2007年9月7日(金)掲載

◎道南もいよいよ地デジ…来月から2市7町の一部で
 NHKと民放5局は、渡島管内の2市7町の一部地域で地上デジタル放送(地デジ)の本放送を10月1日から開始する。番組内容は現状のアナログ放送と変わらないが、高画質のハイビジョン放送や、天気やニュースをデータ放送で随時知ることができる。NHKは道南のデジタル化に合わせ、室蘭市の測量山に渡島中継局を整備。これに伴い、噴火湾や太平洋沿岸部で、これまでの室蘭放送局の番組に代わり、函館放送局のローカル番組の受信が可能となる。

 地デジは2003年に東京、大阪など三大都市圏で始まり、道内では昨年6月から道央圏で放送を開始した。来月から受信可能となる地域は、函館、北斗、知内、木古内、七飯、鹿部、森、八雲、長万部の各一部で約17万5000世帯が対象(胆振管内豊浦町含む)。函館市内では、汐首岬から東側の戸井、恵山地域や七飯町大沼周辺などでは受信できない。

 NHKは渡島中継局を利用し、従来のアナログ放送で室蘭放送局の番組を受信していた南茅部地区や森などの地域で、函館放送局の番組の視聴をできるようにした。同局は「函館放送局の長年の夢。同じ文化、経済圏でありながら、函館の番組を視聴することができなかった地域も、地デジ開始を機に課題が解消される」と話す。今月下旬には八雲町で地デジ普及のイベントを予定している。

 今後、11年7月のアナログ放送廃止までには全地域での地デジ受信が可能となる。08年には、江差、奥尻大成、大沼の3中継局が整備され、放送開始を予定している。

 地デジでは、高画質のハイビジョン放送と5・1チャンネルの高音質が楽しめるほか、多彩な利用も可能。例えば、試合途中で終了していたプロ野球中継は、メーンチャンネルで予定番組が放送されていても、サブチャンネルで野球中継を継続して観ることもでき、視聴者の選択の幅が広がる。

 データ放送では、ニュースや天気予報、災害情報などを随時確認できる機能を持つ。また、ワンセグ機能付きの携帯電話などの端末でも、テレビの視聴が可能となる。

 視聴にはデジタルチューナーやチューナー内蔵機器の接続が必要。NHK函館放送局技術部によると、現在使用しているUHFアンテナの大半で受信が可能という。一部のテレビでは、デジタル端子へのアンテナ接続などが必要な場合がある。

 地デジに関する問い合わせは総務省の受信相談センターTEL0570・07・0101へ。(今井正一)



◎9月9日午前9時9分…憲法9条考よう 道南の会 参加者募集
 9月9日午前9時9分、憲法9条を守る行動を―。道南の護憲派約30団体でつくる市民団体「戦争をしないための選択・9条を考える道南の会」(共同代表・前田健三弁護士)は同日、「9」にこだわった形の憲法9条を守る呼びかけを行う。同日、同時刻に全国一斉行動を展開しようと、同会では参加者を募集している。

 同会が提唱し、これまで全国各地の護憲団体などに賛同を呼びかけてきた。当日は全国1500カ所で約2万人が参加する運動に発展する見込み。各地の寺院や教会などで「平和の鐘」を鳴らすほか、9条を朗読したり、メーンストリートでチラシを配ったりして、市民らに9条の必要性を訴える。

 函館では、同日午前9時9分に五稜郭公園に集合し、花火9発を打ち上げ。横断幕やプラカードを手に、同市上新川町の函館弁護士会館まで練り歩き、改憲反対のチラシ配りや署名集めを行う。また、同会館で午前10時半から講演会を開くほか、市電の十字街電停前に臨時の「憲法カフェ」を出店し、午後9時9分まで9条について語り合う場を設ける。

 同会事務局長の森越清彦弁護士は「9条への思いをそれぞれの形で表現してほしい。全国の市民が連動して、改憲の流れに反対したい」としている。問い合わせは同会事務局TEL0138・56・0042。


