2008年10月15日(水)掲載

◎甘〜いマルメロ東京へ…北斗
 【北斗】収穫期を間近に控えた北斗市特産のマルメロを、ひと足早く古里から離れた都会に住む人に送ろうと14日、同市市渡の市営マルメロ果樹園で品種「かおり」200個が収穫された。

 この日は同市、はこだて広域森林組合の職員ら5人が作業を行った。約150本ある木の中から「かおり」を探し出し、果実を覆う紙とともに丁寧に摘み取り、表面を軽くふき取って箱詰めにした。黄色い光沢と甘い香りを放つマルメロは「東京上磯会」に送られる。

 ことしのマルメロは雨が少なく、急激な気温の低下などもなく、良い出来という。収穫は来週から本格化する。(山崎純一)


◎森町長選告示・遊説スタート
 【森】競売入札妨害(談合)罪で逮捕、起訴された前町長の辞職に伴う出直し森町長選が14日、告示された。いずれも新人で、元町議の松田兼宗氏(52)、元副町長の阿部真次氏(66)、会社役員の佐藤克男氏(58)=届け出順、いずれも無所属=が立候補を届け出た。同町長選としては1983年以来25年ぶりの三つどもえの戦いとなった。投票は19日で即日開票される。

 1971年から10期37年を務めた前町長の辞職を受けた選挙で、この日は各候補とも選挙事務所で出陣式を行い、第一声を上げた。いずれも「新しい森町を」と訴え、早速選挙カーを町内くまなく走らせ、支持を求めた。

 投票は19日午前7時から午後6時まで町内26カ所で行われ、午後7時から森町公民館で開票される。13日現在の森町の選挙人名簿登録者数は1万5535人(男7231人、女8304人)。

 同日告示された松田氏の町議辞職に伴う町議補選(欠員1)には、会社役員の木村俊広氏(44)が届け出た。(森町長選取材班)

◇森町長選立候補者(届け出順)
 ▽松田兼宗(まつだ・けんそう) 52 無新 商店経営
 ▽阿部真次(あべ・しんじ)  66 無新 無職
 ▽佐藤克男(さとう・かつお)  58 無新 会社役員
◇森町議補選立候補者
 ▽木村俊広(きむら・としひろ) 44 無新 会社役員


◎町政立て直しを…森町長選告示
 【森】町発注工事をめぐる官製談合事件から発展した森町長選が14日、舌戦の火ぶたを切った。10期37年務めた前町長の逮捕、辞職という事態に、3候補は「公正、透明な町政」を訴える。告示前は「誰が町長になっても同じ」と冷めた町民の声も多かったが、選挙戦に入ると「この機会にはっきり意志を示さなければ、町は変わらない」と、意識にも変化が出てきた。

 選挙の大きな争点は、町政刷新と行財政改革。国保病院の経営健全化を含む行財政改革は各候補者とも公約の中で積極的な推進を掲げており、際立った差異は見られない。新たな森町づくりへの決意も、各候補は熱く訴える。

 常盤町の50代男性は「選挙の関心は高い。役場内には長期政権の弊害で、町長にものを言えない雰囲気が出来上がってしまった。町政をリセットして一から立て直しを図るためには、しがらみのない人材でなければ」と変化を求める。森川町の70代男性は「どれだけ住民の視点に立って政治を行うことができるかがポイント。(2005年に)森と砂原が合併して町の規模は大きくなったが、それを活用した有効な活性化策を打ち出してほしい」と町の実情に即した政策を期待する。

 一方、掛Wヲの50代女性は「どんなに素晴らしい公約を掲げても実行できなければ意味がない。厳しい財政状況の中で堅実な町政運営を任せられる人を選びたい」と、実行力や指導力を見極める。

 投票までわずか5日間の短期決戦。町の「出直し」がかかった大事な選挙であるという思いは、候補も有権者も同じだ。(小川俊之)


◎フェリー函館―大間1年継続
 【青森】東日本フェリー(函館市港町3、古閑信二社長)が11月末の撤退を表明した函館―大間航路の存続問題で、青森県と同県大間町、東日本フェリー、グループ会社の道南自動車フェリー(同、関根二夫社長)の4者会談が14日行われ、航路の赤字補てんとして県と町が折半する形で計1億2000万円を上限に財政支援し、道南自動車フェリーが来年12月までの1年間、暫定運航することで最終合意に達した。

 同航路の来期の赤字は約3億円に膨らむ見通しで、フェリー会社側は当初、県と町にそれぞれ1億円の財政支援を要請。県や町は具体的な支援策を検討する期間が必要として、フェリー側に1年間の航路撤退時期の猶予を求め、これまで事務レベルで協議を重ねていた。

 運航を引き継ぐ道南自動車フェリーは運賃の値上げや減便に加え、経費の削減などで赤字分を圧縮。東日本フェリーによる運航停止後の12月から、運賃を現行の50―60%程度引き上げるほか、夏場は1日3往復から2往復に減便する見通し。

 青森県の蝦名武副知事、大間町の金沢満春町長、道南自動車フェリーの関根社長、東日本フェリーの井内政宏営業戦略本部長が県庁内で記者会見して発表した。西尾正範函館市長は「市としては将来的にも継続して運航されるよう、今後も大間町と連携しながら支援などを国に要望したい」とコメント。西尾市長は17日にも金沢町長らと国土交通省に出向き、補助金などの支援策を要請する。

