2008年10月5日(日)掲載

◎函館駅でバリアフリーボランティア、道内初の実証実験開始
 道内では初の試みとなる「バリアフリーボランティアプロジェクト実証実験」が、4日からJR函館駅でスタートした。障害者や高齢者が公共交通機関を利用したり、観光ツアーなどに参加した際に、案内や介助を支援する活動。高校生から最高齢75歳までの計45人が、24日まで3週間にわたり交代で移動補助や荷物の運搬、道案内などさまざまなサポートを展開する。

 国土交通省が2005年度からバリアフリーボランティア事業推進の目的で全国各地で実証実験を実施。北海道では、観光地として多くの旅行者が足を運び、市民によるボランティア活動が盛んな函館市が最初の対象地域に選ばれた。

 活動開始前に行われた開始式では、道運輸局の荒川盛行計画調整官が「これからは心のバリアフリーが重要な時代。今回の実験結果が今後の効果的なボランティア活動につながるよう、優しい心を持って行動してほしい」とあいさつ。参加ボランティアを代表して、NPO法人スプリングボードユニティの折谷久美子代表が「函館を訪れる観光客が気持ちよく過ごせるように、心をこめたボランティアを行っていきます」と開始宣言した。

 続いてメンバーは、ボランティアスタッフと書かれたオレンジのジャンパーを身に付け、さっそく活動を開始。最初は声をかけるタイミングなどに戸惑っていたが、時間を経過するにしたがって高齢者や障害者に積極的に手を差し伸べる姿も見られるように。北斗市から参加した増川直実さん(45)は「ボランティアには興味があったが、本格的に携わるのは初めて。不安も少なくないが、精いっぱい頑張りたい」と話していた。

 ボランティアスタッフの募集は随時行っている。問い合わせは開発技術センター企画部地域政策研究室TEL011・271・3022。(小川俊之)


◎「はこだてチケット」約7割「満足」
 函館市は、市電・バスの一日乗車券と観光施設7カ所の利用・入場券を組み合わせた「はこだてチケット」(大人3000円、小学生半額)の購入者によるアンケートの結果をまとめた。利便性や値ごろ感からか、約7割が満足と回答する一方で、分かりやすさ、持ちやすさに改善を求める声が上がった。市は寄せられた要望を踏まえ、今冬にも実証実験を兼ねたチケットを再度販売したい考え。

 アンケートは、函館への旅行に関して問う11項目。初めての来函者が61・5%を数え、3泊以上は46・2%に達した。チケットの価格については、「ちょうど良い」とした76・9%が最も多かった。

 満足度は「まあまあ満足」が53・8%、「普通」が23・1%、「非常に満足」が15・4%、「不満足」が7・7%の順。その理由として、「施設ごとに財布を出す必要がなくて便利」「観光客にバスは利用しにくい」などがあった。

 チケットの使い勝手に対しては、「位置関係が分かりにくい」「ポケットに入らず観光には不向き」といった不満の声も。利用状況では、交通機関と函館山ロープウェイが100%だったほか、五稜郭タワーが94・5%、旧函館区公会堂が93・2%で、最も低かったのは北方歴史資料館の32・9%だった。

 8月1―17日の取り扱い後、参加団体との話し合いでは、チケットの販売期間・方法の見直しや、オプションによる高付加価値化など、さらなる魅力向上策が示された。市観光振興課によると、観光客の入り込みが落ちる冬場に向け、旅行代理店との間でパック内でのチケット活用について協議を進めており、「通年観光を目指し、利用のしやすさやマップの見せ方を改めていきたい」と話している。

 はこだてチケットは73枚を販売し、アンケートの回収率は17・8%にとどまった。(浜田孝輔)


◎裁判員制度のイベント、市民の疑問に答える
 法の日週間(1―7日)に合わせ、函館地裁、函館地検、函館弁護士会の法曹三者は4日、来年5月に始まる裁判員制度について市民の疑問に答えるイベント「みんなで築こう!函館の裁判員制度」を函館市中央図書館で開いた。上垣猛函館地裁所長の司会で、パネリストとして前田健三弁護士、柴山智裁判官、中屋利洋検事正と松本貴一朗検察官が参加。市民から制度への疑問や、量刑判断の是非など鋭い質問が飛び交い、議論を交わした。

 刑事裁判を傍聴したことのある市民は、現行の裁判はわかりにくいと指摘。柴山裁判官は「従来は、専門家同士で精密なものを目指しすぎ、審理に時間がかかるという弊害があった。皆さんに入ってもらうことで、迅速に分かりやすい裁判になる」と述べた。

 裁判員参加に反対意見を持つ男性は「厳罰化の流れもあり、判決がどう変わるか不安だ」と質問した。前田弁護士は「マスコミの報道で知らされていない側面も法廷では出てくる」とし、中屋検事正は「模擬裁判では必ずしも厳しい意見だけではなかった」と述べ、極端な厳罰化には傾かないとした。

