2008年10月25日(土)掲載

◎「マル獄」ブランド 人気は全国区…函館少年刑務所
 函館少年刑務所(函館市金堀町6)オリジナルの刑務作業製品「マル獄」シリーズの人気が好調だ。今年は新商品も登場し、前掛けや小袋など10種類以上となっている。受刑者が手作業で作るため、肩掛けバッグや丈の長い前掛けは予約を受け付けてから約半年待ちの状態という。26日に同刑務所で開かれる函館地区矯正展でも販売される。

 矯正展は、受刑者の刑務作業製品の販売を通じて、矯正行政への理解を広めるために開催。今回初めて同シリーズの専門コーナーを設けて、函館発の「『マル獄』ブランド」をPRする。

 同刑務所首席矯正処遇官の通崎光秀さんの話によると、九州や四国からも注文が来るなど人気は全国区。通崎さんは「官庁から受注した作業服などの縫製作業が優先。技術を持った受刑者も限られているので生産が追いつかない」と話す。

 矯正展では、マル獄シリーズのほか、同刑務所鱒川農場産のジャガイモ(メークイン、男爵)10キロを500円で販売するほか、家具や衣類、食器など全国各地の刑務所作業製品を展示、販売する。施設見学会(午前9時40分、午後1時の2回)やパネル展で同刑務所も紹介。通崎さんは「社会復帰を目指す受刑者が勤労意欲を養い、更生のために作った製品を通じて、矯正行政への理解を深めていほしい」と話している。午後2時まで。入場無料。問い合わせはTEL0138・52・5500。(今井正一)


◎新駅周辺民有地買収へ…北斗市、地権者と協議
 【北斗】2015年の道新幹線新函館駅(仮称)開業に向け、北斗市は24日、新駅周辺の土地区画整理事業申請区画13・5ヘクタールのうち、市への買い取りを希望する民有地について、買収する基本方針を固めた。市は今後、地権者との協議を進め、市の買収する規模や予算措置、買収方法について検討する見通しだ。

 第11回道新幹線建設促進及び地域振興等に関する調査特別委員会(中井光幸委員長)で示した。市は当初、土地区画整理法に基づき、整備を必要とする区域については土地所有者に対し、減歩(所有地の一部提供)を求め、地権者へと合計減歩率(56・1%)を含めた事業計画の内容や換地取得を説明してきた。しかし、土地所有者からは高齢であることなどを理由に、換地ではなく、市の買収を求める声が寄せられていた。

 市は6月下旬に行った個別協議で、地区平均減歩率や概算減歩率、買収想定価格などを示しながら、あらためて買い取り希望の意志確認を行ったところ、市への買い取り希望者が最大で地権者100人中39人、所有地面積は約5・1ヘクタール、従前地の面積割合は43・1%に上った。このため、市は地権者の希望に対応しようと、買収の基本方針を設定した。買収した土地の活用については駐車場などの利用を検討している。

 また、市は駅前整備の基本コンセプトである北海道らしい景観やゆとり空間を確保するため、駅前通(道道)を整備計画で示す幅員24メートル(土地区画整理事業区域外は20・5メートル)の両側にそれぞれ市有地3・5メートル(同5・25メートル)を加え、計31メートルとする広幅員化の考えも示した。

 広幅員化した道路は道道と市道が重複することになるが、管理は上位道路管理者が行う。市有地の空間配置については、年度内に有識者らで立ち上げる「新駅周辺空間検討委員会(仮称)」で検討する予定。(笠原郁実)


◎ガスバリが料理カレンダー製作
 函館圏の料理人らでつくる「クラブ・ガストロノミー・バリアドス」(通称・ガスバリ、深谷宏治代表)は食材に手を加えた料理で函館の食文化を知ってもらおうと、月ごとに道南の旬の食材を取り入れた料理を紹介するカレンダーを11月下旬に発売する。イカや夜景など函館に対する一般的なイメージの幅を広げるのが狙いで、道外に函館を売り込む“媒体”としても注目されそうだ。深谷代表は「こうしたカレンダーは日本初の試みでは。多くの人に函館の良さを知ってもらう機会にしたい」と意気込んでいる。

