2007年9月20日(木)掲載

◎商業地16年ぶり上昇…基準地価
 道は20日付で7月1日現在の基準地価(地価調査)結果を発表した。函館市内の商業地がプラス1・2%で16年ぶりに上昇。住宅地は16年連続の下落となるマイナス同2・8%だが、下げ幅がわずかに縮小した。同市周辺の北斗市、七飯町では住宅地、商業地とも昨年に引き続き下落した。1平方メートル当たりの最高価格は商業地が函館市本町7の21、第1マルカツビルで前年より1・1%上がり16万円、住宅地は同市本町29の11で前年と同じ8万3500円だった。

 渡島管内(11市町)では98地点で調査し、マイナスは108地点、横ばい12地点、上昇3地点、選定替え5地点。桧山管内(7町)は33地点で、マイナス27地点、横ばい4地点、選定替え2地点。全道(180市町)では1450地点で調査が行われた。

 函館市内の商業地の1平方メートル当たりの平均価格(以下同)は8万3400円。JR函館駅周辺や本町でのホテル需要などを背景に本町、若松町、松風町の3地点で上昇したのに対し、市内幹線道路6地点では横ばい。渡島、桧山両管内で最も上昇した本町7の21第1マルカツビルの変動率は10・3%だった。

 同市内の住宅地は下落傾向が続いているが、平均変動率がマイナス2・8%で下落幅は0・2%縮小、平均価格は4万9600円となった。本町や柏木町など中心部では横ばいの地点もあるが、谷地頭町が両管内で最も下落変動率が大きくマイナス6・7%、湯浜町もマイナス5・4%でこの2地点では大幅に下がった。

 同市周辺では七飯町の住宅地が前年より下げ幅を1・9ポイント縮小したが、マイナス5・7%と大きく下落。同市内郊外での宅地分譲の影響を受けたとみられる。

 渡島管内の平均変動率は商業地、住宅地とも下落傾向だが、函館市内の一部の商業地がプラスとなり、平均価格が上昇した。桧山管内は住宅地が23地点のうち19地点、商業地は横ばいの奥尻、厚沢部の2地点以外の5地点でいずれも下落した。

 全道では住宅地の平均変動率はマイナス2・0%で平均価格は2万3400円。商業地はマイナス1・5%で7万1600円。1平方メートル当たりの最高価格は住宅地が札幌市中央区宮ケ丘2の474の86で16万5000円。商業地は札幌市中央区北3西2の1の13外で200万円。(宮木佳奈美)


◎函教大「本免実習」が終了…各小学校で退任式
 道教育大函館校の教員養成課程の3年次に経験する長期教育実習「本免実習」が、本年度を最後に終了する。2006年度の学課再編に伴い、函館校では同過程が廃止されたため。受け入れ先の函館・北斗市と七飯町の各小学校では実習最終日の19日に退任式を行い、学生と児童が別れを惜しんだ。

 函館校では06年度に教員養成課程の募集をやめ、人間地域科学課程を置いている。小学校と中学校の教員免許を取得する学生は、3年次に4週間の本免実習、4年次に2週間の実習を経験する。本年度教育実習を受ける教員養成課程の学生は約280人。今後も函館校で教員免許は取得できるが、養成課程の学生の本免実習は最後となる。

 函館北星小学校(福嶋功校長、児童140人)は8月22日から5人を受け入れた。この日5時間目に行った退任式では、実習生が自分らのプロフィルを題材に考えた○×クイズを行い、最後の交流を楽しんだ。

 実習生の中谷由貴恵さん(21)は「上手に教えられなかった時もあったけれど、一緒に勉強して遊んだ日々は楽しかった。先生はみんなの事をずっと覚えています」とあいさつ。長岡由佳さん(22)は「4週間はあっという間に過ぎた宝物です」と瞳を潤ませていた。(小泉まや)


