2008年10月29日(水)掲載

◎「千の風になって」曲からイメージしたディナーとカクテル…大沼プリンスホテル
 【七飯】大沼プリンスホテル(大久保秀樹支配人)は28日夜、大沼で誕生したヒット曲「千の風になって」にちなんだスペシャルディナーとオリジナルカクテルを発表した。昨年発足した「千の風プロジェクト」(渡辺謙治委員長)の企画第2弾。同曲を訳詩作曲した新井満さんも駆けつけ、カクテルを手に「風の色とはこういうものだと感じた」と話した。

 同ホテルは昨年のプロジェクト発足後「町おこしに協力できれば」と、ディナーとカクテルについて料理長らと検討。「風という形や色のないものをどうイメージするか」に苦心しながらも、曲のイメージを保ったまま地元食材を使った春夏秋冬のオリジナルメニューを完成させた。カクテルは大沼の空をイメージした美しい水色で、すっきりとした飲み口。底に沈むパープルのリキュールは、曲に秘められた深い思いをイメージした。

 新井さんは「曲のコンセプトは“生まれ変わる”。歌からこう発展するなんて」と喜び、「売り上げの一部は千の風基金と七飯町に創設される大沼自然環境保全基金に寄付される。歌が大沼の環境保全につながるとは(歌の)生みの親としてこんなにうれしいことはない」と話していた。

 いずれも11月1日からの販売。スペシャルディナーは1万500円で3日前までの予約制。カクテルは1000円で年間通じて楽しむことができる。問い合わせは同ホテルTEL0138・67・1111。(笠原郁実)


◎元各陣営、越年も視野 流動的な中、態勢は維持…衆院解散・総選挙
 世界的な金融・経済情勢の悪化を受け、衆院の解散・総選挙が先送りされる可能性が高まってきた。28日は閣僚からも経済対策の優先や危機打開に向けた国際協調の必要性など、先送り容認論が出た。流動的な要素もあるが、衆院道8区へ立候補を予定している各陣営も越年を視野に入れ、臨戦態勢を維持しながら攻勢を強める。

 道8区には民主党の現職、逢坂誠二氏(49)と自民党の新人、福島啓史郎氏(62)が選挙事務所開きを終え、無所属の新人、佐藤健治氏(51)が出馬を表明している。

 衆院選は年内実施の場合、10月末解散、11月30日投票の日程が有力。しかし世界経済情勢の変化のほか、民主党が28日、国会審議で対決姿勢を強めるなど、解散先送りの空気が流れている。

 逢坂氏は臨時国会の合間を縫って8区入りし、組合の会合やイベントへの出席、街頭演説などをこなしている。合同選対幹部は「仮に先送りといっても、時期がはっきりしていない。選対を立ち上げ、これまでの現状はどうかを整理、確認し、何が足りないか、戦線の縮小は必要かなどを議論する」と語る。

 総選挙の早期実施を訴えてきた中での影響は「マイナス要因になるとは考えていない。有権者に訴える時間がより増える」と受け止めている。

 自民党は候補者選考が難航し、元参院議員の福島氏の出馬表明は9月下旬となった。今月15日の事務所開きで福島氏は「最大の弱点は知名度不足。選挙日程が1日でも延びた方が助かる」と語った。

 選挙事務所幹部は「先送りの問題はあまり難しく考えていない。支部長就任から1カ月なので、延びた期間を有効に使い、後援会活動を強化したい。体制は今後考える。福島氏は道議や函館市議とともに支持者回りや街頭演説をこなしている」と語る。

 3回目の出馬となる佐藤氏は以前から「今年中の総選挙の可能性は低いのでは」と話しており、2氏がすでに選挙事務所を構える中、後援会事務所を中心に地道な「草の根運動」を続けている。

 後援会幹部は「選挙事務所については正式に選挙日程が決まってから準備しても遅くはない。今は日程に振り回されることなく、函館市内や地方をくまなく回りながら有権者に直接政策を訴え続けている。手応えは十分に感じている」と話している。(高柳 謙、小川俊之)


