2007年9月8日(土)掲載

◎台風9号上陸/交通機関に乱れ
 台風9号の接近により、7日の函館市内は午後から大荒れの天気となった。同市川汲では、降り始めから午後10時までの降水量が251ミリにも達した。自主避難する住民が相次ぎ、道路網は次々に規制され、列車やフェリー、航空便など交通機関にも軒並み影響が出た。

 日中から突風が吹き付けたJR函館駅前では、横断歩道を渡ろうとした女子高校生が風にあおられてしゃがみ込む姿が見られた。小さな子どもを連れた母親は、風にあおられないよう子どもを抱き止めていた。

 夕方から激しさを増した風雨の影響で、渡島管内では、土砂崩れなどの恐れがある地域を中心に各地で自主避難が相次いだ。渡島支庁内の災害対策連絡本部によると、同日午後10時現在、函館市内では入舟町で1世帯4人、椴法華地区で8世帯9人、南茅部地区で4世帯8人、七飯町では藤城地区で4世帯6人、鶴野地区で1世帯2人、八雲町では落部地区で1世帯1人が近くの町会館などに避難した。

 また、松前町では突風により民家5件、物置1件の屋根のトタンがはがれた。福島町でも町民体育館の窓ガラス1枚が割れた。北海道電力函館支店によると同時刻現在、北斗市、七飯町で合わせて13戸が停電した。

 函館開発建設部や函館土木現業所によると、道路に落石や波が打ち寄せるなどしたため、函館市の道道函館恵山線の豊浦ゲート―日浦ゲートの1・6キロや、道道立待岬函館停車場線(函館山登山道)の5・8キロなど、渡島・檜山管内の道道10本11区間が全面通行止め。国道278号の函館市日浦町、木直町などの3区間も同日夕から片側通行規制となった。

 空の便では、全日空(ANA)と北海道国際航空(エア・ドゥ)の共同運航便や日本航空(JAL)の函館―羽田線の5便のほか、ANAや北海道エアシステム(HAC)の函館―丘珠線の3便、ANAの関西―函館線の2便が、それぞれ目的地を変更したり、欠航したりした。計10便で約1600人に影響した。

 JRは、7日発の札幌―上野間の「北斗星」など寝台特急の上下線5本、札幌―青森間の急行「はまなす」2本が運休したほか、8日発の札幌―上野間の寝台特急「カシオペア」の運休も決まり、計約1700人の乗客に影響した。

 また、午後7時50分ごろ、森町姫川のJR函館線で、札幌発函館行きの特急「スーパー北斗18号」が線路上に張り出した倒木の枝に接触し、一時運転を見合わせた。車両や線路に異常がないことを確認し、約35分後に運転を再開。乗員、乗客292人にけがはなかった。

 函館山ロープウェイは強風のため、7日の始発便から終日運転を取りやめた。フェリーでは、函館―青森航路の21便のほか、函館―大間の3便、江差―奥尻の2便がそれぞれ欠航した。

 函館市や木古内町、松前町などの公立の小中高校、特別支援学校合わせて28校では、危険回避のため、午前中や午後の早い時間で授業を切り上げたり、放課後の部活動を行わないで早めに集団下校させるなどの措置を取った。

 市内の小中学校では予定されていた秋の遠足の延期も相次いだ。函館市内の中部、商業、工業の3つの定時制高校は臨時休校となった。


◎市訪問団と派遣中学生らユジノへ出発
 函館市の姉妹都市、ロシア・ユジノサハリンスク市への公式訪問団(団長・西尾正範市長)と、市内中学生による訪問団(団長・大西正光大川中校長)が7日、函館空港で出発式を開き、サハリンへ旅立った。西尾市長は就任後、初の海外出張。公式訪問団は9日、ユジノ市のレーニン広場で行われる同市創建125周年記念式典に出席し、中学生たちもヨサコイソーランを披露する。両市の姉妹都市提携10周年を記念した訪問となった。

 公式訪問団は西尾市長、阿部善一市議会議長と市職員2人、友好親善団体の函館日ロ親善協会(倉崎六利会長)の松本満隆専務理事ら3人の計7人で組織。日ロ協会は記念事業として和露辞典と露和辞典を計15冊、ユジノ市の大学へ寄贈する。