◎飲酒運転を厳罰化…改正道交法施行
 飲酒運転の厳罰化などを柱とした改正道交法が19日、施行された。飲酒した運転者の罰則を強化するとともに、酒や車の提供者、同乗者への罰則規定が新たに盛り込まれた。函館中央署は同日夜、管内2市1町の飲食店などを巡回。「酒酔い運転罰金100万円! それでもあなたは運転しますか?」と書かれたステッカーを配り、飲酒運転の撲滅を呼びかけた。

 飲酒運転に関する同法改正は2001年以来6年ぶり。福岡市で昨年8月、飲酒運転の車に追突され、幼児3人が死亡する事故をきっかけに厳罰化の機運が高まり、今年6月に公布された。

 改正道交法では、酒酔い運転の最高刑が懲役3年から5年、罰金の上限は50万円から100万円に。酒気帯び運転の場合も同様に1年から3年、30万円から50万円に引き上げられた。アルコール検査の拒否の罰則は、30万円以下の罰金のみだったが、懲役3年以下または50万円以下の罰金となる。

 これまで、ドライバーに酒や車を提供したり、同乗したりする行為は刑法のほう助罪や教唆罪が適用されてきたが、改正法ではこうした運転者以外の周囲の責任を明文化。相手の飲酒を知りながら車を提供することを運転者への助長行為として「同罪」に、酒類の提供や同乗は、ドライバーが酒酔いの場合「懲役3年以下または罰金50万円以下」、酒気帯びの場合は「懲役2年以下または罰金30万円以下」とした。

 また、ひき逃げについては、改正前の2倍の最高刑10年、罰金100万円に引き上げられた。飲酒運転の上、死亡事故を起こして逃走した場合、自動車運転過失致死罪との併合で、法定刑の上限は「懲役15年」と大幅に重くなった。

 同署の田村豊交通担当次長は「法改正で酒の提供者や同乗者の意識も高まるはず。飲酒運転がなくなるような社会環境につながれば」と期待を寄せていた。

 同署は施行初日の19日午後7時から、函館、北斗、七飯の2市1町の飲食店などに飲酒運転追放のステッカー約1500枚を配布。このうち北斗市の久根別駅周辺では、海老沢順三市長や同署の高橋道夫署長らが、ドライバーには酒類を提供しないよう店主らに呼びかけた。

 道警函館方面本部交通課によると、8月31日現在、管内(渡島・桧山、後志管内の一部)での飲酒運転の逮捕者数は68人(前年同期比22件増)、飲酒運転に絡む事故は33件(同6件増)と増加傾向にあるという。(小林省悟)


◎来月「子ども未来室」設置…函館市議会
 第3回函館市議会定例会は19日、6氏が一般質問に立った。西尾正範市長は、厳しい財政状況の中でも少子化対策を優先課題として取り組む意向で、10月に設置する「子ども未来室」を中心に子育て支援策を推進していく考えを示した。茂木修氏(公明党)の質問に答えた。

 子ども未来室は、福祉部など庁内の関連部署が連携して子育て支援を進めていく新たな部署で、西尾市長は「具体的な検討を深める中で緊急度や優先度を勘案し、精力的に取り組む」と述べた。

 また茂木氏は、民間企業の協力を募り子育て支援に取り組む団体を支援する「子ども基金」の創設を提案し、西尾市長は「興味がある。他都市の状況を調査研究したい」と答えた。

 子育て支援は、西尾市長が掲げるマニフェストの中でも重要視している政策で、「地方では人口の減少や地域活力の低下といった深刻な問題が生じており、国と地方が協力し、実効性ある対策を早急に実施する必要がある」との認識に立っている。 

 来年度をめどに乳幼児医療費の助成を小学校卒業まで拡大する方針について、市長は「行財政改革の積極的な推進で財源を確保し、実施に向け努力したい」と従来通りの考えを示したが、地方交付税が大幅に減額されたことから「財政状況は以前に増して厳しい」と述べた。(鈴木 潤)

