2008年10月17日(金)掲載

◎函館開港150周年記念ポスター完成
 来年の函館開港150周年をPRするイメージポスターが16日までに完成した。発行枚数はB1判が200枚、B2判が1500枚で、今後、来函客が多く行き交う函館空港やJR函館駅に掲示するほか、道内・青森の自治体などにも協力を呼び掛け、記念すべき年に向けた周知に努める。

 ポスターのデザインは、1868(慶応4)年に制作された「函館真景図」(函館市中央図書館所蔵)を基に、市内の観光名所の位置を明記するなどのアレンジが施されている。開港の始まりを予感させるような、赤みがかった夜明けの空が強い印象を与える。

 函館開港150周年記念事業実行委事務局(市港湾空港部管理課)は「ポスターをたくさんの人に見てもらうことで、開港150周年への機運を高めていきたい」とし、さらなるPRを図るために、タクシーに張るステッカーや商店街にぶら下げるフラッグの作製も検討している。(浜田孝輔)


◎企画「ふわっと」DV子ども支援(2)…広場の名前に願い込め
 「子どもたちが無理せず、『ふわっと』した気分で過ごせる時間を持てたら」―。配偶者・内縁間での暴力「ドメスティックバイオレンス(DV)」に巻き込まれた子どもを支援する「子どもサポート・ふわっと」(加茂章子代表)の名前には、そんな願いが込められている。

 DV被害者の支援活動に取り組むNPO法人ウィメンズネット函館(古川満寿子代表)に寄せられるDV相談は昨年度、初めて延べ1500件を超え、シェルター(一時保護施設)の入居件数は過去最多の51件。幼い子どもを連れて来るケースが目立ち、同伴者数は60人に上った。

 これまで同法人は電話相談や面談、シェルター入居者への支援など被害女性への対応に追われ、人手不足は深刻だった。しかし昨年度から函館市や道の主催で始まったDVサポーター養成講座でボランティアを確保できるようになり、長年の課題だった子どもへの支援に乗り出した。

 活動はシェルター入居中と退去後に分かれ、まず始めにシェルターに入ってきた子どもに渡す「ウェルカムバッグ」を用意。友達に別れのあいさつをすることなく、自分の物をすべて置いて家を出てきた子どもたちへのささやかな贈り物だ。いろんな種類の中から好きな色や柄の歯ブラシ、タオルなどの生活用品を選んでもらい、バッグに詰めて「これはあなたのものよ」と渡す。NPO法人ウィメンズネット・マサカーネ(室蘭市、藤本紀子代表)の取り組みを参考にした。

 自分で「選ぶ」ことを制限されて育った子どもたちにとって選択肢を与えられ、「自分だけのもの」を持つことに大きな意義がある。事務局の佐藤香さんは「子どもたちはもらったバッグを抱きしめるように持ち、大切にしている。そんな子どもの笑顔に母親もほっとした様子を見せる」と明かす。

 DVと児童虐待は密接に関係し、DV家庭では子どもが身体・性的な暴力、ネグレクト(育児放棄)などの虐待を受けているケースも少なくない。またDVから逃れても心の傷が癒えないまま転校などで環境変化を余儀なくされ、新しい生活を始めても継続的な支援が必要とされている。

 加茂代表はDV家庭で育った子どもについて「笑顔がなかったりおびえていたりする。極端にいい子が多いがそれは本当の姿ではなく、傷ついている子ほど表面に出さない」と説明。18日から月2回のペースで「ふわっと広場」を開設して、子どもたちが閉ざした心を開放し、何でも話せる場を提供する。「安心できる環境で自由に遊んでもらう。わたしたちは寄り添い見守るだけだが、子どもたちにとってうれしいことを1つでも提供できれは」と期待する。

