2008年10月24日(金)掲載

◎リンゴ収穫し調理…清尚学院高 31日に手作り菓子販売会
 函館市亀田本町5の清尚学院高校(土屋康宏校長、生徒235人)は本年度初めて、生徒が摘み取ったリンゴを使った菓子づくりに取り組んでいる。地産地消の一環で、31日午後2時からは同校で、このリンゴを使ったアップルパイなど手作り菓子の即売会を行う。

 生徒が収穫から調理作業まで体験することで、地産地消を学んでもらおうと企画。同校が七飯町鳴川のマルミ園宮田果樹園のリンゴ「アリジョナ」の木4本のオーナーとなり、21日には生活デザイン科3年生12人が真っ赤に熟したリンゴ約66キロを収穫した。

 即売会ではこのリンゴを使ったアップルパイ(50個用意、1個600円)のほか、パンプキンパイ(同、同)、スイートポテト(200個、1個250円)、杏仁豆腐(50個、1個200円)など6種類を販売する。個数に限りがあり、なくなり次第終了。予約は受け付けない。

 23日には、調理科3年生が即売会に向けアップルパイの試作品づくりに取り組んだ。鎌田詩織さん(18)は「練習をいっぱいして、愛情込めて作るので絶対おいしいはず」と力を込める。即売会に関する問い合わせは同校TEL0138・41・6584。(新目七恵)


◎衆院選に支庁再編の影響…自民離れに拍車も
 【江差】衆院解散の日程に注目が集まる中、檜山管内では自民党支持者や保守系の町長・町議らが、道の支庁再編を後押する自民党道連(今津寛会長)への反発を強めている。支庁再編をめぐっては自民党政務調査会が21日、支庁再編の前提となる公職選挙法改正を開会中の臨時国会に提出しない方針を決定。党道連と市町村長との関係修復を強く促した。ただ、党道連や道議会自民党への不満は根強く、管内の党関係者からは「選挙体制が組めない」「党の対応を有権者に説明できない」と、選挙戦への非協力を示唆する声さえ上がっている。

 自民党の衆院選道8区支部長に2006年、檜山管内ともゆかりの深い中村勉氏が就任した際、管内7町はいち早く後援会支部を立ち上げるなど“議席奪還”への機運が盛り上がった。高橋はるみ知事が再選を目指した07年の統一地方選でも、自民党支持者や保守系町長・町議が一丸となり選挙戦を下支えした。

 ところが中村氏は本年3月に辞任。ある党関係者は「十分に戦える候補だった。渡島で飼い殺しにされた」と猛反発。さらに高橋知事が、管内の保守層に強い影響力を持つ寺島光一郎乙部町長が会長の道町村会(札幌)などの反対を押し切り、支庁再編条例を道議会に提案したことで、過去の国政選挙や知事選を支えてきた熱心な自民党支持者や水産関係者などから「道連と高橋知事に裏切られた」(保守系町議)との不満が爆発した。

 自民党が中村氏に代えて擁立した前参院議員・福島啓史郎氏は、支部長就任直後から、管内の自民党支持者を回り熱心に支援を求めている。だが、民主党が逢坂誠二衆院議員の後援会事務所を江差町に開設するなど臨戦態勢を取る一方、管内の自民党支部に目立った動きは無い。

 自民党政調会が「衆院選を前に最大の支持基盤である市町村長との関係修復が先決」とし、公選法改正案を“塩漬け状態”としたものの、来年4月の新体制移行を目指す道の出方は不透明だ。支庁再編反対の急先鋒(せんぽう)の寺島乙部町長は「党道連や道議会自民党は支庁問題を総括すべきだ。地方を冷遇する政策を取るなら誰も選挙体制は組めない」と党関係者にくぎを刺した。ある保守系町議も「檜山に目を向けない自民党のために汗を流す人はいない。今回ばかりは民主党に票が流れても仕方がない」と言い切る。

