2008年11月14日(金)掲載

◎松前、フユザクラ咲き始める
 【松前】250種1万本のサクラを有する松前公園(松前町松城)で13日、フユザクラが咲き始めた。白やピンクの淡い花びらが秋風に揺れ、青空に映えている。

 咲いているのは、松前城入り口左付近と後方の松前神社前。一本に2、3輪の花びらが顔を見せている。松前のフユザクラは、春(3―4月)と秋(10―12月)の二度咲く。今年は比較的暖かな気候が続き、枯れ葉が枝に付く中での花となり、町民らは「茶色と白のコントラストは珍しい。きれいだ」と見入っている。

 この日カメラを手に訪れた同町唐津の柴田等さん(54)は「何とも言えない美しさ。もう少しいっぱい咲いてくれれば最高」と撮影を楽しんでいた。フユザクラは同公園近くの観光施設松前藩屋敷に隣接する石碑公園でも見ることができる。同町役場によると昨年は、1月まで断続的に花が咲いたという。(田中陽介)


◎過剰米対策を3年ぶり発動、特例で政府が買い入れ
 2008年度産水稲の作柄が全国的に豊作水準となったことから、政府はコメの価格下落を防ぐために過剰米を市場から隔離する「集荷円滑化対策」を3年ぶりに発動した。全国で約11万トン、道内では約3万1000?と予想される過剰米は、政府によって全量買い入れられることとなり、渡島、桧山管内の各農協でも準備が進められている。

 集荷円滑化対策は、本来は過剰米の隔離保管に協力した生産者に60キログラムあたり7000円が支給される制度。しかし、市場価格を大幅に下回る水準であることから生産者側からの不満も大きく、本年度は特例として全過剰米を政府が買い入れることとなった。買い入れは入札で行われるが、政府は主食米とほぼ同額となる1万2000円以上の値段をつけることを決定している。

 水稲の収量の目安となる本年度の作況指数は、全国が102(平年作=100)なのに対し、北海道全体では106とさらに高い。渡島も105、桧山も104となっているが、作況指数はあくまでも各地域における平年収量を基準とした数字で、道内全体の10アール当たりの平年収量が565キロなのに対し、渡島は510キロ、桧山は519キロと低い。そのため作付け面積から見込まれる予想収量も、渡島は1万5300トン、桧山は2万2000トンで、道内全体の予想収量64万7500トンに占める割り合いは約5・8%にすぎないが、JA新はこだて米穀課では「価格安定のために道内の生産者全体が協力しなければならない」と過剰米の隔離を各農家に呼び掛けている。

 道農政事務所によると「まもなく、政府による過剰米の買い入れが始まるが、各生産者に不公平感がないように地域の農協と連携を取りながら過剰米対策を進めていきたい」と話している。 (小川俊之)


◎木古内高校存続問題で、大森町長が町立化断念の意向
 【木古内】道教委が打ち出す公立高校適正配置計画で、2010年度に募集停止する道立木古内高校存続問題で大森伊佐緒町長は13日、釜谷生活改善センターで開かれた町政懇談会で「町立化は困難。苦渋の決断だが理解してほしい」と町立移管を断念する意向を示した。これで町立化は白紙状態となった。

 これまで大森町長は「町民の声を十分に聞き、最終的な決断をしたい」としてきたが、町立化断念について、少子化による生徒減と財源確保の難題を大きな理由に挙げ、「地元に高校を残したい気持ちは強いが、教育水準の維持や財政状況などを考慮すれば町立化は難しい」とした。

 9月の定例町議会で大森町長は「少子化も含め、財政状況を勘案し(町立時の)運営試算の裏付けを把握することが重要。早急に、年内にはお答えしたい」と述べ、町立移管の可否については明言を避けていたが、閉校に向けた動きは事実上強まっていた。