◎中学初 亀尾中が実習…市のはこだてっ子水産・海洋体験学習事業
 函館亀尾中学校(小橋誠太郎校長、生徒21人)は6日、南茅部地区の北大北方生物圏フィールド科学センター臼尻水産実験所で、海洋体験学習を行った。函館市教委が今年度から始めた「はこだてっ子水産・海洋体験学習事業」で、同事業の実践活動は中学校では初めて。生徒たちは潜水器具のシュノーケルを使った海中観察「シュノーケリング」や、海中生物を採取する実習に取り組んだ。

 この体験学習は、市教委から同事業の推進校の指定を受けて実施。同事業は水産や海洋関連施設での体験学習を通じ、海の生物や生態系について理解してもらおうと、小中学校を対象に行っており、本年度は亀尾中のほか、市内の小学校8校も推進校の指定を受けている。すでに小学校では実践活動が行われている。

 実習では、同実験所の宗原弘幸所長と北大水産学部の大学院生が講師を務めた。実習についての説明を受けた生徒たちは、近くの前浜に移動し、ウエットスーツを着用し、大学院生の指導を受けながらシュノーケリングに挑戦。3つのグループに分かれ約40平方メートルの区画でウニやヒトデがどれくらいの密度で生存しているかを調査し、採取した。

 その後、実験所に戻り、採取したウニやヒトデを図鑑を見ながら一つひとつ確認したほか、宗山所長の講話を聴いて海洋生物に関心を深めていた。

 西山佳登君(2年)は「シュノーケリングはうまくできた。海の広い世界を知ったような気になった」と感激していた。鳴海康司教頭は「今回の実習が海洋への興味を広げるきっかけになれば」とし、宗原所長も「こうした体験を通じて海に慣れ親しんでほしい」と話していた。(鈴木 潤)


◎会話弾んで表情いきいき…中島小児童がお年寄りの似顔絵描く
 函館中島小学校(古俣敏校長、児童203人)の1年生と5年生の計61人が6日、同校近くにある介護福祉施設、函館共愛会愛泉寮(佐藤輝雄施設長)を訪れ、入居者の似顔絵を描いた。児童たちはお年寄りと会話しながら、目や髪の特徴を捉えて顔を書き、交流を深めた。

 この似顔絵は「似顔絵大会」として行われており、ことしで28回目。以前は下校途中に児童が施設に立ち寄って描いていたが、最近は5年生の総合学習の中で開いている。1年生は図工の時間として初めて参加した。

 同校と同施設は、同施設の七夕会や同校の運動会にそれぞれ参加し、交流を深めている。児童は緊張の様子もなく、お年寄りと触れ合い、団らんスペースや各部屋で、えんぴつやクレヨンを使い描いた。お年寄りの中には「私、髪の毛が少ないけど、たくさん描いて」と頼む姿も見られ、和気あいあいとした雰囲気に包まれた。

 この日は下書きをし、学校で完成させ、作品は同施設に届けられる。児童の中には1人で2、3人分も描く子もおり、計160人分の似顔絵が出来上ることになった。絵は17日に開かれる敬老祭で展示され、投票により似顔絵大賞が決められる。

 参加した工藤亜理沙さん(5年)は「お年寄りと友だちのように楽しく会話ができ、絵も楽しく描けた」と笑顔。同施設職員は「絵は展示が終わるとそれぞれの入居者に配られるが、皆部屋に飾り、喜んでいる。地域の中でできる最高の世代間交流です」と話していた。(山崎純一)


◎警官や住民ら公園見回り…高3暴行死受け
 函館市内の公園で同市富岡町、私立高3年佐藤智也君(18)が少年7人に集団暴行されて死亡した事件で、函館中央署などは6日、犯行の第1現場となった富岡中央公園など、同署管内の2カ所の公園を見回った。

 同署少年補導員連絡協議会や市教委、各公園の近隣町会などから約30人が参加。懐中電灯を照らしながら公園内の死角や暗い場所などを検証し、巡回で感じたことを同署が用意した紙に記入した。20日まで函館や北斗、七飯の2市1町の公園計10カ所を巡回する。

 同協議会の尾形廣治会長は「夜の公園がこんなに暗いとは。学校や地域住民が協力して見回り、少年犯罪などを防ぎたい」とし、車久司同署刑事・生活安全担当次長は「現場に来て初めて分かることが多々あった。今後それぞれが書き留めたデータを集約し対策を考えたい」と話した。(小林省悟)