2008年10月22日(水)掲載

◎大根干し盛ん
 【北斗】“白いすだれ”がゆらり―。秋の風物詩「大根干し」が道南各地の軒先で盛んに行われている。北斗市追分35の農業溝井隆さん(43)の畑では、祖母常代さん(90)を筆頭に家族総出で作業に当たり、収穫したダイコンの泥を洗い落とした後、幅22メートルの木製の干し棚に、束ねたダイコン7000本を手際よく並べている。

 溝井さんの畑では戦後から、漬物用として寒気にさらしたダイコンを出荷。以前は追分地区に10軒ほど同様の農家があったが、今年は溝井さんを含む2軒だけ。溝井さんは午前4時半から夕方まで作業を続け、約2週間の天日干し、選別を経て11月上旬に札幌に出荷する。

 「ことしのダイコンは平年並みの出来だが、味は上々」と溝井さん。作業は22日まで続く。(笠原郁実)


◎公選法改正、自民党が先送り決定…4月の支庁再編暗礁
 【江差】支庁制度改革の前提となる公職選挙法改正をめぐり、自民党政務調査会(保利耕輔会長)は21日、開会中の臨時国会への法案提出を見送ることを決定した。年明けの通常国会を含めて提出時期は未定とし、公選法問題は政調会長預かりとする形で決着。このため、道が予定する来年4月の支庁再編は暗礁(しょう)に乗り上げた。今後、再編計画の見直しはもちろん、再編に反対する市町村長との関係改善に向けた対応も迫られる。地方の反対がある中、改革を強行した高橋はるみ知事の政治責任も問われそうだ。(松浦 純)

 道町村会などによると、党政調会は、党道連の今津寛会長に「市町村長とよく話し合うべきだ。道町村会などの理解を得た上で改革を進める必要がある」と指示。衆院選を控えて、有力な支持基盤である道町村会など地方4団体との関係改善が急務との考えを示した。党内では、野党が過半数を占める参院で法案が否決される見通しにあること、市町村長の対立が衆院選で地方票を流出させる可能性を懸念。党本部が裁定に入る形で市町村長との対話を促し、事態を収拾する異例の展開となった。

 濱谷一治江差町長は「国会で良識のある判断が下された。高橋知事が強引に改革を進めようとした結果だ。道政史上に大きな禍根を残したことは間違いない。支庁再編が延期せざるを得ない状況は素直に喜べない」と述べた。

 道は公選法改正を経て、来年2月の定例道議会で道議の定数条例を改正する予定で、来年1月下旬までに法改正を行うよう政府・与党に求めていた。臨時国会で成立を逃せば、次のタイミングは年明けの通常国会だが、政局の流動化も予想され「1月中の改正は困難」(自民党関係者)。道は法改正が困難になった場合、道州制特区制度で、道議選挙区の決定権限を移譲するよう求めることも検討しているが、総務省は「特区はなじまない」と拒否している。

 また、法案提出の先送りで攻勢に転じた市町村長との関係改善という、自民党が設けたハードルも待ち構えている。「再編案の白紙撤回や全面凍結といった譲歩が無ければ交渉には乗れない」(ある町長)との強硬論も浮上。高橋知事はロシア訪問中で、24日の帰国後の対応が注目される。

 道町村会長の寺島光一郎乙部町長は「法改正の先送りは、知事が本支庁の制度設計や地方との対話をやり直す好機だ。対話に応じる用意はある。知事と町村が対決を続けているのは異常事態。道民にとっても不幸なことだ」と述べ、高橋知事に事態収拾に向けた歩み寄りを促す考えだ。


◎貿易センター不正経理問題・元専務が西署に自ら出向き事情聴取
 函館市議会の経済建設常任委員会(小山直子委員長)が21日開かれ、市が出資する第三セクター「函館国際貿易センター」(社長・谷沢広副市長)の不正経理問題について、税理士事務所からの報告を基に審議した。領収書の改ざんや旅費の水増し請求を主導した同社の元専務(70)が、自らが起こした不祥事を説明しようと函館西署に出向き、事情聴取を受けていたことが明らかになった。

