2007年9月5日(水)掲載

◎名産品一堂に…棒二でうまいもの味めぐり
 全国各地の名産品を一堂に集めた物産展「第40回全国うまいもの味めぐり」が4日、棒二森屋(函館市若松町17)本館7階催事場で始まった。会場に漂うおいしそうな香りに誘われるかのように、多くの買物客でごった返していた。10日まで。

 同展は、3、9、12月の年3回開かれていて、毎回好評を得ている人気の企画。今回は全国初登場の5社を含む86社が出店した。

 初出店の中では、山梨のロールケーキや東京のミルクシューといったスイーツが、女性客の人気の的。宮城の牛タン弁当や京都のかまぼこ、ギョーザは実演も行われ、行き交う客の目を引いた。

 このほか、なじみの駅弁や地酒、銘菓がずらり。また、同展の40回を記念して、3150円の買い物をするごとに1回参加できる抽選会や、湯の川温泉「竹葉新葉亭」招待の企画も用意している。時間は午前10時から午後7時までで、最終日のみ午後4時まで。問い合わせは、同店TEL0138・26・1211。(浜田孝輔)


◎函館市 モデル地域に…パートナーエリアに指定 道と連携し移住を促進
 道はこのほど、移住促進に取り組む先進地として、函館市と滝川市をパートナーエリア(連携地域)に指定した。第1号の指定で、函館市は行政や企業、団体、地域などが移住の総合窓口(コンシェルジュ)構築に取り組んでいることが評価された。道はパートナーエリアの実践を道内外に広くPRし、連携を強化しながら交流・定住事業を推進していく。

 移住促進事業に取り組む道と道内各市町村の連携を強め、モデル地域の実践をPRし、官民を挙げた受け入れ態勢の整備を進める。

 道企画振興部地域づくり支援室によると、函館市は移住促進に向け、行政以外に医療や観光、不動産、ハイタク業界、アウトドア、食などの関連企業が多層的な取り組みを始めており、移住の総合窓口構築のモデル地域になるという。

 移住に関するさまざまな需要をビジネスとして成立させ、町会などの地域社会ももてなしの心を持つことで、地域が一体となった質の高い受け入れ態勢を築くことが期待されている。

 「団塊世代」などの移住促進に向けては総務省が本年度、道を含む全国4カ所で初めて「移住モニター調査」を実施する。道内で移住希望者100人、道南では函館市などで40組を受け入れることが決まっている。道地域づくり支援室は「函館の取り組みは懐が深く、さらに発展が見込める。北海道への移住を真剣に考えている人ほど函館の人気が高い」と評価する。

 移住を担当している市企画部は「総務省の実証実験や道のパートナーエリア指定を機に、移住ビジネスの展開や受け入れ態勢の整備をさらに進めていきたい」と話している。(高柳 謙)


◎来月14日に市電運転体験
 函館市交通局は10月14日、「鉄道の日」を記念して市電運転体験会を開く。運転手順などの講習を受けた後、営業車両(8000形)を使用して、駒場車庫構内を実際に走行。100メートルの区間を3回運転できる。6月に続いて2回目の開催で、反響次第では函館市電の定番イベントとして定着しそうだ。

 鉄道の日は1872(明治5)年、新橋―横浜間に日本初の鉄道が開通したことを記念して1994年に制定。市交通局は2002年から協賛事業を継続している。6月の運転体験会には、全国各地から29人の電車ファンが集まった。実施後の問い合わせも多かった。

 当日は、午前9時からカラオケ電車(アミューズメントトラム)車内で、本線上の信号、運転操作を見学し、機器の取り扱いや運転操作をDVDなどで教習。模擬運転台で操作教習をし、1人ずつ実車運転を体験する。

 対象は中学生以上で、定員は15人程度。参加費用は3000円。参加者全員に運転体験証明書、運転体験説明書、乗務白手袋など、記念品を用意している。

 往復はがきに郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、生年月日、年齢、性別、電話番号を明記し、「〒041―0035 函館市駒場町15番1号 函館市交通局電車運転体験企画係」まで申し込む。または、同局のホームページ(http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/transport/)のリンクから専用フォームへ。25日必着。

 問い合わせは同局運輸課TEL0138・32・1730。(今井正一)


◎沖縄戦描いた絵本 出版目指し地道に…ピーター・ハウレットさんら英訳
 函館ラ・サール中学・高校のカナダ人教師ピーター・ハウレットさん(52)らが、第2次世界大戦末期の沖縄戦を主題にした絵本「おきなわ 鳥のこえ」(小峰書店)の英訳本出版に力を注いでいる。昨年10月、出版プロジェクト事務局を設立し、英訳も完成させた。あとは出版、米国などへの寄贈に向けた資金集めで、その一環として15日、函館市駒場町のカトリック湯の川教会聖堂で風力パイプオルガンコンサートを開く。