 町は10月9日、町立化を視野に入れた長期的な運営試算の概要を公表していた。9年間で約2億4000万円の累積赤字となる見込みで、「町立化は財政健全化計画を圧迫する」「生徒の進路選択が迫る中で、この問題を長引かせてはいけない」と住民や議員から町立化への懐疑的な意見が出ていた。

 存続問題の説明が大幅に遅れたことについて大森町長は函館新聞社の取材に対し、「当初は保護者への説明会を早い時期に開催しようとしたが、説明をするには確実な裏づけが必要であり、そのため時間を要した。この町政懇談会が広く住民に説明できる機会だと判断した」と答えた。

 同懇談会は21日まで5カ所で開催される。中学3年生の進路を決める3者面談は12月に行われる。 (田中陽介)


◎小中学校配置基本指針素案、意見募集に3件のみ
 函館市教育委員会は13日「函館市立小・中学校の配置についての基本指針(素案)」に対するパブリックコメント(意見募集)と地域別懇談会の結果を市議会総務常任委員会(井田範行委員長)の委員協議会に報告した。委員からは、同市の新総合計画との整合性を求める意見や、参加者が少なかった事から意見募集のあり方を問う質問が相次いだ。

 同計画は、少子化を背景にした学校の小規模化問題に対応しようと立てる。素案では小中学校の望ましい規模などが示されている。意見募集はホームページなどで6月上旬から7月上旬までの約1カ月間実施。地域別懇談会は10会場で合わせて96人が参加した。

 意見募集で寄せられたのは(1)再編を進めるに当たっては保護者の声を十分に聞いて(2)小規模校でも長い歴史の中で地域の核になっている学校もあるので十分配慮して(3)1学級当たりの定員を25人名程度にして―の3件のみ。

 これに対し松尾正寿氏(新生クラブ)は「意見が3件しかないのは悲しいこと」と意見。(3)の返答に財政面から「難しい」という考え方を示したことについて斉藤佐知子氏(民主・市民ネット)は、「今の市長は教育に力を入れている。もう少し慎重に検討する必要があったのではないか」とした。

 阿部善一氏(民主・市民ネット)は「市の基本構想にあるコンパクトシティーの考え方は反映されているのか」と問いただした。これに対し多賀谷智教育長は「素案では整合性を持ち全庁的に計画を立てた。案では地域の動きをとらえながら全庁協議を踏まえ進めたい」と答えた。 (小泉まや)


◎魚長食品グループ あす鮮魚店オープン
 鮮魚販売、ホテル経営などを手掛ける魚長食品(函館市豊川町、柳沢政人社長)グループは15日、同市大手町5のはこだてビール敷地内の倉庫を改修し、鮮魚販売店「函館さかな屋まるかつ水産」を新装オープンする。丸売りの鮮魚のほか、刺し身や総菜、弁当なども充実。店内には飲食スペースも設けられ、観光客だけでなく地元住民にも注目されそうだ。

 明治館などが並ぶベイエリアの一角で、店舗面積は約280平方メートル。これまで同社の仮事務所や倉庫として活用していた建物を約2000万円掛けて改築した。店内にはその日の朝に仕入れた旬の鮮魚のほか、加工調理した切り身や煮・焼き物、総菜、すし、弁当など約1000アイテムが並ぶ。

 刺し身は380円―780円まで回転ずしのように種類別に皿の色で分かれ、自分でオリジナルの盛り合わせができる。店内には活イカの泳ぐ大型いけすやホタテを手で触れる水槽も。商品をその場で食べられるイートインスペースを確保したのも特徴だ。

 13、14の両日は同社の回転ずし会員向けに内覧会も行われ、13日は開店前から約100人が並んだ。同社まるかつ水産営業部は「本物の魚の味を知ってもらうにはスーパーとは違うプロの提案も必要。対面販売の安心感や出会いを大切に、地元客向けに道南産中心の品ぞろえで魚の消費拡大を進めたい」としている。営業時間は午前10時半―午後5時。水曜定休。(森健太郎)