2008年10月12日(日)掲載

◎ミニSL大人気…鉄道の日を前に五稜郭車両所一般公開
 10月14日の「鉄道の日」にちなみ、JR北海道の五稜郭車両所(函館市港町1)が11日、一般公開された。普段見ることのできない施設とあって約1500人の家族連れらが詰めかけ、展示車両を見学したり、乗車体験したりして秋の一日を楽しんだ。

 「鉄道の日」は、1872(明治5)年10月14日に新橋―横浜間で国内初の鉄道が開通したのを記念して制定され、1994年に「鉄道記念日」から改称。JR函館支社では、鉄道を市民に身近に感じてもらおうと、毎年イベントを開催している。

 この日の一番人気はミニSL「弁慶号」の試乗会。会場には順番待ちの列が途絶えることなく、親子連れらの笑顔を乗せて約100メートルの特設レールを往来していた。函館昭和小2年の畑沢星臣(しおん)君は「思ったより速くてびっくりした。また乗りたい」と笑顔だった。

 車両所内では車輪作業場や旅客車の修繕場なども公開され、物珍しそうに見入ってカメラに収める鉄道愛好家も。このほか、特急「北斗星」などのディーゼル機関車の展示や、線路の補修・点検に使う人力の軌道自転車の運転体験も人気を集めていた。(森健太郎)


◎竜巻 住宅など被害…江差
 【江差】11日午前1時ごろ、江差町の南浜町から南が丘、円山にかけて発生した突風で、建物の屋根や車庫が吹き飛ばされる被害が発生した。人的被害はなかった。被害は海岸沿いから東側の丘陵地帯まで約1キロにわたり帯状に分布。函館海洋気象台は同日、「現地調査の結果、竜巻と推定される」と発表した。

 同気象台は11日、職員3人を現地に派遣して現地調査を実施。被害は長さ約700メートル、幅100メートルの帯状に分布し、被害から推定した風向に回転を示す部分があったことなどから竜巻と推定した。町内では午前零時43分、瞬間最大風速20・2メートルを観測した。

 被害が発生した時間帯には、現場周辺は激しい雷雨とひょうに見舞われた。円山地区の住民は「ゴーという大きな音が遠くから迫ってきた。激しい衝撃波が家にぶつかるのを感じた」話す。同小学校付近に住む女性も「雨や風とは違う地鳴りのような音がした。風雨や雷光が激しく恐怖を感じた」と語る。

 江差町や江差署、同気象台によると、南浜町、南が丘、円山にかけての地域では、警察官などの公務員住宅2棟を含む4棟で屋根が破損。6棟で窓ガラスが割れるなどの被害があったほか、車庫や物置など8棟が倒壊したり、屋根や外壁が吹き飛ばされた。現場付近に駐車していた車8台も窓ガラスが割れるなどの被害を受けた。

 被害は日本海に面した南浜町から南が丘を経て、東側の丘陵地帯に駆け上がるような形で分布。南浜町では、教職員住宅の屋根が東側に約500メートル離れた地点まで吹き飛んだほか、町立南が丘小学校周辺でも、複数の木造物置が地面から浮き上がったり、転倒して町道をふさいでいた。

 檜山管内では2006年11月9日に奥尻町で竜巻が発生。突風で建物約25棟が屋根を吹き飛ばされるなどの被害があった。(松浦 純)


◎高齢者の居住安定推進 民間物件を紹介、活用…函館市
 函館市は、高齢者が民間賃貸住宅を借りる際、高齢であることを理由に入居を拒まない住宅として48件496戸を紹介している。また希望者が多い市営住宅については、高齢者や障害者の待機者対策として、民間賃貸住宅の活用を含めた支援策を検討している。本年度策定する住宅マスタープランで高齢者らの居住安定に向けた考えを示す方針。

 連帯保証人がいない場合、第三者機関が債務保証する物件も、ホームページなどで16件253戸を紹介。市住宅課は「市が整備する公営住宅だけでなく、民間住宅を活用しながら居住ニーズに応えた施策が必要」と説明する。

 背景には、高齢者の市営住宅入居倍率が依然として高水準にあることがある。同課によると、2007年度の市住の入居者募集は128戸あり、65歳以上の高齢者の申込者は427世帯あった。しかし、高齢者の入居が決まったのは42世帯で、倍率は10倍。01年度の統計でも、高齢者の入居倍率は約10倍で変化がない。

 公営住宅は民間アパートなどと比較して家賃が割安。高齢化の進展で入居希望者が増加傾向にあり、周辺の生活環境が良く、住宅のバリアフリー化などが進んだ団地に応募が集中し、入居倍率を押し上げているという。

 市は高齢者や障害者の入居の機会を拡大しようと02年度から、エレベーターがある市住の1階と2階の単身・2人世帯向け住宅を「特定目的住宅」として指定し、供給戸数を増やしている。