 04年の児童虐待防止法改正でそれまで分類されていなかった「DVの目撃」が心理的虐待に区分されるようになった。函館児童相談所は「夫婦関係の在り方が子どもの心の成長発達に影響を与え、いわれのない心の傷が学校不適応や引きこもり、非行など行動で表れる」と指摘。「DVのセーフティーネットは構築されつつあるが、子どもたちが家庭以外で安心できる場所を作ることは重要」としている。(宮木佳奈美)


◎森町長選・候補者に聞く…「産業経済」など5本柱 阿部真次氏(66)
 ――出馬の動機は。

 突然の選挙で、候補擁立を目指したがかなわなかった。自らの手で行政経験を生かした町政の運営をし、新生森町のさらなる発展を目指そうと立候補を決意した。1967年以降、41年間の行政経験を生かし、新しい森町の運営を担っていきたい。

 ――最も訴えたい政策は。

 5本柱として掲げる政策「産業経済」「保健・医療・福祉」「観光」「教育」「生活環境」が基本。

 まずは、学童保育の設置など、21世紀を担う子どもたちが明るく健やかに過ごせるよう、心身ともに健全な児童・生徒が伸びやかに育つ環境づくりに努めたい。

 次に、少子高齢化が進む中、「命と健康」を第一に考え、地域医療の確保を目指す。町内で唯一救急病院としての中核を担う国保病院の存続を基本方針に経営健全化、保健活動の充実に努めたい。

 また、水産業・農畜産業の産品別ブランド化を図るとともに、販路拡大や加工による新商品の開発にも努めたい。

 また、森町の自然を生かした函館圏域ルート観光に力を入れるとともに、上下水道のさらなる普及に努め、町民の住環境を整えていきたい。

 町財政は厳しいが、慎重かつ適正な財政計画に沿いながら、これからも町民に愛される行政を目指していきたい。

 ――有権者の反応は。

 これまで、行い、訴え続けた「産業経済」「保健・医療・福祉」「観光」「教育」「生活環境」にわたる政策や主張は着実に受け入れられているものと信じている。今ほど、町民の熱い思いや郷土愛を強く感じたことはない。

 ――前町長や事件について。

 この場での論評は控えたい。

 ――阿部町政の目指すものは。

 事務所にも掲げる「はつらつとした活力あるまちづくりを目指して」。町の発展を目指して、“まごころ”を町民に返していきたい。

 あべ・しんじ 1942年森町生まれ。65年法政大学法学部を卒業後、67年から町役場に勤務。総務課長や収入役を歴任し、2005年に助役就任。07年4月から副町長。町長選立候補のため08年9月に退職。(聞き手・笠原郁実)


◎森町長選、混戦のまま終盤へ
 【森】前町長の辞職に伴う森町長選挙は16日、選挙戦を折り返した。いずれも無所属新人の前町議・松田兼宗氏(52)、前副町長・阿部真次氏(66)、会社役員・佐藤克男氏(58)=届け出順=の3氏が横一線で並び、混戦のまま終盤に突入する。3候補とも遊説をはじめ総決起集会や街頭演説などで知名度や政策の浸透を図る。

 松田氏は過去2回の町長選で築いた基盤を強化し、一層の支持拡大を図る。伊藤秀信後援会長は「特定の団体から推薦を受けず、一人一人の町民の声を背に立候補した。町民の期待は大きく2年前とは雲泥の差。町民の真意を問う選挙」と手応えを語る。演説会とボランティアによる草の根選挙で攻勢を強め、女性への指示拡大を狙う。

 阿部氏は漁協や農協、町内会などから推薦を得た。選対幹部は「町財政の健全化対策を、手持ちの資料を生かしながら説明し、理解を得ている」とし、「前町長や町政の継続ではなく、阿部カラーを出してほしい、という町民の声が強い」と独自色を打ち出すことでさらに幅広い層への食い込みを図る。17日午後6時には町公民館で総決起集会を開き、気勢を上げる。

 佐藤氏は出馬が他候補より遅れ、戦対は「弱点は知名度不足」と語る。しかし、告示前に約20回開いたお茶懇や総決起集会、候補者公開討論会などで克服。向中野貴夫後援会長は「一度会って話を聞けば、候補の主張や魅力が分かってもらえる。日に日に確かな手応えを感じる」と話し、陣営は上げ潮ムード。民間の発想や人材育成などの主張が受け入れられ、女性層に支持を広げている。