 ガスバリはスペイン語で「食を追及する仲間たち」の意味。スペイン料理店のオーナーシェフ深谷代表の呼び掛けで1998年に発足した。メンバーは和・洋食、中華料理のシェフ、ワインソムリエ、パン、ハム・ソーセージ職人、養豚業など多種多様な11人。毎月の勉強会のほか、メンバーが共同出品する食事会などを開き、知識や技術を高めている。

 深谷代表は「函館といえば海産物のイメージが強いが、自分たち料理人の仕事にも目を向けてもらいたい」と2年前から構想を練っていた。カレンダー製作にはガスバリのメンバーのほか、市内のフレンチシェフら4人も参加した。

 1月から12月まで各月ごとに旬の魚介類や野菜、果物などを盛り込んだ季節感ある料理を中心に、メニューの説明や調理したシェフの思いなども紹介。各月のメニューはその月1カ月間、担当したシェフの店で味わえる。表紙にはメンバーら14人が並ぶ写真、裏表紙には道南の地図と各地域でとれる食材を掲載する。

 深谷代表によると、「函館のPRになる」などとカレンダーに関心を持つ企業もあるという。このため「道外にこのカレンダーを送ってくれる企業にもぜひ購入してもらいたい」とし、50部以上のまとめ買いでその企業の名前を無料でカレンダーに入れることにした。11月15日まで注文を受け付ける。

 カレンダーは縦31センチ、横29・5センチで13ページ。1冊800円。メンバーの店などで販売予定。問い合わせは深谷代表(レストランバスク)TEL0138・56・1570、30日以降はメンバーの木村さんTEL090・8276・2604へ。(宮木佳奈美)


◎総務委の解明進まず…貿易センター不正経理問題
 函館市議会の総務常任委員会(井田範行委員長)が24日開かれ、市出資の第三セクター「函館国際貿易センター」(社長・谷沢広副市長)の不正経理問題に関連し、同委員会所管分の調査をした。調査項目は貿易センターの▽設立の目的と経過▽市が51%出資した経緯▽配当金―の3項目のため、事件の核心や真相解明が進むまでには至らなかった。

 複数の委員から、裏金作りを主導した同社の元専務(70)や市の派遣職員、元専務の指示で裏金を管理していた市職員などを参考人として招致すべきとの声があり、今後の対応を協議。まずは総務委で論点を整理し、改めて議論することとした。

 今後の調査について、井田委員長は「総務委員会が所管する範囲で調査し、それでも解明できなければ特別委員会という道もある」と、規定に沿った対応を提案。これに対し他の委員からは「議論は発展する。最初から枠を決めるのはどうか。所管にとらわれず調査してもいい」「総務委員会で究明できることはまだある」などの主張もあった。

 裏金作りの実態や使途などは経済建設常任委員会(小山直子委員長)が所管しており、24日の総務委閉会後、一部の委員からは「特別委員会でなければ幅広い観点からの真相解明ができないのではないか」との声があった。

 同日の総務委で、出向を含む市職員3人が裏金から出た慰労金を受け取ったことについて、小柏忠久理事は「いろいろ事情はあるかもしれないが、基本的には受領してはならない金」と述べた。また、「最終報告がまとまっていないため明確に答えられない」と断った上で、「市の派遣職員と市の意思疎通が常に行われていることが望ましい」と反省点を挙げた。(高柳 謙)


◎輸出入ともプラス…9月の貿易概況
 函館税関が24日に発表した9月の函館港貿易概況によると、輸出は船舶や鉄鋼のくずが増加したため、前年同月比37・8%増の34億2700万円と2カ月連続のプラス、輸入は石炭や小麦・メスリンなどが価格高止まりに伴い急増し、同54・8%増の21億5000万円と3カ月ぶりのプラスに転じた。米国経済の減速や円高の影響が数字に表れるのは10月分以降とみられる。(森健太郎)

