2008年10月10日(金)掲載

◎トイレットペーパーに振り込め詐欺防止の標語…道警函本、函館方面防犯協会連合会
 振り込め詐欺は「いかそうめん」でご注意を―。道警函館方面本部と函館方面防犯協会連合会(谷口利夫会長)は振り込め詐欺の被害を防止する啓発グッズとして、詐欺の手口と標語を盛り込んだトイレットペーパーを作製した。函館名物の「いかそうめん」の語呂合わせと、イカのイラストで詐欺被害に遭わないよう注意を呼び掛けるユニークな試みだ。

 トイレットペーパーに盛り込んだ標語やイカのイラストは道警函本生活安全課の女性職員が考案した。

 標語は▽い「行かないすぐにATM」▽か「確認しよう電話の相手」▽そ「その電話本当ですか?」▽う「うまい話は要注意」▽めん「面倒でも誰かに相談を」―と、「いかそうめん」の頭文字を取った。

 同課は「トイレットペーパーは日常生活の中で誰もが使う物。手口をじっくり覚えてほしい」とする。

 トイレットペーパーは1000ロール作製。11日午前10時から函館市民会館小ホール(湯川町1)で開かれる「函館方面『みんなで築こう、安全で安心な大地』総決起大会」で来場した市民に配布される。同大会は全国地域安全運動期間(11―20日まで)に合わせて、警察をはじめ、道や自治体などの機関が参加し開催。落語家の三遊亭洋楽さんが振り込め詐欺をテーマにした講話を行うほか、函館潮見中吹奏楽部によるコンサート、防犯標語コンクールの表彰式が行われる。入場無料。 (今井正一)


◎【企画・シネマアイリスと私】シネマアイリス・菅原 和博さん(52)
 「新鮮な作品に出くわすうれしさ」。これが味わいたくて映画を見続けている。

 「旭川出身。映画好きの家族に囲まれ、幼いころから劇場で怪獣映画や時代劇を観て育った。暗く、妖しげな映画館という空間に幼心にも興味を引かれた。両親の転勤で帯広、札幌、函館などを転々とし、各地の劇場に通い詰めた。

 「そんな映画浸りの中学、高校時代を経て、東京の映画関連の学校へ。さまざまな人と出会い、映画への情熱をさらに深めた。

 「25歳で函館に移り、姉の喫茶店を手伝っていたが、映画の虫がうずきだした。仲間と自主映画を制作したり、上映会を開くようになった。この活動が自主上映グループ「アイリス・イン」、そして市民映画館「シネマアイリス」へと発展した。

 「好きな映画は数え切れないが、1998年に上映したアイリス198本目の日活ロマンポルノ「恋人たちは濡れた」(73年、神代辰巳監督)と、同年の233本目の米国映画「ワイルド・バンチ」(69年、サム・ペキンパー監督)は特別な作品。それぞれ「神代辰巳監督特集」、「カルトムービー特集」として上映し、若いころ心酔したその独自の世界をスクリーンによみがえらせた。

 「開館から12年。老舗の映画館が1つ、また1つと姿を消し、今では市内で唯一の単館映画館となった。客層も変わり、近年は幅広い人に楽しんでもらえるような上映作品選びを心掛けている。

 「世界中の人と同じ状況で観られる文化は他にない。だから映画館で観ると感動が大きいんだ」。柔らかい口調の奥に、映画への深い愛情と尊敬の念がこもる。(新目七恵)


◎ロ外相が函館訪問へ…11月6日
 函館市の西尾正範市長は9日、ロシアのラブロフ外相が11月6日に函館を訪問し、ロシア極東大函館校(同市元町14)に開設するロシア文化センターの開所式に出席する見通しであることを明らかにした。ウラジオストク訪問を終え、ロシア極東国立総合大学のクリロフ・ウラジミル学長から聞いた話として伝えた。ロシア外相の函館訪問は初めて。

 極東大函館校によると、ロシア文化センターは同大の付設機関として財団「ロシアの世界」が設立する。ロシア語やロシア文化を国内外に広げる目的で、モスクワ本部のほか、サンクトペテルブルク、ウラジオストクにあり、日本への開設は初めて。函館校の図書室などを利用し、ロシアの図書や刊行物などを備えて情報提供の充実を図る予定。

 当初はロシア大統領の訪問が期待された7月の北海道洞爺湖サミットに合わせ、開所する予定だった。同校は「財団とスケジュール調整などをしてきた。在札幌ロシア総領事館などの指示を受けながら今後、具体的な準備をしていきたい」と話している。

 函館市はことし、日本で初めてのロシア領事館が開設されて150年、旧領事館建設から100年、在札幌総領事館函館事務所開設から5年の節目の年。「函館におけるロシア年」として、市民や友好団体の協力を得て各種イベントを実施している。

 ラブロフ外相の訪問では、大統領訪問時に想定されたハリストス正教会やロシア人墓地、旧領事館などの訪問も検討されるとみられる。

 西尾市長は「外相は11月5日に東京入りし、翌日に函館を訪問する。ロシア文化センターのオープニングセレモニーに出席後、午後から講演を予定している」と述べ、友好関係の一層の深まりに期待している。(高柳 謙)