 答弁した高橋良弘市港湾空港部長によると、元専務が同署を訪れたのは20日午後。市や議会、市民にこれ以上迷惑は掛けられないとし、自ら訪れ約1時間にわたって事情聴取を受けたという。また、同日までに元専務が不正受給分のうち、流用した約130万円を同社に返還したことも報告された。

 報告の中で、元専務は不正に受け取った金銭を私的に流用し、市職員にその一部を渡したことも明らかになった。市内のホテルで2回開いた慰労の飲食、市職員への報償的な手当などという。

 福島恭二氏(民主・市民ネット)は、市職員が裏金を受け取ったことについて質問。高橋部長は、同社に派遣されていた市職員が自己負担していたガソリン代などの補てん、港湾空港部の男性職員が慰労的な意味合いで現金の入った封筒を受け取っていたことは認めたものの、回数や金額、時期については「明確に記憶していないと聞いている」とした。

 経済建設常任委では、市が提出した中間報告の調査内容は不十分とし、次回委員会に谷沢副市長の出席を求めた。

 西尾正範市長は21日、裏金の一部を市職員が受け取っていたことについて「非常に残念だ。かかわった職員の処分は、港湾空港部からの報告を受けて総務部が適正な対応をしていく」と述べた。(浜田孝輔、高柳 謙)


◎大野農高にフェンシング愛好会
 【北斗】大野農業高校(北沢住人校長、生徒346人)でこのほど、フェンシング愛好会(三上宗汰部長)が発足した。道南の高校では唯一となり、メンバーは練習に力を入れている。顧問の井上哲也教諭(42)は「ぜひ一緒に楽しみましょう」とPR。北京オリンピックで太田雄貴選手が日本初の銀メダルに輝き、競技にスポットが当たっているのを追い風に、地域で競技人口を増やしたい考えだ。(新目七恵)

 同愛好会は5月に発足。井上教諭は母校の酪農学園大(江別)でフェンシング部に所属し、全国大会の出場経験もある。前任の新十津川農業高でも生徒に指導しており、昨年4月に北斗に転任後、1年掛かりでメンバーを集めた。

 現在の会員は園芸科2年の三上部長(17)、同2年の小路優希君(16)、生活科2年の二瓶健太君(17)、マネージャーの園芸科2年の藤原由未子さん(17)。男子3人は9月に札幌で開かれた全道選手権に初参加も果たした。

 三上部長は「公式戦で1勝したい」、小路君は「大会では他の選手の強さを感じた」、二瓶君は「相手の剣が跳ね返せるようになりたい」と力を込める。藤原さんも「だんだんメンバーがうまくなるのを見るのが楽しい」とほほ笑む。

 井上教諭は2004―06年度、指導者研修として京都で太田選手にコーチを受けたこともある。「本当に速く、すごいの一言に尽きる」と振り返り、今回の銀メダル獲得を喜ぶ。フェンシングについて「相手との駆け引きが魅力。子どもからお年寄りまで楽しめるので、興味があればぜひ見に来て」とPRしている。

 練習は毎週火、木曜の午後3時45分―同5時。見学などの問い合わせは同校TEL0138・77・8800。


◎福島町で公共施設全面禁煙、一部喫煙に疑問の声
 【福島】地域一丸で取り組む健康計画「いきいき健康ふくしま21〜健康横綱への挑戦プラン〜」(2009年3月策定)を進める福島町は、1日から役場や学校などの公共施設11カ所を原則禁煙とした。役場庁舎内の全面禁煙は七飯町に続き渡島管内2番目の取り組みだが、役場庁舎3階の福島町議会の休憩コーナーだけは喫煙可能。町民からは「議会だけ特別許されるというのはおかしい」との疑問の声が出ている。

 町は禁煙の取り組みについて広報誌に掲載したり、該当する施設内にシールやポスターを張り、周知に努めている。

 全面禁煙は保育所、幼稚園、小・中学校、総合体育館、町民プール、青函トンネル記念館、横綱記念館、健康づくりセンター(役場庁舎内)。役場庁舎は町民窓口の1、2階を完全禁煙とし、灰皿や大型空気清浄機4台を撤去した。