 輸出の品目別では、主力の船舶がリベリア船籍の新造船が1隻あり、同29・8%増の29億4900万円で全体の8割以上を占めた。韓国、香港向けの鉄鋼のくずが全増、一般機械はフィンランド向けの木材加工用機械が同19・6%増だった半面、魚介類・同調整品は前年同月にあった韓国向けのタラ(約1500万円分)が全減した。

 輸入は価格、運賃の上昇を背景に石炭が数量で同2・8倍だったのに対し、額で4倍の8億2800万円と急伸。小麦・メスリンも数量で2倍、額で2・8倍の3億7100万円に上り、粗鉱物の全減分を補った。魚介類・同調整品はサケ・マスやイカの大幅な減少が響き、全体では同16・6%減の7億5700万円だった。

 同税関管内(道内と青森、岩手、秋田の東北3県)では、輸出が北米向けの自動車の部分品(自動無段変速機)やオランダ、台湾向けの一般機械(事務用機器など)が好調で、同20・6%増の526億1800万円と3カ月連続でプラス。輸入は価格高騰の影響で原・粗油、石炭、トウモロコシなどが漸増傾向にあり、同32・9%増の1997億800万円と15カ月連続のプラスで過去3位を記録した。


◎東急建設元部長に有罪判決…森町談合
 森町発注の町消防防災センター建設をめぐる官製談合事件で、競売入札妨害(談合)の罪に問われた準大手ゼネコンの東急建設札幌支店建築部長(当時)、川本末男被告(58)に対する判決公判が24日、函館地裁であり、岡田龍太郎裁判官は「納税者に損害を負わせ、不正な利潤を追求した東急建設の姿勢は非難されるべき」として、懲役10月、執行猶予3年(求刑・懲役1年)を言い渡した。

 岡田裁判官は判決理由の中で、川本被告が「町長に顔が利く人がいる」など、不正受注に関する情報を得て、同社幹部らに伝え、積極的に談合に関与したと認定。「同社の札幌支店長は不正工作を承知しながら黙認し、工作資金準備は上司の指示だった」などと同社の責任も指摘した。

 判決によると、川本被告は同罪で起訴済みの前町長、湊美喜夫被告(79)や入札に参加した業者関係者らと共謀し、公正な価格を害する目的で同社と星組渡辺土建(森町)が組んだ共同企業体が工事を落札できるよう談合した。


◎清尚学院高・藤井さん特別賞…BUNKAファッションデザイン画コンクール
 函館市の清尚学院高校(土家康宏校長、生徒235人)生活デザイン科3年生の藤井亜衣さん(18)が、学校法人谷内学園道文化服装専門学校(札幌)主催の「BUNKA第17回ファッションデザイン画コンクール」で、特別賞の「こみやまや賞」を受賞した。道南では唯一の入賞。藤井さんは「すごくうれしい」と喜んでいる。

 同コンクールは、服装の個性やクリエーティブな感性を育成する目的で毎年開催。小学高学年、中学、高校生を対象とし、今回は道内などから534点が寄せられた。審査の結果、最高賞の最優秀賞など7賞に7人が選ばれた。同校では藤井さんのほか、10人が入選した。

 藤井さんの作品はふんわりしたスカートが印象的なデザイン。「フリルが好きで女の子らしい服を描きたかった」と説明。試行錯誤の結果、金魚をイメージして服の色は白を基調に赤を組み合わせ、アクセントとして水玉をイメージしたアクセサリーと片足に紫のリボンをあしらった。

 主催する同専門学校の谷内真佐子校長は「時代の感性があり、プロポーションの使い方や組み合わせも良い」と評価する。

 藤井さんは将来漫画家を目指しており、札幌の専門学校への進学も決まっている。「受賞を励みに、将来の夢に必要なスキルの取得を頑張りたい」と話している。(新目七恵)