2007年9月24日(月)掲載

◎自民新総裁に福田氏/年金、格差…問題の早期解決を
 23日に行われた自民党総裁選で福田康夫氏が選出され、次期首相に就任することが確実になった。道南の有権者からは新政権への歓迎の声が聞かれる一方、安倍政権時代に積み残した年金問題や格差などの数多くの問題を一刻も早く解決してほしいという、悲痛な叫びが相次いだ。

 函館市入舟町の会社員の男性(24)は「福田さんにはお堅いイメージがあり苦手だったが、総理になったからには国のために精一杯頑張ってほしい。未来に向けてより良い社会を作り上げてほしい」と期待する。森町本町の会社員の男性(42)も「官房長官時代のように、さらりと質問をはぐらかすような発言をせず、きっぱりとした口調で与政策議論をしてほしい」と注文付きながらエールを送る。

 その一方で政治の空白が生まれたことに対して厳しい意見も多い。函館市陣川町の会社経営の女性(41)は「誰が首相になっても大差ない。いじめなどの悲惨な事件をなくすために、子どもや若者たちが心の交流を取り戻せる施策を打ち出してほしい」と教育問題への真剣な取り組みを訴える。また北斗市中野通の自営業の男性(61)は「日本の基盤を支える第一次産業の保護や、遅れている地方の交通ネットワーク整備にしっかり目を向けてほしい」と地方格差問題の一日も早い解決を望んでいる。

 また、安倍政権崩壊の大きな要因のひとつとなった政治と金の問題について、函館市桔梗町の無職男性(72)は「不正な金の動きで大臣が失職するようなことは絶対に繰り返してほしくない。今度同じことがあれば、国民の信頼は二度と回復しないだろう」と厳しく指摘した。


◎合同公開講座函館学/イカとコンブから学ぶ食文化史
 函館市内の8高等教育機関による合同公開講座「函館学2007」(市高等教育機関連携推進協議会、市主催)が22日、函館市水産物地方卸売市場で開かれた。本年度3回目のこの日は、函館短期大学の猪上徳雄教授が「函館地域の食の大使―豊かな海の幸」と題して、主にイカとコンブにまつわる食文化史について講義した。

 猪上教授は、近年の外国に依存し、食糧自給率の低下や、食文化の多様性についての問題点を指摘。地元で旬のものを食べることで、環境になじむ体となる「身土不二」という考え方を述べ、函館地域においては「コンブとイカにつきる」とした。

 古くは、縄文土器からコンブを食していた痕跡があったとし、鎌倉―室町時代には「宇賀昆布」が中国に輸出されていたことなどを挙げ、コンブと函館のつながりの古さを紹介。また、江戸時代に長崎から輸出された「俵物」の中身は、江戸末期には8割が松前藩産で、スルメやコンブ、特に干しナマコは松前産が最高級品で重宝されていたとした。

 結びに、ガゴメやイカを使った研究を進めている都市エリア産学官連携促進事業や、市の国際水産・海洋都市構想など、近年の新たな海とのかかわりに触れ「函館は昔からユニークな存在で貿易をしながらやってきた。これからもう一度、一段と飛躍ほしいと願っている」と述べた。(今井正一)


◎貨物列車がクマをはねる
 【知内】22日午後11時20分ごろ、知内町湯の里48、JR海峡線の知内駅構内で札幌貨物ターミナル発埼玉越谷貨物ターミナル行きの貨物列車(20両編成)が、線路上にいた熊と衝突した。運転士は列車を止めて付近を確認したがクマはみつからず、列車にも支障がなかったため、12分遅れで運転を再開した。運転士にけがはなかった。

 木古内署や同町などによると、23日午前6時ごろ、同署員や同町が要請したハンターら計6人で現場を捜索。同駅から青森方向に約500メートル先の線路の間で死んでいるクマを発見した。クマは年齢8歳くらいの雄で、体長約1・4メートル、体重約120キロ。その後の調べで、クマの腰の骨が折れていることや頭の骨が陥没していることから、貨物列車がはねたクマとみられる。


◎江差追分全国大会/間島さん(長沼町)優勝、少年は福田君(厚沢部)制す
 【江差】第45回記念江差追分全国大会(江差追分会主催)は23日、町文化会館で決選会を行い、空知管内長沼町の農業、間島秀格さん(32)=長沼支部=が優勝した。

 表彰式で涙をぬぐい続けた間島さん。優勝旗を固く握り、男性らしい情感あふれる追分を披露した。間島さんは3歳から民謡を学び、14歳で追分の道へ。「今日は駄目だと思いました。毎年緊張で思うように声が出ないのが悩みでした」と振り返る。間島さんは第41・43回大会は準優勝、38・39・42回は3位、37回・44回は5位と入賞し、ついに首座を極めた。真剣なまなざしで「自分の歌を熟成させ、味わいある追分を目指す」と語る。

 熟年大会は、札幌市の会社員、橋本孝志さん(65)=札幌豊平支部=が優勝。「昨年の地区予選で、声の変調で落選したことがきっかけで、咽頭(いんとう)がんが分かった。追分に命を救われた。感謝を忘れず心にしみる歌を目指す」と語り、笑顔がはじけた。

 少年大会は、厚沢部町の中学1年生、福田光君(12)=厚沢部美和支部=が、昨年の準優勝から頂点に躍り出た。「優勝と聞いて泣きそうになりました」と笑顔で語った。(松浦 純)

 1―10位の入賞者は次の通り。かっこ内は所属支部(敬称略)。

 【第45回江差追分全国大会】(1)間島秀格(長沼)(2)安澤望(和春会)(3)福士優子(千歳)(4)瀧本豊壽(深川)(5)山本康子(鴎声会)(6)間島正晴(札幌白石)(7)山本ひとみ(十勝大雪)(8)川俣明彦(菊水会)(9)村川真奈美(苫小牧観昇会)(10)黒森このみ(札幌南)

 【第11回江差追分熟年全国大会】(1)橋本孝志(札幌豊平)(2)奈良たか子(帯広)(3)松谷敏江(白老白声会)(4)藤本哲(声友会)(5)鈴木金市(秋田中央会)(6)本田勝三(函館澄声会)(7)舟山マリ(札幌西)(8)高橋亮子(鴎声会)(9)森井洋祐(苫小牧)(10)佐藤梁治(函館)

 【第11回江差追分少年全国大会】(1)福田光(厚沢部美和)(2)藤谷優美(秋田王藤会)(3)須藤栞(千歳)(4)田村ひより(かもめ会)(5)三谷葵(札幌南)(6)西嶋吉継(かもめ会)(7)沢晴奈(苫小牧銀星会)(8)小笠原果実(水堀愛好会)(9)林愛葉(かもめ会)(10)川畑菜波(和春会)