しい。優先順位を示すべき」と事業中止や規模縮小を視野に入れた対応を求めた。

 西尾市長は「事業中止などによる市民生活への影響がないよう基金の取り崩しなども含め配慮したい」とし、「緊急度や優先度を考慮し、目標実現に効果あるものから順次取り組む」とした。

 2003年度から比較し、普通交付税と臨時行政対策債が約50億円の削減となった結果について、市長は「厳しい算定結果と深刻に受け止めている」とし、「地域の実態にあった算定を行うよう改めて全道市長会や地方6団体(全国市長会など)を通じて国に働きかけていく」と答えた。

 また、昨年10月から試行している人事評価制度について、小柏忠久総務部長は、職員の職務上の経験や資格、町会などのコミュニティー活動の実績などを盛り込むキャリア調書を加える考えを示し、「(評価制度を)できるだけ早い時期に昇格や給与へ反映させるほか、適正な人事配置に活用したい」と述べた。

 このほか、斉藤佐知子氏(民主・市民ネット)、志賀谷隆氏(公明党)、紺谷克孝氏(日本共産党)が質問した。主な質疑は次の通り。

◎一般質問、主な質疑

 浜野氏 今ある資源、人材を最大限活用し、コストをかけない子育て支援策を積極的に打ち出すべきでは。

 西尾市長 学校や児童館、ファミリーサポートセンターなど既存の資源と、知恵や経験の豊かな人材活用は欠かせないので、創意工夫を重ねながら効果的な事業展開を図りたい。

 斉藤氏 マニフェストで総合療育センターの設立を掲げているが、青柳、あおば、ともえの市立障害児施設3園の統合整備とはどのような関係になるか。

 西尾市長 3園それぞれの機能を継承し、障害者への一貫した支援機能を整備するほか、保護者や家族と、保育所、幼稚園、学校などへの支援、さらにはノーマライゼーション理念の普及、啓発など多様な機能を備えた中核的な役割を担う施設として整備したい。

 斉藤氏 新たに設置する労働政策室で精神障害者への就労支援を行うべきでは。

 桜井健治商工観光部長 関係機関と連携を図りながら就労支援に努めていきたい。

 井田氏 今回の昭和公園での痛ましい事件を発生させないため、今後の防犯対策をどう強化するのか。

 西尾市長 学校教育の場における児童生徒への指導はもとより、家庭教育や団体活動などさまざまな場で訴えっていく必要がある。今回、警察や町会など関係部局が連携し、市内の公園7カ所の夜間における状況調査を行ったところであり、この結果を踏まえ、関係機関や町会などと連携したパトロールなど効果的な防犯対策の検討を進めたい。

 志賀谷氏 北海道新幹線着工の要望活動に尽力し、実現させた当時の井上博司市長と福島恭二議長、函館商工会議所の高野洋蔵会頭の実績をどう評価するか。

 西尾市長 着工に向け市議会、経済界とともに行動した井上市長の実績は高く評価されなければならない。私もオール北海道の中で運動していきたい。

 紺谷氏 大間原発の安全対策強化や情報公開を求める考えは。

 西尾市長 防災対策を期すEPZは国の基準で原発から半径8―10キロだが、函館と大間の最短距離は18キロ。第2次公開ヒアリングで商工観光部長も意見陳述したが、安全対策や風評被害対策などを引き続き求め、市民の不安を取り除き、正しい情報を入手し伝えられるよう、道と協議していく。

 紺谷氏 公約に掲げた保育料の軽減や免除は実現できるか。

 西尾市長 交付税の大幅削減など厳しい財政状況にあるが、当市と同じくらい厳しい財政下で同様の施策に力を入れている市もあり、子育て支援から一定の軽減は必要。どの程度軽減できるかは制度設計している。


◎市長「函館どつくと協議」…大型クレーン撤去
 解体・撤去が振り出しに戻った函館市土地開発公社が所有する旧函館ドック跡地の大型クレーン2基について、西尾正範市長は18日の市議会一般質問で、撤去の意向は変わらないが、当初の持ち主の函館どつくと協議し、力を借りていく考えを示した。

 志賀谷隆氏(公明党)の質問に答えた。また同日、市民団体「ゴライアスクレーンを守る会」の石塚與喜雄会長は、会を発展的に改組し、市議や経済界の一部も会員に加わり「北の大門 函館港ゴライアスクレーン保存連合協議会」を立ち上げる考えを語った。

