2008年10月18日(土)掲載

◎鷲ノ木遺跡、環状列石と同年代の竪穴式住居跡発掘
 【森】文化庁が9月、世界文化遺産候補に加えた「北海道・北東北の縄文遺跡群」に含まれる史跡・鷲ノ木遺跡から、道内最大の環状列石(ストーンサークル)と同年代の竪穴住居跡が初めて、発掘された。本年度の森町教委の調査で明らかになったもので、住居跡は少なくとも直径4?。町教委は「当時の環境を知る重要な手がかり」とし、年代測定を急いでいる。

 このストーンサークルは2001年、道縦貫自動車道建設にかかわる発掘調査で発見され、道内では最大級、全国でも3番目に大きい。縄文時代後期(約4000年前)と推測され、竪穴墓域(共同墓地)も発見され、祭祀(さいし)に使用されたと見られている。。

 町教委は03年から調査を進め、本年度は5月から16カ所を調査。8月末、ストーンサークルから東に50メートルの付近で、くぼみを見つけ、掘り進めると、石で囲まれた炉跡(かまど)を発見。同年代の地層が同個所では途切れていたこと、縄文後期の特長の文様が入った土器が出土したことで、ストーンサークルと同年代の住居跡と推測した。。

 本年度は、跡地全体の4分1を調査。町教委では今後、残っている炭などから炭素による年代測定を行うなどし、総合的に年代を予測する。町教委の高橋毅学芸員(31)は「非日常的な場所に、住居という日常的な跡が見つかったことで想像がふくらんだ。数世代、数十世代かけて作られたストーンサークル。先遣隊の住居、作業者の作業小屋、ストーンサークルの見張り小屋などの可能性もあるが、ストーンサークルとの関連は間違いないはず」としている。。

 同調査の成果報告を含め、町教委は特別展「鷲ノ木遺跡群調査成果展」を28日から11月24日まで遺跡発掘調査事務所(森川町292)で開く。同展では、ストーンサークルの模型や鐸形(イカ型)の土製品が展示される。。

 問い合わせは町教委TEL01374・2・2186。(笠原郁実)


◎公選法改正、臨時国会への提出断念へ
 【江差】支庁再編の前提となる公職選挙法の改正問題をめぐり、衆参両院の自民党国対委員長が、今臨時国会への法案提出を見送る方針を道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)に示したことが17日までに分かった。法案提出は年明けの通常国会に先送りされる方向だが、道がタイムリミットとする来年1月下旬までの法改正は困難な情勢。高橋はるみ知事が目指す来年4月の支庁再編が延期に追い込まれる可能性も高まってきた。(松浦 純)。

 自民党の大島理森・衆院国対委員長、鈴木政二・参院国対委員長が16日、国会内で道町村会の南原一晴常務理事に、法案提出を見送る方針を示した。民主党は公選法改正に反対する方針。自民党は公選法改正を見送り、ほかの重要法案の成立を優先させたものとみられる。江差町は「党内での巻き返しもあり得る」と慎重姿勢を示している。。

 年明けの通常国会に向けて与野党で法案の取り扱いを協議する見通しだが、衆院選の有無にかかわらず、通常国会では新年度予算案などの審議が優先されるため、自民党内でも「1月中の公選法改正は困難」との見方が有力だ。。

 来年4月に支庁再編を行うには、道議の定数条例改正も年度内に終える必要がある。来年2月の定例道議会で条例改正を行うには「公選法改正は来年1月下旬がリミット」(道幹部)。総務省は支庁再編条例と定数条例は同時に施行する必要があるとし、公選法改正の遅れは支庁再編の実施を延期に追い込む可能性が濃厚だ。。

 公選法改正を経ないで支庁再編を実施した場合、支庁が統廃合される渡島・桧山管内などでは、自動的に道議選挙区が統合される。道議の改選期は2011年の統一選。道議会自民党では「統一選までに法改正を進める。その間は合区もやむを得ない」との声もある。しかし、選挙区が統合される地域で、道議の死去や辞職に伴う補欠選挙が実施される場合には事態が複雑化する。道南では渡島(定数3)と桧山(定数1)の両選挙区が統合される。このため「桧山で補選があれば渡島の住民にも選挙権が生じる」(関係者)。渡島管内では、川村正道議の死去に伴い。さらに1人の欠員が生じた場合は補選が必要。1人区の桧山管内で欠員が生じれば、ただちに補選を行わなければならず「地域が大混乱する。支庁再編だけを先行させることは困難」(道幹部)との意見が現実的だ。


◎森町長選・候補者に聞く…無駄省き財政立て直し 佐藤克男氏(58)
 ――出馬の動機は。

農業・水産業など森町の持っている素晴らしい一次産品を日本中に広めたいと思った。まちが疲弊し、町民も元気がない中、森町を売り出す「セールスマン」として、経済の活性化が必要と感じた。

 ―最も訴えたい政策は。

町財政を調べていく中で、実態に驚いた。まずは財政を立て直しが早急な課題。「第二の夕張」にしてはいけない。そのためにも企業会計基準でしっかりと示し、隠れている実態を把握したい。そして、議会や役場幹部、有識者、労組などで構成する諮問機関をつくり、再建策を講じたい。