 大間町から月1回、函館市内の眼科に通う男性(63)は「函館の病院は設備が充実していて距離も近いので便利。少しぐらい運賃が上がってもいいので何とか継続してほしい」と話した。(森健太郎)


◎函館・白石町の川島さんの畑でプルーン
 函館市白石町に住む農業、川島ユキさん(82)の畑でこのほど、プルーンが初めて大量に実を付けた。プルーンは3年前、「地域の名所になれば」と、七飯町に住む日本花の会研究専門委員の浅利政俊さんや地域住民らの協力で植え、愛情掛けて育てた。浅利さんによると、プルーン栽培は七飯町などで盛んだが、函館市内では珍しいという。今年は甘酸っぱく良質な実が約120個も収穫でき、川島さんは「毎年の楽しみ。これからもたくさん植えたい」と喜んでいる。

 川島さん宅の近くには、数種類の八重桜が咲き誇るサクラの名所がある。川島さんは2006年、「実のなる木を植えて地域の憩いの場所にしては」との浅利さんの提案を受け、「シュガープルーン」と「スタンレイ」の2品種の苗10本を自宅近くの畑に植えた。その後、近所に住む親せきの近睦夫さん(53)や友人の吉野トシさん(89)らの協力でせん定や草取り、肥料やりなど手入れを続け、成長を見守ってきた。

 苗木は2メートル以上になり、シュガープルーン3本が9月ごろ収穫期を迎えた。自分たちも味わったり、川島さんの孫にも試食させて楽しんだという。

 川島さんの二女美恵子さん(56)は「実が付いた時は母も私も感激。子どもや地域住民が楽しめる場所になれば」と笑顔。吉野さんは「ちょっと甘酸っぱくておいしかった。プルーン狩りの名所に育てば」と期待を込める。

 栽培のアドバイスを続ける浅利さんは「今年は好天に恵まれ、小粒だが味も良い。育てる川島さんたちの心の励みにもなり、健康的で夢がある果物だ」と話す。

 川島さんの畑にはブルーベリーも植えられており、来年はさらにさまざまな実が楽しめそうだ。川島さんは「いろいろな人の協力でこれからも育てたい」と話している。(新目七恵)


◎生徒の力作 天まで届け…潮見中・たこ揚げ大会
 函館潮見中学校(三島俊博校長、生徒188人)の全校生徒が参加する恒例の「たこ揚げ大会」が14日、函館市大町の緑の島で行われた。子どもたちは力を合わせ、手作りの連だこを空高く揚げて楽しんだ。

 同校では14年前から、日本の伝統文化体験としてたこ揚げ大会を実施している。今年も1週間前からグループなどでデザインを考え、教員の指導を受けてたこ作りに取り組んできた。

 この日は好天に恵まれ、ほどよい風もある絶好の“たこ揚げ日和”。子どもたちはまず5、6人のグループ34チームごとに延長約6メートルの連だこ揚げに挑戦。続いて、その連だこをクラス単位でつなぎ合わせて約40メートルの「クラス凧」を作り、クラスメート全員で協力して揚げた。途中で糸が切れたり、絡まる場面もあったが、カラフルな連だこが空高く舞い上がると、子どもらから歓声や拍手が沸き上がった。

 3年B組の目黒愛実さん(15)は「いつもよりクラスの団結力が強まりいい雰囲気で楽しい。たこが高く揚がって興奮した」と喜んでいた。

 市内で創作凧治工房を主宰する凧師の梅谷利治さん(79)もアドバイスに駆け付け、「若い感性あふれるたこが多い。青春の良い思い出になるはず」と話していた。教員らの審査の結果、最優秀デザイン賞に1年B組の西川加織さんの班、総合の最高賞となる最優秀賞に2年B組が選ばれた。(新目七恵)


◎市函高「函館学」一般に公開…16日
 市立函館高校(森武校長)は16日、独自科目「函館学」の一環として、地域の魅力を学ぶ生徒向け講座を一般市民にも公開する。伝統的建造物や観光、文学など幅広いジャンルの10講座を用意しており、同校では大勢の参加を呼び掛けている。

 函館学は1年生の必修科目として昨年度から実施。自分たちの住む地域の伝統と文化を学び、理解を深めるのが狙い。今回の講座は、生徒がコース別に函館の街を見て回る「元町巡検」(22日予定)に必要な予備知識を各専門家に講義してもらう。午後2時40分から同3時35分までで、事前の申し込みは必要ない。問い合わせは同校の小松将人教頭TEL0138・52・0099。 コース名と主な講義内容は次の通り。

 ▽水道施設(水道施設の歴史や現在の給水システム)▽伝統的建造物保存地区(道内唯一指定を受ける地区の港と都市の関係)▽函館山(市民生活と結びつきの深い函館山を三十三観音で探る)▽観光資源の魅力(全国的に人気の高い函館観光の魅力)▽函館要塞(遺跡から函館の国際的関係を学ぶ)▽造船技術(函館どつくの歴史や技術)▽坂道と街づくり(坂道が多い独特の景観を生かした西部地区の街づくり)▽食育と洋食・マナー(開港都市に入ってきた食のスタイルや五島軒の歴史など)▽アイヌ文化(アイヌと函館の歴史的、芸術的関わり)▽文学(亀井勝一郎、石川琢木の文学の魅力や作家を育てた函館の風土)(新目七恵)