2008年11月12日(水)掲載

◎会員78−500人超 活動さらに活発化…咸臨丸とサラキ岬に夢みる会
 【木古内】木古内町亀川地区の国道228号沿いにある広場「サラキ岬」を拠点に、観光行事や文化事業の展開で地域活性化を図る民間団体「咸臨丸(かんりんまる)とサラキ岬に夢みる会」(久保義則会長)は発足から5年目に入り、会員も増え、活動が一層活発化してきている。11日には、その活動に共感した北斗市の造園業者からクロマツ2本の寄贈の申し入れもあり、来春に植樹されることが決まった。まちづくりの情熱が着実に浸透する中、メンバーは「知恵と持ち前の行動力で一層の活動の充実を目指し、これからもまちを盛り上げていきたい」と張り切っている。

 夢みる会は2004年10月、自治会(町内会)や観光協会役員ら78人で立ち上げた。会員は年々増え、現在では500人を超える大所帯となった。

 「歴史を学び、これからのまちづくりに生かそう」と定期的に勉強会を開くほか、同岬の花壇整備や清掃など一年を通じたボランティア活動に汗を流す。毎年5月の連休時期には、岬一帯に約5万球が咲く「チューリップまつり」を主催。函館や松前などから大勢が来場し、初夏の木古内を代表する人気イベントに成長した。

 今年の活動を締めくくる球根植え作業は10月下旬に行われ、その際に傷みが激しくなった道路沿いの船型の看板の補修も行った。会員らが塗装や新しい支柱を取り付け、従来の設置場所から200メートルほど海よりの高台に移動。勝海舟や福沢諭吉らを乗せた幕末の輸送船「咸臨丸」が座礁、沈没したとされる沖合に“船首”を向けるようにした。

 この看板は木古内観光協会が1994年4月に設置。国道横を走るJRを利用した「咸臨丸子孫の会」(小林賢吾会長、事務局・横浜市)のメンバーが車窓からこの看板を目にし、以来、木古内住民と親ぼくを深めている。同岬のチューリップは、「咸臨丸が造船されたオランダの花を木古内に咲かせたい」と、子孫の会関係者が同国から取り寄せたのがきっかけ。

 久保会長は「この看板がまちづくり活動の原動力になってくれた」と振り返り、「われわれの夢を乗せた咸臨丸をまちづくりに生かさない手はない。時代の荒波を越えて力強く進めるように、今後も皆で協力し、会として最良の“かじ取り”をしていきたい」と話している。

 夢みる会に関する問い合わせは事務局(木古内観光協会内)TEL01392・2・2046。(田中陽介)


◎「白菊会」歴史に幕…27日まで最後の俳画展
 函館市内の俳画同好会「白菊会」が会員の減少や高齢化などを理由に、前身の「榾火(ほだび)会」から数えて26年余の歴史に幕を閉じることになった。函館本町市場「市場の中の小さな美術館」(函館市本町31)では27日まで、最後の作品展が開かれており、主宰者の島谷吉治さん(92)は「最後になるのはさびしいが、上手下手を問わず、楽しんで活動してきた雰囲気を感じ取ってもらいたい」と来場を呼び掛けている。

 「榾火会」は俳句会「虎落笛(もがりぶえ)」函館支部(解散)の会員20人で発足し、約20年間にわたって活動。当時の主宰者が脱退したため、6年前に島谷さんが主宰して「白菊会」を立ち上げ、活動を引き継いだ。

 現在会員は7人で毎月1回、市総合福祉センター(若松町)で活動。島谷さんは「年に1、2回皆で旅行し、そこで見た景色などを描くのが楽しかった」と思い出を振り返る。ただ、会員の平均年齢は70代。高齢化に伴い、足の痛みや手の震えで絵筆が持てなくなる人も出始め、活動が困難になり、今展限りで解散することにした。今後は同じ顔ぶれが参加する俳句会「海峡」(島谷さん主宰)の活動だけを継続するという。