 西尾市長は5回目の同市訪問で、出発式で「少数ながらも実りのある訪問にしたい」とあいさつ。報道陣に対し「記念式典のスピーチでは、今までの交流に対するお礼を伝え、中学生だけでなく経済も含めた交流の拡大を呼び掛けたい」と述べた。帰函は11日。

 中学生訪問団は生徒15人と引率3人。市の中学生海外派遣事業として、ユジノ市には2000年度から毎年、派遣を続けている。出発式で大西団長は「練習してきたヨサコイや合唱の成果を披露し、ホームステイで友好を深め、大きな思い出を残してきたい」と述べ、生徒を代表しaウ野りあさん(銭亀沢中3年)が「記念すべき年に派遣されることは光栄で、たくさんのことを学んで帰りたい」とあいさつした。帰函は14日。 (高柳 謙)


◎七飯町上藤城地区など道内初「準都市計画区域」指定へ
 【七飯】七飯町の上藤城地区など町内819ヘクタールが「準都市計画区域」に道内で初めて指定される。道新幹線開業や道縦貫自動車道開通など交通の“結節点”となることを見通した乱開発を防ぐためで、1万平方?を超える遊技施設など大型集客施設は原則、建設できなくなる。

 準都市計画区域は地域の住環境や自然環境保全のため、都市計画区域外で指定。今回の対象は土地利用の規制がかからない「白地地域」が多い上藤城、藤城、峠下、仁山4地区。全国的にも広範囲の指定で、3000平方?以上の開発行為は都市計画法に基づく許可が必要となるほか、各種規制が適用される。

 町は準都市計画区域指定に向け、2004年度から建築物用途や敷地面積現況など基礎調査を実施。町都市計画審議会(原口征一会長、10人)で審議を重ね、土地利用規制の必要性などを問う住民アンケート、住民説明会も実施した上で7月、道に指定を求めた。6日の道都市計画審議会で認められ、今月末に告示される予定。

 町は道の指定区域に加え、地域の状況に合わせた「特定用途制限地域」約535ヘクタールの指定も検討。今後、町都市計画審議会で審議し、内容が固まり次第、議会提案していく。 (笠原郁実)


◎11日からニチロ100周年記念展
 北洋漁業に大きな功績を残し、明治から昭和までの函館発展に中心的な存在だったニチロ(田中龍彦社長、東京)の創業100周年を迎えた記念企画展「街と歩んだ北洋漁業〜ニチロ創業100年〜」(函館市立博物館主催)が11日から24日まで、市北洋資料館(五稜郭町37)で開かれる。ニチロと函館の歴史を「北洋漁業」「街の歩み」としてパネルなどで紹介する。

 ニチロは、函館出身の平塚常次郎と新潟県三条市出身の堤清六の2人が1907年創業。北洋へサケ、マスを目指してからことしで100年になる。戦前、戦後を通じ、北洋漁業の基地として函館を繁栄させ、国際情勢の変化で北洋漁業から転身。ニチロの盛衰は函館の盛衰となったといえる。

 ニチロではことし6月、東京都内で記念イベントを開き、市北洋資料館収蔵のニチロゆかりの品など、歴史資料を移設、公開した。東京での盛況を受け、函館ニチロ会の加藤清郎会長らが7月、「創業者出身地でも記念行事を」と函館での記念展を提案し開催が決定した。

 東京での開催時は、ニチロの歴史を振り返るパネルを展示したが、函館では、函館の歴史のパネルも展示し、函館とニチロの深い関わりを紹介する。また、ニチロに関する建物や施設などの写真を約20枚展示。準備期間はわずか2カ月。加藤さんは「大変だったが中味の濃い展示内容になる」と話す。

 写真は、29(昭和4)年に完成した「日魯ビル1号館」や、函館港を埋め尽くす母船群の出漁場面など。盛大な北洋漁業の風景、豪華なつくりの建物からは、函館の経済を発展させた様子を感じさせる。

