2008年10月20日(月)掲載

◎森町長に佐藤氏初当選
 【森】競売入札妨害(談合)罪で起訴された前町長の辞職に伴う森町長選挙は19日、投開票が行われ、無所属の新人で会社役員の佐藤克男氏(58)が4435票を獲得、前町議の松田兼宗氏(52)=無所属新人=を272票の小差でかわし、初当選した。前副町長の阿部真次氏(66)=同=は伸び悩んだ。投票率は2005年の前回を1・00ポイント下回る74・40%だった。

 1971年から10期37年務めた現職町長の逮捕、辞職を受けた新人による三つどもえの戦いで、町民の関心も高まった。国保病院の経営健全化を含む行財政改革と、前町政の継続か刷新かが大きな争点となった。佐藤氏と松田氏は町政刷新を、阿部氏は町政の着実な遂行を訴えた。

 佐藤氏は民間経営者の才覚を町政に生かすことを掲げ、町政の信頼回復と、町の出直し・再生を訴えた。出馬表明が3候補の中で最も遅れたが、しがらみのないまち、産業経済の活性化、高齢者福祉の充実、森町を売り込む「セールスマン」として活躍する公約が浸透し、急速に支持を広げた。

 公開討論会やお茶懇、総決起集会などで知名度を上げ、人材育成や町内企業の上場など民間人らしい発想が町民の好感を呼んだ。長期政権を批判し、2期8年までとの主張も評価を上げ、前町政の批判票の取り囲みに成功した。

 松田氏は前町長と戦った過去2回に続き3回目の出馬。役場改革を掲げ、ガラス張りの町政と住民参加のまちづくりを訴えた。産業の活性化と定住促進、学童保育の充実や救急医療体制の維持など「安心して働ける福祉社会」などを公約に掲げたが、佐藤氏に票を奪われた。

 阿部氏は漁協や農協、町内会などから推薦を受け、41年間の行政経験と知名度を生かし、産業経済や保健・医療・福祉の充実など5本柱の政策を訴えた。前町長の事実上の後継候補で、町職員OBが後援会幹部を務め、組織型選挙に臨んだが及ばなかった。

 当選した佐藤氏は1949年、森町生まれ。森高校を卒業後、上京。サラリーマンを経て横浜市に株式会社太陽ハウスを設立し、現在は同社取締役。

 三つどもえの町長選は1983年以来25年ぶり。当日有権者は1万5370人で、投票者は1万1436人。投票率は74・40%だった。

 佐藤氏は20日午後1時半、町役場で町選管委員長から当選証書を受け取る。(笠原郁実)


◎「豊かな町へ まい進」…草の根運動結実
 【森】町の「出直し」がかかった森町長選は、最後に名乗りを上げた無名の新人、佐藤克男さんが制した。佐藤さんの選挙事務所は19日夜、歓喜の渦に包まれ、支持者が万歳を繰り返した。支持者にもみくちゃにされながら、森町の新生を高らかに誓った佐藤さん。善戦も及ばなかった松田兼宗さん、阿部真次さんも支持者が健闘をたたえた。

 約100人の支持者が集まった佐藤さんの選挙事務所。午後7時55分の開票速報で初めて松田さんを引き離しトップに立ったことが伝えられると、大きな歓声が沸きあがった。直後に当確の報が流れると、支援者同士が抱き合って涙を流す姿も見られた。

 同8時10分ごろ、握手攻めでもみくちゃにされながら事務所に到着した佐藤さんは、「みなさんのおかげで当選することができました」と深々と頭を下げた。万歳三唱の後、支持者から花束を受け取ると「感謝の気持ちです」と幸子夫人(58)に渡す場面も。

 佐藤さんは「これは佐藤克男の勝利ではなく、新しく生まれ変わりたいと願う森町の勝利。今後は森町が豊かになるように、みなさんのためにまい進していく。他にも言いたいことはたくさんあったが、感無量でこれ以上言葉にならない」と目を潤ませた。

 向中野貴夫後援会長(56)は「当初はまったく無名だったが、8日の公開討論会で一気に風をつかんだ。地道な草の根運動が実を結んだ」と喜びをかみしめていた。

 三度目の正直ならず―。午後8時17分、松田さんの事務所に「次点濃厚」の一報が入ると、後援会長の伊藤秀信さんが「残念」と声を張り上げた。間もなく自宅から松田さんが到着し、支持者から「良く頑張った」とねぎらいの言葉が掛かった。

