2008年10月21日(火)掲載

◎佐藤森町長が初登庁
 【森】森町長選で当選した佐藤克男氏(58)が20日、初登庁した。大勢の職員が玄関前で出迎え、女性職員から花束を受け取った佐藤氏は、各課の職員にあいさつしながら、2階の町長室に向かい、町長のいすに腰掛けて「気分いいですね」と笑顔を見せた。

 町長室に足を踏み入れた佐藤氏は歴代の町長の写真に深々と一礼。この日午前5時に起きたという佐藤氏は「(昨日からずっと)このいすに座ることを考えていました」と場を和ませた。

 佐藤氏は職員と町議を前にそれぞれあいさつした後、早速、決算処理や打ち合わせなど町長業務に入った。早ければ26日の町内行事に出席し、町民を前に初めてあいさつすることになるという。

 佐藤氏は2005年に旧森と旧砂原の2町が合併し誕生した新・森町の2代目町長となった。任期は2012年10月18日まで。(笠原郁実)


◎地域一体で明るい町に…佐藤森町長に聞く
 【森】19日投開票の森町長選で、10期37年間の長期政権が終わりを告げ、町民は「新生森町」のトップに民間出身の佐藤克男氏を選んだ。前町長が競売入札妨害罪で起訴されるなど、官製談合事件で疲弊したまちは、「しがらみのなさ」を強調してきたフレッシュな新町長がかじを取ることになった。当選から一夜明けた20日、佐藤氏は報道陣の質問に答え、「明るいまちにしたい」と力を込めた。

主な質疑は次の通り。

 ――今の心境は。まちをどう変えたいか。

 使命感がずしりと肩にのしかかる。やる気いっぱい。厳しい財政に対し、町民が安心できるようすぐに取り掛かる。

 ――まちの体質をどう思うか。

 このまちは良いものがたくさんあるので、売り方について変える必要がある。役場も町内の商店も、町民を住民というのではなく、「お客さま」という意識をもつ必要がある。また、「しがらみ」での閉塞感も漂う。対立候補の応援企業への報復などは一切しない。

 ――閉塞感の原因は。

 役場と商工会議所、役場と金融機関など各関係機関との仲たがい。解消を目指したい。

 ――前町長に対しては。

 登庁前、寄ってきたが留守だった。何度かあいさつしようとしたができなかった。

 ――入札委員会がほとんど開かれてなかった実態、談合体質については。

 チェック機能を考えながら、談合ができないような体質にしたい。それでも、談合があれば、役場としても出入り禁止を含めて検討する。

 ――役場の雰囲気をどう感じたか。副町長の登用については。

 みんなまじめで素晴らしい職員ばかり。(副町長は)急がず、職員の中から指名したい。職員全員に原稿用紙2枚に自筆で「これからの森町のあるべき姿」の提出を求めた。幹部に無記名で指名してもらうことも検討している。外部からの登用は考えていない。職員には「町民はお客さま」ということを伝えた。笑顔での対応や広い待合いスペースも設けてほしいと指摘した。

 ――町民へ一言。

 明るいまちにしたい。だが、町長一人ではできないので、町民にもよい町にするため協力をお願いしたい。


◎函館―大間 運賃6割値上げ…道南自動車フェリー
 道南自動車フェリー(函館市港町3、関根二夫社長)は20日までに、東日本フェリー(同、古閑信二社長)から引き継ぐ函館―大間航路の旅客運賃を12月から約6割値上げすると発表した。運航も8月を除き1日2往復に減便し、年間3億円近く見込まれた同航路の赤字圧縮を進める。

 道南自動車フェリーが10月中旬、道運輸局函館運輸支局に新料金を届け出た。函館―大間航路の旅客の片道運賃は12月から2等で大人1370円が2200円に、2等寝台が同2080円が3000円(燃料調整金を含む)となり、それぞれ6割前後の運賃引き上げとなる。

 車両については車体の長さが6メートル以上のトラックなどは物流面への影響を考慮し、現行運賃を据え置いた。一方、軽乗用車は片道1万2000円、車体の長さ6メートル未満の乗用車は同1万6000円にそれぞれ値上げした。

