2008年11月1日(土)掲載

◎「にしん街道」標柱14基に
 【島牧・江差】江差・上ノ国・松前の3町観光協会でつくる北海道歴史倶楽部(会長・打越東亜夫江差観光コンベンション協会長)が、ニシン文化が道南から道北までの日本海沿岸を北上した道のりを「にしん街道」と名付け、街道のシンボルとして2004年に設置を始めた標柱がこのほど、檜山管内を中心に11市町村で計14基に達した。同倶楽部は今後、戦後までニシン漁が栄えた道北への設置も進める方針だ。

 14基目の標柱が設置されたのは後志管内島牧村。道の駅「よってけ島牧」の構内に、高さ2・6メートル、直径45センチのヒノキアスナロ(ヒバ)を使った標柱が設置された。28日に行われた除幕式には、打越会長、疋田清美松前観光協会長をはじめ、藤澤克島牧村長、堂坂良幸島牧村観光協会長らが出席した。

 同日は旅行会社・シィービーツアーズ(札幌)の戎谷侑男社長が基調講演を行い、道内のニシン文化や炭坑遺産などを活用した新たな観光ツアーの展開事例などを報告。戎谷氏は「熟年層に支持される本物の旅が必要。地域に根差した素材を活用することで、その地域に人たちも元気付ける」と呼び掛けた。

 同倶楽部は2003年、日本海沿岸に数多く残る「鰊(にしん)御殿」や倉庫建築など、ニシン文化がもたらした遺構をはじめ、ニシンを使った食文化、各地に伝わるニシン漁の様子を再現した「沖揚げ音頭」といった郷土芸能などの文化遺産を結び付けることで、新たな観光資源の創出を目指す「にしんルネサンス事業」をスタート。これまでに渡島、檜山、後志の3支庁管内で文化フォーラムや郷土芸能の発表会、現地に残された漁具の展示などに取り組んできた。

 こうした活動とともに、街道のシンボルとして、沿岸市町村や観光協会などの協力を得て標柱の設置も進めている。設置は04年に上ノ国町からスタート。同町と江差町には2カ所ずつ、松前町、奥尻町、八雲町、せたな町大成区・瀬棚区、後志管内岩内町、積丹町、寿都町、石狩市厚田区・浜益区には1カ所ずつの標柱を設けた。

 打越会長は「今後は戦後を通じてニシン漁が栄えた留萌、宗谷と道北での標柱設置を進めたい。各地のニシン文化を結び付けることで観光ツアーなどの展開も期待できる」と話している。(松浦 純)


◎ロシア外相が4日に来函
 函館市の西尾正範市長は31日の定例記者会見で、ロシアのラブロフ外相が4日に函館を訪問し、旧ロシア領事館やロシア極東大函館校、函館ハリストス正教会などゆかりの地を訪れることを正式発表した。西尾市長は「ロシアの外相が日本の地方都市を訪問するのは、旧ソ連時代を含めて初めて。歴史的な出来事で大変な名誉」と喜びを語った。

 ロシア政府専用機で午前10時10分に函館空港に到着。西尾市長をはじめベールイ駐日ロシア大使、斎藤泰雄駐ロシア大使、高野洋蔵函館商工会議所会頭、阿部善一市議会議長が出迎える。高橋はるみ知事もロシア極東大函館校で開かれる「ロシアセンター」開所式などに出席する。

 函館は今年、日本最初のロシア領事館が開設されて150年、旧ロシア領事館が建設され100年などの節目。これを記念しての訪問で、外相は「ロシアセンター」の開所式のほか、ロシア人墓地での献花、市民との交流会出席などを予定している。

 「ロシアセンター」は、ロシアの文化や教育を世界に広げる機関。極東大函館校に新設し、書籍だけで1300冊の新刊を備える。西尾市長は「旧ソ連諸国以外では世界で初めての開設。ロシア文化の発信地となるよう、盛り立てていく責任を感じる。極東大も何らかの公的な位置付けをして、将来に続くようにしたい」と意欲を語った。

 ラブロフ外相は船見町の旧ロシア領事館の視察を重視しているという。市は中長期的に旧領事館を再整備し、ロシアの情報センターや市民交流の場としての活用を検討している。今年2月に訪れたロシアのサフォーノフ極東連邦管区大統領全権代表も、極東大や領事館整備への支援を西尾市長に伝えたといい、双方が再整備に前向きな姿勢。

 当初は7月の北海道洞爺湖サミットに合わせ、メドベージェフ大統領の函館訪問とロシアセンターの開所が予定されていた。今回の外相訪問はそれに代わるロシア側の配慮で、西尾市長は「歴史的な友好関係のほか、経済界や函館日ロ親善協会などの活動が評価された」と述べた。

 ラブロフ外相の函館滞在は約6時間で、午後4時前に専用機で東京に向かう。4日は午前10時から午後4時ごろまで元町地域などで交通規制がある。(高柳 謙)


