2008年10月28日(火)掲載

◎黄色や紫…色鮮やか 熱帯植物園で市民菊花展
 第6回市民菊花展が27日、函館市営熱帯植物園(同市湯川町3)で始まった。温室内には同園菊講習会の生徒20人が丹精込めて育てた黄や白、紫色などの色鮮やかな100鉢が展示されている。11月3日まで。

 同園を管理運営するNPO法人函館エコロジークラブの主催。作品の優劣は付けず、誰もが参加できる展示会にした。

 温室の入り口付近の通路に直径20センチほどに開花した大菊80鉢、広場付近には木や石に根を付けた小菊の盆栽20鉢がずらり。青森市から観光で訪れた女性(48)は「花が大きくきれいにそろっていてすごく美しい」と見とれていた。

 菊講習会は6年前から実施し、市内中道の松本キミさん(78)、同日吉町の品川剛慶さん(69)が4月の土作りから指導し、10月まで7回開催した。菊は肥料と水の量の加減が難しく、細心の注意を払うという。自らも菊を育て出展した同法人植物園担当の坂井正治さん(70)は「菊づくりを始めたばかりでも見事な花を咲かせている。花は11月3日ごろが見ごろ」と話している。(宮木佳奈美)


◎支庁再編 知事 来年度の実施に意欲
 【札幌・江差】高橋はるみ知事は27日、道庁で開いた定例記者会見で、自民党が支庁再編の前提となる公職選挙法改正案の臨時国会提出を見送り、来年4月実施が絶望的状態となったことについて、再編に反対する道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)の理解を得た上で、計画通り来年度の支庁再編を進めることにあらためて意欲を示した。衆院解散・総選挙の時期が不透明となり、政局が流動化する中、公選法改正案の見通しは全く立たない状態にあるが、高橋知事は再編時期の延期などについては言及しなかった。

 高橋知事は「(政局が)激動の中で法案を提出しても廃案になる危険性があると自民党が判断した」とし、公選法改正案の国会提出延期は国会戦術上の対応であるとの認識を示した。その上で、道町村会との対話を促す自民党本部の意向に対しては「判断は真摯(しんし)に受け止める。道町村会との調整をしっかりやっていく。道議会で(支庁再編)条例が議決された前提があるので道議会との調整も加速したい」と説明。江差町など支庁廃止地域への支援策などを検討する道の「地域振興条例(仮称)に関する検討懇話会」などを通じ、「地元の理解を深めていただく努力をしたい」と述べた。

 高橋知事が来年度の再編実施への意欲をあらためて強調したことに、江差町は「公選法改正に待ったをかけた自民党本部の意向を尊重すべき」と話し、年明けの通常国会や12月の定例道議会を視野に入れた「対抗策を検討したい」とし、知事サイドの出方を見極める方針を示した。

 道は今後も政府与党に早期の法改正を働き掛ける方針だが、年明けの通常国会に法案が提出されても、道が来年4月に支庁再編を実施するタイムリミットとする1月下旬までの成立は、自民党幹部が「解散が無くても日程上難しい。4月の再編は困難だろう」との見方を示している。

 14支庁を9総合振興局(支庁)と5振興局(支庁出張所)とする道の再編計画をめぐっては、道町村会が「道庁、総合振興局、振興局という3重行政になる」と反発。桧山など出張所に格下げされる支庁では、4割程度の職員削減で農林水産業などの担当部課が廃止されるため、「産業部門の削減は地域衰退に拍車を掛ける」と指摘している。

 寺島会長は「法改正の見通しが立つまでの間に地方との対話をやり直すべき」とし、高橋知事に対話再開を促している。(松浦 純)


◎シアン化合物検出で伊藤ハム 製品を撤去…道南のスーパーも対応
 伊藤ハム(兵庫県)の東京工場の地下水からシアン化合物が検出された問題で、道南の一部スーパーも該当商品を店頭から撤去し、顧客に対し返金などの対応をとった。

 道南ラルズ(函館市港町1)は伊藤ハムが一部商品の回収を発表した25日、渡島、桧山両管内の16店舗で該当商品3種類をすべて撤去した。売れ筋商品だった「マジ旨(うま)あらびき」は約160パック、「CGC皮なしウィンナー」は53パック、「チーズインカマンベールウィンナー」は5パックだった。すでに2人から返金の問い合わせがあり、対応したという。