 ただ、3階の町議会議場の傍聴席入り口前にある休憩コーナーには灰皿が置かれ、議員や職員もたばこを吸える状態になっている。議会事務局は「来年3月末までには全面禁煙を実行する」としているが、町民からは「仕切りがないので煙が他のフロアに流れてくるのでは」との声も。健康計画を担当する町民課福祉グループは「町としては庁舎内の完全禁煙を急ぎたいが、議会側の事情もあるようだ」とする。

 一日に30本以上吸うなど愛煙家で知られた村田駿町長は9月下旬から禁煙。「たばこは一切やめた。まずは行動しなくてはと思い、覚悟を決めた」と話す。

 同グループの鳴海清春参事は「町内会連合会とも連携し、生活改善センターも含め、町内全ての公共施設を禁煙にする方向で協議している。町民の理解を得ながら積極的な活動を進めたい」としている。(田中陽介)


◎NPOが「はこだて検定」上級編攻略ブログ開設
 NPO法人「NPOサポートはこだて」(山内一男理事長)は、11月9日に開かれるご当地検定「第3回函館歴史文化観光検定(通称・はこだて検定)」の上級受験者向けに、例題や過去の問題を掲載したブログ(日記風サイト)を立ち上げた。前回の数少ない合格者の一人で、同NPOメンバーの田村昌弘さん(37)が作成。検定日まで3週間を切り、受験勉強の追い込みに役立ちそうだ。

 はこだて検定の上級試験は昨年の第2回から新設され、公式テキストに掲載されていない応用問題や函館近郊の歴史に関する問い、記述式の回答などが求められる。このため受験者219人に対し、合格者はわずか5人の狭き門だった。

 ブログ開設は前回不合格だった同NPOスタッフの斎藤貴美恵さん(35)が、田村さんに勉強法を相談したのがきっかけ。例題を作成、解説するうちに「仲間内だけではもったいない」とウェブ上で公開することを決めた。ブログ名は「はこだて検定 合格への道、まわり道」。

 例題は週5回程度のペースで追加され、検定日までに解説も含め計150問を掲載する予定。地図や写真を使った問題や時事問題などが多く、主催者側からも「本物より難しい」とお墨付きをもらった。過去の問題も昨年の上級問題など最終的には計150問を載せるという。

 田村さんは「例題は覚えておくと町歩きが楽しくなり、目線が変わるはず。受験者以外の人も函館の魅力を再発見するきっかけにしてほしい」と話している。市地域交流まちづくりセンターでは例題のコピーや、冊子を閲覧することもできる。アドレスはhttp://www.hakomachi.net/hakoken/(森健太郎)


◎「ロボット・トライアスロン」で未来大3連覇
 公立はこだて未来大(中島秀之学長)情報アーキテクチャ学科3年生グループのロボットが、19日に室蘭市の室蘭工業大学で開かれた「第8回ロボット・トライアスロン室蘭大会」(運営委主催)で総合優勝に輝き、見事3連覇を果たした。未来大が製作した4基はすべて入賞し、メンバーは喜びに沸いている。(新目七恵)

 完全自律型移動ロボットの技術などを競う同大会は年2回、札幌と室蘭で開催されている。競技は移動ロボットを障害付きのコースで走らせ、走行時間やロボットのデザイン、技術など5項目の得点を争う。

 総合優勝したのは、UFO(未確認飛行物体)をモチーフに特殊タイヤで機体を開発した「メタボン」。旋回時に向きを変えずに移動できるのが特徴だ。本番ではこの動きを生かした走りを見せ、コースを50秒で走行。1分間のアピール走行で審査される技術、アイデア点も1位を獲得し、総合得点は2位に100点以上も差を付ける722点で優勝した。担当の木村直樹君(20)は「緊張したけれどゴールした時は思わずガッツポーズして喜んだ」と話す。

 このほか、未来大の製作したロボット「のぞみ」は走行タイム点で3位に入賞。「一発勝負」は技術賞、「抹茶プリン」はポスター賞を受賞した。

 佐々木啓太代表(21)は「4基を完ぺきに仕上げるのは無茶な面もあったが、成果が実った。後輩たちには全国を視野に入れた活動に発展させてほしい」と話している。