 本紙の取材に対し志賀谷氏は「函館どつくにクレーンを買い取ってもらい、函館の文化遺産や産業遺産としての活用を考えるべきだ」と語り、西尾市長は「撤去に向けてどつくとさまざまな協議をしていきたい、との意味」と答えた。両氏の考えには差異があるが、函館どつくを介して今後の方針を決める点では一致している。

 ドック跡地では同社の新造船の艤装(ぎそう)工事が行われており、安全に撤去するには同社とのスケジュール調整が必要となる。市は同社と協議を進めることで、日程調整がしやすくなる。

 クレーンは1975年の建造で、1基約2000トン。老朽化による倒壊などの恐れから、市が撤去を決めた。

 市土地開発公社は昨年春、公募で本州の造船関連業者を売却先候補にしたが、曲折を経て今年7月、業者が市に解体計画の断念を伝えた。海上からつり上げる大型クレーン船の手配ができなかったため。

 改選前の市議会では、クレーン保存の陳情を3回、賛成少数で不採択としている。(高柳 謙)


◎刑事裁判の可能性も 傍観の少年ら立件視野…高3集団暴行死・家裁送致
 函館市内の私立高3年佐藤智也君(18)が集団暴行を受けて死亡した事件は、中学時代の元同級生ら15―19歳の少年7人が17日、傷害致死の非行事実で函館地検から函館家裁に送致されたが、同地検が「刑事処分相当」との意見を付したことで、成人の刑事事件と同様の裁判を受けることになる可能性もあり、同家裁の判断が注目される。同家裁は今後、少年らの成育環境や犯行の経緯などを調べ、7人の処遇を決める。

 少年7人の家裁送致は同日午後1時半、同地検で発表された。同地検によると、7人は非行事実を認め、落ち着いた様子で取り調べに応じているという。全員が「申し訳なかった」と反省の弁も口にしている。

 ただ、同地検は「事案の重大性や事後の対応の悪質性などを考慮し、刑事処分が相当」との意見を付けた。石井隆次席検事は「少年らは警察に捕まらなければいいとだけ考え、被害者が危険な状態だと認識しながら、助けようとしなかった」、「犯行後に被害者が『死んでしまえばいい』と話し合っていた」と指摘。少年らの年齢を加味しても全員に刑事処分が相当とする判断を下した。

 現行の少年法では、16歳以上の少年が故意に人を死なせた場合、原則として家裁は検察官送致(逆送)することを定めている。14―15歳であっても、少年を調査した家裁の判断によっては逆送も可能だ。少年らが逆送されれば起訴され、成人と同じ刑事裁判を受けることになる。

 同地検は、現場で暴行を加えなかったものの、傍観していた少年少女7、8人についても、現場助勢罪が成立する可能性もあるとして、立件も視野に捜査を継続させる方針を示した。

 同家裁はこの日、7人について2週間の観護措置を決め、身柄を函館少年鑑別所に収容した。観護措置はその後、さらに2週間延長され、審判が開かれる見通しだ。


◎文字や地図 大きく見やすく…「はこだて観光のりかえマップ」リニューアル
 函館都市圏渋滞対策協議会は、市内の公共交通機関の乗り継ぎ方法をまとめた「はこだて観光のりかえマップ」をリニューアルした。JR函館駅前、湯の川温泉街など3カ所の拡大地図を載せ、主要バス停の位置などを表示したほか、文字の大きさや色を変え、全体的に見やすく刷新した。市内の駅や観光施設などで配布している。

 同協議会は周辺2市1町、函館開発建設部、道など14機関で構成し、1996年から交通環境の適正化策などを検討している。昨年12月に初めて発行した乗り換えマップは、観光客や修学旅行生などに好評で、約10万部を配布した。

 改訂版ではJR函館駅、五稜郭公園、トラピスチヌ修道院など9地点の間の移動方法別の所要時間、運賃の目安を記載した。文字を前回より大きくし、主要観光地の見どころガイドの代わりに、拡大地図を掲載し、利便性を高めた。

 このほか、乗り継ぎ券の利用方法や「箱館ハイカラ號」と超低床電車「らっくる号」の時刻表や、函館バスのロケーションシステムのアクセス先をQRコード(二次元バーコード)で表示した。

 協議会は今後、生活路線を中心とした市民向けのマップ作成も検討している。事務局の市都市計画課は「公共交通を利用することで、市内の渋滞緩和につながれば」と話している。

 B3判両面カラー。5万部を発行し、JR函館、五稜郭駅、函館空港、観光案内所などで配布。函館開建のホームページ(http://www.hk.hkd.mlit.go.jp)からもダウンロードできる。

 問い合わせは同課TEL0138・21・3362。(今井正一)