2008年10月1日(水)掲載

◎亀尾小中の児童がソバ刈り
 函館亀尾小中学校(小橋誠太郎校長、児童・生徒計48人)の児童27人が30日、函館市亀尾町の同校敷地内のソバ畑で刈り取り作業を行った。

 同校が郷土学習などを目的に、2000年度から続けているソバ栽培の体験学習の一環。7月に全児童で種をまき、草取りなどの手入れをしてきた。

 約100平方メートルの畑では、高さ約1メートル前後に育ったソバに黒い小さな実がしっかり付いていた。児童らはくわで切り取り、束にまとめて紐で縛るまでを役割分担しながら手際良く進めていた。土まみれになって両手いっぱいにソバを抱える子もいるなど皆熱心に取り組み、約30分ですべてを刈り終えた。

 1年生の寺本圭佑君(7)は「ソバをいっぱい集めて取ったのが楽しかった」と笑顔。2年生の柴田彩奈さん(8)も「たくさんおいしくできるように頑張った」と話していた。

 刈り取ったソバは、同校のビニールハウス内で乾燥させた後、児童らが脱穀する。集めた種を業者に製粉してもらい、12月に全校児童でそば打ちをして試食する予定だ。(新目七恵)


◎福島町、議会不同意で教育長不在
 【福島】福島町は1日から教育長が不在となる異常事態に陥っている。町は9月の定例町議会で、任期満了に伴い、2期目に向けて現職教育長らの選任案を出したが、町議会(溝部幸基議長)が不同意としたためだ。村田駿町長は「不同意になったことは残念。まずは教育行政の停滞を防がなければならない」としているが、この不同意の真意が判然としないため、地域住民からは「町民に開かれた議会を掲げ、全国的に素晴らしい賞を受けた自慢の議会だが、この一件だけは疑問」「なぜ不同意に至ったのかを明確にするべきだ」との声が挙がっている。(田中陽介)

 定例町議会は9月24日、金谷裕教育長(62)と熊野茂夫教育委員(59)の再任について、無記名投票で採決。金谷氏は賛成5、反対6、熊野氏は賛成4、反対7で不同意となった。

 町は「2人とも任期中は熱心で、町の未来を見据えて各種会合などに奔走してくれていた。2期目も頑張ってくれると期待していたが…」と不測の事態に戸惑う。少子化による学校の統廃合問題などが継続される中、教育長不在という事態は避けなければならず、新人事案づくりを急ぎ、10月中旬には議会に再提案したい考え。

 町内の男性は「無記名投票にする理由が分からない。議員の頑張りは認めているが、この不同意では落胆した人も多いのでは」と話す。

 福島町議会は、議会・議員の自己評価制度やホームページを活用した議会資料の公開など、住民に向けた積極的な情報公開を進め、地方議員の政策コンテスト「マニフェスト大賞」(ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟など主催、早稲田大学マニフェスト研究所共催)では2006年に「審査員特別賞」、07年には最高位の「最優秀成果・議会賞」を受賞している。

 今年3月からは通年議会を試行。町民にとって今回の「不同意」は、こうした「開かれた議会」の姿勢とかけ離れた形に映っている。

 無記名投票について、議決権を持たない溝部議長は「採決は極力、意思表示が明確な起立採決を基本とするが、人事案については繊細な部分が多く、地域の実情を考慮するのも重要」とし、「誰が適任かは議員各自の判断であって、不同意という最終的な結果はあくまで議会の判断と受け止める。まずは教育長不在の事態を一刻も早く解消しなければならない」としている。


◎大原学園、函館駅前に専門学校
 国内29都市に専門学校64校を展開している学校法人大原学園(本部・東京、安部辰志理事長)が、2010年4月を目標に、函館市若松町7のJR函館駅前地区に専門学校を開校させる。市経済部などによると、経理、法律、医療事務系を合わせた学校で、学生は300人ほどが見込まれる。西尾正範市長は「中心市街地に若い学生が集うことで、地域の活性化が期待できる」と話している。