◎72%が値上げ申請…タクシー運賃改定 函館地区 道運輸局審査スタート
 函館地区のタクシー運賃改定で、渡島・檜山管内のタクシー会社から道運輸局函館運輸支局への運賃の値上げ申請が31日、審査基準の7割以上に達し、同運輸支局が値上げを認可するかどうかの審査に入った。各社は燃料高騰や乗務員の待遇改善を理由に初乗り運賃の引き上げを求めており、来春にも認められた場合、道南では1997年以来12年ぶりの値上げとなる。

 同運輸支局によると、8月1日付で北海小型タクシー(函館市千歳町)が運賃の値上げを申請したのを皮切りに各社が追随。10月31日までに同運輸支局(渡島・檜山)管内の41社・計1132台のうち、33社・計824台分が申請し、台数ベースで審査開始の規定の70%を超える72・8%に上った。

 各社は▽燃料費の高騰▽乗務員の待遇改善▽利用客の減少による経営悪化―などを値上げの理由に挙げ、現行の初乗り運賃の上限530円(小型車)を、610―850円に引き上げることや、運賃が加算される距離の短縮を求めている。同運輸支局は遅くとも6カ月以内に結論を出す予定。

 一方、客離れへの懸念から今回は値上げ申請を見送った会社も少なくなく、他地区では審査入り後に運賃改定の申請を撤回する動きもあり、先行きは依然として流動的。函館地区ハイヤー協会は「社会情勢が変化する中、10年以上も運賃が据え置かれてきたことが異例。消費者にも業界の置かれた厳しい経営環境を理解してほしい」としている。(森健太郎)


◎「ナッチャン」運航終了 わずか1年で歴史に幕
 函館と青森間を結ぶ東日本フェリー(函館市港町3、古閑信二社長)の高速船「ナッチャンRera(レラ)」と「ナッチャンWorld(ワールド)」の2隻が31日夜、函館、青森両ターミナルを交互に出・帰港し、最後の運航を終えた。津軽海峡を約2時間で結んできた“ナッチャン姉妹”は就航からわずか1年余りの短い歴史に幕を下ろした。

 午後7時半ごろ、函館ターミナルでは最終便となる「レラ」が出航。東日本フェリーの職員のほか、非番や乗務を終えた高速船のキャビンアテンダント(CA)、見納めに来た地元市民らが大勢詰め掛けた。岸壁では船体をバックに記念撮影したり、手を振ったりとそれぞれ別れを惜しみながら、最後の船出を見送った。

 2隻は双胴型の旅客フェリーとしては世界最大級、最高速をうたい文句に登場。昨年9月に「レラ」、今年5月に「ワールド」が相次ぎ就航したが、燃料高や利用客の伸び悩みで経営が行き詰まり、今年9月に撤退の決断を余儀なくされた。青函航路はグループ会社の道南自動車フェリーが高速でない在来船で引き継ぐ。

 この日、夫婦で来函した青森市内の自営業梶野幸雄さん(58)は「函館まで列車だけでは味気ない。旅情も味わえる高速船は静かで気に入っていたのに」と残念がる。息子の絵が「ワールド」の船体に描かれていた函館市内の女性(36)は「就航した時から事あるごとによく見に来た。船内も快適だったのでもう1度乗りたかった」と親子で岸壁にたたずんだ。

 鹿児島県に競走馬を輸送中の男性トラック運転手(53)は「デリケートな馬にとって2時間の早さは魅力。今後は遅くて揺れる在来船で運ぶと思うと気が重い」と漏らす。今年4月の入社で千葉県から移り住んだCAの本多愛さん(25)は「船の仕事にあこがれてこの世界に入った。特別な思いが詰まったナッチャンにもっと乗っていたかった」と目を赤らめていた。(森健太郎、山田孝人)


◎坂田選手 西武入りに前向き…スカウトが函大訪問
 30日に東京都内のホテルで行われたプロ野球の新人選手選択会議(ドラフト会議)で、埼玉西武ライオンズが函館大学4年の坂田遼選手(22、神奈川・横浜創学館)を4巡目で指名したのを受け31日、同球団スカウトの水澤英樹さん(39)が同大にあいさつに訪れた。水澤さんは「早くユニホーム姿が見たいですね」と入団を熱望。坂田選手は仮契約ついては明言しなかったが「1日でも早く、1軍に上がれる選手になりたい」とプロ入りへ意欲的な姿を見せた。

 阪内俊喜監督(52)らとの会談後に記者会見が行われた。坂田選手は「指名から1日たち、ようやく実感がわいてきた」と話す。両親に電話で報告すると「おめでとう。しっかり頑張るように」などの励まされたという。

 スカウト暦11年水澤さんは、坂田選手が1年生のころから注目していた。「ライオンズにはいないタイプ。外国人並みのスイングスピード」と語り、「右の中村剛也選手、左の坂田選手として育ってほしい。渡辺久信監督も『早く一発が見たい』と言っていた」と期待を話した。

 夏にけがをした右足について水澤さんは「1月には新人の合同自主トレがあるのでしっかり治してほしい」。坂田選手も「完治して早く練習に合流したい」と気合十分だった。(小林省悟)