 檜山管内はかつて道内有数の“保守王国”だった。管内北部の旧北檜山町は、自民党の佐藤孝行元衆院議員の出身地。無所属で出馬する二男健治氏への支持も根強い。管内の有権者は約3万9000人。05年の衆院選では民主票を約1200票上回ったが、07年の参院選比例票はほぼ互角だ。自民党の退潮に合わせるように新党大地も保守層に浸透しており、自民党関係者は危機感を募らせている。 (松浦 純)


◎特価品目当てに1500人行列…ケーズデンキ「函館本店」オープン
 家電量販店大手のケーズホールディングス傘下のデンコードー(宮城)は23日、函館市美原3の新函館バス美原ビル内に「ケーズデンキ函館本店」をオープンした。これまで同市石川町にあった「―函館パワフル館」を移転する形で開業。17日には約1.5キロ離れた同じ道道函館上磯線(産業道路)沿いにヤマダ電機の函館2号店がオープンしたばかりで、顧客争奪戦に一層拍車が掛かりそうだ。

 函館本店は同ビル2階にテナントとして入居。売り場面積約5660平方メートルはパワフル館の2倍近くに上り、道南地区の家電量販店でワンフロアとしては最大規模という。新製品の豊富な品ぞろえに加え、現金値引きやアフターサービスの充実で他店との差別化を図る。

 初日はオープン記念特価の液晶テレビなどを目当てに、開店前に徹夜組を含む約1500人が列をつくる盛況ぶり。通常の倍以上に当たる約120人の社員やメーカー担当者らが総出で接客に当たっていた。デンコードーの井上元延社長は「何世代もの末永いお付き合いを前提に、安心と信頼のサービスで地域に根ざした店づくりを目指す」と意欲をみせ、年商40億円を目標に掲げた。

 自転車で来店した無職女性(60)はヤマダ電機の新店開業日にも足を運び、購入予定の冷蔵庫の価格をチェックしたといい、「店舗間競争で価格が下がるのは消費者にとってはありがたい。あとは店の雰囲気や店員の感じの良さが決め手かな」とチラシを手に店内を回っていた。(森健太郎)


◎業者3人に有罪判決…森町談合
 森町消防防災センター建設工事をめぐる官製談合事件で、競売入札妨害(談合)の罪に問われた準大手ゼネコンの東急建設札幌支店副支店長菅沢利昭(61)、函館市内の設備会社藪下機械店社長藪下宏一(60)、森町最大手建設会社星組渡辺土建社長渡辺英明(56)=肩書きはいずれも当時=の被告3人に対する判決公判が23日、函館地裁であり、岡田龍太郎裁判官は「納税者の信頼を裏切り公金から不正な利益を上げ、社会的に強い非難に値する」として、菅沢、渡辺両被告に懲役1年、執行猶予3年(ともに求刑・懲役1年)、藪下被告に懲役10月、執行猶予3年(同・懲役10月)を言い渡した。

 判決では、菅沢被告ら3人について、同罪で起訴済みの前町長湊美喜夫被告(79)や仲介役を果たしたとされる登真人被告(60)ら4人のほか、入札に参加した函館市内の建設業者3社の入札担当者ら計12人との共謀が成立するとし、町の関与の下で行われた「官製談合事件」であると認定。岡田裁判官は「森町では指名業者、落札業者を事前に協定し、町側も了解した上で発注する談合体質があり、本件も業者選定の段階から町が深く関与した」とした。

 その上で、菅沢被告は当初から同支店の意志決定に深く関与し、重要な役割を積極的に果たし、藪下被告は下請け工事を受注する目的で交渉役として談合の調整を図り、渡辺被告は町建設協会会長として、町内における談合の慣行を形成した―として、それぞれの責任を認めた。

 同事件は、2005年9月執行の町消防防災センター建設工事の指名入札で、東急建設と星組渡辺土建が組んだ共同企業体(JV)が工事を落札できるよう他の入札業者にも働き掛けるなど、公正な価格を害する目的で談合し、落札率約98%の5億570万円で同JVが落札した。同事件をめぐる裁判の判決は初めて。