◎金沢―釜山も今月末で休止…東日本フェリー
 【金沢】東日本フェリー(函館市港町3、古閑信二社長)は28日、金沢―釜山(韓国)航路の国際定期フェリーの運航を10月末で休止すると発表した。韓国経済の低迷による集荷・集客の減少や、燃料高騰で収支が悪化したため。今年6月の就航からわずか4カ月余の運休決定で、同社によるフェリー運航事業は全航路で灯が消えることになった。(森健太郎)

 同社は10月中旬、石川県の港湾担当者に運休の意向を申し出ていたという。28日に金沢港に入港し、翌29日に釜山へ出港する便が最終便となる。同社金沢事務所の山谷和洋所長は「国際的な金融不安や燃料高が落ち着き、コンテナなど集荷のめどが立てば再開したい」としているが、先行きは不透明だ。

 同航路は6月17日に就航。金沢―釜山間を約21時間で結び、これまで韓国の海運会社のフェリー(約1万4000トン)で週1往復運航していた。船の定員514人に対し、一けた台の旅客数だったこともあり、就航以来22日までの利用客は計18往復で約2800人にとどまっていた。

 同社金沢事務所によると、同航路は年間11―12億円の売り上げを見込んでいたが、このままでは採算割れが続き、年間赤字が数億円規模に膨らむ見通し。韓国の急激なウォン安に伴い、特に釜山発の観光客の利用やコンテナ貨物の落ち込みが目立つという。

 同社は9月上旬、道内と青森県を結ぶ函館―青森、函館―大間、室蘭―青森の3航路のフェリー運航事業から11月末での撤退を表明。青函航路の高速船も10月いっぱいで運休することが決まっている。今後は船舶貸渡業に業務を絞り込み、経営の効率化や赤字解消を図る。


◎福島の鳴海さん 30年以上前に購入した自転車「ヤングホリデー号」現役
 【福島】福島町塩釜36の元漁師、鳴海利男さん(70)は30年ほど前に地元で購入した自転車を今も大事に扱い、買い物や散歩で乗り回している。青函トンネル工事に携った際、移動手段としても使用した愛着のある自転車だ。「さびない、壊れない最高の自転車。格好良いギアも付いて乗り心地も抜群で最高だ」と長年連れ添う“愛車”を優しい表情で見つめる。間もなく雪が降り、自転車シーズンは終わるが、「今年も良く走ってくれた」と感謝しながら、来春に備えてサドル磨き、タイヤの空気調整などの手入れに励むつもりだ。

 鳴海さんの自転車は1970年代、小中学生、高校生に爆発的人気を誇ったスポーツタイプの「丸石ヤングホリデー号」。サドル手前のギアチェンジと左右のライト、後部にはウィンカーが付属された斬新な設計で、国内自転車の名作の一つとされている。

 鳴海さんは70年代後半に購入。漁業の傍ら、町内で行われていた青函トンネル工事に従事した際、自宅から約10キロ離れた町三岳地区の現場までの移動手段として、佐藤自転車商会(町吉岡50、佐藤千里店長)で約7万円で購入したという。「雨の日も風の日も、この自転車で工事現場に向かった。だから愛着があるし、大事にしたいと思う」と話す。

 佐藤店長(65)は「昔はどこを見てもこの自転車ばかりだった。当時としては値は張ったが、子どもたちの憧れは強く、中学校の入学祝いとして買う家庭も多かった」と振り返る。

 鳴海さんの自宅は目の前が海だが、愛車のカゴやサドルには、さびもほとんどない。佐藤店長は「一般的な自転車の寿命は長くとも3、4年。ましてや潮風を浴びればその分傷みは早くなる」とし、30年以上現役の自転車が輝き続けている理由について「高級なステンレスに加え、鳴海さんのこまめな手入れが長持ちの秘けつでは」とする。

 鳴海さんは「安い買い物じゃなかった。それは辛抱してお金を貯めて買った。今もあの当時の姿そのまま。そう思えば安くていい買い物だったのかもしれない」と笑顔を見せた。(田中陽介)


◎中部高・瀬川君が高大連携の海外2大学に推薦合格
 函館中部高校(黒田信彦校長)3年生の瀬川真司君(17)が、同校と5月に「高大連携協定」を締結したイギリスの国立バンガー大とアイルランドの国立ダブリン大の推薦試験に見事合格した。連携大学への推薦制度を活用した1人目となり、同校教諭らも喜んでいる。瀬川君は「英語を身に付け、外国の価値観や文化を学びたい」と期待に胸を膨らませている。