 また、38(昭和13)年に完成した「日魯ビル3号館」では、約1000人収容可能だったHBC劇場があったほか、70年には函館市民会館(湯川町)大ホールのどん帳を寄贈するなど函館の文化、芸術向上に寄与。加えて、旧ロシア領事館(船見町)がニチロ所有地だったことなど、あまり知られていない歴史も紹介する。

 そのほか、船で使用していた大漁旗、作業着などの展示も行われる。加藤さんは「函館人が作った会社が函館の街づくりに貢献したことを知ってもらえる。さまざまな年代の人に楽しんでほしい」と来場を呼びかけている。

 入場料は大人100円、大学生以下50円。市内の小中学生は無料。時間は午前9時から午後7時まで。問い合せは市北洋資料館TEL0138・55・3455。 (山崎純一)


◎ノロウイルス予防早めに、渡島保健所が施設関係者を対象に研修
 昨冬、全国的に大流行したノロウイルスによる感染性胃腸炎。例年12月から1月にかけて発生のピークを迎えることから、感染拡大を防ぐには流行前の対策が肝心として、渡島保健所は28日、介護施設などの関係者らを対象に研修会を開く。感染が確認される前に研修会を開催するのは初めてで、早めの予防策の実践を呼びかける。

 同保健所が所管する1市7町(函館市は除く)で、ノロウイルスの集団感染の発生件数は2004、05年度が各2件に対し、06年度は6件と急増。老人保健施設や介護保険施設での発生が目立った。

 従来は発生した施設に同保健所が出向いて指導していたが、本年度は流行前に各自治体の担当者や保育、福祉施設などの関係者を集め、適切な手洗い方法や汚物処理、消毒液の作り方などを周知し、予防策の浸透を図る。

 ノロウイルスによる感染性胃腸炎の症状は主に吐き気、おう吐、下痢など。1、2日で回復するが、高齢者は重症化することもある。感染力が強く、ほとんどが経口感染で、経路は(1)感染者が調理した食品を食べた(2)感染者のおう吐物などを介して二次感染した(3)汚染された貝類を生や十分加熱せずに食べた―が主だ。

 予防の基本はせっけんでの手洗いの励行で、手指や手首まで洗い、流水ですすぐことが大事。布タオルの使い回しは避け、消毒薬はアルコールではなく市販の家庭用塩素系漂白剤が有効。汚物処理には使い捨てのマスクとゴム手袋を用い、調理器具や食品の加熱処理は85度・1分以上行う。

 同保健所は「家庭でも日ごろからノロウイルスを想定し、手洗いや適切な処理方法を実践してほしい」と話している。 (宮木佳奈美)


◎9日「おさかな青空市場」開催
 函館(臼尻)地域マリンビジョン推進協議会(会長・砂田義稔南かやべ漁協理事)は9日午前9時から、臼尻漁港で鮮魚即売会「おさかな青空市場」を開く。当日朝に定置網で水揚げされた新鮮な魚介類を浜値で提供。今後、11月までの毎月第2、4日曜日に定期的に開き、南茅部産の豊富な水産物の鮮度の良さや味をPRする。事務局の市水産課は「日曜日は早起きして、新鮮とれたての魚を買いに来てほしい」と呼び掛けている。

 同推進協は同漁協(鎌田光夫組合長)、臼尻町会(加藤詔三会長)、市で構成。水産業と地域活性化を目的とする「地域マリンビジョン事業」(国土交通省北海道開発局主催)のモデル地域指定に向け、4月に発足した。定期即売会は事業計画の一環で、道南地域での消費拡大を目指し、初めて企画した。

 現在、同地域で水揚げされている魚種は、イカやサケ、イナダ(ブリ)、ホッケなど。これから11月にかけて、ババガレイやスケソウダラ、ヤナギノマイ、サンマなども定置網にかかるという。

 また、同漁港では昨年、「海水氷」を製氷できる施設を建設。滅菌処理した海水氷は淡水氷に比べ、冷却、保冷能力に優れており、クーラーボックスなどを持参して買い物した客には無料で提供する。

 開催時間は午前9時から同11時まで。商品が売り切れ次第終了する。しけや天候の影響で開催できない場合もある。問い合わせは同漁協TEL0138・25・3004。 (今井正一)