 最後の作品展に向け、冬を題材に10月に制作した作品17点を出展。会員が思い思いに描いたカキや雪山、落葉などの絵に冬の一句を添えた短冊、色紙が並ぶ。日本画に使われる顔彩のみずみずしさ、略筆のさらりとしたタッチで描かれた俳画の魅力が表現されている。島谷さんは「簡単に略して描けるのが俳画の面白さ。長い間活動してきたが気張らず気ままにできて楽しかった。解散しても死ぬまで筆を持ち続けたい」と意欲を見せる。

 会員の山本武雄さん(75)は「白菊会 解散寂(さび)し 秋の暮れ」との俳句でさびしい気持ちを表現。同じく会員の武田敏光さん(73)は「皆で切磋琢磨し合って作品を作ってきたのでさびしくなるが、これからも個人的に続けるつもり」と話している。

 作品展は午前10時―午後6時(最終日は同4時まで)。(宮木佳奈美)


◎幸連トンネルで安全祈願祭…北海道新幹線
 【木古内】2015年度までの開業が予定されている北海道新幹線の「幸連(こうれん)トンネル工事安全祈願祭」が11日、木古内町幸連の同トンネル坑口前で行われた。13日から始まる掘削作業を前に、作業従事者の安全を祈り、新幹線の早期開業を願った。

 施工者の奥村組(大阪市)、淺沼組(同)、山田組(札幌市)の特定建設工事共同企業体の代表と大森伊佐緒町長、工事発注者の鉄道建設・運輸施設整備支援機構道新幹線建設局関係者ら計約100人が出席した。

 神事の後に、同局の市橋学局長が「地域と企業体関係者などと協力、連携を図りながら早期開業を目指したい」とあいさつ。大森町長は「間もなくここに新幹線が走ると思うと感無量の思い。町としても工事関係者とコミュニケーションをしっかり取っていきたい」と祝辞を述べた。

 同トンネルは全長1385メートル、総工費約25億円で、工期は14年3月15日まで。木古内町内の新幹線トンネルとしては、釜谷地区の渡島当別トンネル(全長8080メートル、06年1月掘削開始)に次ぐ距離の工事となる。(田中陽介)


◎経済交流に法的支援…サハリン州弁護士会
 北海道を訪れているロシア・サハリン州弁護士会の4人が11日、函館市役所を訪れ、西尾正範市長と懇談した。同会は7日、北海道弁護士会連合会と友好協定を締結。ニコライ・ソローキン副会長が「協定でサハリンと北海道だけでなく、広く日本とサハリン間で法的な支援ができる。何かあれば気軽に連絡してほしい」と述べた。

 両弁護士会の交流15周年を記念して協定を締結。弁護士同士の交流や法制度の情報交換を進め、法的トラブルにも対処することで日ロ間の経済交流などを進める。西尾市長が「函館の企業もロシアと貿易をしているが、関税や契約などで分からないことが多い。何かあれば相談できる窓口ができたことを非常に心強く思う」と述べ、協定締結を高く評価した。

 ソローキン副会長は「日本でもサハリンでも、外国人がビジネスをすることは簡単ではないが、法的支援があればできる。相互のビジネスマンを支援するとともに、西尾市長にも今後のさまざまな活動を支援してもらいたい」と要請した。西尾市長も経済交流の拡大を期待し、支援を約束した。(高柳 謙)


◎黒沢清監督がトークショー…遺愛女子中・高で「トウキョウソナタ」上映会
 函館市杉並町の遺愛女子中学・高校(野田義成校長、生徒計800人)で11日、映画「トウキョウソナタ」(2008年)の上映会と黒沢清監督を招いたトークショーが行われた。黒沢監督は、映画づくりの面白さなどを女子高生らに語り掛けた。

 映画は東京の一角に住み、それぞれに秘密を抱える4人家族の物語で、同市本町22の市民映画館「シネマアイリス」(菅原和博代表)で公開中。今回は同館で行われるトークショーに合わせ、菅原代表が同校PTA会長を務める縁から実現した。

 全校生徒が参加した上映会後、トークショーに移り、黒沢監督は映画浸りの中学・高校時代に「(学校の勉強ではなく)映画なら一番になれるのでは」と、映画監督を志したきっかけを振り返った。映画について「アニメと違い、実際にある物や人を撮影するため現実的でリアルなのが特徴であり、弱みでもある。ホラーの場合、不思議な現象や幽霊をどうリアルに表現するのかが映画づくりの醍醐味(だいごみ)」と説明した。