◎一問一答

 そのほか、佐古一夫氏(市民クラブ)、福島恭二氏(民主・市民ネット)、佐々木信夫氏(市民クラブ)、丸尾隆子氏(共産党)、黒島宇吉郎氏(新生クラブ)が質問した。主な質疑は次の通り。

 佐古氏 ハコもの行政の反対には賛成。ただ、市民要望の高い市民体育館や市民会館の整備の考えは。

 西尾市長 国際水産・海洋総合研究センターや縄文文化交流センターなど、必要な建設事業は行う。体育館と市民会館の建て替えの要望が強いのは理解しているが、改修しながらできるだけ長く使い続けたい。ただ、各種事業の推進は市民の声に耳を傾けて取り組む。

 佐古氏 栄養バランスに優れた魚をもっと消費することが必要。魚食普及をどう推進するか。

 西尾市長 ライフスタイルや消費者の好みの変化など、指摘の通り「魚離れ」が進み、問題。イカやサケを使ったレシピ集の作製や関係団体と連携した調理教室などを開催しており、今後は漁協などとさらに連携し、湯の川温泉博覧会での調理講習会や各種イベントで魚食の普及を図っていきたい。

 福島氏 助役時代に市の財政状況をどう認識していたか。

 西尾市長 昨年11月に示された中期財政試算から、大きな変化がなければ2009年度には基金に頼らない財政運営ができると思っていた。その後、交付税の大幅減額など状況の変化が生じた。

 佐々木氏 仮称南かやべ総合コミュニティセンター建設事業の現時点での整備方針は。

  西尾市長 現南茅部公民館をコミュニティ機能に特化させた施設として改修する方向で取り組みたいと考えており、合併特例債の対応が可能な期間中に整備していきたい。

 佐々木氏コンブのオーナー制PRを市として支援すべきではないか。

 西尾市長 先進的な取り組みで、漁家経営の安定に寄与できるばかりでなく、漁業者自ら直接、消費者に情報発信ができ、函館産コンブのブランド化に効果があると考える。市として広報誌やホームページなどを活用してPRに努めたい。 

  茂木氏 除雪作業は民間業者との連携はもとより、行政と市民の連携が大事だと思うが。

 西尾市長 昨年度、大幅な除雪計画の見直しを行い、新たな取り組みとしてボランティアサポートプログラムの手法を導入した。当面、モデル地区を設定して実施するが、今後全市的な取り組みに拡大させていきたい。併せて、行政、除雪業者、地域住民などによる連携体制の構築も検討する。

 丸尾氏 おしま地域療育センターの存続について、道に財政支援を要請しているが、道は何と言っているのか。

 西尾市長 渡島保健福祉事務所と、北斗、七飯、センターを運営する侑愛会で協議し検討している。道はセンターへの財政支援は、一義的に地元自治体が行うべきとの考えを示している。

 丸尾氏 市長がマニフェストに掲げた総合療育センターと、おしま地域療育センターの違いは何か。(「おしま―」の)診療機能を取り込むことはできないか。

 西尾市長 公約の療育センターは、障害児者への一貫した総合的支援機能と、保護者や家族、福祉分野における人材育成、情報発信など多様な機能を備えた中核施設。地域の療育を担う広域的、専門的施設整備は道が主体的に行うべきで、診療機能を取り込むことは、市単独では難しい。

 黒島氏 松風町の場外車券売り場は不採算場外。札幌と同様、独立させては。

 酒井哲美競輪事業部長 廃止した場合、身近な車券場がなくなり、競輪離れにつながる。函館競輪全体を活性化するために、十分協議し、松風場外とともに(事業の)収支改善に取り組んでいく。

 黒島氏 本年度のふるさとダービーの売り上げはがた落ちだった。運営協議会という組織が不明瞭(めいりょう)だ。

 酒井競輪事業部長 グレードの高いレースの場合、経費をまとめて透明性を図るために、協議会をつくっている。