 同協定は海外を目指す生徒への門戸を広げ、英語教育を推進する目的で道内で唯一実施。連携大学への推薦入試が可能になるほか、教材開発や語学研修などを行う内容だ。同校は両大学のほか、海外2大学の計4大学と締結している。

 瀬川君は以前から経済の仕組みに興味があり、学習塾の講師の影響もあって「海外で活躍する商社マン」が将来の目標だ。今春の高大連携を機に、夢への第一歩として応募を決めた。

 5月から、英語教諭のアドバイスも受けながら英語の小論文について学習を重ね、9月に兵庫県神戸市で受験。合格の知らせを聞いた時は「すごくうれしかった。担任の先生や家族も喜んでくれた」と振り返る。高校卒業後の来春から4大学の留学生向けの基礎コースに通い、その後はバンガー大に進む予定で、「他国の留学生とも触れ合い、いろいろ学びたい」と意気込んでいる。

 同校の本庄幸賢教頭は「優秀な成績で合格し、学校の期待も大きい。海外を目指す後輩の良い目標として頑張ってほしい」と話している。(新目七恵)


◎ゆのぶら1、2日に開催…31日に事前体験も
 18日から開催中の「第4回はこだて湯の川温泉泊覧会(オンパク)」の一環で、函館・湯の川温泉街周辺の飲食店や商店をはしごするイベント「湯の川ぶらり・つまみぐいめぐり(ゆのぶら)」が11月1、2の両日開かれる。10月31日には初心者向けにガイド付きでゆのぶらを事前に体験できる初企画もあり、実行委は広く参加を呼び掛けている。

 ゆのぶらは初の単独開催となった7月に続き、今回で4回目。10枚つづりで1冊3000円のチケットを購入すると、温泉街周辺の飲食店などで特別メニューが楽しめる。今回は週末の2日間限定で、和洋菓子やすし店、スナックなど計33店が参加する。

 事前体験はオンパク実行委のメンバーで、湯川地区の旅館、ホテルの若手スタッフが案内役を務める。昼の部が午前11時半―午後2時、夜の部が午後5時半―同7時半で、それぞれ5軒前後を巡る2コースを用意。各コースとも定員は5人だが、若干の増員にも対応できるという。

 実行委は「ゆのぶらは当日参加も可能。歩いて巡ることで温泉街の魅力を再発見してもらえれば」とPRしている。チケットはゆのぶら参加店や函館湯の川温泉旅館協同組合加盟のホテル、旅館などで販売している。

 問い合わせはオンパク事務局TEL0138・59・3789。(森健太郎)


◎水産高・三上さん 水フォーラムで海外派遣目指し 来月東京勉強会へ
 8月の「世界子ども水フォーラム・フォローアップin東京2008」(実行委主催、東京)に道内から唯一参加した函館水産高校(齋藤隆校長、生徒468人)水産食品科3年の三上絵理華さん(18)が、来年3月にトルコで開かれる同フォーラム・イスタンブール大会への派遣者選考会を兼ねた勉強会の参加者に選ばれた。11月8、9の両日、第1回勉強会が東京で開かれる予定で、三上さんは「自分の力を最大限出したい」と意気込んでいる。

 この大会は世界の水問題の解決を目的に03年度から開催。東京大会には三上さんを含む全国の中学、高校生約40人が参加し、水をめぐる問題について議論した。今回、この大会参加者から海外派遣者選考会に残る10人が選ばれた。

 勉強会では各自が事後学習レポートなどを発表。12月に行われる第2回勉強会の後、イスタンブール派遣者が決まる。

 三上さんは東京大会について「先生の応援もあり、自分らしく堂々と意見を言えた」と振り返る。11月の勉強会では、仲間と取り組んできた大沼の水辺環境をより深く調べた成果を披露する予定だ。「日本は水の無駄遣いが激しいので、一人ひとりの節約意識が必要。技術を生かし世界で水を分け合うことを訴えたい」と話している。(新目七恵)