◎木古内高存続 大森町長 明言避ける
 【木古内】道教委の公立高校適正配置計画で2010年度に募集停止される道立木古内高校(木古内町本町)の存続問題で、町は9日、町立化した場合の長期的な運営経費の試算を公表した。現状の教育水準の維持を前提に人件費などを節約し、単独運営と現校舎を中学校と共有する一貫教育を想定しているが、極めて高い負担額となり、町財政を大きく圧迫することが明らかになった。この試算内容を基に、町は10月下旬から11月に町内で町立移管の是非を問う懇談会を開く予定。大森伊佐緒町長は函館新聞社の取材に対し、「綿密な試算が出たことで、まずは町民にこの事実を理解してもらうことが重要。その中で最終的な決断をしたい」とした。

 大森町長は先の定例町議会で、町立化をめぐり「財政状況を勘案し、(木古内高校の)存続は極めて厳しくなっている。この事実は受け止めなければならない」と述べた上で、運営費を試算する考えを示していた。

 この日は、町が町議会総務・経済常任委員会で報告。過去2年の実績などを基にし、教職員数は現行17人から12人に減らして試算した。その結果、単独運営では10年度に約2870万円、11年度は約3070万円、12年度は約3200万円と累積赤字が増加。中高一貫制度を取り入れると、負担は年間約890万円減るが、町財政への影響は大きいとしている。

 議員からは「町民の声はもうとっくに聞いているはず」「あとは首長の政治的決断だ」との声が相次いだ。

 町財政収支健全化計画では18年度までに約6億円が基金になる予定だが、町立化を選択した場合はこの基金が当てられる可能性が高く、議員からは「高校教育は重要だが、地元に学校を残したいという感情だけでこの問題を考えるべきではない」「生徒の進路決定が迫る中、早急に決断をするべきだ」との意見もあった。(田中陽介)


◎ミスはこだて 秋の新制服披露
 全国各地で函館の魅力をPRする「ミスはこだて」の3人が9日、函館市役所を訪れ、新しい秋物の制服を披露した。秋らしく温かみのある装いに身を包んだ3人は、今後のさらなる活躍に向けて気を引き締めていた。

 制服は丸井今井函館店が1988年から毎年寄贈していて、今年で21回目。今季はハイパーツイードスーツに、帽子や靴、バッグがすべて黒で統一され、素材の違いでアクセントを加えた。全体的に落ち着いた印象を与え、胸元のコサージュで華やかさも演出した。1人当たり15万円相当。

 谷沢広副市長は「シックな装いで知性を感じさせる。この制服で郷土・函館をPRしてほしい」とエールを送った。第29代ミスはこだての藤田真可さん、明本吏紗さん、村本あゆみさんの3人は「着心地も良く、函館らしくておしゃれ」「暖かみのある制服で、函館の温かい心をアピールしたい」などと話した。10日から山梨県甲府市内のデパートで開かれる物産展で早速、新制服を着用する。 (森健太郎)


◎懐かしの作品一堂に…的場中で絵画など寄贈された26点展示
 函館的場中学校(本間秀昭校長、生徒396人)で9日、これまで寄贈された絵画や書など26点を展示し、一般に開放する「ふれあい美術展」が始まった。同校元教員やゆかりのある画家などの多彩な作品を一堂に集めた初めての試み。地域住民らに学校に足を運ぶきっかけにしてもらうのが狙いだ。16日まで。

 同校は創立から72年間の歴史があり、校長室や図書室などに多数の寄贈作品がある。今回、周辺に住む同校卒業生や住民らに懐かしんでもらおうと、作品を1カ所に集めて開放することにした。生徒らも普段見る機会のない作品も多く、本物の芸術に触れてもらうのも目的となっている。

 会場の図書室には大小さまざまな作品がずらり。函館出身の洋画家田辺三重松さんの「静物」、同校元教員で画家の佐野忠男さんの「春のトラピスト」、安井孝さんの「あじさい」など個性あふれる油絵のほか、地元在住の切り絵画家道辻研辻智さんが同校の中央玄関をモチーフにして仕上げた切り絵などが並ぶ。現在も地域ボランティアとして同校の心の相談員活動を行う画家の丸山恵三さんの油絵「夏の故郷」もあり、来場者の目を楽しませている。

 本間校長は「卒業生や同窓会生らにぜひ来てもらい、当時を思い出してほしい。地域の学校にこうした文化財があることも知ってもらえれば」と話している。一般開放時間は午後3時―同4時半まで。(新目七恵)


◎候補者の選出作業進む…裁判員制度 函館地裁管内
 来年5月に始まる裁判員制度の裁判員候補予定者名簿の選出作業が、函館地裁管内(渡島、桧山と後志支庁の一部)の21市町村で進められている。このうち、管内で最も多い864人を選出する函館市では9日、市選管の児玉明委員長が専用のプログラムを使用して、有権者名簿の中から裁判員候補者を抽出した。データは同地裁に送られ、11月下旬から12月にかけて候補者名簿に登録された市民に通知される。

 制度がスタートする来年は5月21日から12月までの約半年間が対象。同地裁が管内全体で必要な人数を1500人と定めた。函館市の場合、今年6月2日現在の有権者24万2987人から864人が選ばれる。有権者の約281人に1人の割合で候補予定者として登録される。

 管内全体では、有権者の約278人に1人の割合で候補者名簿に記載され、全国60カ所の地裁、地裁支部で8番目に高い確率となる。司法関係者や自衛官ら除外対象者、辞退が可能な70歳以上の高齢者らも含まれる可能性があるため、裁判員候補となる市民は1500人を下回る見込み。

 裁判員による裁判は、来年5月21日以降に起訴された殺人や放火、危険運転致死などの重大事件が対象。候補者名簿の中から事件ごとに裁判員と補充裁判員を選出し、選ばれた裁判員6人と裁判官3人で審理を行う。(今井正一)