 同店の販売担当者は「発見から1か月経って発表されたのは遺憾だ。安全性が確認されたら販売を再開したい」と話した。

 道南で13店舗を展開するグルメシティ北海道(同市湯川町3)も発表後、直ちに同工場で製造された商品を撤去。しかし消費者の反響が大きいと判断、別の工場で製造された商品もすべて同様の措置を取り、計586パックを回収した。食肉担当者は「売れ筋商品だけに店にとっても痛手は大きい」と嘆く。このほかホクレンショップ函館昭和店(同市昭和1)、長崎屋函館店(同市美原1)もすでに撤去済みだ。

 同市内のスーパーで買い物中だった同市の主婦後藤真由美さん(38)は「口にするものなので薬品は不安。今までも扱いがおろそかだったのでは」と話し、一緒に訪れた札幌市のアルバイト後藤佳子さん(42)は「国内の有名メーカーだったので安心していたのに」と憤った様子だった。(宮木佳奈美、新目七恵)


◎咸臨丸と開拓団の歴史紹介…水産高・片柳さんと加藤君 来月5日に発表
 函館水産高校(齋藤隆校長、生徒468人)が道教委の「北を活かす人づくり」推進事業の一環としてまとめた「咸臨丸」の最後の乗船者に関する研究を、同校水産食品科1年の片柳ひかるさん(16)と加藤匠君(15)が11月5日午後6時半から、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で発表する。乗船した伊達藩片倉小十郎家臣団の歴史などを取り上げ、函館と木古内、松前、宮城県、福島県など各地の史実をつなぎ、観光振興に活用してもらうのが狙いだ。先着60人には宮城県白石市名産の「温麺(うーめん)」のプレゼントも用意している。

 同事業は函館商業高、大野農業高と一緒に本年度までの3年間実施。函館水産高は独自の研究として、海にかかわる観光資源の発掘を進めており、今回は木古内町沖で座礁・破船したとされる本道開拓使の輸送船、咸臨丸にスポットを当てた。

 同校の研究によると、宮城県の武士一族片倉家は明治元(1868)年に戊辰戦争に敗れ、白石城などを没収される。新天地を求め、一族は明治4(1871)年に咸臨丸で本道開拓を目指し、その後、札幌に移住して東郊外に白石村(現在の白石区)を作った。

 この片倉家の2代目片倉小十郎重長の娘は松前家に嫁ぎ、その子は3代目片倉小十郎景長となって伊達家の「お家騒動」解決の立役者となった。松前家は文化4(1807)年、幕府に土地を公収され福島県伊達市の梁川に国替えされた時期、片倉家から支援を受けるなど、両家は深いつながりがあった。

 発表会ではこうした史実や背景を説明。各地のゆかりの場所の写真もスライド上映する。松前家の家老蛎崎波響と片倉小十郎の参謀とのかかわりや、白石村開拓団の子どもが後の納豆博士となるエピソードなども盛り込む。

 関連企画として11月4、5の両日午前9時から午後9時まで、同センターでパネル展を開催。同6日から27日には、木古内町中央公民館(木古内179)でも同様の展示会を行う。

 加藤君は「教科書に載っていない歴史でもっと知るべきことがあると実感」とし、片柳さんは「分かりやすく伝えたい」と話す。指導する我妻雅夫教諭は「こうした歴史的なつながりを各地の観光パンフレットに盛り込んでもらえば、観光ルートも広がるのでは」と話している。問い合わせは同校TEL0138・49・2411。(新目七恵)


◎松下さん国交省国土地理院賞2年連続受賞…私たちの身のまわりの環境地図作品展
 【北斗】北斗市渡小学校6年の松下海星さん(12)がこのほど、第18回「私たちの身のまわりの環境地図作品展」(環境地図教育研究会主催)で最高賞となる国土交通省国土地理院賞を2年連続で受賞した。「美しい道」をテーマに同校区内を走る道路の汚れ具合を地図に示し、その調査、表現方法が評価された。松下さんは「2年連続受賞は驚いた。来年も挑戦したい」と喜んでいる。