 今回の選挙では役場職員の組合組織「森町職員労働組合」が自主投票に回り、職員票の取り込みも勝敗を握るカギとなりそうだ。(森町長選取材班)


◎江差署が桧山・厚沢部自動車学校と安全協定
 【江差】江差署(芳賀政男署長)は、桧山自動車学校(江差町・山下良一校長)と厚沢部自動車学校(厚沢部町・高田一弥校長)の間で、公道を走る計26台の教習車が、不審者の目撃や事件事故の発生など、地域の安全確保に有益な情報を警察に提供することを定めた「地域安全に関する協定」を締結した。

 協定は両校からの申し出により、15日に締結された。桧山自動車学校は16台、厚沢部自動車学校には10台の教習車があり、桧山管内南部の公道で路上教習などを行う際、不審な人物や車両の目撃情報をはじめ、信号機の故障や交通標識の破損、事件事故や災害の発生などの情報を速やかに同署に提供する。住民や児童生徒を対象にした交通安全教育への支援協力についても協定に盛り込んだ。

 同署で行った調印式で芳賀署長は「児童への声掛け事案をはじめ振り込め詐欺の続発など、管内の治安悪化を危惧(きぐ)しており、協定締結の意義は大きい。警察の力は有限ではなく、効果はボディーブローのように広がり、犯罪の抑止につながる」とあいさつした。

 これまでも交通安全教育の取り組みを通じて、同署と協力を深めてきた桧山自動車学校の山下校長は「さらに警察との連携を強化して、子供や高齢者の安全を守れるよう手伝いしたい」と意気込みを見せた。厚沢部自動車学校の高田校長も「教習車は市街地の細かい所まで走行する。不審者などへの目配りを今まで以上に高めていきたい。警察とのやり取りを通じて情報発信を進めていきたい」と語った。

 桧山南部を管轄する同署管内の5町では、青色回転灯を装備した車両で地域をパトロールする自主防犯パトロール隊も全町で発足。5町で合計24台の車両が登録されている。また、営業中のタクシーや工事車両などを活用した複数のパトロール隊も活動を展開。住民の自主的ボランティアによる地域の安全確保に向けた取り組みがすそ野を広げている。(松浦 純)


◎19日、深堀小児童が学芸会で琴を披露
 函館深堀小学校(森武由美子校長、児童307人)の4年生47人が、19日の学芸会で琴の演奏を披露する。同校の学芸会で琴を発表するのは初めて。子どもたちは伝統楽器の美しい音色を響かせようと練習に励んでいる。

 琴の演奏は、1学期に同学年が音楽の授業で取り組んだ際に反応が良く、音楽担当の野田史恵教諭も個人的に習っていたことなどから取り入れた。琴は同校にあった6面のほか、函館の悦山会から14面を借りるなどして準備した。野田教諭が中心になって9月に練習を始め、10月から本格化させた。

 15日には、総練習を兼ねた児童向けの発表会が同校で行われた。児童らは緊張しながらも、一生懸命練習の成果を披露。感動した低学年から「弾いてみたい」との声が出るほど好評だったという。

 演奏するのは、子どもたちに人気の高いアニメ音楽「となりのトトロ」「いつも何度でも」「崖の上のポニョ」の3曲。1人1曲を担当しており、16日の練習でも子どもたちは真剣な表情で練習に取り組んでいた。

 1組の伊藤希君(9)は「最初は音を間違えたりうまくいかなかったけれど、練習してできるようになった」と説明。2組の青山詠史君(9)も「学芸会では心を1つに合わせてきれいに演奏したい」と話していた。

 野田教諭は「音譜が読めない子も弾けるのが人気の理由の1つのようだ。子どもたちは根気強く頑張っている」と話している。(新目七恵)