2008年10月31日(金)掲載

◎プロ野球ドラフト会議、函大の坂田が埼玉西武から4位指名
 プロ野球の新人選択会議(ドラフト会議)が30日、東京都内のホテルで開かれ、函館大学(溝田春夫学長)野球部4年の坂田遼外野手(22、神奈川・横浜創学館高)が埼玉西武ライオンズに4位で指名された。函大野球部にとって指名を受けるのは初めて。坂田選手は「プロは夢だったが、指名されるとは思っていなかったので、うれしい」と喜びを話し、校内もにも歓喜の声が響いた。

 坂田選手は、横浜創学館高時代からプロに注目されていた。2年生の秋に右足の甲を骨折し、完治に半年かかったが、夏の選手権神奈川県大会で復帰しベスト8入りを果たした。その後、坂田の才能に注目した阪内俊喜監督(52)の熱心な誘いを受け函大へ進学を決めた。

 1年生の2005年道六大学春季リーグから4番打者として活躍。4年間で公式戦76試合に出場しベストナイン4回、首位打者2回と大活躍。4年生の今季は、春季リーグで16年ぶりの優勝、さらに第57回全日本大学野球選手権大会(東京)では函大初勝利に貢献するなど、打線の主軸して活躍した。同大会を数球団のスカウトが見ており、ドラフト指名が有力視されていた。

 この日は午後4時45分ごろ、阪内監督に同球団から指名の知らせが入り、同級生らが坂田を囲み「おめでとう」「やったな」と祝福。阪内監督と共に会見した後、部員から胴上げや肩車をされ満面の笑顔を見せていた。今年のドラフトで本道関係の指名は坂田選手一人だった。(小林省悟)


◎道南虫の会が放チョウしたアサギマダラが愛知県で捕獲
 「道南虫の会」(事務局・対馬誠さん)が羽にマークを記して松前町から放したマダラチョウ科のチョウ「アサギマダラ」が、愛知県幡豆町で捕獲された。アサギマダラは渡り鳥のように長距離を移動するチョウとして知られ、今回の移動距離は直線で約800キロになる。同会によると、道内から放ったチョウが津軽海峡を越えて本州で確認されたのは初めて。対馬さんは「放ったチョウで長距離移動する生態を実証できたことが何よりうれしい」と話している。

 アサギマダラの移動調査は全国各地の昆虫愛好者らによって行われいる。同会は99年から実施していたが、これまで他地域で確認された例はなかった。

 今年は松前町の大地茂さん(64)と福島町の清水和男さん(74)の情報をもとに、松前町勝軍山でチョウを捕獲。対馬さんと名越和夫さん(59)、小松利民さん(58)、井本暢正さん(55)の4人が9月下旬から10月上旬にかけて計63匹に「ハコダテ」などとマーキングして放していた。

 今月19日、長野県飯田市在住で、信州アサギマダラ研究会の桜井正人さん(58)が幡豆町の三ケ根山で「ハコダテ」マークのアサギマダラを捕まえた。チョウは10月5日に井本さんがマーキングしたもので、14日間かけて南下したことになる。桜井さんはチョウの捕獲後、写真撮影してから再び放した。

 会を代表し対馬さんが25、26の両日、捕獲者の桜井さんと対面し、三ケ根山の発見場所にも行き、感動を分かちあった。対馬さんは「14日で確認されるとは思っていなかった。800キロの移動はすごい。アサギマダラが全国を移動する証明になる」と喜ぶ。

 捕獲した桜井さんは「北海道から飛来したチョウを見つけたいと思っていたので、マークを確認したときは驚いた。対馬さんとも知り合え、アサギマダラは人との結びつけをするチョウだと実感した」と話した。

 同会などによると、これまでの最長移動距離は2006年の山形県から沖縄県までの約2600キロ。 (鈴木 潤) 


◎頂狼飯店料理長花田さん 世界大会で「銀」
 函館市の中国料理店「頂狼(ちょうろう)飯店」(山の手2)の料理長花田勝彦さん(34)が、中国・北京市で開かれた「第6回中国料理世界大会」(世界中国烹じん=ほうじん=連合会主催)の熱菜の部で銀賞を受賞した。海外の国際大会でのメダル獲得は道内初の快挙で、花田さんは「メダルの色以上に貴重な経験ができた」と喜びをかみしめている。

 大会は4年に一度の開催から「中華料理のオリンピック」と呼ばれ、今回は18、19の2日間の競技に世界約20の国と地域から256人が参加。日本からは2チーム6人が出場し、花田さんは肉類や魚介類を使って1時間半以内に2皿を仕上げる熱菜部門を担当。味や技法に加え、見た目の美しさが審査された。

 花田さんの料理「双味炸鴨鳳舞(ソーウェイザーヤーフォンシュウ)」は、フォアグラをカモ肉のすり身とロースで包んで揚げ、鳳凰(ほうおう)の卵を表現。もう一品は中央に交互に重ねた牛ヒレ肉とカボチャのスライス盛りを配し、周囲に白菜やトマト、レモンなどあしらって大輪の花に見立てた。

 本番の1週間ほど前から深夜まで特訓を重ねた成果もあり、料理は制限時間の7分前に完成。今大会から導入され、メーン食材を直前に決める“ブラックボックス方式”の結果も想定内だったが、「鍋一つしか使えない調理場の手狭さが何より強敵だった」と振り返る。

 日本代表は2チームとも団体では最高賞に当たる金賞を受賞。前菜や面点(点心)の部でもチームの仲間が個人で最高の特金賞を獲得した。花田さんはAチームのリーダーとして、前回大会を上回る好成績にほっとしながらも「個人でも金、特金を目指していただけに銀メダルは悔しさの方が大きい」と漏らす。

