2007年9月2日(日)掲載

◎「ナッチャンRera」就航…函館―青森間 新高速フェリー
 東日本フェリー(古閑信二社長)が運航する新型高速フェリー「ナッチャンRera(レラ)」(約1万トン)が1日、函館―青森間に就航した。新船の乗り心地を確かめようと、道内外からの搭乗客が初便の出港する午前7時半前から、新装となった同社函館ターミナルに詰め掛け、家族や見物客らに見送られる中、青森に向けて航行していった。

 同船は、オーストラリアのインキャット社製の波浪貫通型双胴船で、全長112メートル、幅30・5メートル、最大時速は約67キロに達する、世界最大級の大型高速フェリー。同区間における片道の運航時間は、在来船の約3時間50分から約1時間45分に大幅短縮する。運航便数は、1日4往復。

 船内は、「お客様に、ここちよい時間と、ここちよい空間、そして、心に残る想(おも)い出を提供する」の基本理念に沿って、ゆったりとした座席や豪華な内装などが特徴。また、女性の客室乗務員「キャビンアテンダント」が同乗しているほか、同ターミナルでは待合室から直接船内に乗り込むことができる「ボーディングブリッジ」を設けるなど、飛行機並みの環境を整える。

 就航便には、旅客定員774人、トラック33台、普通乗用車195台分に対して、463人、普通乗用車48台、バイク4台が乗船。稚内市港町の田原秀樹さん(71)は「もともと船が好きなので、ぜひ乗ってみたかった。立派な船だし、何より早さが魅力」と、胸を躍らせていた。

 就航セレモニーで、古閑社長は「本日、無事就航を迎えることができた。海の高速道路と位置づけ、みなさまの交流の一助となり、地域発展に貢献できればと思っている」とあいさつ。すべての乗船を済ませた後、同船に装備された4機のウオータージェット推進器が稼働すると、勢いよく水しぶきを立てながら徐々に離岸し、青森へと向かっていった。

 見物に訪れた北斗市七重浜の鎌田守さん(69)は「近くで見ると、親しみやすさとホテルのような豪華さを感じる。1度は乗ってみたいという気になりましたね」と話していた。(浜田孝輔)


◎ワン・ニャンレスキュー 9日に野犬抑留所で初の譲渡会
 捨て犬やネコなどを保護し新しい飼い主を探す、函館ワン・ニャンレスキューは9日、函館市野犬抑留所(見晴町36)を会場にした初めての譲渡会を開く。同抑留所は市街地から離れているが、「捨てられた犬の現実を知ってほしい」と企画した。同レスキューは「犬であっても、かけがえのない命の大切さを感じてもらいたい」と話している。

 同レスキューは2002年8月に発足。これまで650匹以上引き取り、620匹余りを新しい飼い主に引き渡している。保護・譲渡した犬のほとんどが、捨てられたり迷ったりして同抑留所に保護された犬。メンバーが引き取りで連日行き来する中で、「市民に抑留所の犬を理解してほしい」と抑留所での譲渡会を企画した。

 これまでの譲渡会は、イベント会場や市立函館保健所などで開催。同抑留所は交通の便が悪いが、「おり越しの犬の目や鳴き声、においなど、五感で抑留所の実態を感じてほしい」とあえて会場に選んだ。同抑留所の犬と同レスキューが一時保護している犬の新しい飼い主を探す。

 開場は午前10時から午後2時まで。会場には駐車場が少ないため、乗り合いや交通機関を使った来場などを呼び掛けている。問い合わせは同レスキューTEL090・6997・6744。(原山知寿子)


◎函館の今年の夏は暑かった?
 9月に入っても暑さが残る函館だが、今年の夏は、月単位で気温の変動が大きかった。20度を超える汗ばむ陽気が続いた6月に対し、7月は一転して平年気温を大きく下回る日が続くなど冷夏を予感させる状況に。しかし8月に入ると一気に暑い日が続き、各行楽地やイベントなどはにぎわいを見せた。3カ月間の天候の推移を振り返りながら、今年の夏を総括した。

 【温かい6月、寒い7月、暑い8月】

 気象庁のまとめによると、函館市(美原)の今年の6―8月3カ月間の平均気温は20・1度で平年を0・7度上回った。月別では6月の平均気温が17・8度(平年15・8度)と2・0度も上回ったのに対し、7月は19・2度(同20・1度)と0・9度下回り農作物への影響なども心配された。しかし8月に入ると同時に夏型の気圧配置となり気温は一気に上昇。平均気温は23・1度(同21・7度)となり、暑い夏を印象付けた。