◎市立函館高「おーいお茶新俳句大賞」7人入選
 市立函館高校(森武校長、生徒1028人)の3年生7人が、伊藤園新俳句大賞事務局(東京)が主催する第19回「おーいお茶新俳句大賞」で入選を果たした。特に、英語俳句の部では三上しおりさん(17)が2位に当たる優秀賞、佐藤駿介君(17)が4位の後援団体賞に輝いた。入賞した2人の作品は伊藤園のペットボトル飲料のパッケージに掲載されており、生徒や教員らは喜んでいる。

 同大賞は商品パッケージを発表の場として開放し、多くの人に俳句を楽しんでもらう目的で1989年から実施。季語など厳密なルールは問わず、感じたことを五・七・五のリズムに乗せ自由に表現する「新俳句」とし、毎年公募している。今回の応募総数は163万5460句。最高賞の文部科学大臣賞は東京の石本イトさん(100)の「百才の笑みこぼしつつ星祭る」が選ばれ、6部門別に入賞作品などが決まった。

 1万2091句の応募があった英語俳句の部で、大賞に次ぐ優秀賞8人に選ばれた三上さんの作品は「colored carps/blossom on pond/a dim memory」。直訳は「緋鯉(ヒゴイ)/池の花/おぼろな思い出」。八雲の実家にある祖父手作りの池での昔の思い出を思い浮かべて詠んだ。三上さんは「受賞はびっくり。特に祖母が喜んでくれた」と話す。

 同じ部で、国際俳句交流協会選の後援団体賞に輝いた佐藤君の作品は「When our turtle/stops eating anything/winter comes(訳・飼っているカメが/なんにも食べなくなると/冬になる)」。身近な季節の訪れを表現したといい、佐藤君は「まさか受賞するとは。英語の俳句作りも面白かったので、機会があればまたやりたい」と語る。

 今回の応募は、同校英語教諭の鈴木勝彦さんが、昨年の冬休みに初めて当時の2年生全員に英語俳句作成の宿題を課したのがきっかけ。全員の作品を応募し、2人のほか、日本語俳句の部で奥山愛美さん、森永隼史君、浅井信君、井上智絵さん、英語俳句の部で遠峯礼子さんが入選した。 鈴木教諭は「短い英単語で素直な気持ちをうまく詠んでいたが、入賞には驚いた。英単語を覚えるきっかけになれば」と話している。(新目七恵)


◎交付金制度新設盛り込む…地域振興条例 道が検討案公表
 【江差】道は22日に開いた「地域振興条例(仮称)」に関する検討懇話会で、来年4月の施行を目指す同条例の検討案を公表した。焦点となっている檜山管内など4つの支庁廃止地域への支援策について、道側は「振興局地域特別支援交付金(同)」を新設し、各支庁と市町村が定める5年間程度を期限とする産業振興などの事業計画に対して、道が費用を全額負担する方針を明らかにした。

 条例案には支援対象を「特に配慮を必要とする地域」として具体的な地域や方法を明記せず、条例の細部を定める要綱に交付金制度の新設などを盛り込む考え。

 条例は過疎化の進行、産業低迷などの課題を抱える地域に対する支援の指針で、産業、保健・医療・福祉、環境などの幅広い分野にわたり、道と市町村が連携して対策に取り組む。市町村や道民との連携、市町村による意見反映の制度化、財源措置、道と市町村との職員交流による人材支援も定める。

 公選法改正のめどが立たず、来年4月の支庁再編は困難だが、道は同条例については道内全域を対象とするため、当初の予定通り4月の施行を目指す。ただ、道町村会(札幌)などは再編計画の見直しを求める方針で、支庁廃止地域への支援策に関する議論も曲折が予想される。

 検討案について江差町は「交付金制度の創設は支庁廃止に伴う影響の大きさを認めるもの。支庁廃止地域だけが行革の犠牲になってもよいのか」と反発。支庁廃止地域への支援策を中心とする方向だった条例案が、対象を全道に拡大したことについても「支庁再編に伴う影響を軽視している」として批判を強めている。(松浦 純)