 花田さんはこれまで国内最大規模の中国料理コンクールで1995年に銅賞、97年に銀賞、今年は金賞を受賞するなど順風満帆にステップアップしてきたが、「今回の結果は神様が与えてくれた試練かもしれない。次の世界大会で大事な忘れ物を取り戻す」と目を輝かせ、早くも4年後を見据えている。(森健太郎)


◎北大水産科学館50周年で無料公開
 北大水産学部(函館市港町3)構内にある水産科学館が今年、創立50周年を迎えた。貴重な骨格標本をはじめ、魚類の標本、海鳥や海獣のはく製、漁具や和船など、水産都市・函館をうかがい知る「生きた教材」を無料で公開している。館長の矢部衞教授(56)=魚類系統分類学=は「海の情報や水産科学研究を市民に紹介する窓口。ぜひ見学に訪れて」と呼びかけている。

 前身は1958年に開館した水産資料館。水産学部の同窓会が整備し、2007年に北大総合博物館の分館に位置付けられ、水産科学館に名称を変えた。

 別館に入ると全長14・7?のニタリクジラの骨格標本がある。30年前に水産庁が南太平洋で調査捕獲したもので、学術的にも非常に貴重という。シャチやセイウチなどの骨格標本もあり、はく製ではトド、アザラシ、ペンギン、カモメなどが並ぶ。

 第一標本室は魚類約500種を展示。サメやエイ、アンコウなどは水槽にホルマリン漬けにされ、見学しやすい。アンコウの仲間、ビワアンコウのメスに、非常に小さなオスが寄生しているユニークな標本もある。世界のシャークアタック(サメの攻撃)事故や、水産学部の研究者が発見した新種の魚類などもパネルで紹介している。

 第二標本室は、和船の模型や漁具、釣り針などを展示。1908年(明治41)年に小樽で開かれた北海道水産共進会に出展した和船の模型だけで20隻以上ある。「今は設計図もなく、プラモデル会社が構造を確認するため調査に訪れます」と矢部館長は説明する。第三標本室はサンゴやべっ甲、貝類を使った細工品が並ぶ。かんざしやステッキ、くし、小物入れ、ボタンなどのほか、サメの革財布、ラッコの毛皮などもある。

 市民に十分知られていない面もあるが、水産学習の場として小中学生の見学もあるという。矢部館長は「見学者は全国からあり、地元小中学生を対象に随時、ミニレクチャーなどを開催しています。11月2日まではカジカのパネル展も開催中」と語る。

 開館時間は平日の午前10時から午後4時半まで。11月1、2日の土日も開館する。問い合わせは北大函館キャンパス事務部研究協力担当TEL0138・40・5613。 (高柳 謙)


◎函病、4日からカード決済可能に
 市立函館病院(函館市港町1、吉川修身院長)は11月4日から、診療費や入院費をクレジットカードで支払えるシステムを導入する。急な入院や手術の際に多額の現金を持参する必要がなくなり、カードの分割払いも利用できることから、患者の利便性向上が期待される。カード決済ができる公立病院は道南では初めて。

 提携を結んだのはカード会社の三菱UFJニコスとJCB(いずれも本社・東京)の2社で、VISA、MasterCard、DC、JCBなど各種クレジットカード利用が可能に。病院側は高額な現金を管理する事務負担が軽減され、未収金の削減効果も見込んでいる。

 手術や入院時などには支払いが数十万円に上ることもあり、滞納につながるケースも。三菱UFJニコス広報部は「救急搬送の場合でも現金を持ち歩かなくても済むようになり、各カード会社のポイントサービスも付与される」と利便性をアピールする。

 公立病院でのカード決済は2006年の地方自治法改正で、国民健康保険料や公共料金の支払いにカード決済ができるようになった。道内の公立病院では市立札幌、公立芽室、江別市立に次いで4例目。各カード会社への手数料は病院側が負担するが、市立函館病院医事課は「患者へのサービス向上や、医療業務の効率化など手数料以上にメリットが大きい」としている。(森健太郎)


◎振り込め詐欺、理美容業者らが客に啓発
 後を絶たない振り込め詐欺被害防止の一環として、道警函館方面本部と函館中央、西署は30日、函館市内の理容、美容、浴場業の各組合に協力を依頼し、詐欺の手口を口コミで広めてもらう取り組みを始めた。約300カ所の店舗で各店主が被害防止アドバイザーとして、ポスターの掲示や被害事例を掲載したチラシを配布し、利用者に注意を促す。函本生活安全課は「一人でも多くの人に詐欺に遭わないように手口を知ってもらいたい」としている。

 協力機関は、北海道理容生活衛生同業組合函館支部(加盟147店、松田利隆支部長)、函館美容業協同組合(同118店、田村孝紀理事長)、函館浴場協同組合(同31店、長南武次理事長)の各店舗。北斗市内では市や民生委員を通じて口コミで情報提供を広げる「JIBAちゃんあんしんネット」の取り組みがあるが、特定の業者組合に依頼するのは道内初の試みで、今後各方面本部管内でも実施する。

 各店舗には「おれおれ詐欺」など主要4手口を記したB3版のポスターのほか、最近管内で実際に発生した「融資保証金詐欺」や「還付金詐欺」の実例を挙げたチラシを作製。全国的に増加している「エクスパック」(郵便事業会社の小型小包)を利用した詐欺も紹介し「現金を入れることは禁止されている」などと、注意を呼び掛けている。

 協力店のうち、函館市柳町の理容店「オーツカ」では、店長の大塚千代昭さん(76)がチラシを客に見せながら、「あの手この手と手口があるから気をつけて」などと声を掛けていた。大塚さんは「古くから来てくれるなじみの客が多いので被害に遭わないように守ってやりたい」と話していた。(今井正一)