 一日の最高気温が30度を超える真夏日は5日間。2000年以降を見ると、2000年が5日、01―03年がゼロ、04年が8日、05年が3日、06年が6日で、ほぼ平均値。最高気温は8月14日に33・0度を記録しており、これは歴代4位にあたる(歴代1位は1999年8月4日の33・6度)。

 また函館市の降水量は6―8月合計で285・0ミリ(平年349・5ミリメートル)と少なめ。とくに8月後半(16―31日)の雨量は4・0ミリと、1895年の統計開始以来最少を記録した。日本気象協会によると、3日以降は秋雨前線の北上や台風9号の接近などにより雨量が増える可能性があるとしている。

 【海水浴場は期間縮小で来場減】

 湯川海水浴場(根崎町)は当初、開設日を例年より2週間遅い7月15日に設定したが、台風接近の影響でさらに6日間延期となり、同21日に開設した。函館市教委によると、8月31日まで42日間で3万818人が来場。気温が30度を超える日が続いた8月中旬にピークを迎え、12日には今季最多の2867人が訪れた。ただ昨年度より開設日数が19日間少なく、来場者は1万4540人減となった。入舟町前浜海水浴場(入舟町)は7月24日から8月19日までに3714人が訪れ、昨年度を626人下回った。

 【食中毒警報9回発令】

 市立函館保健所管内で今季の食中毒警報は7月24日を皮切りに8月末までに9回発令された。7月は2回、気温が高い日が続いた8月は7回で、同10日から30日にかけてほぼ連続して警報が出ていた。過去5年間では2003年度が1回と極端に少ないが、04―06年度は10回前後で推移し、発令状況は本年度も例年並みだった。

 【熱中症や水の事故など】

 函館市消防本部によると、公園などの屋外で目まいがしたり、冷や汗をかいたりと、熱中症に似た症状の患者を数件搬送したものの、大きな事故につながるケースはなかったという。

 水の事故に関しては、函館市内での死亡事故はなかったが、木古内町幸連沖で7月30日、潜水中の板金業の男性(51)が水死。8月13日に長万部町静狩漁港で釣り中の男性(64)が海中に転落し死亡。同21日には、北斗市七重浜の海岸で遊泳中の高校生3人が沖に流され、2人が命を落とすなど痛ましい事故が相次いだ。


◎紅葉山町でクマ捕獲
 1日午前1時15分ごろ、函館市紅葉山町の道道函館南茅部線のNTT無線中継所付近で、道路上にクマがいるのを車で通り掛かった男性(63)が発見、110番通報した。付近を警戒中だったハンターらが同日午後1時15分ごろ、再び道路脇に出没したクマ1頭を見つけ、駆除した。

 函館中央署によると、捕獲されたクマは体長約1・1メートル、体重約80キロ、推定年齢は4歳前後。今年に入り、付近で目撃情報が相次いだクマと同一とみられる。この日は同署員のほか、市が要請した地元のハンターら8人が出動し、警戒を強めていた。

 現場は同中継所から川汲トンネル方向に約300メートルの地点で、付近に集落はない。クマは道路脇に自生していた野いちごを食べていたという。


◎恒常的にいじめか…高3集団暴行
 函館市内の公園で同市富岡町、私立校3年佐藤智也君(18)が中学時代の同級生ら少年7人に集団暴行されて死亡した事件で、函館西署は1日、最初の犯行場所となった富岡中央公園(富岡町1)の本格的な実況見分を行い、暴行の状況などを詳しく調べた。また、これまでに傷害致死容疑で逮捕された少年7人に、厳しい処置を望む声が同署に2件寄せられていることも分かった。

 これまでの調べで、同公園は通称「タコ公園」と呼ばれ、逮捕された少年らの“たまり場”になっていた。暴行直前にも、佐藤君を含めた少年らがボールや金属バットを使って遊ぶ姿が近隣住民らに目撃されている。暴行の第2現場となった昭和公園(昭和町20)から立ち去った後も、少年らはいったん富岡中央公園に戻り、「どうする」「やばいよ」などと相談していたという。

 同公園でよく遊ぶという少女(12)は「(佐藤君は)中学時代から(逮捕された)少年らに殴られたり、けられたりしていた。きもい、うざいとからかわれても、抵抗するのは1回も見たことがない」と話す。

 同署は佐藤君が逮捕された少年らから恒常的にいじめを受けていた可能性もあるとみて、金銭トラブルとの関連や、少年らの“遊び”の実態を詳しく調べている。