 この絵本は丸木位里(いり)さんと、妻の俊(とし)さん(ともに故人)が、1年にわたり沖縄で入念な取材をして書き上げ、1984年に出版された。沖縄戦で小さい姉弟が戦火の中を逃げる姿をモチーフに、「ヌチドウ タカラ(いのちこそ たから)」など、沖縄の言葉を交え、住民の視点で惨状を語っている。

 丸木夫妻のファンというハウレットさんは、10年前にこの絵本と出会った。4年前、同校の修学旅行で沖縄を訪れたとき、「今でも米軍に土地を使われ、上空には戦闘機の爆音が響く。住民の苦しい生活が続くようでは、戦争は終わっていないようなもの」と感じ、「アメリカをはじめ、英語圏の人たちに沖縄戦の悲惨さを知ってもらわなければ」と英訳本出版を決意したという。

 ことし6月、絵本の版権を所有する小峰書店から出版の承諾を得た。翻訳はハウレットさんが函館で知り合った金城春菜さん(26)と米国人女性のアンドレア・グッドさん(39)が担当。金城さんは沖縄出身で、父方の曽祖父母などが沖縄戦の犠牲になった。

 約200冊を出版、アメリカなどの英語圏の平和団体や図書館に寄付し、平和教育に役立ててもらう考え。出版費用は約150万円になるが、ハウレットさんは「時間はかかるが募っていきたい」という。

 湯の川教会でのコンサートは、パイプオルガンを函館在往の音楽家、石崎理(みち)さんが演奏する。絵本は函館絵本の会銀のふねの和田ふみえさんが朗読し、会場には絵本をスクリーンに映し出す。本の絵を映像として発表することは異例だが、小峰書店が絵の使用を快諾した。

 パイプオルガンは電力が必要だが、今コンサートでは風力発電による電気を使用。自然のエネルギーを使うことは、平和な世界をつくるための鍵であることを訴える。同コンサート以外でも今後、さまざまな公演を予定している。

 同コンサートは入場無料だが、1000―2000円の募金を呼びかけている。問い合せは出版プロジェクト事務局の鍋島さん(TEL050・2020・9246)か高石さん(TEL090・6261・4989)へ。(山崎純一)


◎鍵谷涼子さん優勝…全日本芸術コンクール ピアノ
 東京都府中市の府中の森芸術劇場で8月27日に行われた「第1回全日本芸術コンクール」(同実行委主催)で、函館市出身で桐朋音楽大学(東京)4年生の鍵谷涼子さん(22)が、大学生・一般ピアノ部門の第1位に輝いた。鍵谷さんは「まさか1位になれるとは思っていなかった。これまで勉強してきた成果が評価されて大変うれしい」と喜んでいる。

 7歳からピアノを始めた鍵谷さんは、小学6年から伊藤亜希子さんの下で研鑽(けんさん)を積んできた。この間、数多くのコンクールで入賞を重ねるとともに、函館市青少年芸術教育奨励事業音楽部門では3年連続で銅賞、銀賞、金賞を受賞するなど輝かしい成果を挙げてきた。

 2004年に桐朋音楽大学音楽学部演奏学科ピアノ選考科に入学。「周りが非常にレベルの高い人たちばかりなので、とにかく自分の腕を磨こう」と、三上桂子さんの下で鍛錬(たんれん)に励んできた。

 これまで大きなコンクールに挑戦することはなかったが、今年の春に教育実習のため母校の函館白百合高を訪れた際、担当教諭から「せっかく音大に行ったのに、コンクールで力試ししないのはもったいない」と言われて発奮。7月に行われた「第34回全日本クラシック音楽コンクール」(東京国際芸術協会主催)で第2位に入賞し、今回見事に第1位となった。

 大学生・一般ピアノ部門は、98人がエントリーする激戦となり、このうち14人が予選を通過して本選に臨んだ。鍵谷さんは本選でラヴェルの「水の戯れ(たわむれ)」とシューマンの「管弦楽のない協奏曲から第1楽章」を演奏。「とても響きのいいホールで、緊張することなく気持ちよく演奏できたことが結果に結びついたのでは」と振り返る。

 鍵谷さんは来春同大を卒業するが、「まだまだ自分自身のピアノの腕をじっくり磨いていきたいので、このまま大学の研究科に残りたい」と話す。研究科に残るためには、卒業時の成績が最低でも上位10位以内でなければ難しいが、「今回のコンクールでの結果を自信に、精一杯頑張りたい」と張り切っている。(小川俊之)