 こうした対策を進めているが、市住だけでは高齢者の入居ニーズに応えることができないため、市は待機者対策として民間賃貸住宅の活用も視野に入れている。具体的な活用策は住宅マスタープラン策定と合わせながら検討していく方針。

 このほど開かれた市議会一般質問で、松宮健治氏(公明党)、能川邦夫氏(民主・市民ネット)の質問に対し、市がこうした考えを述べた。(高柳 謙)


◎学生ら700人、120年祝う…函館大谷学園 慶讃法要と記念式典
 函館大谷学園創立120周年記念慶讃法要・記念式典が11日、函館市内の函館国際ホテルで開かれ、同学園や真宗大谷派の関係者、同窓生、生徒・学生ら700人が120年の節目を祝い、さらなる飛躍を誓い合った。

 同学園は1888(明治21)年11月、六和講寺院共立「六和女学校」として開校して以来、昨年度までに3万5000人以上の卒業生を送り出してきた。

 この日は式典を前に、真宗大谷派の祝いの儀式にのっとった慶讃法要が行われ、函館大谷高校と同短大の生徒・学生が聖歌隊を務め、祭壇に花とろうそくをささげた。

 式典では仁禮文秀理事長が「真の人間教育を日々の課題として歩み続け、この間、数え切れない方々からたくさんの力添えに恵まれた」と振り返り、「今後も『人間大好き』を世に掲げ、子どもたちに寄り添って歩む教育の確立に向け、精進していきたい」とあいさつ。

 生徒・学生を代表し、同短大2年の斉藤貴子さん、同高校3年の飯田優樹君が「120周年の節目に学べることはうれしく、誇りに思う」と喜びの言葉を述べた。(宮木佳奈美)


◎高龍寺の宝ずらり…「釈迦涅槃図」や貴重な書画公開
 函館市内で最古の寺院、曹洞宗高龍寺(船見町、永井康人住職)で11日から、所蔵品を公開する「第3回高龍寺宝物展」(実行委主催)が始まった。会場には道有形文化財の蛎崎波響筆「釈迦涅槃図(しゃかねはんず)」をはじめ、同寺ゆかりの書が展示されている。13日まで。

 収蔵品の価値や存在を広く知ってもらおうと2005年、06年度にも実施。3回目を迎えた今回も、同寺が所蔵する書画約350点の整理・研究を進めている道教大函館校の小栗祐美教授(53)が企画運営した。

 「釈迦涅槃図」は高さ3メートル、幅1・4メートルの大きな絵画の掛軸の一対。年に一度の涅槃会で一般公開しているが、前回の補修から100年以上経過し、劣化が進行しているという。このほど現状を記録保存しようと公立はこだて未来大の川嶋稔夫教授が高精細のデジタル撮影に成功し、その画像を公開した。肉眼では鑑賞が難しい画中の釈迦や民衆、猿など動物の表情や作者の巧みな筆遣いをパソコンで拡大して見ることができるコーナーも用意しており、訪れた市民は熱心に見入っていた。川嶋教授は「地方ではパソコンを自由に操作して鑑賞できる展示会は少ない」と話している。

 このほか、幕末・明治前期の政治家山岡鉄舟による筆の回転が特徴的な写経「妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五」など書13点を展示。小栗教授は「前回、前々回と多くの人に来てもらった。今回もたくさんの人に見てもらいたい」と話している。入場無料。午前10時―午後5時。問い合わせは同寺TEL0138・23・0631(長内 健) 


◎塩辛作り 親子で挑戦…星澤さんがアドバイス
 函館市の魚「イカ」への理解を深めてもらおうと、「はこだて みなとと魚の学習会・食育シンポジウム」(みなとまちづくり女性ネットワーク函館など主催)が11日、市水産物地方卸売市場で開かれた。テレビ番組の料理コーナーでおなじみのクッキングキャスター星澤幸子さんを講師に迎えた午前中の学習会では、親子約40人が塩辛作りに挑戦した。

 星澤さんはオリジナルレシピで塩辛の作り方を説明しながらイカをさばくところから実演し、「調味料が良質でないと料理はおいしくない。いい素材のものをほんの少し使えばいい」とアドバイス。続いて子どもたちは星澤さんや父母の手ほどきを受けながらイカの皮をむき、包丁で切る作業を体験した。

 知内小4年の西田有里さん(9)は「包丁でイカがうまく切れてうれしい」と笑顔。函館金掘小6年の笠森大地君(12)は「初めて塩辛を作ったけど、手が滑って骨やゲソを取り除くのは至難の業だった。出来上がった塩辛をご飯と一緒に食べるのが楽しみ」と話していた。

 午後のシンポジウムでは、星澤さんや函館短大教授の畑井朝子さんの講演、パネルディスカッションが行われた。(宮木佳奈美)