よく言われる人員整理や賃金カットは最後の手段。まずは無駄を省き、無駄の出ない仕組みづくりを構築することが大切。

また、選挙活動を進める中で、町内企業で数社、上場企業に成りうる可能性があった。上場へのメリットや方法を伝え、上場企業を出すことで、まちを活性化したい。 また、一次産業に対する応援も心掛けたい。漁業枠の拡大など道などに町長自らがお願いするほか、農業・漁業従事者とのコラボレーションなど、売り方についてやれることを一緒に考えたい。

 ――有権者の反応は。

各地で行ったお茶の間懇談会では「変えなくてはいけないという」という思いや、役場・職員の姿勢を問う声を聞く。批判を受け止め、職員への教育に生かしたい。

――前町長や事件について。

町内の企業に競争力をつけ、他の町でも戦える力を付けてもらうためにも、決して、談合体質にしてはいけない。良い方向に導くのが政治家。プランを持って争うべき。また、町政も3期を続けるとよどみが出る。しがらみが生まれる前に、立派な町政を司れる後継者複数名を育てたい。

――意気込みを一言で。

「勝つしかない!」。活動をすればするほど、支持する人が増えている実感がある。誰かがやらなければならない。

さとう・かつお 1949年森町生まれ。森高校を卒業後、上京し会社員として勤務後、95年の参院選比例全国区と98年の同神奈川全県区に青年自由党から出馬し落選。2002年、株式会社太陽ハウス(横浜市)を設立し、社長に就任。現在は同社取締役。(聞き手・笠原郁実)


◎函館市や観光関連事業者、日本最大級の商談会に出展
 函館市と地元の観光関連事業者が23、24の両日に横浜市で開かれる、日本最大級の海外観光客誘致に向けた商談会「YOKOSO!JAPANトラベルマート2008秋」に出展する。アジアや欧米など全世界の旅行会社を相手に函館観光の魅力を発信し、旅行商品の造成を呼び掛ける。 同商談会は、2010年に訪日外国人旅行客数1000万人を達成するために、官民一体で取り組む「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の一環で、ことしで4回目。函館市と民間企業の共同出展は今回が初めてとなる。

 市のほかに参加するのは、公募によって決まった同市内の宿泊施設、観光施設、飲食・物販業者が各2社、運輸事業者が1社。会場では4つのブースを構えて、函館観光のポスターを掲示したり、外国語に対応したパンフレット・マップを配布し、法被姿で来場者を出迎える。

 商談では事前に希望する旅行会社を指定し、1社あたり15分の持ち時間で、自社の商品・サービスの優位性を訴えるほか、具体的な料金交渉も行う。東アジア地域が中心となる見通しで、1社が2日間で20―25社程度のバイヤーと面談する予定。

 市ブランド推進課は「国内旅行者の誘致は頭打ちにあり、海外への情報発信が重要な役割と考える。飲食から輸送、宿泊などにいたる観光の一連を担う総合力で、最大限の効果を上げていきたい」と話している。(浜田孝輔)


◎ヤマダ電機函館本店オープン
 家電量販店最大手のヤマダ電機(群馬)は17日、函館市美原2の道道函館上磯線(産業道路)沿いに、郊外型店の「テックランドNew函館本店」をオープンした。近くケーズホールディングス傘下のデンコードー(宮城)も約1.5キロ離れた同じ産業道路沿いに新店舗を開業するため、市内美原・昭和地区の家電商戦は激しさを増しそうだ。

 ヤマダ電機の函館本店は、JR五稜郭駅前の「テックランド函館店」(亀田本町)に次ぐ市内2店舗目。旧函館トヨペット本社跡地で産業道路と道道赤川函館線の交差点北東側に位置する。地上3階建ての2、3階が売場で、店舗面積約6800平方メートルは道内2番目の規模という。

 これまでの家電製品に加え、食品や日用雑貨などの品ぞろえを充実させたのが特徴。同店はポイント還元を強みに「大型家電の購入時にたまったポイントで日用品を買うこともできる。楽しみながら何度も足を運んでもらえる店にしたい」(吉田健二店長)とし、リピーターの獲得を目指す。

 初日は先着順の特売商品もあり、午前10時の開店前から約900人が店を取り囲むように並んだ。日用品を買い込んだ近くに住む女性(61)は「電気屋さんでティッシュや洗剤を買うとは思っていなかった」と話し、「近隣の店同士が値段で駆け引きしてほしい」と期待していた。

 同函館本店から北西に約1.5キロの距離には23日、デンコードーが「ケーズデンキ函館本店」(美原3)を開く。店舗面積は閉店した「―函館パワフル館」の2倍弱に当たる約5700平方メートルで、同社は「現金値引きやアフターサービスの充実で差別化を図りたい」とする。今後は昭和タウンプラザ内にあるベスト電器・New函館店(昭和1)を含めた大型店3店が沿路に並ぶことになり、販売合戦の一層の激化が予想される。(森健太郎)