 運航ダイヤは12月から、函館―大間航路が通年で朝夕の1日2往復4便体制となる。従来は5月から9月までの間、1日3―4往復体制だったが、繁忙期の8月1―20日に限り1日3往復6便となる。函館―青森航路は12月から1日8往復体制となり、旅客の片道運賃は3割程度引き上げられる。 (森健太郎)


◎函高専が文科省支援対象に
 函館工業高等専門学校(函館高専、長谷川淳校長)と、青森県の八戸高専が共同申請したものづくり技術者育成に関するプログラムが、20日までに文部科学省の支援対象に選ばれた。道南、青森県の企業ニーズを両高専で共有し、高専OBの技術者退職者の指導協力を受けながら、学生らが研究に取り組む内容。両高専ではより幅広い地域貢献や実践的な人材育成を目指す。

 文科省の事業は「産学連携による実践型人材育成事業〜ものづくり技術者育成」。地域や産業界と連携した実習と講義を組み合わせた教育プログラムの開発・実施を通じ、ものづくり技術者を育成する目的で昨年度から実施している。今年は全国から53件の申請があり、審査の結果、両高専の共同申請を含め3大学と1高専の5件が採択された。この5件は本年度から3年間、年間1500万円程度の財政支援が受けられる。

 函館高専などのプロジェクトは「函八連携による道南―青森圏の総合的ものづくり人材育成」。道南、青森の地場中小企業ニーズに対し、両高専がカリキュラムなどさまざまな方策を使って解決を目指す。その際、全国にいる両高専OB人材を活用し、パソコンネットワークなどを利用する既存の「e―ラーニング」や、今後導入する「Web会議システム」などを通じてアドバイスを受け、技術や知識の伝承を図る。若手企業人の参加や、同校教員の技術研修による教育スキルの向上も視野に入れている。

 函館高専では昨年度から2年間、退職技術者と一緒に専攻科学生がものづくりに挑戦するキャリア教育の推進に取り組んできた。20日、函館市戸倉町の同校で行われた記者会見で、長谷川校長は「これまで独自に取り組んできた活動成果をさらに高度化させ、八戸高専と一緒に大きな力とし、全国の高専へ発展させたい」と話した。(新目七恵)


◎改ざん手口明らかに…貿易センター不正経理問題・函館市中間報告
 函館市は20日までに、市が出資する第三セクター「函館国際貿易センター」(社長・谷沢広副市長)で発覚した不正経理問題について、第三者機関として関係者への事情聴取、不備のある書類の事実確認などを行ってきた税理士事務所の調査結果を基にした中間報告をまとめた。同社の元専務(70)が改ざんをした領収書の写しが初めて示されたほか、その手口も具体的に明らかになった。海外出張時の航空運賃を架空請求したプール金の一部として、同社の金庫に日本円と外貨で合わせて約55万円が残されていたことも判明した。

 市が裏金の存在を認識した時期に関しては、谷沢副市長や市職員で食い違いが出ている。今回まとめた内容は21日に開かれる市議会経済建設常任委員会(小山直子委員長)に市が報告する。

 中間報告によると、領収書の改ざんは23件で、実際の出費との差額は8万7000円。写しは2004年3月から今年6月の間に元専務が発行を受けた中から判明したもので、「1」を「7」、「3」を「8」に書き変え、多額なものでは「4900円」を「14900円」にしたケースがあった。その大半が複写式ではない単票のため、発行した飲食店に控えがなく、確認が取れていない。

 出張旅費の水増し請求分は、元専務を含む社員5人で28件、141万3700円。サハリンへのチャーター便に空席があった場合に同乗し、当初は航空機をチャーターした会社から請求が来ていたものの、途中から請求されなくなっていた。実際は元専務が請求があったように装い、現金を受け取っていたことになる。プール金の使途は、ロシア商社との交際費、社内の福利厚生費、社員の慰労金に充てられていたとされる。

 問題が明るみになった時点で同社の金庫に保管されていたのは、日本円で19万3000円、外貨は日本円に換算して約35万5000円。プール金の一部が含まれていると思われるが、詳細は分かっていない。市が裏金の存在を認識した時期は、谷沢副市長が同社に派遣されている市職員から報告を受けた7月10日とするのに対し、同職員らは昨年12月には知っていたと証言しており、今回の報告で全容解明には至っていない。(浜田孝輔)