 同部が30日に発表した。場所はフィットネスホテル330函館の斜め向かいで、校名は「大原簿記医療公務員ビジネス専門学校函館校」。北日本では札幌や仙台、新潟に同学園グループの専門学校があり、10年度の東北新幹線新青森開業と、15年度予定の北海道新幹線新函館開業を見据えた学園の戦略という。

 同部は「大原学園が全国の県庁所在地以外に開校するのは初めて。道内のほか東北地方からも学生が確保できる有望な地域として、函館が選ばれた」と意義を説明する。

 市に中高層建築の届け出をしており、建築確認申請に向けて建築計画も明らかにしている。敷地面積は841平方?で、建物は鉄筋コンクリート造り地上9階、地下1階、最高部分の高さ35・8?。来年2月の着工を目指し、各種手続きを進めている。

 学校法人大原学園は1979年の設立。道内ではJR札幌駅北口に3校舎を展開し、簿記、医療事務、法律公務員養成などの課程がある。

 西尾市長は「人材育成や若者の地元定着などの面からも非常に期待しており、そうした視点で学園側と話を進めていきたい」とコメントしている。(高柳 謙)


◎きょうから「法の日」週間
 来年5月に始まる裁判員制度について、「第49回『法の日』週間」(1―7日)に合わせて、函館地裁、函館地検、函館弁護士会の法曹三者はさまざまなPR活動を展開する。現役の裁判官や検察官、弁護士が市民の疑問に答えるイベント開催や、テレビやラジオ、雑誌などのメディアを利用した宣伝活動を実施。10月を「裁判員制度広報の最大の山場」と位置付けて、市民の関心を少しでも高めようと、精力的に取り組みを進める。(今井正一)

 函館地裁管内で来年の裁判員候補者名簿に載る有権者数は全体で1500人。現在、管内の各市町村選挙管理委員会で有権者の抽出作業が進められている。名簿に記載される可能性は管内有権者の「278人に1人」の割合で、全国60の地裁や地裁支部で8番目に高い。裁判員に選ばれるということが、決して人ごとではない水準だ。

 関係者によると、制度への関心は決して低くはないという。函館地検が実施している出前講座や庁舎見学会には、昨年を上回るペースで依頼があり、既に2500人以上が参加。各学校のPTAや社内研修で利用する団体が増えている。同地検企画調査課は「全庁みな広報官として、昨年度から企業や団体を500回以上訪問した。草の根の活動でまいた種が実ってきた」と手応えを話す。

 法曹三者は、少しでも市民の不安を払しょくし、制度への関心を高めようと、今回の「法の日週間」を集中広報期間と位置付けた。4日午後2時からは市民からの疑問や要望について、裁判官や弁護士らが直接答えるオープントーク「みんなで築こう!函館の裁判員制度」を函館市中央図書館で開くほか、市内家電量販店で広報映画を上映したり、街頭放送やケーブルテレビ、ラジオなどの各種メディアを利用して周知を図る。

 同課は「裁判員に興味は持っていても、制度を深く知る機会が少ないのが現状。制度をよく知り、意識を高めてもらいたい」としている。


◎11月に合同公開講座「函館学2008」
 市内8つの高等教育機関と函館市で構成する連携推進組織「キャンパス・コンソーシアム函館」(会長・中島秀之未来大学長)主催の市民向け合同公開講座「函館学2008」が11月、4回にわたって市内で開催される。講義内容は地域の歴史や文化、水産物など幅広い。各回の定員は150人で、10月1日から申し込みを受け付ける。(新目七恵)

 函館学は各機関の特色ある教育活動を活用し、多様な学びの機会を提供する目的で2006年度から実施している。今年も「函館」をキーワードに、市内の大学教授らがさまざまな角度から郷土の話題について語る。