 同作品展は児童、生徒に環境への関心、野外での観察、表現力を高めてもらうのが狙いで、自分で調査、考えたことを地図にして発表する。今年は全国の小中学校、高校33校から1420点の応募があり、102点が入賞した。昨年は大野川の水の汚れを地図に表して最高賞を受賞。担任の田中佳丈教諭(42)から2年連続受賞の知らせを聞き、「去年の話かと思った」と振り返る。

 道の汚れを粉じんと騒音から分析。夏休みの7月下旬、父純一さん(54)とともに40カ所で数枚の葉を採取し、葉の汚れを水に落とし、ろ過して汚れ具合を調べた。同じ場所で音楽を流し、聞こえなくなるまで何歩歩いたかを測って騒音の程度を調べ、騒音や汚れを点数化し、総合点で五段階評価にした。

 地図は模造紙(79センチ×109センチ)に、クレヨンなどで道路や畑を描き、畑には折り紙で作った農産物を張った。次に模造紙の上に透明のビニールを置き、調査地点に結果を丸印で張り、きれいな順から青、緑、白、黄、赤とし、欄外には調査の結果を付けた。地図を見ると、北海道新幹線建設の工事車両が往来する学校付近など4カ所が赤、道道大野上磯線を中心に14カ所が黄、青は自分が住む同市本郷付近の5カ所しかなかった。松下さんは「予想より汚れていたのでショックだった」と話し、「将来は人に役立つ仕事をしたい」と目を輝かせていた。

 同作品展では函館遺愛中1年の小濱綾花さんが努力賞を受賞している。(山崎純一)


◎支庁再編でも「国道維持」…南北海道市町村連絡会議
 渡島、桧山管内の全18市町村の首長と渡島、桧山両支庁長が意見を交換する「南北海道市町村連絡会議」が27日、ロワジールホテル函館(函館市若松町14)で開かれた。桧山支庁が出張所に格下げとなった場合の道南地域の主要国道について、亀谷敏則桧山支庁長は「国土交通省からはこれまで通り、国道として維持されると回答を受けている」とし、支庁再編問題が影響しないとの見解を示した。

 地方分権改革委員会の勧告では、国道が都道府県への権限移譲となる基準について(1)同一支庁内に起点と終点がある道路(2)バイパスに挟まれた既存の道路―などとされている。この基準を当てはめると、現時点では渡島、桧山両管内の4路線172・9キロが移譲対象となるが、檜山支庁が出張所に格下げになった場合はさらに227号、228号の2路線221キロなども加わり、両管内の国道の73・2%が対象になる。

 桧山町村会長の渋谷正己厚沢部町長は「道は(檜山支庁の)出張所格下げ後もこれまで通り国道を維持できると説明しているが、関係法令との整合性を十分検討した上での確実な情報なのか」と質問。亀谷支庁長は「国交省道路局の担当者に直接電話し、維持されることを確認しているが、国として公式の見解なのか再度確認する」とした。

 このほか、2012年度を目標に進められている道消防広域化推進計画と消防救急無線のデジタル化への地域としての対策法、道南圏域におけるドクター・ヘリ体制確立の要望も出された。(小川俊之)


◎思いやりの大切さ学ぶ…JALなど市内小学校で教室開催
 函館青柳、湯川の両小学校で27日、日本航空(JAL)と東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが共催する「おもいやり教室」が行われた。道内では初めての開催。航空会社とテーマパークの第一線で働く社員が講師となり、子どもたちに笑顔やあいさつなど思いやりの大切さを伝えた。

 日ごろの接客業務で大切な「他者への思いやりの大切さ」を教え、子どもの心の成長を促そうと企画。6月から九州6県で本格実施し、道内では今回の函館を皮切りに旭川市、札幌市などで行われる。

 湯川小(伴明校長、児童412人)では6年生約90人が体験。前半、JALキャビンアテンダントの森智子さんが笑顔や会釈など接客のコツを説明。必要な立ち居振る舞い方として、空港施設内では背筋を伸ばして歩き、機内では客と目を合わせることなどを実践を交えて紹介し、「普段の委員会活動や給食などでも、相手を思いやって行動して」と語り掛けた。

 続いて児童らは連想ゲームや間違い探しに挑戦。答えがすぐに分かっても仲間が分かるまで言わずに一緒に楽しむことで、思いやりの在り方を学んだ。

 2組の安田優奈さん(11)は「(キャビンアテンダントの)歩き方がきれいだった。思いやりは大切だと思った」と話していた。(新目七恵)