◎木村さん「書道」全国出場…西高では3年連続 別の作品も「書の甲子園」で準大賞
 函館西高校書道部(福澤亜耶部長、部員9人)の2年\生、木村昌代副部長(17)の作品が、来年8月に三重県で開かれる第33回全国高校総合文化祭書道部門の本道の出品枠15点の中に選ばれた。道南では唯一で、同校書道部員の全国出場は3年連続となる。木村さんは別の作品でも、全国の高校生が参加し「書の甲子園」とされる第17回国際高校生選抜書展(9月、財団法人毎日書道会など主催)で3位に相当する準大賞に輝いた。相次いで高い評価を受け、木村さんは「すごく驚いた。今後も勉強して良い作品を書きたい」と喜んでいる。

 書道の高文連全道大会は10月7―10日に帯広で開かれた。各地区から出品された700点中、1、2年生の作品が全国大会への審査対象となり、うち15点が選ばれた。

 木村さんは中国・唐時代の書家、顔真卿(がんしんけい)の行書「争坐位稿(そうざいこう)」の一部分を力強い臨書で表した。1年生の時からこの作品に取り組んでおり、今回の出品作は春から何度も繰り返して書き、納得できる作品に仕上げた。「最後まで集中できず詰めの甘さが課題だった」と振り返り、「一緒に頑張った他の書道部員から学ぶことも多かった」と感謝する。

 書の甲子園には国内から約1万4800点が集まり、上位2賞の12人に次ぎ、準大賞は20人が輝いた。木村さんは、文字にこだわらず墨や空間で表現する前衛的な書道法「墨象(ぼくしょう)」に初挑戦。「海濤(かいとう)」と名付けた作品は、全紙サイズの半紙に「大波のイメージをぶつけた」という。

 さらに木村さんは第55回函館書藝社展の一般公募部門で函館新聞社賞も獲得し、「今後はゆったりしたおおらかな作風や墨象のジャンルにももっと挑戦したい」と意気込んでいる。

 同部顧問の松岡篤志教諭(50)は「ただ黙々と書き続けた努力が今回の結果につながった」と評価している。(新目七恵)


◎来月8、9日に市民オペラ「コシ・ファン・トゥッテ」
 函館市民オペラの会(金山正智会長)の第18回オペラ公演「コシ・ファン・トゥッテ」(モーツァルト作曲)が11月8、9の両日、市民会館大ホールで開かれる。同公演は函館市民文化祭(11月1日開幕)の舞台芸術部門の発表作として行い、今回初めて計3回の上演に挑戦する。本番に向けて、歌や演技、演奏の練習は日増しに熱を帯びている。

 同オペラは全2幕(約3時間)で、「コシ・ファン・トゥッテ」は「女は皆こうしたもの」と訳される。物語のあらすじは、フィオルディリージ、ドラベッラ姉妹のそれぞれの恋人、フェルランドとグリエルモが相手の貞節を試すため、それぞれ別人になって違う相手を口説いたところ姉妹は心変わりをし、結婚を約束する。結末は…。

 公演にはキャストやオーケストラ、ボランティアら総勢160人が参加し、演出と音楽監督は大坂吉明さん、指揮は玉手道男さんが務める。

 今年5月下旬からキャスト、合唱、オーケストラに分かれてけいこを始め、10月中旬から会場の市民会館で合同練習も行い、キャストはオーケストラの演奏をバックに役作りに励んでいる。

 大坂さんは「仕上がり具合は順調。合同練習も始まり、気持ちも盛り上がってきた」とし、フェルランド役の前田治さんは「合同練習では、1回ごとに課題を持ちながら取り組んでいる。今回、3公演すべて出演するので、しっかり調子を整え本番に臨みたい」と意気込んでいる。

 開演時間は8日が午後6時、9日が午後1時と午後6時。入場券は指定席2500円、自由席2000円(いずれも当日は500円増)。問い合わせは市文化・スポーツ振興財団TEL0138・57・3111。(鈴木 潤)