 初回の「幕末箱館人物伝」では、蝦夷を開拓し、維新後ジャーナリストとして羽ばたいた栗本鋤雲などにスポットを当てる。2回目は函館とクジラのかかわりなどを紹介し、3回目はITの水産業への利活用の可能性を具体的事例を交えて語る。最終回では、江戸時代の松前藩家老で漢詩人の蛎崎波響の漢詩の世界を味わう。

 開催時間は毎週土曜日の午後2時から同3時半。中学生以上が対象で、受講料は無料。1人で複数の受講も可。

 受講希望者は住所、氏名、連絡先、年齢、性別、希望の講座名を明記し、同コンソーシアム函館事務局にメール(info@cc-hakodate.jp)かファクス(0138・44・4380)、郵送(〒040・8567 函館市八幡町1の2 北海道教育大函館校内)、電話(同44・4211)のいずれかで申し込む。申し込み締め切りは24日。


◎森町談合 きょう初公判
 森町発注の町消防防災センター建設工事の指名競争入札をめぐる官製談合事件で起訴された被告7人のうち、東急建設など業者側の被告4人の初公判が1日、函館地裁で開かれる。準大手ゼネコンの東急建設が共同企業体(JV)に参入した背景や、直接的な談合へのかかわりを否認している前町長、湊美喜夫被告(79)との関係など、同事件の実態が司法の場でどう明らかになるのか注目される。

 同事件をめぐっては湊被告のほか、JVを組んだ業者や仲介役の男ら6人が起訴されている。1日の初公判では東急建設の菅沢利昭(61)、川本末男(58)の両被告と、函館市内の設備会社社長藪下宏一被告(62)、森町の星組渡辺土建前社長渡辺英明被告(56)の4人が法廷に立つ。

 その後、3日に函館市内の自営業登真人被告(60)、14日に東急建設の桐井秀行被告(56)の初公判が予定されている。行政のトップとして入札にかかわる決裁責任などは認めているが、直接的な関与を否認している湊被告の公判日程はまだ未定だ。

 起訴状などによると、2005年9月28日執行の同センター工事の指名競争入札で、東急建設幹部らは同社が有利に工事を受注できるように仲介役の男らに依頼するなどし、公正な価格を害する目的で、東急建設と星組渡辺土建が組んだJVが落札できるよう入札に参加した他の4JVの担当者らとともに共謀、4企業体が同JVの指定する入札価格を上回る価格で入札するよう協定を結び談合。湊被告も談合にかかわったとされている。


◎11日に「みなとと魚の学習会・シンポ」
 函館市の魚「イカ」への理解を深めてもらおうと、「はこだて みなとと魚の学習会・シンポジウム」(みなとまちづくり女性ネットワーク函館など主催)が11日午前10時から、函館市水産物地方卸売市場(函館市豊川町)で開かれる。函館開港150周年記念の関連事業。テレビの料理コーナーなどで知られるクッキングキャスター星澤幸子さんをゲストに招き、親子向けの塩辛作り体験や講演会などを予定している。(新目七恵)

 同ネットワーク函館(折谷久美子代表)が、昨年度から始まった函館市のイカマイスター制度の推進や、地元の水産物の消費拡大を目的に初めて企画した。農林水産省の「にっぽん食育推進事業」補助対象に選ばれた。

 「みなとと魚の学習会」と題した前半(午前10時―午後1時)は、市内の小学生(4年生以上)と保護者20組限定で、星澤さんからイカの塩辛作りを教わった後、測量船に乗船し、漁港区や魚市場を海上から見学して水産物の流通などについて学ぶ。

 「食育シンポジウム」と銘打った後半(午後1時半―同5時)は、星澤さんの基調講演「食は夢への架け橋」や函館短大教授の畑井朝子さんの講演「地産地消と健康」、パネルディスカッションを予定している。募集対象は市内学校のPTA関係者や流通業者、農林水産関係者など100人。

 折谷代表は「地域の安心・安全な水産物について楽しく学び、食文化を大切にする機運を盛り上げたい」と話している。問い合わせ、申し込みは同ネットワーク函館TEL0138・45・7576、ファクス同45・7701。