 同校生徒からの「(劇中に登場する)『国境』は何のこと」との質問に対し、「血がつながり、同じ家で同じ食事をしている家族でも、ある時から全然相手が分からなくなる。その状況を象徴的に表現した」と語るなど、今回の作品の意図や思いなども分かりやすく解説。最後には「映画は熱意とあきらめない持続力があれば誰にでもできる。いつか参加者の中から、映画監督が生まれることを期待したい」と締めくくった。

 トーク後、高校2年生の濱津薫生徒会長(17)が花束を手渡した。(新目七恵)


◎ネパール料理に挑戦…大野農高が酪農学園大と調理体験
 【北斗】大野農業高校(北沢住人校長、生徒341人)生活科学科の2年生32人が11日、北斗市向野の同校で酪農学園大(江別市)の学生らとジャガイモを使ったネパール料理の調理体験などを楽しんだ。本年度から始めた高大連携の食育推進活動の一環。参加者は調理のほか、実験や研究発表などでも交流した。

 この連携活動は双方の専門的な農業活動を生かして学び合おうと実施。身近なジャガイモにスポットを当て、大野農高では品種別栽培など、同大では高校生向け副読本の作成などを進めてきた。夏には高校生が同大を訪れているが、学生が来校するのは初めて。

 同大農業経済学科の發地喜久治教授と3、4年生17人が参加。大学側の研究発表後、参加者はネパールのシェルパ民族の主食料理「リキクル」の調理に挑戦した。すったジャガイモに小麦粉などを混ぜて焼く簡単メニューで、高校生は学生らと協力しながら焼き上げ、一緒に味わった。

 大野農高2年生の佐藤修君(16)は「ネパールの調理法は初めて。お好み焼きみたいでおいしい」、中野春樹君(17)も「大学生と話しながら同じことをするのが楽しい」と話していた。同大4年生の辻野奈津美さん(21)は「こうした連携は良い経験。酪農大のアピールにもなれば」と笑顔だった。

 12月には同大で1年間の研究発表会が行われる。(新目七恵)


◎「燃やせるごみ」96・6%が適正分類
 函館市が行った今年のごみ組成分析調査で、函館市内から排出された「燃やせるごみ」の適正分類率は前年に比べ6・0ポイント上昇の96・6%、「燃やせないごみ」の適正分類率は同1・9ポイントアップの87・7%となり、詳細な調査を始めた2002年以来最も高い数値となった。

 今年は10月上旬、市内の各地域から集めた400キロのごみを混ぜ、うち200キロを各種の紙や金属、プラスチック、缶、瓶など33種類に分けて重量や容積を調べた。

 「燃やせるごみ」として適正に分類されたもののうち、例年最も多い割合を占める生ごみはほぼ例年並みの47・4%で、次いで紙類20・0%、長さ50センチ未満の草木類12・4%、衣服などの繊維類8・1%の順。汚れたプラスチック容器5・7%も適正に分別されていた。

 不適正な分類の中で最も多かったのは、雑誌や紙パックなどの紙資源3・0%。プラスチック容器包装潜在分は0・3%あったが、この中にレジ袋はなく、市環境部は「生ごみなどの内袋として有効活用されていた」とする。

 「燃やせないごみ」に適正分類された中で最も多かったのはガラス類で、同21・8ポイント増の35・0%と大幅に増加。次いで金属類23・9%、小型家電21・2%。不適正な分類で最も多いのは缶と瓶で合わせて6・3%。特に瓶の混入が多く、同部は「汚れている瓶をそのまま燃やせないごみに分別しているようだ」とみる。プラスチック包装容器潜在分はなかったが、「燃やせるごみ」に分類すべき50センチ未満のプラスチック類や汚れたプラスチック包装容器は5・0%も含まれていた。

 同部は「プラスチックや瓶などには洗えば資源となるものが多く含まれるため、今後も継続的な意識啓発が必要」と話している。(小泉まや)