 伊藤さんらとあいさつした松田さんは開口一番「負けました」と口を真一文字に結び、悔しさをにじませた。「わたし自身のこれからはまだ分かりませんが、新町長が決まったわけですから、佐藤さんと新しい森町をどうつくっていくか、これから皆さまとともに協力していきたい」と語気を強めた。涙を浮かべ握手して回sると、「若いから大丈夫」「もう一回」と声が上がった。

 「みな、私の不徳の致すところ」―。票が横一線に並び、勝利をも予感させる空気があふれる中、票差が開いた午後7時50分、阿部さんの選挙事務所は一転して重苦しい空気に包まれた。「え」「なぜ」…。大きな票差に、ため息だけがもれた。

 午後8時過ぎ、阿部さんが事務所入り。口を真一文字に結び、一言一言かみしめながら「新しい町長の下、森町を発展させてほしい。本当に、本当にありがとうございました」と深々と頭を下げた。

 支持者からの「逆風の中、これだけ票が集まったのは阿部さんの人徳のおかげ」というねぎらいに、阿部さんは握手で応えた。



◎さらなる飛躍を誓う…五稜郭養護学校30周年記念式典
 道立五稜郭養護学校(函館市五稜郭町39、能登ヨシ子校長)の開校30周年記念式典と学芸発表会が19日、同校で開かれた。同校関係者や保護者、社会福祉法人函館厚生院函館五稜郭病院関係者ら約90人が出席。能登校長は「多くの児童生徒が決して病に負けることなく、治療を受けながら勉学に励んできた。今後も教職員が専門性を高め、教育的ニーズに応えていきたい」とあいさつし、さらなる飛躍を誓った。

 同校は、1960年に当時の同病院院長笹島吉平氏が長期入院中の児童生徒の教育の場として、近隣の小中学校の特別支援学級の形で設置した「みどり学園」が始まりで、79年に養護学校教育義務化にともない、道立の養護学校として開校した。現在、小学部7人、中学部9人の児童生徒が同病院で治療を受けながら勉強を続けている。

 式典では、来賓の吉田一昭渡島教育局長が祝辞を述べたほか、長年同校に支援を続けている中島徹さんと同病院の小児病棟看護師らに感謝状が贈られた。式典の後、「みんなの想いが扉を開く」をテーマに学芸発表会が開かれ、在校児童生徒らが劇や合唱を披露した。

 能登校長は「病弱養護学校はなくしてはならず、今後も少子化などの変化に即した教育の場を提供してきたい」と話していた。(今井正一)


◎茶の湯の心を学ぶ…体験講座 園亭でお茶会
 体験講座「紅葉の香雪園でお茶を学ぼう」が19日、見晴公園(函館市見晴町、通称・香雪園)の「園亭」で開かれた。木々が赤や黄色に色づき始めた同公園を散策し、表千家同門会函館支部の東宗伸さんの指導でお茶の楽しみ方を学んだ。

 函館市教委の生涯学習講座「まなびっと2008」の一環。小学生から高齢者まで12人が参加した。

 園亭内の床の間には「自然成」の字と柿の絵が描かれた掛け軸と、マンサクとフキアゲギクの花が用意された。東さんは「今から800年くらい前に中国から伝わり、最初はお薬でしたが、次第にお茶を楽しむようになり今に伝わっています」と歴史を紹介。茶わんの扱い方や茶菓子の食べ方、お辞儀の仕方など解説しながら、茶会での所作や作法を教えていた。

 この後、参加者は実際に自分の手で茶せんを使い、お茶をたて、日本の伝統文化を楽しんでいた。(今井正一)


◎函館中央郵便局の郵政4グループがクリーン作戦
 函館中央郵便局(函館市新川町1)内の郵政4グループ(郵便局会社、郵便事業会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)は19日、「秋のクリーン作戦」として周辺地域のボランティア清掃を行った。各社の職員合わせて約100人が参加し、約1時間にわたりごみ拾いに汗を流した。

 函館市が行っている全市一斉クリーン作戦に合わせて毎年この時期に実施。この日は天候にも恵まれ、家族連れで参加する姿も数多く見られた。職員らは同局駐車場で出発式を行った後、それぞれごみ袋とごみばさみを手にそれぞれの担当場所へ向かった。

 同局周辺では普段から職員や地元町会などが清掃を行っているため、目立ったごみは見られなかったが、それでも植え込みの陰など目につきにくい場所にタバコの吸い殻やレシートなどが落ちており、参加者は隅々まで目を光らせながら熱心に拾い集めていた。

 郵便事業会社函館支店の羽田光夫総務課長代理は「ボランティア清掃は民営化以前から行っている活動で、今後も地元住民と協力しながら周辺地域の美化に力を入れていきたい」と話していた。(小川俊之)