 参加した市民からは、人を裁くことに対する不安の声が多く出された。松本検察官は「不安に思うからこそ、制度に参加してもらいたい。(裁判官と裁判員が)経験、知識で結論を出す制度。適切な結論が出ると思う」とし、上垣所長は「裁判官は神の目になってはならない。法廷で出された証拠を一緒にみて判断してもらいたい」と話していた。

 参加した市内の自営業の男性(58)は「上から押しつけられている感じもあり、もっと広く市民の意見を聞いた方がいいのではないか。制度について勉強します」と話していた。(今井正一)


◎大谷学園発表会、120年の節目 多彩なステージ
 函館大谷学園(仁禮文秀理事長)の創立120周年を記念する同学園合同発表会と講演会が4日、函館市湯川町の函館市民会館で開かれた。同学園の幼稚園の園児ら総勢約100人が多彩なステージを発表するなどし、節目を盛大に祝った。

 前半の合同発表会には、函館大谷短大附属幼稚園・保育園、同附属大野幼稚園(北斗市)、函館大谷高、函館大谷短大の園児、生徒、学生らが出演。それぞれ、遊戯やダンスなど日ごろの練習を成果を発揮し、華やかな舞台を繰り広げた。大野幼稚園の年長組53人は「未来への希望」の曲に合わせ、カラフルな旗を使って元気な舞を披露。会場に集まった保護者ら約800人から温かい拍手が送られた。

 同園の澤村悠介ちゃん(5)は「踊って楽しかった」と笑顔を見せ、母の陽子さん(34)は「緊張した様子だったけど楽しんで踊っていて良かった」と話していた。

 後半はテレビ番組のコメンテーターなどで知られるジャーナリスト鳥越俊太郎さんによる特別講演会「いのちと向かいあって」が開かれた。(新目七恵)


◎戸切地川の外来魚、駆除めぐり意見対立
 【北斗】北斗市内を流れる戸切地川に生息する外来魚、ブラウントラウトの駆除対策に対する現地検討協議会(道主催)が4日、北斗市総合文化センターで開かれた。食害による水産資源への影響から駆除を訴える漁業者側と、生態系への影響は少ないと駆除の有効性を疑問視する釣り愛好家らとの意見が対立し、結論は次回へ持ち越しとなった。

 ヨーロッパが原産のブラウントラウトは道内各地で、生態系の破壊などの問題を起こしている。戸切地川では年間約900万匹のサケ・マス稚魚放流を行っており、ブラウントラウトによる稚魚の食害の影響により回帰率の低さにつながっているとされている。その一方で釣りの獲物として人気が高く、戸切地川には全道・全国から多くの愛好家が訪れている。

 今回の協議会は、道の本年度の新規事業である「外来魚駆除総合対策」の中で、戸切地川のブラウントラウトが駆除対象となっていることから開催。地元の漁業関係者や自治体関係者、釣り愛好団体、道内各地の個人の遊漁者など約50人が出席した。

 協議会では、釣り愛好団体から「サケ・マスの回帰率が低いのは複合的要素によるもので、外来種ということだけでブラウントラウトを悪者にするのは理解できない」と反対の立場を表明。漁業者側からは「現在はまだ(ブラウントラウトの)数は多くないが、将来的に増殖する危険性が高く、早いうちに駆除することが効果的。もともと日本にいなかった魚が存在することが不自然」と駆除の必要性を訴えた。

 最後は上磯郡漁協の山崎博康組合長が「ブラウントラウト釣りを楽しみたいという遊漁者の気持ちも分かるが、漁業者も生活がかかっている。じっくり時間をかけて話し合い進め、納得のいく結論を出したい」と協議の延長を提案し、参加者全員が同意。次回の協議日程は未定となっている。(小川俊之)


◎総選挙8区、逢坂誠二氏が事務所開き
 衆院解散・総選挙に向け、道8区(渡島・桧山管内)への立候補を表明している3人のトップを切って、民主党の衆院議員逢坂誠二氏(49)が4日、函館市松風町9で事務所開きを行った。

 事務所前の大門グリーンプラザで開かれた集会には、支援者約400人が駆け付けた。逢坂連合後援会の松谷勇会長(79)が「逢坂さんは地方分権改革のリーダー。相手候補が決まり、来たるべき決戦に全力を挙げていきたい」と述べ、協力を呼び掛けた。

 逢坂氏は「絶望のふちからはい上がり、政権交代で日本を変えるため、国の命運をかけた選挙。持てるエネルギーを振り絞り、勝利に向かって走り回ることを誓いたい」と決意を述べた。

 逢坂氏は、2005年の衆院選比例道ブロックで初当選。8区選出で民主党の衆院議員金田誠一氏(61)が今季限りで政界を引退するのに伴い、くら替えでの2選を目指す。(浜田孝輔)